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  • 平成19年9月

日本放送協会における不祥事に関する会計検査の結果について


第3 関連団体の余剰金の状況

1 検査対象の概要

(1) 関連団体の範囲

 協会は、放送法(昭和25年法律第132号)第38条の規定に基づき、毎事業年度の業務報告書を作成し、これに監事の意見書を添えて当該事業年度経過後2箇月以内に総務大臣へ提出することとなっている。
 この業務報告書に記載すべき事項は、放送法施行規則(昭和25年電波監理委員会規則第10号)第11条に規定されていたが、9年の同規則の改正を経て、現在は、同条第10項の規定により、以下の条件に該当する団体(以下、これらの団体を総称して「関連団体」という。)の概要として名称、事業内容、協会との関係等を記載することとされている。
〔1〕 総株主の議決権の過半数を協会が有する会社(協会とこの会社が有する議決権が総株主の議決権の過半数となる会社を含む。以下「子会社」という。)
〔2〕 協会又は子会社が議決権の20%以上50%以下を実質的に所有し、かつ、協会が一定の関係を通じて財務及び営業の方針に対して重要な影響を与えることができる会社(以下「関連会社」という。また、子会社及び関連会社を、以下「子会社等」という。)
〔3〕 協会の業務の一部又は協会の業務に関連する事業を行っている公益法人その他の法人であって、協会が一定の関係を通じて財務及び事業の方針決定を支配若しくはこれに重要な影響を与えることができる法人(以下「関連公益法人等」という。)

(2) 関連団体についての取扱いの推移

ア 子会社等に対する出資

(ア) 出資範囲の拡大

 協会の財政は、主として受信料を財源としており、17年度決算では、事業収入の約95%を受信料収入が占めている。この受信料の単価についてみると、昭和50年代は、テレビの普及率が限界に近づき受信料収入の伸びが頭打ちとなる中、第一次石油危機等の影響により、特に人件費が高騰するなどして事業支出が増加したことから、協会の財政が慢性的な赤字構造となり、51年度、55年度、59年度と4年ごとに値上げが繰り返されていた(その後、平成2年度の値上げ以降は実質的な値上げはされていない。)。
 このように協会が厳しい財政状況に置かれる中、昭和57年6月、協会にテレビジョン多重放送(音声多重放送及び文字多重放送)を行わせること及び協会の出資範囲を拡大することなどを内容とする放送法の一部改正が行われ、協会の出資範囲に協会が行う一定の業務に密接に関連する所定の事業(以下「出資対象事業」という。)を行う者が追加された。
 この改正は、業務の一部を委託することによる協会の業務効率化、協会の有する技術、番組素材の活用を図るなどの見地から行われたもので、その背景には、テレビジョン多重放送の実施や当時開始予定であった衛星放送等に対応するため協会の負担増が見込まれる一方で、財政状況改善のため55年度から要員削減を開始した協会に対して更なる事業運営の効率化が求められていたことなどがあったとされている。

(イ) 出資の根拠

 放送法第9条の2の規定により、協会は、同法第9条第1項に定める業務(以下「必須業務」という。)又は同条第2項の規定に定める業務(以下「任意業務」という。)を遂行するために必要がある場合には、総務大臣の認可を受けて、収支予算、事業計画及び資金計画で定めるところにより、必須業務又は任意業務に密接に関連する政令で定める事業を行う者に出資することができるとされている。
 必須業務は、協会が必ず行うこととされている業務で、国内放送を行うこと、放送及びその受信の進歩に必要な調査研究を行うこと並びに国際放送を行うことなどである。また、任意業務は、協会が行うことができる業務で、必須業務に附帯して放送番組を周知することや放送することを主たる目的とする催し物を実施すること、多重放送を行おうとする者に協会の放送設備を賃貸することなどである。

(ウ) 出資対象事業

 協会の出資対象事業は、放送法施行令(昭和25年政令第163号)で、57年の法改正当初、放送番組の制作や番組用教材の出版、受信料徴収業務、協会番組の複製、頒布などとされていたが、62年の改正により、放送に附帯する催しの主催等が追加され、現在、同施行令第2条の規定により、以下の〔1〕から〔11〕に掲げる事業とされている。
〔1〕 協会の委託により、放送番組を制作し、放送番組の制作に必要な装置を作成し、又は放送に必要な施設を建設し、若しくは管理する事業
〔2〕 協会に対し、放送番組の制作に必要な装置又は放送に必要な施設を供給する事業
〔3〕 協会の委託により、その放送番組を送信する受託国内放送を行う事業
〔4〕 協会の委託により、又は協会と共同して、放送(委託して放送させることを含む。〔7〕において同じ。)及びその受信の進歩発達に必要な調査研究を行う事業
〔5〕 協会の委託により、受信料の徴収に関する業務又は協会の業務に係る情報の処理に関する業務を行う事業
〔6〕 協会が放送し、又は委託して放送させることを主たる目的とする公開演奏会その他の催しを主催する事業
〔7〕 協会の委託により、放送の普及発達に必要な周知宣伝又は出版を行う事業
〔8〕 協会の委託により、放送番組の編集に必要なニュース及び情報を収集し、又はこれを協会以外の者と交換する事業
〔9〕 協会の委託により、放送番組及びその編集上必要な資料を一般放送事業者の用に供し、若しくは外国放送事業者に提供し、又は協会の調査研究の成果を一般の利用に供する事業
〔10〕 協会の放送番組に係る著作物について、その複製物を作成し、若しくは領布し、又はこれを有線送信する事業
〔11〕 協会の放送設備を使用してテレビジョン多重放送を行う事業

イ 子会社等に対する業務委託の拡大

 57年の放送法改正により、協会の出資の範囲が拡大されて以降、協会は、その業務を委託する子会社等の設立及び出資を進め、関連団体に対する業務委託を年々拡大させていった。一方、協会の業務の外部委託の在り方については、63年12月、当時の郵政省放送行政局長の私的研究会「放送の公共性に関する調査研究会」の中間報告において、業務の外部委託について何らかの基準を設けるなど業務の外部委託についての考え方について早急に検討整理すべきであるとの提言がなされた。
 この提言を受け、協会が放送番組の質的低下や協会のノウハウの維持発展を困難にさせるような業務委託を行わないよう、自主的に基準を定め、適正な業務委託を実施することを期待して、平成元年に放送法が一部改正され、以下の〔1〕から〔3〕を内容とする第9条の3の規定が追加された。
〔1〕 協会は、必須業務等については、協会が定める基準に従う場合に限り、その一部を委託することができる。
〔2〕 協会が定める基準は、当該委託業務が効率的に行われ、かつ、必須業務等の円滑な遂行に支障が生じないようにするものでなければならない。
〔3〕 協会は、基準を定めたときは、遅滞なく、その基準を郵政大臣(13年1月6日以降は総務大臣)に届け出なければならない。

ウ 監事の子会社調査権

 前記の「放送の公共性に関する調査研究会」の中間報告では、協会の業務の外部委託の在り方のほか、協会の出資の在り方について、「出資先企業を含めた協会全体の適正な運営を図るために、協会の監事に対して、協会が一定割合以上の出資をした法人については、一般の株式会社と同様に、営業報告を要求し、また、必要な場合には業務及び財産の状況を調査する権限を認める等の制度の検討を行う必要がある。」との提言がなされた。
 この提言等を受け、前記の元年の放送法改正では、商法(明治32年法律第48号)の規定に準じて、協会の監事に子会社に対する調査権(以下「監事の子会社調査権」という。)を認める旨の改正も併せて行われた。
 そして、監事の子会社調査権については、その後の商法改正及び会社法(平成17年法律第86号)の施行を踏まえて、現在、放送法第26条の規定により、次の〔1〕から〔4〕のとおりとなっている。
〔1〕 監事は、その職務を行うため必要があるときは、子会社に対し、営業の報告を求めることができる。
〔2〕 監事は、子会社に上記の報告を求めた場合において、子会社が遅滞なく報告を行わないとき、又はその報告の真否を確かめるため必要があるときは、報告を求めた事項に関し、子会社の業務及び財産の状況を調査することができる。
〔3〕 子会社は、正当な理由があるときは、監事への報告又は監事の調査を拒むことができる。
〔4〕 監事は、監査の結果を経営委員会に報告するものとする。

エ 子会社等の業務範囲等に関するガイドライン

 放送政策全般について検討することを目的として、12年5月に発足した郵政省放送行政局長(13年1月6日以降は総務省情報通信政策局長)の私的研究会「放送政策研究会」は、翌13年12月、公共放送の在り方について、「第一次報告」を取りまとめ、公表した。そして、この報告において、協会の子会社等に関し、〔1〕子会社等の業務範囲は原則として出資対象事業とすることが適当であること、〔2〕子会社等との調達取引は競争契約を原則とし、また、業務委託の実施要件を運用面で徹底するとともに業務委託も競争契約を原則とし、業務委託費の算定要領の策定等の措置を講じることが適当であること、〔3〕子会社等との連結決算の導入や子会社等の整理・統合等の措置を講じることが適当であることとの指摘がなされた。
 また、これと前後して、行政改革大綱(平成12年12月1日閣議決定)及び特殊法人等改革基本法(平成13年法律第58号)に基づいて決定された「特殊法人等整理合理化計画」(平成13年12月19日閣議決定)の中で、協会は、〔1〕子会社等の業務範囲の拡大を抑制するため、子会社等の業務範囲を原則として出資対象事業に限定する等の仕組みを設けること、〔2〕子会社等との取引において、競争契約を原則とするとともに、業務の専門性、特殊性等から他に委託先がない等やむを得ない場合に限定して随意契約とすることとされた。
 これらを受け、総務省は、14年3月、子会社等の業務範囲及び協会の業務委託等に関して「放送法第9条の2及び第9条の3に関する解釈指針(日本放送協会の子会社等の業務範囲等に関するガイドライン)」(平成14年3月8日総務省情報通信政策局長通知。以下「ガイドライン」という。)を策定した。
 そして、このガイドラインでは、子会社等の業務範囲、協会の業務委託及びガイドラインの実効性の確保について、次のとおり示されている。

(ア) 子会社等の業務範囲

 子会社等の業務範囲については、原則として、前記の放送法施行令に定める出資対象事業とするが、具体的には、これに加え、協会の任意業務若しくはこれらを行うために保有する設備又は優れた技術を活用した特に社会的に意義のある事業とする。

(イ) 協会の業務委託

 協会が業務委託を行うに当たっては、次の〔1〕及び〔2〕の措置を執ることとする。
〔1〕 業務の専門性、特殊性等から他に委託先がない場合等やむを得ない場合を除き、競争契約を原則とし、そのための具体的な要件を定める。
〔2〕 委託金額の満たすべき要件を含んだ契約金額算定要領を定める。

(ウ) ガイドラインの実効性の確保

 協会は、ガイドラインの実効性を確保するため、以下の〔1〕から〔3〕の措置等を執ることとする。
〔1〕 子会社等の管理運営に関する基準の作成及び公表
〔2〕 子会社等に関する苦情処理窓口の設置及び苦情処理対応状況の公表
〔3〕 子会社等に対する外部監査の導入及び監査の結果の公表

(3) 協会における関連団体の管理、指導等

ア 業務委託基準等

 協会では、元年の放送法改正を受け、同年10月、同法第9条の3の規定に基づき「業務委託基準」(平成元年会長指示)を制定した。この業務委託基準は、必須業務等の一部を外部に委託する場合に適用するもので、業務委託契約に当たっての基本的事項についてのみ定められており、業務委託は協会自らが実施するより経済性等において有利であること、受託者の選定は原則競争とすること、契約金額は社会的に公正かつ妥当であることなどとされていた。
 その後、前記のとおり、協会の業務委託の在り方については、特殊法人等整理合理化計画等でも指摘され、14年3月に総務省からガイドラインが示されたことを受け、協会は、同年4月、業務委託基準を改正した。
 この改正された業務委託基準では、受託者の選定及び契約金額の算定方法について別に具体要領を定めることが明記され、協会は、新たに業務委託契約要領(平成14年会長指示)及び業務委託費算定要領(平成14年会長指示)を策定した。
 そして、業務委託契約要領によれば、受託者の選定は、競争を原則とし、随意契約とすることができるのは、〔1〕公共放送サービスの質を確保するため、当該業者のノウハウを活用することが不可欠な場合、〔2〕効率化に伴い移行した要員が、当該業務に従事している場合(この規定は19年1月に削除)、〔3〕著作権、特許権等の排他的権利の保護や既設設備との関連等で業者が限定される場合、〔4〕緊急の必要により競争に付している時間がない場合等とされている。
 また、業務委託費算定要領によれば、業務委託費は、適正な原価に適正利益を加えた額を基礎として定め、その積算は各経費の項目を積み上げて算定する原価計算方式を原則とするとされている。

イ 関連団体運営基準

 昭和57年度以降、関連団体の新設等が行われ、団体数が毎年増加する中、平成2年3月、社団法人日本民間放送連盟(以下「民放連」という。)から、協会と関連団体の在り方について、関連団体等からなる協会系複合企業体(NHKコングロマリット)が形成され、一段と商業化していくおそれがあり容認できないとする「NHKのあり方に関する見解」が出された。また、6年3月、同じく民放連がまとめた「NHKの『商業化』問題に関する調査報告書」においても同様の見解が出された。さらに、これらの見解を受け、国会においても、協会は、放送法で営利目的の事業を禁止されているのに、営利企業である子会社等を使って商業化しているのではないかなどとする質疑がなされた。
 一方、協会では、この時期、関連団体の設立が一段落したことを受け、設立された各社が協会の関連団体として節度ある活動を行い、NHKグループとしての活動に社会からの理解を得ていくことが必要であるとの認識から、4年10月、関連団体の運営に関する基本的事項を定めることなどにより、公共放送事業の円滑な遂行に資することを目的として関連団体運営基準(平成4年会長指示)を制定した。
 その後、前記のとおり、14年3月に総務省から示されたガイドラインにおいて、協会に対し、子会社等の管理運営に関する基準の作成等が求められたことから、協会は、14年7月、内容を全面的に改正した関連団体運営基準(平成14年会長指示。以下「運営基準」という。)を制定した。
 運営基準は、関連団体の事業が適切に行われることを目的として、関連団体の事業運営及びこれに対する協会の指導・監督等に関する基本的事項を定めたもので、その主な内容は、次の〔1〕から〔12〕に掲げるとおりである。
〔1〕 関連団体とは、放送法及び同法施行規則に定める子会社、関連会社及び関連公益法人等とする。
〔2〕 協会は、各関連団体との間で、運営基準の遵守、協会の業務委託等の範囲、相互協力関係その他の重要事項を明記した基本契約を締結する。
〔3〕 関連団体の事業目的は、協会の業務を補完・支援することを基本とし、協会業務の効率化、協会のソフト資産やノウハウの社会還元及びこれらを通じた経費節減や副次収入による協会への財政的寄与・視聴者負担の抑制とする。
〔4〕 子会社等の業務範囲は、ガイドラインで示された範囲と同等の範囲とする。
〔5〕 協会は、関連団体に協会の経営意思の伝達を図るとともに、関連団体の事業運営に対して指導・監督を行う。
〔6〕 協会と関連団体は、必要な事項の協議、連絡及び報告を行う連絡協議会を定期的に開催する。
〔7〕 放送法の規定に基づき、協会の監事が子会社の調査をする場合には、子会社は、適切な対応を行い、監事の監査報告を尊重し、速やかに要望事項等の実施に努める。
〔8〕 関連団体との取引は、経理規程、業務委託基準等に基づいた公正な取引でなければならない。
〔9〕 業務委託基準及び業務委託契約要領に基づき協会が業務の一部を関連団体に委託する場合、当該関連団体は、受託業務の効率的な遂行と適正な管理に努めなければならない。
〔10〕 協会は、関連団体との一定規模以上の取引について、毎年度その取引が適正に行われているかどうかの評価を取りまとめて公表する。
〔11〕 協会と関連団体は、必要に応じ、関連団体への協会職員の出向及び転籍、協会役職員の関連団体役員への就任等の人事交流等を行う。
〔12〕 協会職員の出向は、協会と当該関連団体の間で出向者の処遇等を定めた出向契約を締結し、当該出向者の給与、賞与等は、出向先団体が負担する。

(4) 関連団体の概要

ア 関連団体数の推移

 協会と関連団体との関係は、昭和57年の放送法改正により協会の出資範囲が拡大されたことで、大きく変化した。
 出資対象事業を行っている団体は、表3-1のとおり、57年の放送法改正前に、現在の関連団体のうち公益法人等8団体及び株式会社8社(うち2社は平成17年4月に1社に 統合された。)が既に存在していた。そして、協会は、当時これらの団体のいずれにも出資を行っていなかった。
 出資対象事業を行う者への協会の出資が認められた57年以降は、表3-2のとおり、協会は、順次、自ら出資して子会社を新設するなどしていった。特に、平成元年度から3年度にかけては子会社9社の新設を行い、協会の関連団体数は大きく増加した。また、子会社が出資する会社、いわゆる孫会社も設立されるなどして、民放連から前記のとおり「NHKコングロマリット」との指摘をされたのもこの時期であった。

表3-1 昭和57年の放送法改正前に存在していた関連団体一覧
設立年月
名称
備考
1
S6.4
(株)日本放送出版協会
 
2
S17.4
(財)日本交響楽団
現(財)NHK交響楽団
3
S18.4
日本放送協会健康保険組合
 
4
S26.2
(財)ラジオサービスセンター
現(財)NHKサービスセンター
5
S30.2
(財)日本放送協会共済会
 
6
S35.8
(福)NHK厚生文化事業団
 
7
S36.7
(株)NHK美術センター
現(株)NHKアート
8
S37.10
(学)日本放送協会学園
 
9
S40.4
(株)プリント・センター
現(株)NHKオフィス企画
10
S44.7
(株)全日本テレビサービス
現(株)NHKアイテック
11
S46.3
共同ビルヂング(株)注(1)
現(株)NHK共同ビジネス注(1)
12
S52.10
(株)NHKプロモートサービス
現(株)NHKプロモーション
13
S53.12
(株)NHK文化センター
 
14
S55.7
(財)NHKインターナショナル
 
15
S56.2
(株)NHKビルメンテナンス注(1)
現(株)NHK共同ビジネス注(1)
16
S56.12
(財)NHKエンジニアリングサービス
 
 共同ビルヂング(株)と(株)NHK総合ビジネス(平成元年(株)NHKビルメンテナンスを名称変更)は、平成17年4月に合併し、(株)NHK共同ビジネスとなった。
 (財)は財団法人、(福)は社会福祉法人、(学)は学校法人
表3-2 昭和57年度〜平成3年度に協会の直接出資により設立された子会社等
設立年度
子会社・関連会社名
備考
S58
59
 
 
 
60
 
61
62
63
 
(株)NHK放送情報サービス
(株)NHKテクニカルサービス
(株)NHKコンピューターサービス
(株)NHKエンタープライズ
 
(株)日本文字放(注)
(株)近畿文字放送 (注)
(株)中部文字放送 (注)
(株)NHKネットワークサービス
(株)NHK名古屋ブレーンズ
(株)NHKきんきメディアプラン
H1(株)NHKネットワークサービスと合併。現(株)NHK情報ネットワーク
 
 
H7(株)NHKクリエイティブと合併し(株)NHKエンタープライズ21
H17(株)NHKソフトウェアと合併。現(株)NHKエンタープライズ
 
S63(株)西日本文字放送に名称変更。H14解散
H14解散
H1(株)NHK放送情報サービスと合併。現(株)NHK情報ネットワーク
H7(株)NHK中部ブレーンズに名称変更
 
H1
 
 
 
 
2
 
 
3
 
(株)NHKエデュケーショナル
(株)NHKクリエイティブ
 
(株)NHKソフトウエア
(株)NHK営業サービス
(株)NHK北海道ビジョン
(株)NHKちゅうごくソフトプラン
(株)NHK名古屋ビルシステムズ
(株)NHK東北プランニング
(株)NHK九州メディス
 
H7(株)NHKエンタープライズと合併し(株)NHKエンタープライズ21
H17(株)NHKソフトウエアと合併。現(株)NHKエンタープライズ
H17(株)NHKエンタープライズ21と合併。現(株)NHKエンタープライズ
 
 
 
 
 
 
 斜体字は関連会社


 その後、9年の放送法施行規則の改正等を受け、それまで協会が関連団体の範囲に含めていなかったいわゆる孫会社も子会社として協会の関連団体の範囲に含めることとなった結果、10年度末現在の関連団体数は、協会の直接出資がない子会社29社も含め、子会社49社、関連会社7社、関連公益法人等9団体、計65団体に上り、特に協会の直接出資がない子会社が全体の4割強を占めるに至った。
 このような状況を受け、協会では、グループ内統治の問題等から関連団体の在り方の検討と見直しに着手する一方、11年3月に行われた協会の11年度収支予算等の国会承認の際には、衆議院逓信委員会及び参議院交通・情報通信委員会のそれぞれにおいて、関連団体の業務の在り方について検討することなどの附帯決議がなされた。
 そして、協会は、11年度以降、特に、協会の直接出資がなく、協会の業務との関係が必ずしも密接とは言えない会社を中心に統廃合を進めた結果、表3-3のとおり、17年度末現在の関連団体数は、子会社21社、関連会社4社、関連公益法人等9団体、計34団体にまで減少した。

表3-3 平成10年度〜17年度の各年度末現在における関連団体数の推移
年度
10
11
12
13
14
15
16
17
10年度と17年度の差
子会社
49
45
38
32
26
23
23
21
△28
  うち、直接出資のない子会社
29
25
18
12
6
3
3
2
△27
関連会社
7
7
7
4
4
4
4
4
△3
関連公益法人等
9
9
9
9
9
9
9
9
△0
65
61
54
45
39
36
36
34
△31

イ 平成17年度末現在の関連団体の状況

 協会の業務報告書では、17年度末現在の関連団体計34団体を関連団体の事業の内容により、表3-4のように分類している。
 そして、これら関連団体の17年度末現在の資本金及び役職員数の状況は、表3-5のとおりである。
 子会社21社及び関連会社4社の17年度末現在の資本金の合計は196億余円、このうち協会の直接出資がある子会社19社及び関連会社3社に対する協会の出資総額は98億余円となっている。また、関連団体34団体の役職員数は5,596名となっている。

表3-4 関連団体の分類及び主な事業内容
区分
業務分野
団体名
主な事業内容
子会社(21社)
放送番組の企画・制作、販売分野(15社)
(株)NHKエンタープライズ
協会の委託による放送番組の制作、購入、販売等
NHK Enterprises America,Inc. (注)
アメリカ地域における協会関連番組の制作とその支援業務
NHK Enterprises Europe Limited (注)
ヨーロッパ地域における協会関連番組の制作とその支援業務
(株)NHKエデュケーショナル
協会の委託による教育・教養番組の制作、購入等
(株)NHK情報ネットワーク
協会の委託によるニュース、スポーツ番組の制作、購入等
(株)NHKプロモーション
協会の放送番組に関連した催物の企画、実施等
(株)NHKアート
協会の委託による放送番組の制作に係る美術業務等
(株)NHKテクニカルサービス
協会の委託による放送番組の制作に係る技術業務等
(株)日本放送出版協会
協会の放送番組に係るテキストの発行等
(株)NHKきんきメディアプラン
協会の委託による放送番組の制作等(事業活動の地域は主として近畿地方及び四国地方)
(株)NHK中部ブレーンズ
協会の委託による放送番組の制作等(事業活動の地域は主として中部地方)
(株)NHKちゅうごくソフトプラン
協会の委託による放送番組の制作等(事業活動の地域は主として中国地方)
(株)NHK九州メディス
協会の委託による放送番組の制作等(事業活動の地域は主として九州・沖縄地方)
(株)NHK東北プランニング
協会の委託による放送番組の制作等(事業活動の地域は主として東北地方)
(株)NHK北海道ビジョン
協会の委託による放送番組の制作等(事業活動の地域は主として北海道地方)
業務支援分野(6社)
(株)NHK共同ビジネス
協会の建物、設備等の総合管理業務、協会子会社等入居ビルの所有、管理、運営等
(株)NHKアイテック
協会の委託による放送設備、共同受信設備の建設、保全等
(株)NHK文化センター
教養、趣味、実用、健康等の各種講座の運営を通じた協会の放送番組の利用促進等
(株)NHKコンピューターサービス
協会の委託によるコンピューターシステムの管理運用、情報処理等
NHK営業サービス(株)
協会の委託による受信料関係の事務、情報処理、受信相談の受付等
(株)NHKオフィス企画
協会の委託による固定資産・物品等の調達契約の締結、運用・管理に関する業務等
関連会社(4社)
 
(株)日本文字放送
協会の設備を使用するテレビジョン文字多重放送の実施等
(株)放送衛星システム
放送衛星の調達・管制、受託放送事業等
(株)NHK名古屋ビルシステムズ
NHK名古屋放送センタービル施設の維持、管理、運営等
(株)総合ビジョン (注)
放送、有線テレビジョン、ビデオソフト用映像素材の企画、制作、販売等
関連公益法人等(9団体)
公益サービス分野(7団体)
(財)NHKサービスセンター
協会の委託による番組情報誌の発行及び番組公開、展示、広報業務等
(財)NHKインターナショナル
協会の委託による外国の放送事業者等への放送番組の提供等
(財)NHKエンジニアリングサービス
協会の委託による協会の研究開発に基づく技術移転、特許の周知、斡旋等
(財)NHK放送研修センター
協会の委託による協会職員に対する研修等
(学)日本放送協会学園
協会の放送を利用する通信制高等学校の運営等
(財)NHK交響楽団
協会の放送での利用を目的とする演奏の実施等
(福)NHK厚生文化事業団
障害者、高齢者福祉事業への助成等
福利厚生団体
(財)日本放送協会共済会
協会役職員への福利厚生事業等
日本放送協会健康保険組合
健康保険組合法に基づく健康保険組合事業
 斜体字は、協会の直接出資がない会社

表3-5 平成17年度末現在の関連団体の資本金及び役職員数の状況
団体名
資本金
出資構成 注(2)
役職員数
(百万円)
うち協会出資額
(百万円)
協会関係分
その他
(%)
(人)
常勤役員数
(人)
職員数
(%)
うち協会分
(%)
うち子会社分
(%)
(人)
うち出向者
(人)
うち転籍者等
(人)
(子会社)
                     
1
(株)NHKエンタープライズ
1,250.0
1,018.9
97.3
80.7
16.5
2.8
381
12
369
83
99
2
(株)NHKエデュケーショナル
100.0
67.0
100.0
67.0
33.0
0.0
144
6
138
57
36
3
(株)NHK情報ネットワーク
300.0
209.5
90.7
69.8
20.8
9.3
264
8
256
48
91
4
(株)NHKプロモーション
100.0
57.0
94.0
57.0
37.0
6.0
49
5
44
8
3
5
(株)NHKアート
200.0
126.7
96.9
63.4
33.5
3.1
267
6
261
0
8
6
(株)NHKテクニカルサービス
300.0
210.0
92.5
70.0
22.5
7.5
703
9
694
129
187
7
(株)日本放送出版協会
64.8
33.0
50.9
50.9
49.1
299
11
288
1
20
8
(株)NHKきんきメディアプラン
100.0
52.0
75.0
52.0
23.0
25.0
45
5
40
10
10
9
(株)NHK中部ブレーンズ
58.5
30.0
63.2
51.3
11.9
36.8
45
2
43
6
4
10
(株)NHKちゅうごくソフトプラン
50.0
26.0
71.0
52.0
19.0
29.0
18
1
17
4
2
11
(株)NHK九州メディス
50.0
26.0
64.0
52.0
12.0
36.0
28
1
27
4
3
12
(株)NHK東北プランニング
50.0
26.0
88.0
52.0
36.0
12.0
25
1
24
3
5
13
(株)NHK北海道ビジョン
50.0
26.0
74.5
52.0
22.5
25.5
22
1
21
6
2
14
(株)NHK共同ビジネス
155.0
40.0
73.6
12.8
60.8
26.4
262
7
255
8
44
15
(株)NHKアイテック
300.0
151.0
58.7
50.3
8.3
41.3
785
9
776
34
172
16
(株)NHK文化センター
200.0
20.0
76.0
10.0
66.0
24.0
206
6
200
2
62
17
(株)NHKコンピューターサービス
80.0
57.0
97.5
71.3
26.2
2.5
218
5
213
14
24
18
NHK営業サービス(株)
150.0
120.0
95.0
80.0
15.0
5.0
561
6
555
35
82
19
(株)NHKオフィス企画
50.0
10.0
96.2
20.0
76.2
3.8
128
4
124
22
14
子会社(19社)計
3,608.3
2,306.1
4,450
105
4,345
474
868
20
NHK Enterprises America,Inc.  注(1)
注(3)  293.6
52.0
52.0
48.0
15
1
14
4
0
21
NHK Enterprises Europe Limited  注(1)
注(3)  84.1
51.2
51.2
48.8
12
1
11
3
0
子会社(21社)計
3,986.1
2,306.1
4,477
107
4,370
481
868
(関連会社)
                     
22
(株)日本文字放送
400.0
40.0
40.2
10.0
30.2
59.8
41
4
37
0
16
23
(株)放送衛星システム
15,000.0
7,499.7
49.9
49.9
50.1
66
5
61
17
13
24
(株)NHK名古屋ビルシステムズ
20.0
10.0
50.0
50.0
50.0
9
2
7
1
2
25
(株)総合ビジョン  注(1)
200.0
25.0
25.0
75.0
17
4
13
0
1
関連会社(4社)計
15,620.0
7,549.7
133
15
118
18
32
子会社・関連会社(25社)計
19,606.1
9,855.8
4,610
122
4,488
499
900
(関連公益法人等)
                     
26
(財)NHKサービスセンター
276
6
270
21
88
27
(財)NHKインターナショナル
32
3
29
7
10
28
(財)NHKエンジニアリングサービス
47
4
43
11
16
29
(財)NHK放送研修センター
74
4
70
23
39
30
(学)日本放送協会学園
139
5
134
2
9
31
(財)NHK交響楽団
125
4
121
3
0
32
(福)NHK厚生文化事業団
18
3
15
1
6
33
(財)日本放送協会共済会
197
8
189
5
13
34
日本放送協会健康保険組合
78
2
76
19
0
関連公益法人等(9団体)計
986
39
947
92
181
関連団体(34団体)合計
19,606.1
9,855.8
5,596
161
5,435
591
1,081
 斜体字は、協会の直接出資がない会社である。
 構成の率は、議決権割合である。
 海外子会社の資本金の計数は1ドル=117.47円,1ポンド=205.20円(決算日直物為替レート)による。

(5) 「規制改革・民間開放推進3か年計画(再改定)」において示された関連団体に関する事項

 政府は、16年3月、行政の各般の分野について、民間開放その他の規制の在り方の改革の積極的かつ抜本的な推進を図り、経済社会の構造改革を一層加速することを目的として「規制改革・民間開放推進3か年計画」(平成16年3月19日閣議決定)を定めているが、18年3月に公表された「規制改革・民間開放推進3か年計画(再改定)」(平成18年3月31日閣議決定) において、公共放送等の在り方を踏まえた協会の改革等が掲げられた。そのうち、関連団体に関する事項は、次のとおりである。

ア 子会社等の統廃合

 協会の子会社等については、10年の65団体から17年11月1日時点で34団体まで減少してきているものの、受信料で成り立つ公共放送として真に必要な業務は何かという観点から、厳しい財政状況も踏まえ、一層の統廃合を行うとともに、協会内部部局の統廃合及び管理部門の縮小等を通じて業務を効率化する。

イ 外部取引における競争契約比率の向上

 競争契約比率の向上については、次の〔1〕から〔4〕の事項を掲げている。

〔1〕 14年3月に総務省が示したガイドラインでは、子会社等との取引について競争契約を原則とするよう求めているのに、16年度における協会の外部取引に占める競争契約額の割合は37.9%にとどまっていることなどから、今後、番組制作業務委託以外の外部取引について、競争契約比率を向上させる。
〔2〕 業務委託契約要領において随意契約とすることができる場合としているもののうち「効率化に伴い移行した要員が、当該業務に従事している場合」は削除する。
〔3〕 業務委託契約要領における業務委託費の積算については、原価計算方式を原則とし、それによることが適当でないものについては市場価格方式によるとしているが、市場価格方式によることができる場合にあっては、市場価格方式を原則とする旨を明確化する。
〔4〕 外部の番組制作会社に委託する場合、協会の編集基準に沿った番組制作を担保するためとして、関連団体を通じた契約となっているが、関連団体を介する合理性は必ずしもないことから、現行の慣行を改めるとともに、番組制作業務委託については、番組の企画提案手続を透明化・明確化する。

(6) 協会が行っている関連団体に関する諸改革

 上記のような状況を受け、19年3月末までに、関連団体に関して協会が行った改革、検討事項の主なものは次のとおりである。

ア 業務委託基準に基づく業務委託契約要領の一部改正(19年1月)

 協会は、19年1月、業務委託契約要領を改訂し、随意契約の条件から「効率化に伴い移行した要員が、当該業務に従事している場合」を削除した。

イ 関連団体の再編・統合

 協会は、直接出資子会社の統廃合を20年4月実施を目途に推進するとした「関連団体の再編・統合の基本方針」を19年3月に策定し、各地方に設立した株式会社NHKきんきメディアプランほか5社(地域会社6社)を1社に、また、株式会社NHKテクニカルサービスと株式会社NHKコンピューターサービスを1社に統合することを計画している。