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  • 平成20年9月

各府省等が締結している随意契約に関する会計検査の結果について


2 随意契約の実施状況及び随意契約となった理由の妥当性

 対象契約のうち18年度及び19年度(12月まで)に締結された随意契約(以下「対象随意契約」という。)について、その実施状況及び随意契約とした理由の状況を分析するとともに、19年度(12月まで)の状況を前年度同期と比較して分析した結果を次の(1)及び(2)に記述した。また、19年報告において、各府省等における17年度及び18年度の随意契約について会計実地検査(以下「19年次検査」という。)を行った結果、随意契約とした理由の妥当性に関して検討の余地があったと認められた契約(以下「個別の事態」という。)が601件見受けられた旨報告しているが、これらの見直し状況の検査結果については(3)に、さらに、各府省等が「随意契約見直し計画」に基づいて随意契約の適正化を進めることとした契約の見直し状況の検査結果については(4)に、それぞれ記述した。

(1) 随意契約の実施状況

 各府省等から提出された調書によると、府省等全体の対象随意契約の件数と支払金額は、図表2-1のとおり、18年度は9.7万件、3.0兆円、19年度(12月まで)は7.2万件、1.3兆円となっており、19年度(12月まで)分を前年度同期と比較すると、件数で10.3%、支払金額で5.4%減少している。
 また、企画随契については、18年度は1.4万件(随意契約全体に占める割合14.8%)、4186億円(同13.8%)、19年度(12月まで)は1.7万件(同24.1%)、1635億円(同12.5%)となっており、19年度(12月まで)分を前年度同期と比較すると、件数で38.5%、支払金額で62.0%増加している。

図表2-1 随意契約の実施状況とその変化
(単位:件、百万円、%)
年度
件数
支払金額
随意契約全体
(A)
随意契約全体
(C)
 
企画随契
(B)
企画随契の割合
(B)/(A)
 
企画随契
(D)
企画随契の割合
(D)/(C)
平成18年度
97,060
14,335
14.8
3,026,350
418,663
13.8
19年度(12月まで)
(a)
72,376
17,454
24.1
1,304,917
163,507
12.5
18年度(12月まで)
(b)
80,651
12,605
15.6
1,379,588
100,901
7.3
増△減率
((a)/(b)-1)
△10.3
38.5
△5.4
62.0

ア 契約種類別の随意契約の状況とその変化

 19年度(12月まで)の対象随意契約を契約種類別にみると、図表2-2のとおり、「役務」が件数、支払金額共に最も多く、件数で54.2%、支払金額で45.1%を占めている。そして、前年度同期と比較すると、契約種類別の件数及び支払金額の割合はほぼ同様であるが、随意契約の競争契約への移行により、多くの契約種類で件数及び支払金額に減少が見られ、特に「物品等の購入」は件数で24.0%、支払金額で31.9%減少している。
 また、随意契約に占める企画随契の割合は、企画競争を行う余地が比較的高い設計、調査等を含む「工事(設計、調査等を含む。)」や、調査、研究、広報等を含む「役務」においてそれぞれ件数で56.7%、29.1%と高くなっている。そして、前年度同期と比較すると、いずれも10ポイント以上増加しており、随意契約の大部分を占める両契約種類で企画競争への移行の度合が高いことを示している。
(18年度全体の状況及び18年度(12月まで)の状況は、巻末別表8 参照)

図表2-2 契約種類別の随意契約の状況及びその変化(平成19年度(12月まで))
〔1〕 随意契約全体
(単位:件、百万円、%)
契約種類
件数
件数割合
支払金額
支払金額割合
 
(増△減率)
 
(平成18年度(12月まで))
 
(増△減率)
 
(18年度(12月まで))
工事(設計、調査等を含む。)
10,365
(3.7)
14.3
> (12.4)
155,448
(1.8)
11.9
> (11.1)
用地取得・補償
4,272
(28.4)
5.9
>  (4.1)
131,439
(0.7)
10.1
>  (9.5)
物品等の購入
3,970
(△24.0)
5.5
<  (6.5)
95,284
(△31.9)
7.3
< (10.1)
物品等の製造
3,106
(△3.9)
4.3
>  (4.0)
29,883
(△13.8)
2.3
<  (2.5)
物品等の賃借
11,410
(△1.3)
15.8
> (14.3)
304,166
(1.4)
23.3
> (21.7)
役務
39,253
(△17.0)
54.2
< (58.7)
588,694
(△5.3)
45.1
> (45.1)
合計
72,376
(△10.3)
100
(100)
1,304,917
(△5.4)
100
(100)
〔2〕 随意契約全体のうち企画随契
(単位:件、百万円、%)
契約種類
件数
随意契約全体における企画随契の件数割合
支払金額
随意契約全体における企画随契の支払金額割
 
(増△減率)
 
(平成18年度(12月まで))
 
(増△減率)
 
(18年度(12月まで))
工事(設計、調査等を含む。)
5,880
(32.8)
56.7
> (44.3)
28,062
(35.8)
18.1
> (13.5)
用地取得・補償
57
1.3
<  (2.2)
133
0.1
<  (0.1)
物品等の購入
7
0.2
>  (0.1)
14,131
14.8
>  (0.0)
物品等の製造
74
2.4
>  (1.5)
1,395
4.7
>  (0.4)
物品等の賃借
11
0.1
>  (0.0)
108
0.0
>  (-)
役務
11,425
(42.0)
29.1
> (17.0)
119,675
(49.7)
20.3
> (12.9)
合計
17,454
(38.5)
24.1
> (15.6)
163,507
(62.0)
12.5
>  (7.3)
注(1)
 「件数」及び「支払金額」欄の「増△減率」は、それぞれ平成18年度(12月まで)の件数及び支払金額に対する増減率である。
注(2)
 ※件数が少ないため、増減率は算出していない。

イ 府省等別の随意契約の状況とその変化

 19年度(12月まで)の対象随意契約を府省等別にみると、図表2-3及び2-4のとおり、国土交通省が件数、支払金額共に最も多く、その多くは「役務」、「工事(設計、調査等を含む。)」関係の契約となっている。件数で、これに次いで多いのは防衛省であり、その多くは「役務」や「物品等の購入」関係の契約となっている。
 また、随意契約に占める企画随契の件数割合は、全体では24.1%であるが、文部科学省及び総務省は、企画競争が行われる競争的資金に係る契約の随意契約全体に占める割合が高いことから、それぞれ87.0%、51.8%となっており、経済産業省は企画競争が行われることの多い調査研究契約の占める割合が高いことから、58.6%となっている。

図表2-3 府省等別の随意契約の状況とその変化(平成19年度(12月まで))
(単位:件、百万円、%)
府省等
件数
支払金額
随意契約全体
(A)
(A)のうち企画随契
(B)
割合
(B)/(A)
随意契約全体
(C)
(C)のうち企画随契
(D)
割合
(D)/(C)
 
(増△減率)
 
(増△減率)
 
(平成18年度(12月まで))
 
(増△減率)
 
(増△減率)
 
(18年度(12月まで))
内閣
281
(△15.9)
22
(37.5)
7.8
> (4.8)
9,617
(△18.9)
58
(13.5)
0.6
> (0.4)
 
内閣官房
178
(△19.5)
12
(-)
6.7
> (5.4)
9,173
(△19.2)
30
(△26.7)
0.3
< (0.4)
内閣法制局
9
(△35.7)
(-)
(-)
36
(△26.7)
(-)
(-)
人事院
94
(△5.1)
10
(150.0)
10.6
> (4.0)
407
(△12.4)
27
(200.0)
6.7
> (2.0)
内閣府
2,787
(△6.7)
336
(△30.6)
12.1
< (16.2)
37,533
(16.9)
1,951
(38.5)
5.2
> (4.4)
 
内閣本府
1,124
(△22.7)
279
(△38.0)
24.8
< (30.9)
22,604
(30.4)
1,795
(35.8)
7.9
> (7.6)
宮内庁
163
(△0.6)
(△100.0)
< (0.6)
1,148
(△29.2)
(△100.0)
< (0.3)
公正取引委員会
26
(△21.2)
2
(-)
7.7
> (-)
122
(0.1)
(-)
(-)
警察庁
1,332
(9.0)
26
(44.4)
2.0
> (1.5)
11,865
(4.4)
64
(160.9)
0.5
> (0.2)
金融庁
142
(23.5)
29
(93.3)
20.4
> (13.0)
1,791
(8.4)
92
(60.8)
5.1
> (3.5)
総務省
1,012
(△10.4)
524
(2.1)
51.8
> (45.4)
11,039
(△14.8)
2,412
(73.1)
21.9
> (10.8)
 
総務本省
920
(△6.6)
459
(△0.4)
49.9
> (46.8)
10,636
(△15.8)
2,080
(64.8)
19.6
> (10.0)
公害等調整委員会
3
(200.0)
(-)
(-)
3
(432.8)
(-)
(-)
消防庁
89
(△38.2)
65
(25.0)
73.0
> (36.1)
399
(27.2)
331
(153.9)
83.0
> (41.6)
法務省
2,705
(△22.8)
38
(72.7)
1.4
> (0.6)
30,472
(△31.7)
262
(520.2)
0.9
> (0.1)
 
法務本省
2,648
(△22.9)
38
(81.0)
1.4
> (0.6)
30,254
(△31.8)
262
(603.3)
0.9
> (0.1)
公安調査庁
57
(△13.6)
(△100.0)
< (1.5)
217
(△20.2)
(△100.0)
< (1.8)
外務省
464
(△37.5)
138
(0.7)
29.7
> (18.5)
6,473
(3.2)
549
(49.0)
8.5
> (5.9)
財務省
2,539
(△11.9)
114
(△3.4)
4.5
> (4.1)
74,574
(17.0)
2,297
(80.1)
3.1
> (2.0)
 
財務本省
1,252
(△16.8)
110
(26.4)
8.8
> (5.8)
44,763
(28.8)
2,279
(93.7)
5.1
> (3.4)
国税庁
1,287
(△6.7)
4
(△87.1)
0.3
< (2.2)
29,810
(2.8)
17
(△81.9)
0.1
< (0.3)
文部科学省
4,840
(29.9)
4,213
(52.5)
87.0
> (74.1)
80,178
(△10.3)
36,908
(△9.3)
46.0
> (45.6)
 
文部科学本省
3,784
(38.4)
3,205
(71.0)
84.7
> (68.5)
78,039
(△5.7)
35,006
(△0.2)
44.9
> (42.4)
文化庁
1,056
(6.3)
1,008
(13.4)
95.5
> (89.5)
2,139
(△67.7)
1,902
(△66.2)
88.9
> (85.0)
厚生労働省
8,692
(△6.9)
967
(343.6)
11.1
> (2.3)
232,009
(15.1)
19,546
(1,363.2)
8.4
> (0.7)
 
厚生労働本省
5,336
(△7.5)
878
(438.7)
16.5
> (2.8)
95,747
(35.3)
17,781
(4,990.1)
18.6
> (0.5)
中央労働委員会
10
(△41.2)
(-)
(-)
32
(△16.4)
(-)
(-)
社会保険庁
3,346
(△5.7)
89
(61.8)
2.7
> (1.6)
136,228
(4.1)
1,765
(79.0)
1.3
> (0.8)
農林水産省
4,079
(△41.5)
1,295
(51.5)
31.7
> (12.3)
77,245
(△25.6)
22,796
(216.3)
29.5
> (6.9)
 
農林水産本省
3,163
(△14.7)
917
(53.3)
29.0
> (16.1)
64,609
(△13.3)
17,497
(557.1)
27.1
> (3.6)
林野庁
685
(△77.7)
224
(56.6)
32.7
> (4.7)
3,523
(△81.9)
1,094
(30.1)
31.1
> (4.3)
水産庁
231
(13.8)
154
(35.1)
66.7
> (56.2)
9,111
(△7.9)
4,204
(13.5)
46.1
> (37.4)
経済産業省
1,783
(△36.8)
1,045
(△41.0)
58.6
< (62.7)
98,597
(△2.8)
37,879
(63.6)
38.4
> (22.8)
 
経済産業本省
1,405
(△27.8)
918
(△30.8)
65.3
< (68.2)
17,981
(50.1)
6,176
(7.8)
34.4
< (47.8)
資源エネルギー庁
163
(△63.4)
50
(△84.1)
30.7
< (70.8)
54,880
(△8.3)
14,245
(270.6)
26.0
> (6.4)
特許庁
179
(△48.0)
53
(△22.1)
29.6
> (19.8)
25,440
(△8.7)
17,213
(26.8)
67.7
> (48.7)
中小企業庁
36
(△57.6)
24
(△60.0)
66.7
< (70.6)
294
(△82.6)
243
(5,237.4)
82.7
> (0.3)
国土交通省
24,558
(△5.6)
6,892
(29.2)
28.1
> (20.5)
402,382
(△3.5)
34,078
(54.9)
8.5
> (5.3)
 
国土交通本省
22,927
(△4.8)
6,886
(29.1)
30.0
> (22.1)
383,766
(△2.9)
34,031
(54.7)
8.9
> (5.6)
気象庁
630
(△12.6)
2
(100.0)
0.3
> (0.1)
6,005
(3.9)
35
(-)
0.6
> (-)
海上保安庁
998
(△17.0)
4
(300.0)
0.4
> (0.1)
12,604
(△20.9)
11
(213.3)
0.1
> (0.0)
海難審判庁
3
(50.0)
(-)
(-)
6
(576.3)
(-)
(-)
環境省
1,218
(3.6)
526
(63.9)
43.2
> (27.3)
5,925
(33.1)
1,583
(264.2)
26.7
> (9.8)
防衛省
15,960
(△8.9)
1,319
(3,779.4)
8.3
> (0.2)
223,021
(△18.9)
2,941
(99.0)
1.3
> (0.5)
国会
487
(0.8)
7
(75.0)
1.4
> (0.8)
7,958
(0.6)
18
(4.7)
0.2
> (0.2)
 
衆議院
124
(△20.5)
3
(50.0)
2.4
> (1.3)
2,412
(0.8)
12
(29.4)
0.5
> (0.4)
参議院
166
(38.3)
3
(200.0)
1.8
> (0.8)
2,186
(△9.9)
5
(△28.3)
0.2
< (0.3)
国立国会図書館
197
(△4.8)
1
(-)
0.5
> (0.5)
3,360
(8.5)
(-)
(-)
裁判所
918
(△6.1)
16
(33.3)
1.7
> (1.2)
5,102
(10.4)
223
(1,375.8)
4.4
> (0.3)
会計検査院
53
(△3.6)
2
(△33.3)
3.8
< (5.5)
2,785
(△4.4)
(△100.0)
<(0.5)
合計
72,376
(△10.3)
17,454
(38.5)
24.1
> (15.6)
1,304,917
(△5.4)
163,507
(62.0)
12.5
>(7.3)
(注)
 「件数」及び「支払金額」欄の「増△減率」は、平成18年度(12月まで)の件数及び支払金額に対する増減率である。

図表2-4 随意契約と企画随契の状況(平成19年度(12月まで))

図表2-4随意契約と企画随契の状況(平成19年度(12月まで))

 府省等別の契約状況を前年度同期と比較すると、随意契約は、ほとんどの府省等において件数、支払金額共に減少しているが、環境省においては、地球温暖化対策に係る契約の支出金額が増加したことなどのため、件数、支払金額共に増加している。一方、企画随契は、半数以上の府省等において件数、支払金額共に増加しており、また、随意契約に占める企画随契の割合については、ほとんどの府省等において増加がみられ、10ポイント以上増加しているのは、件数では農林水産省、環境省、文部科学省及び外務省、支払金額では農林水産省、環境省、経済産業省及び総務省となっている。
(18年度全体の状況及び18年度(12月まで)の状況は、巻末別表9 参照)

ウ 契約相手方別の随意契約の状況とその変化

 19年度(12月まで)の対象随意契約を契約相手方別にみると、図表2-5のとおり、「民間企業」の占める割合が最も多く、件数では6割近く、支払金額では4割台を占め、前年度同期と同程度となっている。
 また、「公益法人」の占める割合は、件数で11.4%(うち所管公益法人7.3%)、支払金額で11.4%(同8.4%)となっている。この割合を、対象契約全体(競争契約を含む。)において公益法人の占める割合(件数で7.8%(同5.1%)、支払金額で7.7%(同5.9%))と比較すると、件数では「公益法人」の占める割合が3.6ポイント(同2.2ポイント)、支払金額では3.7ポイント(同2.5ポイント)高く、随意契約においては依然として「公益法人」の占める割合が相対的に高い状況となっている。しかし、この割合を前年度同期と比較すると、件数割合では13.6%から11.4%と2.2ポイント(同2.2ポイント)、支払金額割合では12.5%から11.4%と1.1ポイント(同1.4ポイント)低下している。
(18年度全体の状況及び18年度(12月まで)の状況は、巻末別表10 参照)

図表2-5 契約相手方別の随意契約の状況とその変化(平成19年度(12月まで))
〔1〕 件数
(単位:件、%)
契約相手方
件数
件数割合
対象契約全体(競争契約を含む。)における件数割合
 
(増△減率)
 
(平成18年度(12月まで))
 
(18年度(12月まで))
民間企業
42,008
(△12.9)
58.0
< (59.8)
75.6
> (75.5)
公益法人
8,226
(△25.0)
11.4
< (13.6)
7.8
<  (8.9)
 
うち所管公益法人
5,314
(△30.9)
7.3
<  (9.5)
5.1
<  (6.3)
独立行政法人等
3,257
(3.5)
4.5
>  (3.9)
2.4
>  (2.2)
その他
18,885
(3.1)
26.1
> (22.7)
14.3
> (13.3)
合計
72,376
(△10.3)
100
(100)
100
(100)
(注)
 「件数」欄の「増△減率」は、平成18年度(12月まで)の件数に対する増減率である。

〔2〕 支払金額
(単位:百万円、%)
契約相手方
支払金額
支払金額割合
対象契約全体(競争契約を含む。)における支払金額割合
 
(増△減率)
 
(平成18年度(12月まで))
 
(18年度(12月まで))
民間企業
605,012
(△7.8)
46.4
< (47.5)
66.8
> (65.9)
公益法人
148,335
(△14.3)
11.4
< (12.5)
7.7
<  (8.1)
 
うち所管公益法人
109,106
(△19.1)
8.4
<  (9.8)
5.9
<  (6.3)
独立行政法人等
184,634
(1.9)
14.1
> (13.1)
8.3
>  (8.2)
その他
366,933
(△0.7)
28.1
> (26.8)
17.2
< (17.8)
合計
1,304,917
(△5.4)
100
(100)
100
(100)
(注)
 「支払金額」欄の「増△減率」は、平成18年度(12月まで)の支払金額に対する増減率である。

エ 企画競争及び公募における応募者数の状況

 企画競争において、優れた企画書等の選定が可能となるためには、なるべく多数の者が応募し適切な競争が行われることが重要である。
 19年度(12月まで)の対象契約について企画競争への応募者数の状況を件数でみると、図表2-6のとおり、応募者数が5者以上のものが47.1%となっているが、1者応募の割合も26.7%と高くなっている。5者以上の割合が高いのは、19年報告と同様に、企画競争の中でも、一つの研究テーマについて多数の応募があり、その中から複数の課題が採択される競争的資金において応募者数が多いことを反映したものと考えられる。
 また、前年度同期と比較すると、1者応募の割合だけは件数で16.6%から26.7%と10.1ポイント増加しており、企画競争において複数の業者の中から優れた企画を提案した者を選定する手続の実効性を確保しにくい状況となっている。

図表2-6 企画競争における応募者数の状況(平成19年度(12月まで))
〔1〕 件数 上段:件数(単位:件)
下段:割合(単位:%)
年度\応募者数
1者
2者
3者
4者
5者以上
合計
平成19年度(12月まで)
4,655
(26.7)
1,185
(6.8)
1,878
(10.8)
1,510
(8.7)
8,226
(47.1)
17,454
(100)
〈参考〉
18年度(12月まで)
2,096
(16.6)
1,054
(8.4)
1,530
(12.1)
1,231
(9.8)
6,694
(53.1)
12,605
(100)
〔2〕 支払金額
上段:支払金額(単位:百万円)
下段:割合(単位:%)

年度\応募者数
1者
2者
3者
4者
5者以上
合計
平成19年度(12月まで)
62,226
(38.1)
8,433
(5.2)
25,037
(15.3)
18,245
(11.2)
49,563
(30.3)
163,507
(100)
〈参考〉
18年度(12月まで)
24,783
(24.6)
4,158
(4.1)
17,679
(17.5)
4,426
(4.4)
49,854
(49.4)
100,901
(100)

〔3〕 企画競争における応募者数の変化(件数ベース)

(100)

 また、実際上、特殊な技術又は設備等を有している者がほかにいないことが見込まれる場合において、そのことの確認のために行われる公募は、契約の透明性を確保する上では重要な手続であるが、19年度(12月まで)の対象契約について公募の応募者数の状況をみると、図表2-7のとおり、1者応募の割合が84.7%とほとんどを占めている。なお、5者以上の応募が10.5%あるのは、タクシー、クレジットカード利用等に係る公募において、一定の条件を満たすすべての応募者と契約を締結していることによる。

図表2-7 公募における応募者数の状況(平成19年度(12月まで))
 
上段:件数(単位:件)
下段:割合(単位:%)
応募者数
0者
1者
2者
3者
4者
5者以上
合計
件数
(割合)
228
(1.7)
11,429
(84.7)
254
(1.9)
102
(0.8)
65
(0.5)
1,420
(10.5)
13,498
(100)

オ 落札率の状況とその変化

 19年度(12月まで)の対象随意契約の契約相手方別の平均落札率をみると、図表2-8のとおり、随意契約全体の場合も企画随契の場合も、落札率は96%台から99%台の範囲に分布しており、ほぼ同様な状況となっている。これを前年度同期と比較すると、随意契約全体についてはほとんど変化はないが、企画随契の「公益法人」において8.9ポイント(うち所管公益法人6.6ポイント)平均落札率が上昇している。これは、文化庁が19年度に競争的資金(同庁では公益法人が契約相手方となることが多い。)に係る契約の予定価格の算定方法について見直しを行い、実勢価格に近付ける方法に変更したことが影響しているものと考えられる。

図表2-8 随意契約の平均落札率の状況とその変化(平成19年度(12月まで))
(単位:%、%ポイント)
区分\契約相手方
民間企業
公益法人
独立行政法人等
その他
合計
 
うち所管公益法人
全体
平成18年度契約の平均落札率
97.4
96.2
96.9
98.7
97.8
97.4
19年度(12月まで)の契約の平均落札率(A)
97.9
97.8
97.8
99.1
99.0
98.1
18年度(12月まで)の契約の平均落札率(B)
97.3
96.3
97.0
98.6
97.8
97.3
増減値(A)-(B)
0.6
1.5
0.8
0.5
1.2
0.8
企画随契
18年度契約の平均落札率
96.8
88.1
90.7
97.7
88.9
95.1
19年度(12月まで)の契約の平均落札率(C)
97.4
97.0
96.9
99.1
97.7
97.4
18年度(12月まで)の契約の平均落札率(D)
96.9
88.1
90.3
97.7
89.2
95.3
増減値(C)-(D)
0.5
8.9
6.6
1.4
8.5
2.1

カ 企画競争の実施に係る要領等の整備状況

 企画競争の実施に当たり、企画書等の審査がし意的に行われると、契約の競争性、公平性及び透明性が確保されなくなることから、その実施方法の内容は極めて重要である。19年報告では、19年4月1日現在における各府省等の企画競争の実施に係る要領等の整備状況について、統一的な要領等を作成しているのは21省庁(19年9月1日に廃止となった防衛施設庁を含む。)、企画競争を実施する都度作成するとしているのは18省庁、特段作成していないとしている省庁は1省庁である旨を報告している。
 そこで、今回、上記の要領等の整備状況を20年7月1日現在でみたところ、統一的な要領等は作成していないとしていた19省庁のうち、3省庁は作成を終えているが、残りの16省庁のうち15省庁は、契約内容が多岐にわたっていたり、企画競争を実施する契約がなかったりしていることなどから、作成の予定はないとしている。また、残りの1省庁については、検討中としている。

(2) 随意契約とした理由の状況

ア 法令上の適用理由とその変化

 19年度(12月まで)の対象随意契約について、随意契約とした法令上の適用理由をみると、図表2-9のとおり、「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」(会計法第29条の3第4項)に該当するためとしているものが最も多く、件数、支払金額共に80%以上を占めている。これを前年度同期と比較すると、件数では8.5%減少しているが、件数割合では1.6ポイント上昇している。

図表2-9 法令上の適用理由とその変化(平成19年度(12月まで))
(単位:件、百万円、%)
法令上の適用理由
件数
件数割合
支払金額
支払金額割合
 
(増△減率)
 
(平成18年度(12月まで))
 
(増△減率)
 
(18年度(12月まで))
契約の性質又は目的が競争を許さない場合(会計法第29条の3第4項)
60,433
(△8.5)
83.5
> (81.9)
1,116,798
(1.0)
85.6
> (80.1)
緊急の必要により競争に付することができない場合(同上)
418
(1.5)
0.6
> (0.5)
4,241
(23.9)
0.3
> (0.2)
競争に付することが国に不利と認められる場合(同上)
815
(△29.7)
1.1
< (1.4)
12,719
(18.8)
1.0
> (0.8)
国の行為を秘密にする必要があるとき(予決令第99条第1号)
1,032
(6.5)
1.4
> (1.2)
17,227
(△24.2)
1.3
< (1.6)
運送又は保管をさせるとき(予決令第99条第8号)
231
(△23.0)
0.3
< (0.4)
25,171
(△22.3)
1.9
< (2.3)
その他(不落・不調随契を含む。)
9,447
(△19.6)
13.1
< (14.6)
128,758
(△37.1)
9.9
< (14.8)
合計
72,376
(△10.3)
100
(100)
1,304,917
(△5.4)
100
(100)
(注)
 「件数」及び「支払金額」欄の「増△減率」は、それぞれ平成18年度(12月まで)の件数及び支払金額に対する増減率である。

 次に、随意契約の法令上の適用理由の大部分を占める「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」に該当するとしている契約を契約種類別にみると、図表2-10のとおりとなる。
 これによると、契約の性格上、契約相手方がほぼ特定される「用地取得・補償」ではこの理由によるものがほとんどで、件数、支払金額共に100%に近い割合となっている。これに対して、件数で「物品等の製造」は57.2%、「物品等の購入」は58.8%とほかの契約種類より低い割合となっている。これは、両契約種類において、不落・不調随契(図表2-9では「その他」に含まれる。)や「国の行為を秘密にする必要があるとき」(予決令第99条第1号)に該当するとしているものの割合が相対的に高いことによる。
 そして、前年度同期と比較すると、「物品等の購入」が、件数で31.5%、支払金額で32.2%と、最も大きく減少しているが、これは各府省等において競争契約への移行が図られたことによると考えられる。また、契約全体に占める割合で比較すると、「物品等の賃借」及び「役務」では「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」に該当するものの割合が高まっているが、それ以外は減少している。

図表2-10 法令上の適用理由が「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」の契約種類別の状況とその変化(平成19年度(12月まで))
〔1〕 件数
(単位:件、%)
契約種類
随意契約全体
(A)
(A)のうち「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」
(B)
割合
(B)/(A)
 
(増△減率)
 
(増△減率)
 
(平成18年度(12月まで))
工事(設計、調査等を含む。)
10,365
(3.7)
9,658
(3.6)
93.2
< (93.2)
用地取得・補償
4,272
(28.4)
4,259
(28.1)
99.7
< (99.9)
物品等の購入
3,970
(△24.0)
2,333
(△31.5)
58.8
< (65.2)
物品等の製造
3,106
(△3.9)
1,778
(△10.4)
57.2
< (61.4)
物品等の賃借
11,410
(△1.3)
10,842
(△1.0)
95.0
> (94.8)
役務
39,253
(△17.0)
31,563
(△14.9)
80.4
> (78.4)
合計
72,376
(△10.3)
60,433
(△8.5)
83.5
> (81.9)
〔2〕 支払金額
(単位:百万円、%)
契約種類
随意契約全体
(A)
(A)のうち「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」
(B)
割合
(B)/(A)
 
(増△減率)
 
(増△減率)
 
(平成18年度(12月まで))
工事(設計、調査等を含む。)
155,448
(1.8)
144,164
(△0.2)
92.7
< (94.6)
用地取得・補償
131,439
(0.7)
127,639
(△1.8)
97.1
< (99.6)
物品等の購入
95,284
(△31.9)
74,955
(△32.2)
78.7
< (79.0)
物品等の製造
29,883
(△13.8)
18,168
(△17.1)
60.8
< (63.2)
物品等の賃借
304,166
(1.4)
299,347
(1.8)
98.4
> (98.0)
役務
588,694
(△5.3)
452,523
(11.9)
76.9
> (65.0)
合計
1,304,917
(△5.4)
1,116,798
(1.0)
85.6
> (80.1)
(注)
 「件数」及び「支払金額」欄の「増△減率」は、それぞれ平成18年度(12月まで)の件数及び支払金額に対する増減率である。

 また、法令上の適用理由を契約相手方別にみると、図表2-11のとおり、「公益法人」が契約相手方の場合は「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」に該当するものの割合が件数(95.0%)、支払金額(96.2%)共に最も高く、「民間企業」と比べると、件数で17ポイント程度高くなっている。これを前年度同期と比較すると、「公益法人」の場合は、件数、支払金額共に減少しているが、随意契約全体に占める割合は依然として高い。

図表2-11 法令上の適用理由が「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」の契約相手方別の状況とその変化(平成19年度(12月まで))
〔1〕 件数
(単位:件、%)
契約相手方
随意契約全体
(A)
(A)のうち「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」
(B)
割合
(B)/(A)
 
(増△減率)
 
(増△減率)
 
(平成18年度(12月まで))
民間企業
42,008
(△12.9)
32,652
(△12.1)
77.7
> (77.1)
公益法人
8,226
(△25.0)
7,817
(△26.3)
95.0
< (96.6)
 
うち所管公益法人
5,314
(△30.9)
5,076
(△31.9)
95.5
< (96.9)
独立行政法人等
3,257
(3.5)
2,400
(△12.1)
73.7
< (86.7)
その他
18,885
(3.1)
17,564
(12.8)
93.0
> (85.0)
合計
72,376
(△10.3)
60,433
(△8.5)
83.5
> (81.9)
〔2〕 支払金額
(単位:百万円、%)
契約相手方
随意契約全体
(A)
(A)のうち「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」
(B)
割合
(B)/(A)
 
(増△減率)
 
(増△減率)
 
(平成18年度(12月まで))
民間企業
605,012
(△7.8)
488,931
(2.6)
80.8
> (72.6)
公益法人
148,335
(△14.3)
142,633
(△16.1)
96.2
< (98.2)
 
うち所管公益法人
109,106
(△19.1)
105,918
(△21.0)
97.1
< (99.4)
独立行政法人等
184,634
(1.9)
145,289
(8.7)
78.7
> (73.7)
その他
366,933
(△0.7)
339,943
(4.4)
92.6
> (88.1)
合計
1,304,917
(△5.4)
1,116,798
(1.0)
85.6
> (80.1)
(注)
 「件数」及び「支払金額」欄の「増△減率」は、それぞれ平成18年度(12月まで)の件数及び支払金額に対する増減率である。

イ 随意契約の具体的な理由とその変化

 19年報告では、随意契約の法令上の適用理由のうち「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」について、当局において具体的にどのような理由がこれに当たるとしているか会計検査院が調査し、分類した結果を報告している。
 すなわち、17年度の対象随意契約の内部部局締結分のうち「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」に該当するとして当局がホームページで公表している契約14,881件について、図表2-12のとおり、主な具体的な理由を24項目(「25その他」はこの24項目に含まれないもの)に分類し、さらに、これら24項目の具体的理由を、ほかに履行可能な者がいる可能性の程度によって次のA、B、Cの三つのグループに大別して分析している。

Aグループ
契約手続の前段階において複数の参加者を想定し、審査の結果、最も優れた企画書等の提案者と契約するとしているため、ある程度競争性が担保されているもの
Bグループ
契約相手方が唯一の者であることの理由が記述されていると考えられるもの
Cグループ
契約相手方が唯一の者であることの理由が必ずしも記述されていないと考えられるもの

 そこで、今回も、19年度(12月まで)の対象随意契約の内部部局締結分のうち、各府省等が「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」に該当するとしている契約13,398件について、同様な方法で分類を行った。
 その結果は図表2-12のとおり、「1 企画競争を実施」を理由とするものが54.2%で過半を占め、次いで、「10 複数年度の使用を前提とした物件の賃借」が7.2%、「19 専門的又は高度な知識、知見、技術を有する」が5.9%、「21 契約実績、経験を有する」が4.7%となっている。また、A、B、Cのグループ別にみると、Cグループの件数割合が17年度に対して24.5ポイント低下し、逆にAグループが28.4ポイント増加している。
 このことから、各府省等が、随意契約の見直しにおいて、ほかに履行可能な者がいる可能性の程度が高いと思われるCグループの契約を重点的に競争契約や企画随契へ移行させたものと考えられる。

図表2-12 「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」に当たるとしている具体的な理由とその変化(平成19年度(12月まで))
(単位:件、%、%ポイント)
具体的な理由
件数
順位
件数割合
(A)
 
平成17年度(B)
増減値
(A)-(B)
A
1
企画競争を実施(企画案の提案者)
7,263
1
54.2
25.8
28.4
B
2
法令、条約、閣議決定の取決め等に基づく
181
10
1.4
1.8
△0.4
3
場所が限定されている施設・敷地の賃借、使用料
26
18
0.2
0.4
△0.2
4
官報、法律案、予算書又は決算書の印刷等
31
17
0.2
0.3
△0.1
5
水道、ガス料の長期継続契約、郵便料金、NHK受信料
39
15
0.3
0.2
0.1
6
供給元が一の場合の出版元等からの書籍の購入
224
6
1.7
2.1
△0.4
7
特許権、実用新案権、著作権等を有している
223
7
1.7
2.8
△1.1
8
美術品及び工芸品等の購入
6
21
0.0
0.1
△0.1
9
特定情報の提供者
218
8
1.6
1.8
△0.2
10
複数年度の使用を前提とした物件の賃借
960
2
7.2
5.0
2.2
11
情報システムの(当初の)開発者
411
5
3.1
6.5
△3.4
12
特注の機械、設備の製造者
37
16
0.3
0.3
0.0
13
互換性・連動性を確保する必要がある
213
9
1.6
1.4
0.2
14
複数年度の実施を前提とした事業
130
12
1.0
3.4
△2.4
15
電気需給契約、電話料金
4
23
0.0
0.1
△0.1
2,703
 
20.2
26.2
△6.0
C
16
「12」以外の機械、設備の製造者
140
11
1.0
3.5
△2.5
17
連絡体制(ネットワーク、組織)を有している
17
20
0.1
1.9
△1.8
18
リース物件の所有者による保守等
1
24
0.0
0.3
△0.3
19
専門的又は高度な知識、知見、技術を有する
789
3
5.9
20.5
△14.6
20
秘密性、安全性の保持
18
19
0.1
0.7
△0.6
21
契約実績、経験を有する
625
4
4.7
8.4
△3.7
22
公平性、中立性を有している
45
14
0.3
1.0
△0.7
23
特殊な施設・設備を有する
5
22
0.0
0.6
△0.6
24
「6」以外の書籍、新聞の購入
102
13
0.8
0.7
0.1
1,742
 
13.0
37.5
△24.5
25 その他
1,690
12.6
10.5
2.1
合計
13,398
100
100
 
(注)
 一つの契約について複数の具体的理由が公表されている場合は、原則として、異なるグループの理由についてはA、B、Cの順に優先し、同じグループの理由については、公表理由の中で最初に記載されているものを優先して分類している。

 また、契約種類別にこれら25項目の件数割合及び17年度と比較しての変化の状況をみると、図表2-13のとおりである。
 これによると、「工事(設計、調査等を含む。)」については、Cグループが17.6ポイント減少しているのに対して、Bグループは19.2ポイント増加しており、その中でも「13 互換性・連動性を確保する必要がある」の増加が大きくなっている。
 「用地取得・補償」については、17年度ではすべてがBグループの「3 場所が限定されている施設・敷地の賃借、使用料」となっていたが、19年度(12月まで)は該当する契約がない。
 「物品等の購入」については、Bグループが過半を占めており、そのほとんどが「6 供給元が一の場合の出版元等からの書籍の購入」(44.5%)となっている。
 「物品等の製造」については、Aグループが21.0ポイント増加して34.7%と多くなったのに対して、B、Cグループはそれぞれ19.4ポイント、16.3ポイント減少し、いずれも20%程度となっている。
 「物品等の賃借」については、Bグループが87.7%で、そのうち「10 複数年度の使用を前提とした物件の賃借」だけで76.2%を占めている。
 「役務」については、Aグループの企画競争は62.3%と倍増しているのに対し、Cグループは27.6ポイント減少して13.3%となっている。
 その結果、契約種類別の具体的な理由の状況を17年度と比較すると、いずれの契約種別においてもCグループの割合は前年度以下となっており、また、「役務」、「物品等の製造」においては、B及びCグループの減少に伴ってAグループが大幅に増加している。

図表2-13 契約種類別の具体的な理由及びその変化

上段:平成17年度(単位:%)
下段:平成19年度(12月まで)(単位:%)

上段:平成17年度(単位:%)下段:平成19年度(12月まで)(単位:%)

(3) 19年報告に掲記した契約(個別の事態)の見直し状況

ア 個別の事態の見直し状況

 19年報告で報告した個別の事態601件について、19年度末現在で当局が講じた見直し状況を次のとおり区分し、府省等別に示すと図表2-14のとおりである。

措置済み
19年次検査において移行すべきと認めた契約方式等による契約を19年度末までに締結したもの(ただし、不落・不調随契は競争契約に含めている。)
措置未済
19年次検査において移行すべきと認めた契約方式等と比較して、19年度末までに締結した契約が不十分な契約方式等となっているもの
(内訳)
20年度に措置予定
19年次検査において移行が相当と認めた契約方式等による契約を20年度に締結することを予定しているもの
 
うち20年7月1日現在で措置済み
20年7月1日までに契約が締結されたもの
未定
19年次検査において移行が相当と認めた契約方式等による契約を20年度に締結する予定がないもの
当該年度限りなど
契約内容となる具体的な業務内容が契約年度限りのもの又は翌年度以降は当該業務は行わないことにしたものなど(翌年度に少額随契となったものを含む。)
図表2-14 個別の事態に係る見直し状況(平成19年度末現在)
(単位:件)
府省等
個別の事態
見直し状況(平成19年度末現在)
措置済み
措置未済
当該年度限りなど
合計
競争契約に移行
企画随契に移行
公募を実施
20年度に措置予定
未定
 
(うち20年7月1日現在で措置済み)
内閣
4
1
(-)
2
1
4
内閣府
23
14
1
(1)
1
7
23
総務省
39
20
6
(2)
2
4
32
法務省
98
72
29
(27)
2
11
114
外務省
12
8
3
(3)
11
財務省
75
39
11
24
1
(-)
6
81
文部科学省
8
6
2
(1)
8
厚生労働省
73
54
9
(8)
6
1
70
農林水産省
62
45
1
1
7
(7)
1
13
68
経済産業省
22
8
8
1
(1)
1
6
24
国土交通省
111
74
3
3
(-)
2
29
111
環境省
3
(-)
3
3
防衛省
11
7
1
(1)
2
10
国会
35
12
12
(9)
3
5
32
裁判所
21
17
(-)
2
19
会計検査院
4
2
(-)
1
3
合計
601
379
23
25
75
(60)
20
91
613
427
95
注(1)
 個別の事態の見直しの結果、複数の契約に分割したり、統合したりなどしているものがあるため、「個別の事態」と「見直し状況(平成19年度末現在)」の「合計」の件数は一致しない。
注(2)
 「競争契約」には、見直し後に競争入札を行った結果、不落・不調随契となったものを含めている。

 上記601件の見直し状況(複数の契約に分割したり、統合したりなどしているため、見直し後の件数(以下「見直し後の件数」という。)は613件)をみると、「措置済み」が427件ある一方、「措置未済」も95件残っている。
 「措置未済」95件は、競争契約等への移行手続に相当の期間を必要とするとして、19年度も引き続き随意契約を行っているものなどであるが、その事例を示すと次のとおりである。

<事例>

 

[関連する業務を実施している業者と同一の者に請け負わせる必要があるとして引き続き随意契約を行っているもの]

〔1〕  人事院は、平成17、18両年度に、国家公務員採用試験のインターネットによる合格発表業務について、限られた日程で膨大なデータ処理を確実に行い、かつ秘密を保持できるとして、試験の受付、採点結果等に係る電算処理業務を委託している業者と同一の業者に行わせる必要があることを理由に、特定の業者と随意契約(契約金額:17年度4,986千円、18年度4,986千円)を行っていた。そして、19年度においても、上記の理由から、引き続き同者と随意契約(契約金額5,130千円)を行っている。
 なお、同院は、本業務については、仕様書において業務内容や電算処理業者との業務の連携等について具体的に記述するなどして、22年度までに競争契約に移行することを検討している。

[行政サービスの低下を懸念して引き続き随意契約を行っているもの]

〔2〕  経済産業本省は、平成17、18両年度に、電話交換業務について、省内の各部局の業務に精通していることを理由に、特定の業者と随意契約(契約金額:17年度14,902千円、18年度14,866千円)を行っていた。そして、19年度においても、業者が代わることにより行政サービスが低下するおそれがあるとして、引き続き同者と随意契約(契約金額17,117千円)を行っている。
 なお、同省は、20年度は、マニュアルを整備するなどして、当該業務を一般競争契約(契約金額16,605千円)に移行した。

[ソフトウェアの設計業者でなければ対応できないとして引き続き随意契約を行っているもの]

〔3〕  衆議院は、平成17、18両年度に、消防用機器設備等の保守業務について、システムを制御するソフトウェアの保守、修理はソフトの設計者であるメーカー系の業者でなければ対応できないとされていることなどを理由に、特定の業者と随意契約(契約金額:17年度5,959千円、18年度5,959千円)を行っていた。そして、19年度においても、上記の理由から、引き続き同者と随意契約(契約金額5,299千円)を行っている。
 なお、同院は、20年度からは、他省庁では同様の設備の保守点検を一般競争契約に移行していて特段の問題等が生じていないことも踏まえ、仕様書に業務内容等を詳細に記述するなどして、競争契約に移行することとしている。

[関係部署との調整に相当の期間を必要とするとして引き続き随意契約を行っているもの]

〔4〕  参議院は、平成17、18両年度に、防犯カメラの保守業務について、既設設備の状況に精通していることを理由に、特定の業者と随意契約(契約金額:17年度7,274千円、18年度7,274千円)を行っていた。そして、19年度においても、故障の復旧までに長時間を必要とすることとなった場合の防犯対策について、関係部署との調整に時間を必要とするとして、引き続き同者と随意契約(契約金額7,272千円)を行っている。
 なお、同院は、20年度は、上記の防犯対策について関係部署と調整が整ったため、他の設備に係る保守業務と合わせて指名競争契約(契約金額11,445千円)に移行した。

イ 個別の事態について見直し後における競争性等の状況

(ア) 見直し後における応札者数、落札率等

 上記のとおり、19年報告における個別の事態については、その多くが競争契約等に移行しているが、移行に当たっては実質的な競争性が確保されていることが重要である。
 そこで、上記アの個別の事態のうち、19年度末までに見直しにより競争契約又は企画随契に移行したもの409件(見直し後の件数はそれぞれ371件及び23件、計394件(不落・不調随契を除く。))について、応札者(応募者)の数、落札率等の状況はどのように変化しているかについてみたところ、図表2-15のとおりとなっている。

図表2-15 個別の事態に係る競争契約等に移行後における平均落札率等の状況
〔1〕 競争契約に移行後における平均落札率等の状況
(単位:件、%)
区分
競争契約に移行前の状況
競争契約に移行後の状況
全体(A)
1者応札(B)
((B)/(A))
2者以上応札(C)
((C)/(A))
(B)のうち
契約相手方が同じもの(D)
[(D)/(B)]
契約相手方が異なるもの(E)
[(E)/(B)]
件数
392
371
191
(51.5)
180
(48.5)
171
[89.5]
20
[10.5]
平均落札率
93.9
82.0
92.7
70.4
92.8
91.7
図表2-15 個別の事態に係る競争契約等に移行後における平均落札率等の状況
〔2〕 企画随契に移行後における平均落札率等の状況
(単位:件、%)
区分
企画随契に移行前の状況
企画随契に移行後の状況
全体(A)
1者応募(B)
((B)/(A))
2者以上応募(C)
((C)/(A))
(B)のうち
契約相手方が同じもの(D)
[(D)/(B)]
契約相手方が異なるもの(E)
[(E)/(B)]
件数
17
23
9
(39.1)
14
(60.9)
4
[44.4]
5
[55.6]
平均落札率
99.7
96.2
99.8
94.8
99.7
100
(注)
 個別の事態の見直しの結果、複数の契約に分割したり、統合したりなどしているものがあるため、また、見直し後に競争入札を行ったが不落・不調随契となったものは移行後の分析対象から除いているため、「競争契約に移行前の状況」又は「企画随契に移行前の状況」の件数は、それぞれ「競争契約に移行後の状況」又は「企画随契に移行後の状況」の「全体(A)」の件数とは一致しない。

 これによると、競争契約の応札者数については、1者応札のものが191件で50%強を占めているが、このうち、90%弱の171件においては、随意契約当時と同じ契約相手方となっていた。
 また、全体の平均落札率については、移行前の93.9%から移行後は82.0%へ11.9ポイント低下しているが、1者応札の場合、その平均落札率は移行前とほぼ同水準の92.7%となっており、競争契約には移行したものの依然として実質的な競争性を確保しにくい状況となっている。

(イ) 見直し後における公告等の方法、参加資格等

 第2-1-(2)のとおり、契約全体に占める競争契約の割合は増加しているものの、1者応札の割合も増加しており、また、上記(ア)のとおり、個別の事態についても、競争契約に移行したものの中で1者応札のものは50%強を占めている。
 一方、一般競争入札の実施に当たっては、第1-3-(2)のように、入札の参加に必要な資格要件を定めたり、入札を関係業者等に周知するため、必要な事項を官報等により公告したりすることとされているが、資格要件の定めは必要最小限のものとし、適切な方法で公告が行われることが、競争参加者の拡大につながると考えられる。
 そこで、個別の事態のうち、19年度末までに競争契約若しくは企画随契に移行し又は公募を実施した契約418件(不落・不調随契を除く。)について、競争契約等に移行する際の公告等の方法、入札参加資格のうちの契約実績要件について、1者応札(応募)となった契約と2者以上応札(応募)となったものとに区分して比較すると以下のとおりである。

a 公告等の方法

 入札等への参加者の募集を行う公告等がどのような方法で行われたかをみると、図表2-16のとおり、1者応札(応募)の場合、掲示板にのみ公告等を掲載していたものの割合が37.4%で、2者以上応札(応募)の場合の22.8%に比べ、14.6ポイント高くなっている。これに対して、2者以上応札(応募)の場合、ホームページに掲載していたものの割合が75.8%で、1者応札(応募)の場合の62.1%に比べ、13.7ポイント高くなっている。

図表2-16 競争契約等の実施状況〔1〕  (公告等の方法)
(単位:件、%)
区分
件数
a 掲示板のみ
b ホームページを含む方法
c その他
件数
割合
件数
割合
件数
割合
1者応札(応募)
203
76
37.4
126
62.1
1
0.5
2者以上応札(応募)
215
49
22.8
163
75.8
3
1.4
418
125
29.9
289
69.1
4
1.0

b 過去の実績要件

 入札公告、入札説明書、応募要領等においては、通常、入札、企画競争又は公募に参加するための資格要件が示されている。この要件について、過去の契約実績又は業務実績を求めているかどうかをみると、図表2-17のとおり、1者応札(応募)の場合、過去の契約実績等を求めているものが43.3%あり、2者以上応札(応募)の場合の25.1%に対し、18.2ポイント高くなっている。

図表2-17 競争契約等の実施状況〔2〕  (過去の実績要件)
(単位:件、%)
区分
件数
過去の実績要件
過去の契約実績等を求めている
過去の契約実績等を求めていない
件数
割合
件数
割合
1者応札(応募)
203
88
43.3
115
56.7
2者以上応札(応募)
215
54
25.1
161
74.9
418
142
34.0
276
66.0

(ウ) 競争性の確保に関して検討の必要があったと認められた事例

 上記(イ)の検査状況を踏まえつつ、個別の事態の中から、随意契約から競争契約等に移行し、かつ、1者応札(応募)となっているものについて検査したところ、競争性の確保に関して検討の必要があったと認められた事例が12件見受けられ、このうち、公益法人以外を契約相手方とする事例9件は、次のとおりである(公益法人を契約相手方とする契約に係る事例は、後掲第2-3-(3)に記述している。)。

a 公告等の方法が限定的となっているもの

 1者応札(応募)となっていたもののうち、公告等の方法が掲示板のみとなっていたものが、図表2-16のとおり76件あったが、このようにより多くの者に周知する工夫がなされていないため、参加者の範囲が制限される可能性があると認められた事例は、次のとおりである。

<事例>

〔5〕  厚生労働省国立国際医療センターは、平成17、18両年度に、施設(研修センター)の空調自動制御装置の保守業務について、施設建設時の状況に詳しく専門的知識、経験を有しているため迅速な対応が可能であることなどを理由に、特定の業者と随意契約(契約金額:17年度4,473千円、18年度4,473千円)を行っていた。これについて、同センターは、19年度に一般競争契約に移行することとし、入札を行ったところ、従来の契約相手方だけの1者応札となり、同者と契約(契約金額4,620千円)を行った。
 しかし、上記の入札に当たっては、入札公告を施設内の掲示板にのみ掲示しているが、公告を十分に周知させるためには、ホームページ等においても掲示すべきであったと認められる。

b 入札や応募の条件が制限的なものとなっていたり、その内容が明確でなかったりしているもの

 入札や応募の参加者に求める業務実績の要件や業務従事者の資格要件を必要以上に限定していたり、求める業務実績の内容を明確に記述していなかったり、契約内容との関連性が薄い事項を資格要件に含めたりしているため、参加者の範囲が制限される可能性があると認められた事例は、次のとおりである。

<事例>

[求める業務実績の内容に必要以上の規模の要件を含めているもの]

〔6〕  総務本省は、平成17、18両年度に、国家公務員宿舎の管理業務について、効率的に管理業務を行うためには同一の者に長期間管理を委託することが望ましいことなどを理由に、特定の業者と随意契約(契約金額:17年度5,670千円、18年度5,670千円)を行っていた。これについて、同省は、19年度に一般競争契約に移行することとし、入札を行ったところ、従来の契約相手方だけの1者応札となり、同者と契約(契約金額5,670千円)を行った。
 しかし、上記の入札に当たっては、年間1,000戸以上の国家公務員宿舎の管理実績を有することなどを参加要件として求めているが、契約の対象とする宿舎は157戸であるため、より多くの者の参加が可能となるよう、この要件を緩和すべきであったと認められる。

[業務実績の要件について機種や受注形態を限定しているもの]

〔7〕  経済産業本省は、平成17、18両年度に、研修所の吸収式冷温水器等の保守点検業務について、本機器の製造メーカーの関連サービス会社であることを理由に、特定の業者と随意契約(契約金額:17年度3,021千円、18年度3,021千円)を行っていた。これについて、同省は、19年度に一般競争契約に移行することとし、入札を行ったところ、従来の契約相手方だけの1者応札となり、同者と契約(契約金額2,990千円)を行った。
 しかし、上記の入札に当たっては、具体的な保守対象機種についての元請としての保守点検業務実績を有することなどを参加資格として求めているが、このように特定の機種や元請としての業務実績に限定する必要はないと考えられることから、より多くの者の参加が可能となるよう、この要件の緩和について検討すべきであったと認められる。

[業務実績の要件について機種や発注者を限定しているもの]

〔8〕  衆議院は、平成17、18両年度に、吸収式冷温水器の保守点検業務について、設備に独自の技術が用いられているため製造メーカーか指定業者でなければ保守を行うことができないことを理由に、特定の業者と随意契約(契約金額:17年度3,533千円、18年度3,533千円)を行っていた。これについて、同院は、19年度に一般競争契約に移行することとし、入札を行ったところ、従来の契約相手方だけの1者応札となり、同者と契約(契約金額3,533千円)を行った。
 しかし、上記の入札に当たっては、具体的な保守対象機種について官公庁を発注元とした複数年の保守点検業務実績を有することなどを参加資格として求めているが、このように機種や発注元を限定する必要は必ずしもないと考えられることから、より多くの者の参加が可能となるよう、この要件の緩和について検討すべきであったと認められる。

[業務従事者の資格要件を限定しているもの]

〔9〕  内閣本府は、平成17、18両年度に、庁舎の警備業務について、国の行為を秘密にする必要があることなどを理由に、特定の業者と随意契約(契約金額:17年度107,440千円、18年度122,781千円)を行っていた。これについて、同府は、19年度に一般競争契約に移行することとし、入札を行ったところ、従来の契約相手方だけの1者応札となり、同者と契約(契約金額110,503千円)を行った。
 しかし、上記の入札に当たっては、業務に従事する警備員はすべて正社員であることなどを参加要件としているが、必ずしもすべてが正社員である必要はないと思われることから、より多くの者の参加が可能となるよう、この要件の緩和について検討すべきであったと認められる。

[求める業務実績の内容を明確に記述していないもの]

〔10〕  外務省は、平成17、18両年度に、公式記録写真をデジタル化し保存する業務について、使用しているシステムの製造メーカーであることを理由に、特定の業者と随意契約(契約金額:17年度4,076千円、18年度3,834千円)を行っていた。これについて、同省は、19年度に一般競争契約に移行することとし、入札を行ったところ、従来の契約相手方とは異なる業者の1者応札となり、同者と契約(契約金額2,381千円)を行った。
 しかし、上記の入札に当たっては、「本件と類似の業務の実績」を有することなどを参加要件としているが、本件契約について参加者に求めているのは、公式記録写真のデジタル保存業務に限定されるものではないことから、広く写真のデジタル保存業務の実績であることを明確に記載すべきであったと認められる。

[契約実績の要件に業務内容との関連性が薄い事項を含めているもの]

〔11〕  厚生労働省国立国際医療センターは、平成17、18両年度に、ホームページの保守業務について、ホームページの構築業者であり保守業務の実績を有することなどを理由に、特定の業者と随意契約(契約金額:17年度5,607千円、18年度5,607千円)を行っていた。これについて、同センターは、19年度に一般競争契約に移行することとし、入札を行ったところ、従来の契約相手方だけの1者応札となり、同者と契約(契約金額5,607千円)を行った。
 しかし、上記の入札に当たっては、本件業務における質の確保を目的に、病床数600床以上の医療機関における同種業務の契約実績を有することを参加資格として求めているが、この要件と契約内容であるホームページの保守業務との関連性は薄いと考えられることから、これを要件とする必要はなかったものと認められる。

(注)
 単価契約によるものは年間の支払金額を契約金額としている。以下同じ。

c 仕様書等の内容が明確でないもの

 仕様書等の記載内容が明確でなく、従来の契約相手方しか判断できない内容の部分があることから、参加者の範囲が制限される可能性があると認められた事例は、次のとおりである。

<事例>

〔12〕  農林水産省近畿農政局は、平成17年度に、職員の寮の維持管理、清掃、給食等の業務について、実績を有しており業務に精通していることなどを理由に、特定の業者と随意契約(契約金額10,124千円)を行っていた。これについて、同局は、18年度に一般競争契約に移行することとし、入札を行ったところ、従来の契約相手方だけの1者応札となり、同者と契約(契約金額10,353千円)を行った。
 しかし、上記の入札に当たって示した仕様書をみると、清掃の範囲が明確でなく、寮の規模(世帯数等)や給食の仕様が明記されていないなど、従来の契約相手方しか判断できない内容の部分があることから、仕様書の記載内容を明確にすべきであったと認められる。

d 公募において契約予定相手方名を表示しているもの

 公募は、従来の契約相手方のほかに履行可能な者がいないかの確認のために行われるが、公募において契約予定相手方名を表示しているため、参加者の範囲が制限される可能性があると認められた事例は、次のとおりである。

<事例>

〔13〕  気象庁は、平成17、18両年度に、無停電電源装置の点検、調整業務について、本装置の製造、施工者であり十分な技術を有することなどを理由に、特定の業者と随意契約(契約金額:17年度1,470千円、18年度1,680千円)を行っていた。これについて、同庁は、19年度にほかに履行可能な者がいないかの確認を行う公募を行うこととし、公募したところ、応募者がいなかったため、従来の契約相手方と随意契約(契約金額1,155千円)を行った。
 しかし、上記の公募に当たっては、その公告において契約予定相手方名として従来の契約相手方名を記載しているが、これにより公募への参加が制限された可能性があるため、特定の業者名を契約予定相手方名として表示せずに公告すべきであったと認められる。

(4) 「随意契約見直し計画」に基づいて適正化を進めることとされている契約の見直し状況

ア 随意契約点検の対象となった契約の見直し状況

 前記の第1-5のとおり、各府省等は、17年度に締結した随意契約について随意契約によることが適切かどうかの点検を行い、その結果と併せて「随意契約見直し計画」を公表している。
 そこで、17年度に内部部局が締結した契約で随意契約点検の対象となった15,279件のうち、18年度又は19年度(12月まで)に締結された契約と対応することが各府省等から提出された調書から把握できた7,595件(見直し後の件数は7,680件)について、19年12月までに各府省等が講じた見直し措置の状況を府省等別にみると図表2-18のとおりである。
 これによると、19年12月までに競争契約等に移行したものが2,622件(34.1%)(競争契約に移行1,380件、企画随契に移行889件、公募を経た随意契約に移行353件)ある一方、引き続き随意契約を行っているものが5,058件(65.9%)(うち随意契約点検の結果、各府省等が引き続き随意契約によらざるを得ないとしているもの2,199件)ある。

図表2-18 点検対象となった随意契約の見直し状況(平成19年12月末現在)
(単位:件、%)
府省等
点検対象となった随意契約
左のうち対応関係が把握できたもの
見直し状況(平成19年12月末現在)
競争契約
(a)
企画随契
(b)
公募を経た随意契約
(c)
(a)+(b)+(c)
引き続き随意契約
合計
 
うち随契によらざるを得ないもの
内閣
191
126
13
14
16
43
87
35
130
内閣府
1,243
605
82
58
26
166
376
217
542
総務省
1,123
616
151
21
36
208
415
31
623
法務省
401
221
44
9
1
54
162
54
216
外務省
477
270
19
13
9
41
242
87
283
財務省
627
423
93
19
47
159
242
56
401
文部科学省
2,890
1,376
45
71
13
129
1,283
526
1,412
厚生労働省
1,346
767
77
145
6
228
612
423
840
農林水産省
855
509
165
179
46
390
218
79
608
経済産業省
1,643
613
216
102
3
321
278
69
599
国土交通省
2,656
983
220
163
135
518
440
98
958
環境省
1,061
613
158
92
9
259
353
287
612
防衛省
84
36
23
5
28
8
5
36
国会
491
314
52
2
54
245
205
299
裁判所
129
80
12
12
70
16
82
会計検査院
62
43
10
1
1
12
27
11
39
合計
15,279
7,595
1,380
(18.0)
889
(11.6)
353
(4.6)
2,622
(34.1)
5,058
(65.9)
2,199
(28.6)
7,680
(100)
注(1)
 随意契約点検の対象となった平成17年度契約に対応する18年度又は19年度(12月まで)契約の中には、複数の契約に分割したり、統合したりなどしているものがあるため、「左のうち対応関係が把握できたもの」と「見直し状況(平成19年12月末現在)」の「合計」の件数は一致しない。
注(2)
 「競争契約」には、見直し後に競争入札を行った結果、不落・不調随契となったものを含めている。
注(3)
 「公募を経た随意契約」については、平成18年度における実施状況を把握していないため、19年度において実施したもののみを計上している。
注(4)
 「引き続き随意契約」とは、見直し後、公募を実施しないで、引き続き企画競争を経ない随意契約を行っているもの及び引き続き企画随契を行っているものである。
注(5)
 「うち随契によらざるを得ないもの」とは、随意契約点検の結果、各府省等が引き続き随意契約によらざるを得ないとしているものである。

イ 見直し後における競争性等の状況

(ア) 見直し後における応札者数、落札率等

 各府省等においては、「随意契約見直し計画」に基づき契約の適正化を進めているが、前記(3)のとおり、19年報告における個別の事態について、競争契約等に移行したものの中にも競争性の確保に関して検討を必要とすると認められた事例が見受けられることから、競争契約等への移行に当たっては、その実質的な競争性が確保されることが重要である。
 そこで、上記アの7,595件のうち、19年12月までに見直しにより競争契約又は企画随契に移行したもの2,243件(見直し後の件数はそれぞれ1,329件及び889件、計2,218件(不落・不調随契を除く。))について、応札者(応募者)の数、落札率等はどのようになっていたかについてみたところ、図表2-19のとおりとなっている。

図表2-19 競争契約等に移行後における平均落札率等の状況
〔1〕 競争契約に移行後における平均落札率等の状況
(単位:件、%)
区分
競争契約に移行前の状況
競争契約に移行後の状況
全体(A)
1者応札(B)
((B)/(A))
2者以上応札(C)
((C)/(A))
(B)のうち
契約相手方が同じもの(D)
[(D)/(B)]
契約相手方が異なるもの(E)
[(E)/(B)]
件数
1,311
1,329
783
(58.9)
546
(41.1)
647
[82.6]
136
[17.4]
平均落札率
96.0
87.1
93.7
76.4
93.5
94.5
〔2〕 企画随契に移行後における平均落札率等の状況
(単位:件、%)
区分
企画随契に移行前の状況
企画随契に移行後の状況
全体(A)
1者応募(B)
((B)/(A))
2者以上応募(C)
((C)/(A))
(B)のうち
契約相手方が同じもの(D)
[(D)/(B)]
契約相手方が異なるもの(E)
[(E)/(B)]
件数
932
889
578
(65.0)
311
(35.0)
523
[90.5]
55
[9.5]
平均落札率
97.5
97.9
98.3
97.1
98.3
98.0
(注)
 随意契約点検の対象となった平成17年度契約に対応する18年度又は19年度(12月まで)契約の中には、複数の契約に分割したり、統合したりなどしているものがあるため、また、見直し後に競争入札を行ったが不落・不調随契となったものは移行後の分析対象から除いているため、「競争契約に移行前の状況」又は「企画随契に移行前の状況」の件数は、それぞれ「競争契約に移行後の状況」又は「企画随契に移行後の状況」の「全体(A)」の件数とは一致しない。

 これによると、競争契約に移行した1,329件の応札者数については、1者応札が58.9%の783件あるが、このうち82.6%の647件においては、随意契約当時と同じ契約相手方となっていた。また、全体の平均落札率については、移行前の96.0%から移行後は87.1%へ8.9ポイント低下し、特に、2者以上応札の場合は76.4%と19.6ポイントも低下していて、見直しの結果、実質的にも競争性が向上している状況がうかがえる。しかし、1者応札の場合には、93.7%と移行前に比べ2.3ポイントの低下にとどまっており、実質的な競争性を確保しにくい状況となっている。
 また、企画随契に移行した889件の応募者数については、1者応募が65.0%の578件あるが、このうち90.5%の523件においては、移行前と同一の契約相手方となっていた。なお、企画随契に移行した889件の平均落札率については、移行前後で変化はほとんどみられない。これは、企画競争が、競争入札と異なり、価格面での競争を行うものでないことが要因の一つになっていると考えられる。

(イ) 競争性、透明性の確保に関して検討の必要があったと認められた事例

 競争契約等における入札手続等に関しては、公告等の方法、参加資格等が応札(応募)者数に影響することから、これらの方法や設定内容によっては実質的な競争性が阻害されるおそれがある。
 そこで、各府省等の随意契約点検の対象となった契約の中から、競争契約等に移行し、かつ、1者応札(応募)となっているものを抽出し、入札手続等について検査するとともに、企画随契に移行し複数者の応募があったものについても抽出し、企画競争の実施方法等について検査した。その結果、(3)の個別の事態に係る見直し状況の場合と同様に、競争性、透明性の確保に関して検討の必要があったと認められたものが37件見受けられ、この中で、公益法人以外を契約相手方とする事例16件のうち、主なものを示すと次のとおりである(公益法人を契約相手方とする契約に係る事例は、後掲第2-3-(4)に記述している。)。

a 入札や応募の条件が制限的なものとなっているもの

 入札や応募の参加者に求める業務実績の要件を必要以上に限定していたり、競争参加資格等級を限定して指定したりなどしているため、参加者の範囲が制限される可能性があると認められた事例は、次のとおりである。

<事例>

[契約実績を限定して審査項目としているもの]

〔14〕  消防庁は、平成17、18両年度に、新技術・新素材の活用等に対応した安全対策の確保に関する調査検討業務について、危険物及びバイオマス燃料等に関する調査研究実績を有することなどを理由に、特定の業者と随意契約(契約金額:17年度68,471千円、18年度40,624千円)を行っていた。これについて、同庁は、19年度に企画競争に移行することとし、参加者を募集したところ、従来の契約相手方だけの1者応募となったため、同者と随意契約(契約金額25,954千円)を行った。
 しかし、上記の企画競争に当たっては、バイオマス燃料の安全対策に係る調査研究実績を審査項目に含めることを応募要領において示しているが、危険物及びバイオマス燃料の安全対策に係る知見を有していれば、これに係る調査研究実績を有することに限定する必要はないと考えられることから、より多くの者の参加が可能となるよう、この審査項目の緩和について検討すべきであったと認められる。

[業務実績の要件について機種型式を限定しているもの]

〔15〕  国土交通本省は、平成17、18両年度に、ガス吸収冷暖房機の点検保守業務について、同機器の設置業者であり緊急時にも柔軟に対応できることを理由に、特定の業者と随意契約(契約金額:17年度18,270千円、18年度23,293千円)を行っていた。これについて、同省は、19年度に一般競争契約に移行することとし、入札を行ったところ、従来の契約相手方だけの1者応札となり、同者と契約(契約金額25,725千円)を行った。
 しかし、上記の入札に当たっては、保守対象となる機器と同じ型式番号のガス吸収冷暖房機の保守点検業務実績を有することなどを参加要件として求めているが、このように同じ型式番号のものに限定する必要はないと考えられることから、より多くの者の参加が可能となるよう、この要件の必要性について検討すべきであったと認められる。

[競争参加資格等級を限定して指定しているもの]

〔16〕  農林水産本省は、平成17年度に、薬事法承認・許可等電子台帳システムの修正及びデータ入力業務について、本システムのプログラム全体の互換性を確保することなどを理由に、特定の業者と随意契約(契約金額6,090千円)を行っていた。これについて、同省は、18年度に一般競争契約に移行することとし、入札を行ったところ、従来の契約相手方だけの1者応札となり、再度の入札をしても入札額が予定価格を上回っていたため、入札を中止し、同者と価格交渉の上、随意契約(契約金額5,460千円)を行った。
 しかし、上記の入札に当たっては、競争参加資格等級が「A」又は「B」等級の業者であることを参加要件としているが、同省の規程上は本契約の予定価格の額に対応する業者は「C」等級とされていることから、これを含めた競争参加資格等級の指定にすべきであったと認められる。

[必要以上の技術等を参加要件としているもの]

〔17〕  外務省は、平成17、18両年度に、庁舎内の国際会議室における同時通訳設備及び音響設備の運用業務について、設備に特注品を使用しておりノウハウが必要であることなどを理由に、特定の業者と随意契約(契約金額:17年度8,125千円、18年度4,787千円)を行っていた。これについて、同省は、19年度にほかに履行可能な者がいないかの確認を行う公募を行うこととし、公募したところ、従来の契約相手方だけの1者応募となったため、同者と随意契約(契約金額6,806千円)を行った。
 しかし、上記の公募に当たっては、国際会議室において使用している複数社製の機器すべてについて精通していること、常時業務が可能な自社技術者が15名以上在籍していることを参加要件として求めているが、マニュアル等の整備により同時通訳設備等の運用は可能であることから、より多くの者の参加が可能となるよう、この要件の緩和について検討の余地があったと認められる。

b 公募において契約予定相手方名を表示しているもの

 公募は、従来の契約相手方のほかに履行可能な者がいないかの確認のために行われるが、公募において契約予定相手方名を表示しているため、参加者の範囲が制限される可能性があると認められた事例は、次のとおりである。

<事例>

〔18〕  財務本省は、平成17、18両年度に、庁舎内の国会情報掲示システムの機器等の保守業務について、機器の製造販売元であり同機器の保守を行っている唯一の業者であることを理由に、特定の業者と随意契約(契約金額:17年度4,516千円、18年度3,118千円)を行っていた。これについて、同省は、19年度にほかに履行可能な者がいないかの確認を行う公募を行うこととし、公募したところ、応募者がいなかったため、従来の契約相手方と随意契約(契約金額2,496千円)を行った。
 しかし、上記の公募に当たっては、その公告において契約予定相手方名として従来の契約相手方名を記載しているが、これにより公募への参加が制限された可能性があるため、特定の業者名を契約予定相手方名として表示せずに公告すべきであったと認められる。

〔19〕  環境省は、平成17、18両年度に、希少生物の細胞等の遺伝資源をタイムカプセル化し長期保存する業務について、凍結保存に関する知見、技術及び長期保存のできる施設を有していることなどを理由に、特定の業者と随意契約(契約金額:17年度75,500千円、18年度80,000千円)を行っていた。これについて、同省は、19年度にほかに履行可能な者がいないかの確認を行う公募を行うこととし、公募したところ、応募者がいなかったため、従来の契約相手方と随意契約(契約金額72,954千円)を行った。
 しかし、上記の公募に当たっては、その公告において契約予定相手方名として従来の契約相手方名を記載しているが、これにより公募への参加が制限された可能性があるため、特定の業者名を契約予定相手方名として表示せずに公告すべきであったと認められる。

c 企画競争の実施方法において透明性が十分でないもの

 企画競争の実施に当たって、審査における評価項目の設定、審査を実施する者の構成等において透明性の確保が図られていないと認められた事例は、次のとおりである。

<事例>

[参加者募集の公告を行うなどの検討をすべきであったもの]

〔20〕  厚生労働本省は、平成17年度に、海外の医療材料等に係る調査業務について、業務を熟知していることを理由に、特定の業者と随意契約(契約金額19,692千円)を行っていた。
 18年度において、調査の実施方法等や業務遂行能力が最も優れた者を選定する企画競争を実施したところ、従来の契約相手方を含む2者から応募があり、審査の結果、従来の契約相手方を選定し、同者と契約(契約金額12,000千円)を行った。
 しかし、本件契約について、企画競争の実施方法をみると、参加を募集する公告を行わず事業実施部局(担当課)において選定した業者にのみ参加を依頼しており、また、審査も業務の事業実施部局の職員のみで行っているが、審査の公正性及び透明性を向上させるため、ホームページ等を利用した参加者の募集や事業実施部局以外の職員も含めた審査をすべきであったと認められる。

[審査を行う者、審査項目の設定などについて検討すべきであったもの]

〔21〕  経済産業本省は、平成17年度に、事業再生に関する専門分科会の設置・運営、調査研究業務等について、事業再生に関する幅広い知見とネットワークを有していることを理由に、特定の業者と随意契約(契約金額208,931千円)を行っていた。
 18年度において、上記の業務の内容や業務遂行能力が最も優れた者を選定する企画競争を実施したところ、従来の契約相手方を含む3者から応募があり、審査の結果、従来の契約相手方を選定し、同者と契約(契約金額156,400千円)を行った。
 しかし、本件契約について、企画競争の実施方法をみると、審査の観点は公募要領にて示しているものの、採点を行わずに事業実施部局(担当課)の職員2名のみで契約相手方を選定していたり、審査の過程等を示す書類を保存していなかったりしていて、審査の公正性及び透明性に欠けていたと認められる。

ウ 競争性、経済性を高める工夫をしている事例

 随意契約から競争契約等に移行したもののうちには、各府省等において競争性を高める工夫をして競争契約等に移行しているものがあり、これらの事例を参考として示すと次のとおりである。

<参考事例>

[業務実施に必要な専門的な資料を国が作成することにより競争契約に移行しているもの]

参考〔1〕  財務本省は、平成17年度に、税関研修所の職員を対象に外国語の研修を行う業務について、専門的知識を有することなどを理由に、特定の業者と随意契約(契約金額5,076千円)を行っていた。
 同省は、18年度には、業務に特有な用語や言い回しに係る部分は国が教本を作成して業者に提供することとして、一般競争入札を実施(入札者3者)し、その結果、従来とは別の業者と契約(契約金額2,825千円)を行っており、落札率も低下している。

[電子複写機の保守契約について支払予定額を定めることにより国庫債務負担行為に基づく複数年度契約を行っているもの]

参考〔2〕  財務省東海財務局は、平成17、18、19各年度に、電子複写機の保守及び消耗品の供給を行う業務について、使用枚数により支払金額が決まり、あらかじめ額を確定することが困難であるため国庫債務負担行為による契約になじまないとして、特定の業者と単価による随意契約(契約金額:17年度15,501千円、18年度10,459千円、19年度6,951千円)を行っていた。
 同局は、20年度には、5年間の予定使用枚数に基づき算定した支払予定額で契約し実績使用枚数との差は最終年度に変更契約により調整することとし、5か年度の国庫債務負担行為による一般競争入札を実施(入札者3者)し、その結果、従来とは別の業者と契約(契約金額(20年度支払予定額)4,460千円)を行い、落札率も低下している。

[業務内容を具体的に仕様書に定めることにより競争契約に移行しているもの]

参考〔3〕  農林水産本省は、平成17年度に、園芸施設共済の評価基準に関する調査業務について、専門的知識を有し園芸施設に関する価格情報を得ることができる唯一の者であることなどを理由に、特定の公益法人と随意契約(契約金額4,296千円)を行っていた。
 同省は、18年度には、調査対象及び調査方法の概要を示した応募要領を作成し、企画競争を行ったところ、従来の契約相手方だけの1者応募となったため、同法人と随意契約(契約金額4,653千円)を行った。そして、19年度においては、同省において調査票の様式を定めるなどしてより具体的な業務内容を仕様書に示すことにより、一般競争入札(入札者2者)を行った結果、従来の契約相手方とは別の業者と契約(契約金額2,785千円)を行い、落札率が大幅に低下した。

[契約を分割することにより競争契約に移行しているもの]

参考〔4〕  資源エネルギー庁は、平成18年度に、エネルギー問題に関する〔1〕 教師等対象研修会の開催等、〔2〕 教育用副読本の作成・配布、〔3〕 エネルギー教育を補助する教員の派遣の業務について企画競争を行い、選定した公益法人と随意契約(契約金額408,988千円)を行っていた。
 同庁は、19年度には、上記〔1〕 から〔3〕 の業務を分割し、それぞれ総合評価方式による一般競争契約に移行したところ、〔2〕 の教育用副読本の作成・配布については、3者から応札があり、上記の法人と契約(契約金額33,770千円)を行い、落札率が低下した。

 また、各府省等における契約のうちには、業務の内容等から引き続き随意契約によらざるを得ない場合でも、契約額を低減させていて経済性を確保する工夫をしているものがあり、この事例を参考として示すと次のとおりである。

<参考事例>

参考〔5〕  衆議院は、LANに設置したセキュリティ製品の保守、管理運用業務について、競争に付した場合、セキュリティ構成を公表することとなり、その結果、部外者に内部のセキュリティシステムが推測されるおそれがあることなどから、平成18年度においても引き続き設置業者と随意契約(契約金額74,970千円)を行っている。
 同院は、18年度の契約については、従来と同様の契約内容としていたが、予定価格の算定に当たり、定額保守以外の部分について、〔1〕 従来と同様、機器1台当たり作業時間を積み上げて人件費単価を乗ずるなどした積算額のほか、〔2〕 技術力の高い者も組み合わせる工夫をして算定した作業員数に人件費単価を乗ずるなどして算出した積算も行った。そして、両者を比較した結果、より経済的となった後者の積算額を予定価格として採用したところ、契約金額が約900万円低減した。