センターは、17年8月に、多額の繰越欠損金の発生及びこれに関する会計検査院の指摘等を踏まえ、表19のとおり、「第B期(7か年)収支計画(案)」を策定した。
この収支計画(案)は、18事業年度から21事業年度までの4年間で繰越欠損金を解消しようとするものであるが、その骨子は、売上げが順調に伸び、18事業年度には294億円、21事業年度には約2倍の608億円になるとの見込みを基に作成されているが、具体的な増収策等には触れられておらず、実際に、18事業年度の売上金額は、134億円と計画値の半分にも達しなかった。
事業年度
|
平成18
|
19
|
20
|
21
|
22
|
23
|
24
|
売上見込額
|
29,401
(13,470)
|
42,647
(63,711)
|
52,123
|
60,894
|
66,980
|
70,934
|
75,150
|
払戻金額
|
14,700
(6,735)
|
21,324
(31,855)
|
26,062
|
30,447
|
33,490
|
35,467
|
37,575
|
費用
|
13,195
(8,972)
|
14,589
(12,683)
|
15,045
|
16,510
|
17,151
|
17,676
|
18,792
|
欠損金解消額
|
500
(-)
|
3,735
(16,866)
|
8,017
|
10,048
|
-
|
-
|
-
|
国庫納付金
|
335
(48)
|
1,000
(727)
|
1,000
|
1,296
|
5,446
|
5,930
|
6,261
|
助成準備金繰入額
|
670
(96)
|
2,000
(1,455)
|
2,000
|
2,593
|
10,893
|
11,861
|
12,522
|
欠損金残高
|
21,800
(26,417)
|
18,065
(9,551)
|
10,048
|
-
|
-
|
-
|
-
|
(2) シンジケートローンの返済計画を裏付ける収支計画(案)の策定
前記のとおり、センターは、りそな銀行に対する未払金の一括支払のためシンジケートローンなどにより借入れ等を行ったため、その返済計画を裏付ける収支計画(案)を18年9月に策定したが、その概要は表20のとおりである。
事業年度
|
平成18
|
19
|
20
|
21
|
22
|
23
|
売上見込額 | 17,744
(13,470)
|
22,180
(63,711)
|
27,725
|
29,582
|
31,090
|
32,333
|
払戻金額 | 8,872
(6,735)
|
11,090
(31,855)
|
13,863
|
14,791
|
15,545
|
16,167
|
費用 | 9,737
(8,972)
|
10,300
(12,683)
|
11,061
|
11,910
|
11,522
|
12,442
|
借入金返済 | -
(-)
|
400
(9,500)
|
2,000
|
2,000
|
3,000
|
3,100
|
一般勘定への返済 | -
(-)
|
-
(-)
|
-
|
-
|
-
|
-
|
国庫納付金 | -
(48)
|
130
(727)
|
267
|
294
|
341
|
208
|
助成準備金繰入額 | -
(96)
|
260
(1,455)
|
534
|
587
|
682
|
416
|
借入金残高 | 22,400
(22,400)
|
22,000
(12,900)
|
20,000
|
18,000
|
15,000
|
11,900
|
事業年度 | 24
|
25
|
26
|
27
|
28
|
29
|
売上見込額 | 33,335
|
33,335
|
33,335
|
33,335
|
33,335
|
33,335
|
払戻金額 | 16,668
|
16,668
|
16,668
|
16,668
|
16,668
|
16,668
|
費用 | 12,862
|
12,198
|
12,143
|
12,079
|
12,010
|
11,942
|
借入金返済 | 2,000
|
2,000
|
2,000
|
2,000
|
500
|
-
|
一般勘定への返済 | -
|
-
|
-
|
-
|
1,500
|
1,900
|
国庫納付金 | 602
|
823
|
841
|
863
|
886
|
942
|
助成準備金繰入額 | 1,203
|
1,646
|
1,683
|
1,725
|
1,771
|
1,883
|
借入金残高 | 9,900
|
7,900
|
5,900
|
3,900
|
1,900
|
-
|
この収支計画(案)によれば、19事業年度には4億円の借入金返済を行ってもなお、3億9000万円の収益を見込み、その後、売上げが順調に伸び、24事業年度以降は333億円の売上見込額で推移するとしており、29事業年度にはすべての借入金等の返済が完了し、28億円程度の収益が見込めるとするものである。
(3) 18事業年度以降の収支計画(案)の実現のために講じている方策等
センターは、前記のとおり、18事業年度から直営方式で運営することとし、民間企業のノウハウなどを導入することなどにより発売総額を拡大し、現実的な発売総額を設定し、これに合わせた販売システムを構築するなどの方策を講ずるなどして、損益分岐点を引き下げる取組を行っている。
そして、当たりにくい、販売場所が少ないなどという意見を参考に、商品性や利便性の改善を行うとともに、購入者のニーズに応えた多様なくじを発売するなどした。そして、19事業年度には「BIG」の売上げが大きく伸びるなどした結果、同事業年度の売上金額が収支計画(案)を大きく上回り637億円となり、収支が大幅に改善されている。
独立行政法人整理合理化計画(19年12月24日閣議決定)において、センターのスポーツ振興投票業務については、次のとおり見直しを行うこととされた。
事務及び事業の見直し
【スポーツ振興投票業務】
○スポーツ振興投票事業について、日本スポーツ振興センターは、売上げ向上等に最大限努力し、繰越欠損金をできる限り早期に解消するとともに、スポーツ振興に対する助成の確保に努めるものとする。
○その上で、スポーツ振興くじの売上げ状況を注視しつつ、繰越欠損金解消の見通しがおおむね立つと考えられる平成21年度末を目途に、スポーツ振興投票事業の実施体制の在り方も含め見直しを検討し、結論を得る。
○なお、その間にあっても、スポーツ振興くじの売上げの低迷により、繰越欠損金が増加し、債務の返済の見通しが立たないと見込まれる場合には、国民負担に及ぶことがないよう、スポーツ振興投票事業について原点に立ち返った抜本的な見直しを行う。
この閣議決定の後に、センターは、前記のとおり、19事業年度のスポーツ振興くじの売上金額が最終的に637億円となったことから、売上金額520億円の予想の下に実施した91億円の繰上返済に加え、20年5月にも43億円の繰上返済を実施しており、シンジケートローンによる借入金残高52億円についても、その全額が9月末日に繰上返済される見込みである。