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  • 国会及び内閣に対する報告(随時報告)|
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書|
  • 平成18年10月

成田国際空港株式会社における空港施設等の整備事業に係る入札・契約の実施状況等について


4 所見

 成田会社は、16年4月に空港公団の一切の権利及び義務を承継して、全額政府出資の特殊会社として設立され、早期に株式を上場し、完全民営化することを目標としている。そして、効率的な企業活動を目指すとともに、「公正・透明な企業活動を通じて、健全経営を目指す」ことを経営ビジョンの一つとして掲げているところであるが、前記のとおり競売入札妨害事件が発生した。成田会社ではこれを受け契約に係る今後の不正防止の確立を目的として適正化策を策定し公表しているものの、適正化策のうち、総合評価方式の拡大や従来型指名競争契約の廃止など契約方式の改善については、18年4月から実施されていて、契約金額1億円以上の工事件数についてみると5月末時点で10件程度であり、入札・契約の実績が少ないため、現時点では、その有効性等について検証することは困難な状況である。
 上記のような状況を踏まえ、空港公団及び成田会社が発注した工事における入札・契約事務の執行状況及び予定価格の積算について検査したところ、以下のような事態が見受けられた。
〔1〕 受変電設備工事について「変圧器等の主要機器について自ら製作」することを競争参加の条件としているため、入札者が限定的となっていた。
〔2〕 受変電設備工事の予定価格の積算で使用する見積りの値引率の根拠資料がなく、実勢価格を反映した値引率となっているかについて確認できない状況であった。
〔3〕 17年12月に適正化策を策定し、18年1月から実施するまで、違約金条項を契約書に明記する措置を執っていなかった。
 したがって、今後、成田会社において、適正化策を確実に実施すること、立件対象となった3件の工事については、損害賠償の請求について検討すること、契約事務等に係る国の通知等に対しては適時適切に対応することはもとより、次のような処置を講じることが望まれる。
ア 受変電設備工事の入札に当たっては、競争性を高めるため、「変圧器等の主要機器について自ら製作」することの条件について見直しをするなどして、競争参加者の一層の拡大に努めること
イ 予定価格の積算のうち、受変電設備工事における機器費の算定については、定期的に物価調査会社等に価格調査を依頼するなどして、より実勢価格を反映できる積算方法を検討すること
 会計検査院としては、今後とも成田会社における適正化策の実施状況とその有効性等について検査するとともに、上記事態についての成田会社の処置状況等について検査していくこととする。