タウンミーティングの運営に関する請負契約について、関係する主な会計事務職員の配置状況は表22のとおりとなっていた。
会計事務職員
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任命されている職員
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支出負担行為担当官
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会計担当参事官
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官署支出官
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会計課長
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支出負担行為担当官の代行機関
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会計課総括課長補佐
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官署支出官の代行機関
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会計課調査官
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検査職員
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会計課契約第1担当補佐
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監督職員
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会計課契約第1、2係長
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支出負担行為担当官の事務のうち、電気、ガス及び水道の使用料、放送受信料等に係る事務を始めとする14項目の事務については、会計課総括課長補佐が内部委任により代行機関としてその処理を行っている。この中には、締結された単価契約に基づいて行う事務が含まれており、14年度以降のタウンミーティングの運営に関する請負契約に係る支出負担行為に関する事務の一部は、この代行機関が行っている。
また、タウンミーティングの運営に関する請負契約に係る監督に関する事務については、13年度は会計課契約第1係長が、14年度以降は同第2係長が支出負担行為担当官の補助者として任命されその事務を行うこととされており、同契約に係る検査に関する事務については、会計課契約第1担当補佐が支出負担行為担当官の補助者として任命されその事務を行っている。
官署支出官の事務のうち、上記の代行機関が行う支出負担行為の確認及び支出の決定に関する事務については、会計課調査官が内部委任により代行機関とされ、その処理を行っている。
内閣府では、タウンミーティングの運営に関する事務を行うため、「タウンミーティング担当室の設置に関する訓令」(平成13年内閣府訓令第62号)に基づき、内閣府大臣官房にTM室を設置した。TM室は室長以下十数名程度の職員によって構成されていたが、初代を除き室長は内閣府大臣官房政府広報室長との兼務となっているほか、室員の多くは内閣府大臣官房他課との併任職員又は他省庁からの出向職員となっていた。
TM室の業務は、主として各省庁からの出向職員が実施する主担当業務と、内閣府大臣官房との併任職員等が実施する会計担当等の業務がある。このうち会計担当業務は、タウンミーティング実施に係る予算管理及び請負業者から内閣府に提出された請求書の一次的な審査等を担当するものであり、おおむね会計課との併任職員1名を充てていた。
また、TM室は18年12月16日に廃止され、その後は、政府広報室がそれまでTM室で行っていた請求書の一次的な審査を行った。
タウンミーティング実施に係る会計事務処理の流れは次のようになっていた。
(ア) 13年度の事務処理
13年度の会計事務処理のうち請負契約締結に至るまでの流れについては、前記「1(1)イ契約手続」で記述したとおりである。
また、その後の支払については、13年度前期は14年4月10日、後期は同月25日に行われていた。
(イ) 14年度以降の事務処理
14年度以降の会計事務処理のうち請負契約締結に至るまでの流れについては、前記「1(2)オ契約手続」で記述したとおりである。
また、タウンミーティングの実施から支払までの流れは、次のようになっていた。
〔1〕 TM室職員の立会いの下、タウンミーティングを実施する。
〔2〕 検査職員である会計課の契約第1担当補佐が、TM室の確認者(主担当)の確認に基づき給付の完了の確認を行う。
〔3〕 請負業者からTM室の会計担当に請求書が提出され、会計担当はこれを審査する。
〔4〕 請求書がTM室から会計課に回付され、検査職員である同課の契約第1担当補佐が検査調書に押印し、契約、審査、出納担当がTM室での審査を経た請求書の審査を行う。
〔5〕 請求書等に基づき、代行機関である会計課総括課長補佐が支出負担行為を行うとともに、代行機関である会計課調査官が支出負担行為を確認し、併せて支出決定をする。
このようにタウンミーティングの企画、実施等についてはTM室が行い、予定価格の算定や契約の手続などの会計事務処理については会計課が行っているが、会計課の職員がタウンミーティングの開催現場へ赴いて確認を行うことは実務上困難であるとして、14年度以降の実質的な給付の完了の確認はTM室の主担当に、また、各年度の請求書の一次的な審査はTM室の会計担当にそれぞれ委ねている状況となっていた。
(2) 契約締結の事務処理、給付の完了の確認、請求書の審査等について
13年度の契約については、前記「1(1)イ契約手続」で記述したとおり、事業の実施を先行させ、契約を確定させるまでに必要となる見積書の徴取、支出負担行為決議書及び契約書の作成等の手続を事後的に行う処理をして、実際には請負業務を了した後に契約金額を確定させていたと認められた。さらに、支出負担行為決議書、契約書等の日付をさかのぼって記載していたと認められた。
15年度、17年度及び18年度の契約については、前記「1(2)オ契約手続」で記述したとおり、事業の実施を先行させ、契約を確定させるまでに必要となる落札者が開札後速やかに提出することとなっている契約単価内訳書の受領や契約書の作成等の手続を事後的に行う処理をしていたり、契約書等の日付をさかのぼって記載したりしていたと認められた。
特に、契約単価内訳書の受領が事業の開始後になっている事態については、落札者が、員数の実績を確認した後にモデル員数に比べて実際の員数が大きく増加した項目に高い契約単価を設定することを可能とするものであり、発注者に過大な費用を支払うリスクを生じさせるものであった。
前記「2(2)オ(ア)員数の指示等の記録について」で記述したとおり、14年度以降の単価契約において、単価項目に係る業務についての員数の指示や追加作業を行わせる内閣府の指示を後日の精算に用いるために取りまとめた記録が作成されておらず、また、追加作業の内容及びこれに係る追加費用の算定方法等について内閣府と請負業者との協議によりどのように決定されたかを示す記録がほとんどの場合において作成されていなかった。
14年度以降は単価契約であるため、その支払に当たっては実際に要した員数等の確認が極めて重要である。そこで、内閣府における員数等の確認の方法について確認したところ、員数の確認を含む給付の完了の確認をするための検査は、支出負担行為担当官の補助者である会計課の職員が検査職員として行うこととされているものの、この検査職員は、個々のタウンミーティングについて実際に現地に赴くことは実務上困難であるとして、TM室の主担当を確認者として契約業務の履行の確認を行わせ、その確認をもって給付の完了を確認したものとしていた。
そして、この確認者である主担当がどのように実際の員数等を確認していたかについては、内閣府の説明によると、主担当はタウンミーティングの開催時においてはその運営に注力しており、主としてタウンミーティングの円滑な開催に支障はないかという点から会場の設営状況やスタッフの配置状況等を目視で確認していたものの、多岐にわたる単価項目について精算事務を念頭に置いた正確な員数等の確認の実施は困難であり、また、十分に行われていなかった。そして、員数等の確認についての書面による記録も作成されていなかった。
内閣府の説明によると、請求は、まず仮の請求書が請負業者からTM室の会計担当へ提出され、その審査を経た後に正式の請求書を受領し、その後会計課の職員による審査が行われていた。
しかし、14年度以降の単価契約については、前記ウで記述したとおり単価項目に係る業務についての員数の指示や追加作業を行わせる内閣府の指示を後日の精算に用いるために取りまとめた記録が作成されていなかったこと、追加作業の内容及びこれに係る追加費用の算定方法等について内閣府と請負業者との協議によりどのように決定されたかを示す記録がほとんどの場合において作成されていなかったこと、また、前記エで記述したとおり員数等の確認についての書面による記録も作成されていなかったことなどから、TM室の会計担当も会計課も、請求書に記載された個々の員数等を的確に審査することができない状況となっていた。
そして、内閣府の説明によると、TM室の会計担当においては、主として、一般常識的な多寡の判断や自らが取り扱った過去の事例などに照らして異常値がないかといった点からの審査を行い、また、会計課においては、員数の確認についてはTM室が行うものであるとの認識の下、請求書を仕様書に照らして生じた疑問点について、TM室の会計担当に確認を行った上で、旅費計算や請求書のチェックを行っていた。
請負業者からの請求書に日付が記載されているかについて確認したところ、16年度までは記載されていなかった。また、17年度からは記載されていたが、内閣府及び朝日広告社の説明によると、18年度の第3回までのタウンミーティングに係る請求書の日付は、朝日広告社が記載したものではなく、内閣府が記載したものであった。これについて、内閣府は、17年8月に「契約業務等に係る改善措置」(大臣官房長決定)を発し、請求書は請求日の記載されたものとすることとしている。
また、14年度以降の単価契約においては、契約において開催1回ごとに精算することとしていることから、実際の支払の時期について確認したところ、表23のとおりとなっていた。
年度
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開催回
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開催月日
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支払年月日
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支払金額(円)
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14年度
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前期
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53
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4月20日
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14年9月11日
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7,811,587
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54
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5月11日
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14年10月8日
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8,888,983
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55〜58
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5月25日〜6月15日
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14年12月4日
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28,199,857
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59、60
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6月29日、30日
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14年12月10日
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14,265,023
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||
61、62
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7月13日、20日
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14年12月4日
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12,720,665
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||
63
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7月27日
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15年2月21日
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7,228,342
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||
後期
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64〜78
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9月14日〜3月16日
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15年4月25日
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110,109,125
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79の準備経費
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-
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15年4月25日
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4,187,087
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||
15年度
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79〜98
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4月5日〜9月13日
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16年4月26日
|
215,761,316
|
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99〜106
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11月30日〜3月28日
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16年4月27日
|
78,285,061
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||
107〜109の準備経費
|
-
|
16年4月27日
|
3,066,540
|
||
16年度
|
107〜109
|
4月3日〜4月17日
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17年4月4日
|
21,658,312
|
|
110〜115
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5月15日〜6月20日
|
17年4月14日
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50,151,589
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||
116〜132
|
8月22日〜3月27日
|
17年4月25日
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168,186,885
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||
133〜136の準備経費
|
-
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17年4月26日
|
2,190,059
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||
17年度
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133〜135
|
4月2日〜4月17日
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17年12月22日
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30,508,592
|
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136、137
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4月24日、6月11日
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18年1月25日
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19,978,839
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||
138〜143
|
6月18日〜7月30日
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18年3月9日
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76,582,733
|
||
144〜155
|
8月25日〜3月25日
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18年4月26日
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150,654,349
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||
156〜158の準備経費等
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-
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18年4月26日
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17,815,672
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||
18年度
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156〜158
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4月1日〜4月23日
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18年10月18日
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23,361,455
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159〜174
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5月14日〜9月2日
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19年4月25日
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178,968,739
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内閣府の所掌に係る会計の監査は、内閣府本府組織令(平成12年政令第245号)に基づき会計課が行うこととされている。
内閣府では、14年度以前の会計経理については、通常の支出負担行為決議書等の決裁の過程で会計課の経理担当者が行う確認行為等をもって会計経理に関する監査としていて、監査の結果を記録した報告書も作成されていなかった。そして、会計経理に関する監査を充実させるため、16年7月に会計事務監査実施要領(内閣府大臣官房会計課長決定)を制定し、15年度の会計経理に関する監査から同要領に基づく会計事務監査を実施している。会計事務監査は、書面監査と実地監査があり、書面監査については、会計経理の監査を所掌事務とする会計課決算係の3名の職員を中心に行われ、また、実地監査については、会計課長が命ずる会計課所属の職員をもって組織された監査班(監査を担当する職員を含む班長ほか若干名で構成)によって行われており、これらを内部監査として位置付けている。
そして、内部監査の実施に当たっては、毎年定められる実施方針に従い、監査マニュアルを参考として、書面監査を行い、問題点を整理した上で各部局への実地監査を行っている。監査マニュアルの中ではチェックポイント等として、例えば、業務現場の実態等を踏まえた適切な仕様書となっているか、支出処理の際、支出決定決議書、契約関係書類、請求書等を照合し、書類の具備の確認、請求に対する調査や審査は十分に行われているか、請求書の日付の漏れや支払に極端な遅れはないかなどの点が挙げられている。
15年度から17年度までの会計経理に関する内部監査の実施状況をみると、実地監査は延べ72人日となっていた。この内部監査の結果については、会計事務監査報告書の中で、会計事務に関して重大な法令違反等は見受けられず、全体としては良好に会計事務が執行されているなどと評価されており、タウンミーティングの請負契約に係る会計経理については、特に個別に取り上げられていなかった。
上記について、内閣府では、監査が書類上の形式的なものにとどまっていたためとしている。
また、内部牽制についても、結果的に前記ア、イで記述したとおり契約書の日付をさかのぼって記載するなどの不適切な処理を防止することができなかった。