各独立行政法人の目的及び業務の範囲については、各法人の名称、目的、業務の範囲等に関する事項を定める法律(以下「個別法」という。)等において明確に定めるものとするとされており、独立行政法人の業務が国民のニーズとは無関係に自己増殖的に膨張することを防止することとされている。また、独立行政法人制度においては、前記のとおり、目標設定と評価の仕組みが制度化されており、この仕組みは、独立行政法人制度が有効に機能するために重要な位置付けを有するものである。
そこで、業務の状況については、上記を踏まえて、主として各法人において実施されている業務の内容やその改廃の状況、目標設定と評価の状況について調査・分析した。
検査の対象とした102法人を、その設立経緯により分類すると、表2のとおり、〔1〕 国が直接行っていた事務・事業を実施するために設立されたもの(50法人)、〔2〕 特殊法人等から移行して設立されたもの(48法人)、〔3〕 〔1〕 又は〔2〕 以外で新たな業務を実施するなどのために設立されたもの(4法人)とに分類される。そして、各独立行政法人は、それぞれの個別法等に基づいて、公共事業、助成事業、研究開発、政策金融等、多様な業務を実施しているが、これらの中には、目的や対象は異なるものの、同種の業務を行っているものもある。
なお、これらの102法人について、法人ごとに目的、主務省、中期目標期間、沿革及び財務データを示すと別添「独立行政法人の概要
」のとおりである。
表2 独立行政法人が行う主な業務の内容等(平成20年3月末現在)
〔1〕 国が直接行っていた事務・事業を実施するために設立された法人(50法人)
法人名 | 主務省 | 設立年月 | 主な業務の内容 |
国立公文書館 | 内閣府 | 平成 13.4 |
・移管を受けた歴史資料として重要な公文書等の保存、一般の利用 |
統計センター | 総務省 | 15.4 | ・国勢調査その他国勢の基本に関する統計調査の製表、統計技術の研究 |
酒類総合研究所 | 財務省 | 13.4 | ・酒類に関する高度な分析、鑑定、酒類及び酒類業に関する研究、調査、情報提供 |
造幣局 | 財務省 | 15.4 | ・貨幣、勲章、褒章、記章及び金属工芸品の製造 |
国立印刷局 | 財務省 | 15.4 | ・銀行券の製造、官報、法令全書、白書等刊行物の編集、印刷、刊行、普及 |
国立特別支援教育総合研究所 | 文部科学省 | 13.4 | ・特別支援教育に関する研究、特別支援教育関係職員に対する研修 |
大学入試センター | 文部科学省 | 13.4 | ・大学に入学を志願する者に対し大学が共同して実施することとする試験 |
国立青少年教育振興機構 | 文部科学省 | 18.4 | ・青少年教育関係者に対する研修、青少年の団体宿泊訓練等の研修 |
国立女性教育会館 | 文部科学省 | 13.4 | ・女性教育関係者に対する研修、女性教育に関する専門的な調査及び研究 |
国立国語研究所 | 文部科学省 | 13.4 | ・国語、国民の言語生活、外国人に対する日本語教育に関する調査及び研究 |
国立科学博物館 | 文部科学省 | 13.4 | ・博物館の設置 ・自然史に関する科学その他の自然科学に関する調査、研究 |
物質・材料研究機構 | 文部科学省 | 13.4 | ・物質・材料科学技術に関する基礎研究及び基盤的研究開発 |
防災科学技術研究所 | 文部科学省 | 13.4 | ・防災科学技術に関する基礎研究及び基盤的研究開発 |
放射線医学総合研究所 | 文部科学省 | 13.4 | ・放射線の人体への影響、放射線による障害の予防、診断、治療に関する研究開発 |
国立美術館 | 文部科学省 | 13.4 | ・美術館の設置 ・美術に関する作品その他の資料の収集、保管、調査、研究 |
国立文化財機構 | 文部科学省 | 19.4 | ・博物館の設置 ・有形文化財の収集、保管、文化財に関する調査及び研究 |
教員研修センター | 文部科学省 | 13.4 | ・校長、教員その他の学校教育関係職員に対する研修 |
国立高等専門学校機構 | 文部科学省 | 16.4 | ・高等専門学校の設置 |
大学評価・学位授与機構 | 文部科学省 | 16.4 | ・大学等の教育研究活動の状況についての評価、学位の授与 |
国立大学財務・経営センター | 文部科学省 | 16.4 | ・国立大学法人等の施設の整備等に必要な資金の貸付け及び交付 ・国立大学法人等の財務及び経営に関する調査及び研究 |
メディア教育開発センター | 文部科学省 | 16.4 | ・多様なメディアを高度に利用して行う教育の内容、方法等の研究及び開発 |
国立健康・栄養研究所 | 厚生労働省 | 13.4 | ・国民の健康の保持及び増進に関する調査及び研究 ・国民の栄養その他国民の食生活に関する調査及び研究 |
労働安全衛生総合研究所 | 厚生労働省 | 18.4 | ・事業場における災害の予防 ・労働者の健康の保持増進及び職業性疾病の病因、診断、予防その他の職業性疾病に係る事項に関する総合的な調査及び研究 |
国立病院機構 | 厚生労働省 | 16.4 | ・医療の提供 ・医療に関する調査及び研究並びに技術者の研修 |
医薬基盤研究所 | 厚生労働省 | 17.4 | ・医薬品及び医療機器等並びに薬用植物その他の生物資源の開発に資することとなる共通的な研究 ・民間等において行われる研究及び開発の振興 |
農林水産消費安全技術センター | 農林水産省 | 19.4 | ・農林水産物、飲食料品及び油脂の品質及び表示に関する調査及び分析、日本農林規格又は農林物資の品質に関する表示の基準が定められた農林物資の検査 ・肥料、農薬、飼料及び飼料添加物並びに土壌改良資材の検査 |
種苗管理センター | 農林水産省 | 13.4 | ・農林水産植物の品種登録に係る栽培試験、農作物の種苗の検査、ばれいしょ及びさとうきびの増殖に必要な種苗の生産及び配布 |
家畜改良センター | 農林水産省 | 13.4 | ・家畜の改良及び増殖並びに飼養管理の改善、飼料作物の増殖に必要な種苗の生産及び配布 |
水産大学校 | 農林水産省 | 13.4 | ・水産に関する学理及び技術の教授及び研究 |
農業生物資源研究所 | 農林水産省 | 13.4 | ・生物資源の農業上の開発及び利用に関する技術上の基礎的な調査及び研究 ・昆虫その他の無脊椎動物の農業上の利用に関する技術上の試験及び研究 |
農業環境技術研究所 | 農林水産省 | 13.4 | ・農業生産の対象となる生物の生育環境に関する技術上の基礎的な調査及び研究 |
国際農林水産業研究センター | 農林水産省 | 13.4 | ・熱帯又は亜熱帯に属する地域等における農林水産業に関する試験及び研究 |
森林総合研究所 | 農林水産省 | 13.4 | ・森林及び林業に関する総合的な試験及び研究 ・林木の優良な種苗の生産及び配布 |
経済産業研究所 | 経済産業省 | 13.4 | ・内外の経済及び産業に関する事情並びに経済産業政策に関する基礎的な調査及び研究 |
工業所有権情報・研修館 | 経済産業省 | 13.4 | ・発明、実用新案、意匠及び商標に関する情報の収集、整理及び提供 ・特許庁の職員その他の工業所有権に関する業務に従事する者に対する研修 |
日本貿易保険 | 経済産業省 | 13.4 | ・対外取引において生ずる通常の保険によって救済することができない危険の保険 |
産業技術総合研究所 | 経済産業省 | 13.4 | ・鉱工業の科学技術に関する研究及び開発、地質の調査、計量の標準の設定、計量器の検定、検査、研究及び開発並びに計量に関する教習並びにこれらに係る技術指導及び成果の普及 ・技術経営力の強化に寄与する人材の養成及びその活用の促進 |
製品評価技術基盤機構 | 経済産業省 | 13.4 | ・工業製品等に関する技術上の評価 ・工業製品等の品質に関する情報の収集、評価、整理、提供 |
土木研究所 | 国土交通省 | 13.4 | ・土木に係る技術に関する調査、試験、研究及び開発並びに指導及び成果の普及 |
建築研究所 | 国土交通省 | 13.4 | ・建築及び都市計画に係る技術に関する調査、試験、研究及び開発並びに指導及び成果の普及 |
交通安全環境研究所 | 国土交通省 | 13.4 | ・陸上運送及び航空運送に係る技術に関する試験、調査、研究及び開発 |
海上技術安全研究所 | 国土交通省 | 13.4 | ・船舶に係る技術並びに当該技術を活用した海洋の利用及び海洋汚染の防止に係る技術に関する調査、研究及び開発 |
港湾空港技術研究所 | 国土交通省 | 13.4 | ・港湾及び空港の整備等に関する調査、研究及び技術の開発 |
電子航法研究所 | 国土交通省 | 13.4 | ・電子航法に関する試験、調査、研究及び開発 |
航海訓練所 | 国土交通省 | 13.4 | ・国立大学、海技教育機構等の学生等に対する航海訓練 |
海技教育機構 | 国土交通省 | 18.4 | ・船員に対する船舶の運航に関する学術及び技能の教授 |
航空大学校 | 国土交通省 | 13.4 | ・航空機の操縦に従事する者の養成 |
自動車検査 | 国土交通省 | 14.7 | ・自動車が保安基準に適合するかどうかの審査 |
国立環境研究所 | 環境省 | 13.4 | ・地球環境保全、公害の防止、自然環境の保護及び整備に関する調査及び研究 |
駐留軍等労働者労務管理機構 | 防衛省 | 14.4 | ・駐留軍等及び諸機関のために労務に服する者の雇入れ、提供、労務管理、給与及び福利厚生 |
法人名 | 主務省 | 設立年月 | 主な業務の内容 |
国民生活センター | 内閣府 | 平成 15.10 |
・国民生活に関する情報の提供及び調査研究 |
北方領土問題対策協会 | 内閣府 | 15.10 | ・北方領土問題についての国民世論の啓発、調査、研究 ・北方地域に生活の本拠を有していた者に対する援護 |
情報通信研究機構 | 総務省 | 16.4 | ・情報の電磁的流通及び電波の利用に関する技術の研究及び開発 ・高度通信・放送研究開発を行う者に対する支援 ・通信・放送事業分野に属する事業の振興 |
平和祈念事業特別基金 | 総務省 | 15.10 | ・いわゆる恩給欠格者、戦後強制抑留者、引揚者等の関係者の労苦について国民の理解を深めることなどにより関係者に対し慰藉の念を示す事業 |
国際協力機構 | 外務省 | 15.10 | ・開発途上にある海外の地域に対する技術協力の実施 ・無償の資金供与による開発途上地域の政府に対する国の協力の実施の促進 ・開発途上地域の住民を対象とする国民等の協力活動の促進 |
国際交流基金 | 外務省 | 15.10 | ・国際文化交流事業 |
通関情報処理センター | 財務省 | 15.10 | ・国際貨物業務に必要な電子情報処理組織の運営 |
日本万国博覧会記念機構 | 財務省 | 15.10 | ・日本万国博覧会の跡地の整備、運営、日本万国博覧会記念基金の管理 |
科学技術振興機構 | 文部科学省 | 15.10 | ・新技術の創出に資することとなる科学技術に関する基礎研究、基盤的研究開発、新技術の企業化開発 ・科学技術情報の流通 |
日本学術振興会 | 文部科学省 | 15.10 | ・学術研究の助成、研究者の養成のための資金の支給、学術に関する国際交流の促進 |
理化学研究所 | 文部科学省 | 15.10 | ・科学技術に関する試験及び研究 |
宇宙航空研究開発機構 | 文部科学省 | 15.10 | ・宇宙科学に関する学術研究、宇宙科学技術に関する基礎研究及び宇宙に関する基盤的研究開発 ・人工衛星等の開発、打上げ、追跡及び運用 ・航空科学技術に関する基礎研究及び航空に関する基盤的研究開発 |
日本スポーツ振興センター | 文部科学省 | 15.10 | ・スポーツ施設の運営、スポーツの振興のために必要な援助 ・児童生徒等の災害に関する必要な給付 |
日本芸術文化振興会 | 文部科学省 | 15.10 | ・芸術家及び芸術に関する団体が行う芸術の創造等に対する援助 ・我が国古来の伝統的な芸能の公開、伝承者の養成、調査研究 ・我が国における現代の舞台芸術の公演、実演家等の研修、調査研究 |
日本学生支援機構 | 文部科学省 | 16.4 | ・経済的理由により修学に困難がある優れた学生等に対する学資の貸与 ・留学生等に対する奨学金の給付 ・各種留学生交流プログラムの実施、留学生宿舎の整備 ・学生生活支援に関する有益な活動事例の情報収集・分析、情報の提供 |
海洋研究開発機構 | 文部科学省 | 16.4 | ・海洋に関する基盤的研究開発、海洋に関する学術研究に関する協力 |
日本原子力研究開発機構 | 文部科学省 | 17.10 | ・原子力に関する基礎的研究及び応用の研究 ・核燃料サイクルを確立するための高速増殖炉及びこれに必要な核燃料物質の開発 ・核燃料物質の再処理技術及び高レベル放射性廃棄物の処分技術の開発 |
勤労者退職金共済機構 | 厚生労働省 | 15.10 | ・中小企業の従業員に係る退職金共済制度の運営 |
高齢・障害者雇用支援機構 | 厚生労働省 | 15.10 | ・高年齢者等を雇用する事業主等に対する給付金の支給 ・障害者の職業生活における自立を促進するための施設の設置及び運営 |
福祉医療機構 | 厚生労働省 | 15.10 | ・社会福祉事業施設及び病院、診療所等の設置等に必要な資金の融通並びにこれらの施設に関する経営指導、社会福祉事業に関する必要な助成、社会福祉施設職員等退職手当共済制度の運営、心身障害者扶養保険事業 ・厚生年金保険制度、船員保険制度、国民年金制度及び労働者災害補償保険制度に基づき支給される年金たる給付の受給権を担保としての小口の資金の貸付け |
国立重度知的障害者総合施設のぞみの園 | 厚生労働省 | 15.10 | ・重度の知的障害者に対する自立のための先導的かつ総合的な支援の提供 ・知的障害者の支援に関する調査及び研究 |
労働政策研究・研修機構 | 厚生労働省 | 15.10 | ・内外の労働に関する事情及び労働政策についての総合的な調査及び研究 ・厚生労働省の労働に関する事務を担当する職員等に対する研修 |
雇用・能力開発機構 | 厚生労働省 | 16.3 | ・雇用管理の改善に対する援助、公共職業能力開発施設の設置及び運営 |
労働者健康福祉機構 | 厚生労働省 | 16.4 | ・療養施設、健康診断施設及び労働者の健康に関する業務を行う者に対して研修、情報の提供、相談その他の援助を行うための施設の設置及び運営 |
医薬品医療機器総合機構 | 厚生労働省 | 16.4 | ・医薬品の副作用又は生物由来製品を介した感染等による健康被害の迅速な救済 ・医薬品等の品質、有効性及び安全性の向上に資する審査 ・医薬品等の品質、有効性及び安全性に関する情報の収集、整理及び提供 |
年金積立金管理運用 | 厚生労働省 | 18.4 | ・厚生労働大臣から寄託された積立金の管理及び運用 |
農業・食品産業技術総合研究機構 | 農林水産省 | 18.4 | ・農業及び食品産業に関する技術上の総合的な試験及び研究 ・民間等において行われる生物系特定産業技術に関する試験及び研究の促進 ・近代的な農業経営に関する学理及び技術の教授 ・農業機械化の促進に資するための農機具の改良に関する試験及び研究 |
水産総合研究センター | 農林水産省 | 13.4 | ・水産に関する技術の向上に寄与するための総合的な試験及び研究 ・さけ類及びます類のふ化及び放流 ・海洋水産資源の開発及び利用の合理化のための調査 |
農畜産業振興機構 | 農林水産省 | 15.10 | ・主要な畜産物の価格の安定、主要な野菜の生産及び出荷の安定 ・砂糖及びでん粉の価格調整 ・畜産業及び野菜農業の振興に資するための事業の経費の補助、生糸の輸入に係る調整(注) |
農業者年金基金 | 農林水産省 | 15.10 | ・農業者の老齢について必要な年金等の給付 |
農林漁業信用基金 | 農林水産省 財務省 |
15.10 | ・農業信用基金協会、漁業信用基金協会が行う債務保証等の保険、農業信用基金協会、漁業信用基金協会の業務に必要な資金の融通 ・林業者等の資金の借入れ等に係る債務の保証、農業共済団体等の保険事業等、漁業共済団体の漁業共済事業等に係る支払に関して必要とする資金の貸付け |
緑資源機構 | 農林水産省 | 15.10 | ・豊富な森林資源を開発するために必要な林道の開設及び改良 ・水源をかん養するために必要な森林の造成に係る事業及びこれと一体として農用地、土地改良施設等を整備する事業 |
新エネルギー・産業技術総合開発機構 | 経済産業省 | 15.10 | ・石油代替エネルギーに関する技術及びエネルギー使用合理化のための技術並びに鉱工業の技術に関し、民間の能力を活用して行う研究開発 ・民間において行われる研究開発の促進 |
日本貿易振興機構 | 経済産業省 | 15.10 | ・我が国の貿易の振興に関する事業 ・アジア地域等の経済等についての基礎的かつ総合的な調査研究 |
情報処理推進機構 | 経済産業省 | 16.1 | ・プログラムの開発及び利用の促進 ・情報処理に関する安全性及び信頼性の確保 ・情報処理サービス業等を営む者に対する助成 ・情報処理に関して必要な知識及び技能の向上 |
石油天然ガス・金属鉱物資源機構 | 経済産業省 | 16.2 | ・石油及び可燃性天然ガスの探鉱等並びに金属鉱物の探鉱に必要な資金の供給、石油及び可燃性天然ガス資源並びに金属鉱物資源の開発の促進 ・石油及び金属鉱産物の備蓄 ・金属鉱業等による鉱害の防止に必要な資金の貸付け |
中小企業基盤整備機構 | 経済産業省 | 16.7 | ・中小企業者その他の事業者の事業活動に必要な助言、研修、資金の貸付け、出資、助成及び債務の保証 ・地域における施設の整備 ・共済制度の運営 |
鉄道建設・運輸施設整備支援機構 | 国土交通省 | 15.10 | ・鉄道の建設等に関する業務及び鉄道事業者、海上運送事業者等による運輸施設の整備を促進するための助成 |
国際観光振興機構 | 国土交通省 | 15.10 | ・海外における観光宣伝、外国人観光旅客に対する観光案内 |
水資源機構 | 国土交通省 | 15.10 | ・水資源の開発又は利用のための施設の改築、水資源開発施設等の管理 |
自動車事故対策機構 | 国土交通省 | 15.10 | ・自動車の運行の安全の確保に関する事項を処理する者に対する指導 ・自動車事故による被害者に対しその身体的又は財産的被害の回復に資する支援 |
空港周辺整備機構 | 国土交通省 | 15.10 | ・空港周辺整備計画の実施等による、周辺整備空港の周辺地域における航空機の騒音により生ずる障害の防止及び軽減、生活環境の改善 |
海上災害防止センター | 国土交通省 | 15.10 | ・海上災害の発生及び拡大の防止のための措置、海上防災のための措置に必要な船舶、機械器具及び資材の保有、海上防災のための措置に関する訓練 |
都市再生機構 | 国土交通省 | 16.7 | ・市街地の整備改善及び賃貸住宅の供給の支援 ・都市基盤整備公団から承継した賃貸住宅等の管理 |
奄美群島振興開発基金 | 国土交通省 財務省 |
16.10 | ・奄美群島振興開発計画に基づく事業に必要な資金の供給 |
日本高速道路保有・債務返済機構 | 国土交通省 | 17.10 | ・高速道路に係る道路資産の保有、高速道路会社に対する貸付け、承継債務その他の高速道路の新設、改築等に係る債務の返済 |
住宅金融支援機構 | 国土交通省 財務省 |
19.4 | ・一般の金融機関による住宅の建設等に必要な資金の融通を支援するための貸付債権の譲受け ・良質な住宅の建設等に必要な資金の調達等に関する情報の提供 ・一般の金融機関による融通を補完するための災害復興建築物の建設等に必要な資金の貸付け |
環境再生保全機構 | 環境省 | 16.4 | ・公害に係る健康被害の補償及び予防 ・民間団体が行う環境の保全に関する活動の支援 ・ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理の円滑な実施の支援 ・維持管理積立金の管理 ・石綿による健康被害の救済 |
法人名 | 主務省 | 設立年月 | 主な業務の内容 |
沖縄科学技術研究基盤整備機構 | 内閣府 | 平成 17.9 |
・沖縄振興計画に基づく大学院を置く大学の設置の準備 |
郵便貯金・簡易生命保険管理機構 | 総務省 | 19.10 | ・日本郵政公社から承継した郵便貯金及び簡易生命保険の管理、債務の履行 |
年金・健康保険福祉施設整理機構 | 厚生労働省 | 17.10 | ・年金福祉施設等の譲渡又は廃止 |
原子力安全基盤機構 | 経済産業省 | 15.10 | ・原子力施設及び原子炉施設に関する検査 |
イ 独立行政法人の統廃合及び勘定の改廃による業務の状況
(ア) 独立行政法人の統廃合による業務の状況
前記のとおり、主務大臣は、中期目標の期間の終了時において、独立行政法人の組織及び業務の全般にわたる検討を行い、その検討結果を業務運営の方法、組織の在り方等に反映するよう所要の措置を講ずることとされている。これまでの主務大臣による見直しに基づいて、20年3月末までに統廃合された独立行政法人の状況は、表3のとおりである。すなわち、統廃合の対象とされた23法人は9法人に整理されて、14法人が削減されているが、統廃合された法人が行っていた業務の状況をみると、22法人は統合先法人に承継されており、1法人(消防研究所)は国に再度移管されている。
上記について事例を示すと次のとおりである。
<事例>
〔1〕 消防研究所は、平成13年4月に消防庁が直接行っていた業務を実施させるため独立行政法人として設立され、消防の科学技術に関する研究等の業務を行っていたが、中期目標期間終了時の主務大臣による組織等の見直しなどの結果に基づき、18年4月に廃止された。そして、これに伴い、同研究所が行っていた上記の業務は、消防庁の消防大学校に新設された消防研究センターに移管された。
上記業務の移管に当たっては、消防大学校との内部管理業務の統合や研究領域の縮小等が行われたほか、同研究所の廃止時点における職員数51名の5割を削減するとされたことから、25名(49.0%)が消防研究センターに採用された。
なお、残りの26名(50.9%)の職員のうち、5名は退職しており、21名は消防研究センター以外の4機関で採用されているが、当該4機関においては、これに伴う定員の増加は行われていない。
統廃合年月 | 統廃合された法人(23法人) | 業務を承継、移管された法人等(9法人、国) | |||
名称 | 主な業務の内容 | ||||
|
消防研究所 | ・消防の科学技術に関する研究、調査及び試験 | 消防研究センター(国) | ||
18.4 | 国立オリンピック記念青少年総合センター | ・青少年教育関係者等に対する研修 ・青少年教育に関する施設及び団体相互間の連絡及び協力の促進 ・青少年教育に関する団体に対する助成金の交付 |
国立青少年教育振興機構 | ||
国立青年の家 | ・青年の団体宿泊訓練を行うとともに、その設置する施設を青年の団体宿泊訓練のための利用に供すること | ||||
国立少年自然の家 | ・少年を自然に親しませつつ行う団体宿泊訓練を行うとともに、その設置する施設を少年の団体宿泊訓練のための利用に供すること | ||||
18.4 | 産業安全研究所 | ・事業場における災害の予防に関する調査及び研究 | 労働安全衛生総合研究所 | ||
産業医学総合研究所 | ・労働者の健康の保持増進及び職業性疾病の病因、診断、予防その他の職業性疾病に係る事項に関する総合的な調査及び研究 | ||||
18.4 | 農業・生物系特定産業技術研究機構 | ・農業に関する技術上の試験及び研究 ・民間において行われる生物系特定産業技術に関する試験及び研究に必要な資金の出資及び貸付け ・農業機械化の促進に資するための農機具の改良に関する試験及び研究 |
農業・食品産業技術総合研究機構 | ||
農業工学研究所 | ・農業土木その他の農業工学に係る技術に関する試験及び研究 | ||||
食品総合研究所 | ・食料に係る資源の利用並びに食品の加工及び流通に関する試験及び研究 | ||||
農業者大学校 | ・青年である農業者に対する近代的な農業経営に関する学理及び技術の教授 | ||||
18.4 | 水産総合研究センター | ・水産に関する総合的な試験及び研究 ・海洋水産資源の開発及び利用の合理化のための調査 |
水産総合研究センター | ||
さけ・ます資源管理センター | ・さけ類及びます類のふ化及び放流 | ||||
18.4 | 土木研究所 | ・土木に係る建設技術に関する調査、試験、研究及び開発並びに指導及び成果の普及 | 土木研究所 | ||
北海道開発土木研究所 | ・北海道開発局の所掌事務に関連する土木技術に関する調査、試験、研究及び開発 | ||||
18.4 | 海技大学校 | ・船員に対する船舶の運航に関する高度の学術及び技能の教授 | 海技教育機構 | ||
海員学校 | ・海員の養成 | ||||
19.4 | 国立博物館 | ・博物館を設置して、有形文化財を収集し、保管して公衆の観覧に供するとともに、これに関連する調査及び研究並びに教育及び普及の事業を行うこと | 国立文化財機構 | ||
文化財研究所 | ・文化財に関する調査及び研究並びにこれに基づく資料の作成及びその公表 | ||||
19.4 | 農林水産消費技術センター | ・農林水産物、飲食料品及び油脂の品質及び表示に関する調査及び分析 ・日本農林規格又は農林物資の品質に関する表示の基準が定められた農林物資の検査 |
農林水産消費安全技術センター | ||
肥飼料検査所 | ・肥料、飼料及び飼料添加物並びに土壌改良資材の検査 | ||||
農薬検査所 | ・農薬の検査 | ||||
19.4 | 森林総合研究所 | ・森林及び林業に関する総合的な試験及び研究 | 森林総合研究所 | ||
林木育種センター | ・林木の育種事業及びこれにより生産された種苗の配布 |
(イ) 勘定の改廃による業務の状況
独立行政法人の中には、個別法の規定により当該法人の特定の業務に係る経理とその他の業務に係る経理との区分(以下、区分した経理単位を「勘定」という。)が義務付けられているものがある。
検査の対象とした102法人について、法人設立時から20年3月末までに、業務の追加又は廃止により、新たな勘定の設置又は既存の勘定の廃止が行われたものの状況をみると、表4のとおりであり、8勘定が新たに設置されて、既存の13勘定が廃止されている。
独立行政法人 | 追加された業務と事由 | 設置年月 | 新たに設置された勘定(8勘定) | 組織体制への影響 | |
名称 | 設立年月 | ||||
福祉医療機構 | 平成 15.10 |
労働福祉事業団が行っていた、労働者災害補償保険制度に基づく年金の支払を受けている者に、生業、住居、冠婚葬祭、医療等に必要な資金を融資する事業を、個別法の改正により追加 | 16.4 | 労災年金担保貸付 | 年金貸付課労災係設置 |
年金資金運用基金が行っていた年金被保険者に対する年金住宅融資等に係る債権の管理及び回収の業務を、個別法の改正により追加 | 18.4 | 承継債権管理回収 | 住宅指導課、住宅債権課及び住宅収納課設置 | ||
年金資金運用基金が行っていた、年金被保険者に対して、国民生活金融公庫等が行う子弟の教育費のための融資をあっせんする業務を、個別法の改正により追加 | 18.4 | 承継教育資金貸付けあっせん | 住宅指導課教育あっせん係設置 | ||
医薬品医療機器総合機構 | 16.4 | 特定フィブリノゲン製剤等によるC型肝炎感染被害者に対する給付金の支給業務、及び原因企業からの拠出金徴収業務を、個別法の改正により追加 | 20.1 | 特定救済 | 特定救済課設置 |
水産総合研究センター | 13.4 | 海洋水産資源開発センターが行っていた、海洋の新漁場における漁業生産の企業化のための調査、海洋水産資源の開発及び利用の合理化のための調査等の業務を、個別法の改正により追加 | 15.10 | 海洋水産資源開発 | 開発調査部設置 |
農畜産業振興機構 | 15.10 | 輸入でん粉等から調整金を徴収するとともに、でん粉原料用いも生産者に対するでん粉原料用いも交付金及びでん粉製造事業者に対する国内産いもでん粉交付金を交付する業務を、個別法の改正により追加 | 19.4 | でん粉 | 特産業務第一部及び特産業務第二部設置 |
新エネルギー・産業技術総合開発機構 | 15.10 | 産業基盤整備基金が行っていたリサイクル設備等の設置又は改善を行う事業者の借入れに係る債務保証業務を、個別法の改正により追加 | 16.7 | 特定事業活動等促進経過 | なし |
環境再生保全機構 | 16.4 | 石綿による健康被害者に対する救済業務を、個別法の改正により追加 | 18.3 | 石綿健康被害救済業務 | 石綿健康被害救済部設置 |
独立行政法人 | 廃止された業務と事由 | 廃止年月 | 廃止された勘定 (13勘定) |
組織体制への影響 | |
名称 | 設立年月 | ||||
日本スポーツ振興センター | 平成 15.10 |
学校給食用物資(脱脂粉乳)の外国からの買入れ、学校給食会への売渡し、その間の倉庫保管、輸送、検査等を行う事業を、個別法の規定により廃止 | 18.3 | 特例業務 | 特例業務室を廃止 |
雇用・能力開発機構 | 16.3 | 炭鉱離職者の職業及び生活の安定を図るための援護業務を、個別法の規定により廃止 | 17.3 | 炭鉱援護 | なし |
医薬品医療機器総合機構 | 16.4 | 研究開発振興業務を、独立行政法人医薬基盤研究所法(平成16年法律第135号)の規定により医薬基盤研究所へ移管 | 17.3 | 研究振興 | 研究振興部を移管 |
17.3 | 開発振興 | ||||
17.3 | 承継 | ||||
新エネルギー・産業技術総合開発機構 | 15.10 | 研究基盤施設を整備してこれを産業技術に関する研究開発を行う者の共用に供するために必要な資金を供給するための出資により旧新エネルギー・産業技術総合開発機構が取得した株式の処分等を行う業務を、個別法の規定により廃止 | 18.4 | 研究基盤出資経過 | なし |
アルコールの製造事業、特定アルコールの販売事業及び一般アルコールの販売事業を、アルコール事業法(平成12年法律第36号)の規定により日本アルコール産業株式会社へ移管 | 18.4 | 特定アルコール販売 | アルコール事業本部を廃止 | ||
18.4 | アルコール製造 | ||||
18.4 | 一般アルコール販売 | ||||
情報処理推進機構 | 16.1 | 情報処理振興事業協会が行っていた、教材を開発する業務により開発されたIT人材育成用教材の、提供の対価の回収に係る業務を、個別法の規定により廃止 | 16.3 | 地域ソフトウェア教材開発承継 | なし |
情報処理振興事業協会が行っていた、高度プログラム安定供給事業により開発された特定プログラムの、提供の対価の回収に係る業務を、個別法の規定により廃止 | 20.1 | 特定プログラム開発承継 | なし | ||
石油天然ガス・金属鉱物資源機構 | 16.2 | 国内における金属鉱物の探鉱を目的として、金属鉱物の鉱床の存在状況を明らかにするための調査に係る業務を、個別法の規定により廃止 | 19.4 | 金属鉱業精密調査 | なし |
都市再生機構 | 16.7 | 北総・公団線(小室〜印旛日本医大間(12.5km))における鉄道事業を千葉ニュータウン鉄道株式会社へ譲渡 | 16.9 | 鉄道 | なし |
(ア) 目標設定と評価の概要
「特殊法人等の廃止・民営化等及び独立行政法人の設立等に当たっての基本方針について」(平成14年10月特殊法人等改革推進本部決定)によれば、独立行政法人の運営について、主務大臣は一般的に関与せず、基本的に長の裁量にゆだねられていることから、独立行政法人が所期の成果を挙げるためには、的確な中期目標の設定と厳正な評価が極めて重要であるとされている。そして、主務大臣は、このような独立行政法人制度の特色を踏まえて、明確かつ具体的な中期目標を設定することとするとされている。
独立行政法人の各年度及び中期目標の期間における業務の実績については、前記のとおり、評価委員会による評価が行われている。この評価の基準はそれぞれの評価委員会が定めており、中期目標や中期計画に掲げられた項目ごとに3段階又は5段階で行う評価と、その項目ごとの評価を総合して記述する評価とによって行うこととしているものが多い。
この評価の項目として用いられる中期目標において設定される法人の達成すべき目標については、独立行政法人の中期目標等の策定指針(平成15年4月特殊法人等改革推進本部事務局。以下「策定指針」という。)が取りまとめられている。策定指針によると、明確かつ具体的な中期目標であるために定量的かつ高水準の目標設定や業務全体を評価できるような目標設定が必要であるとされており、「業務運営の効率化に関する事項」、「国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項」及び「財務内容の改善に関する事項」に関して、「明確かつ具体的な中期目標」の考え方を整理している。そして、特に、「財務内容の改善に関する事項」については、バランスシートの健全性の向上、収支構造の改善、累積欠損金の計画的解消等に関するものは定量的な目標設定になじみやすい分野であるとされている。
(イ) 繰越欠損金が多額となっている業務の状況
各独立行政法人における繰越欠損金の状況については、「(2)カ 利益剰余金及び繰越欠損金の状況」で詳述するが、本項では、上記を踏まえて、繰越欠損金が多額となっている勘定に係る業務について繰越欠損金の解消に向けての目標設定等の状況について分析する。
17、18両年度末においてそれぞれ繰越欠損金が100億円以上となっている法人・勘定は、表5のとおり、13法人15勘定(勘定を設けずに業務を経理している法人については1勘定としている。以下同じ。)である。
表5 繰越欠損金が100億円以上となっている法人・勘定(13法人15勘定)の業務の状況
(平成18年度末現在)
(単位:億円)
法人名 | 勘定名 | 繰越欠損金 | 業務内容 | |
平成18年度末 | 対前年度増減額 | |||
中小企業基盤整備機構 | 小規模企業共済 | 4,953 | △932 | 小規模企業共済事業及び小規模企業共済契約者に対する資金の貸付事業 |
都市再生機構 | 都市再生 | 3,480 | △517 | 賃貸住宅業務及び既成市街地整備改善業務 |
都市再生機構 | 宅地造成等経過 | 1,475 | △437 | 市街地整備特別業務、公園特別業務及び分譲住宅特別業務 |
科学技術振興機構 | 文献情報提供 | 754 | 12 | 科学技術に関する論文その他の文献に係る情報を抄録その他の容易に検索することができる形式で提供することを目的として行う業務及びこれに附帯する業務 |
農畜産業振興機構 | 砂糖 | 500 | △341 | 輸入に係る指定糖及び異性化糖等の売買業務、国内産糖交付金の交付業務及び砂糖生産振興事業に対する補助業務等 |
情報通信研究機構 | 基盤技術研究促進 | 480 | 36 | 情報通信分野における基盤技術研究の民間への委託業務 |
福祉医療機構 | 保険 | 424 | 36 | 地方公共団体が心身障害者扶養共済制度の加入者に対して負う共済責任を保険する等の事業 |
新エネルギー・産業技術総合開発機構 | 基盤技術研究促進 | 414 | 22 | 民間において行われる鉱工業基盤技術に関する試験研究を促進するための業務 |
情報処理推進機構 | 特定プログラム開発承継 | 377 | 0 | 情報処理振興事業協会が行っていた、高度プログラム安定供給事業により開発された特定プログラムの、提供の対価の回収に係る業務 |
雇用・能力開発機構 | 財形 | 274 | △53 | 勤労者の計画的な財産形成を促進するための財産形成持家資金等の貸付け等の事業 |
日本スポーツ振興センター | 投票 | 264 | △28 | スポーツ振興投票の実施等の業務 |
医薬基盤研究所 | 承継 | 256 | 1 | 医薬品医療機器総合機構から承継した株式の処分並びに債権の管理及び回収の業務 |
労働者健康福祉機構 | - | 240 | 40 | 療養施設、健康診断施設及び労働者の健康に関する業務を行う者に対して研修、情報の提供、相談その他の援助を行うための施設の設置及び運営の業務 |
中小企業基盤整備機構 | 施設整備等 | 188 | △9 | 地域における新事業創出等のための事業用地の造成、管理、賃貸及び譲渡等の業務 |
勤労者退職金共済機構 | 一般の中小企業退職金共済事業等 | 141 | △713 | 中小企業の従業員に係る退職金共済業務 |
繰越欠損金の解消については、各法人の中期目標のうち、「財務内容の改善に関する事項」において目標が設定されることになる。上記13法人15勘定の中には、繰越欠損金の解消に向けて計画的に取り組んでいるとしているものもあるが、これら勘定のうち18年度末現在で廃止が予定されている3法人3勘定(注2 )を除いた11法人12勘定について、繰越欠損金解消に係る目標設定等の状況を示すと表6のとおりである。
(中期目標に繰越欠損金の解消に向けての目標設定があるもの)<4法人4勘定>
(単位:億円)
法人名 | 勘定名 | 中期目標 | 繰越欠損金 | 18年度評価(参考) | ||||
平成18年度末 | 対前年度増減額 | 段階 | 記述 | |||||
都市再生機構 | 都市再生 | 繰越欠損金については、第三期中期目標期間中に解消することとして、計画的に削減する。 | 3,480 | △517 |
|
中期目標の達成に向けて特筆すべき優れた実施状況にあると認められる。 | ||
雇用・能力開発機構 | 財形 | 財形融資業務については、収益改善等に関する具体的な計画を策定の上、累積欠損の解消に向けて、当該計画を着実に実行するとともに、適正な債権管理に努める。 | 274 | △53 |
|
中期計画におおむね合致している。 | ||
日本スポーツ振興センター | 投票 | スポーツ振興投票等業務に係る財務内容の健全化を図るため、投票勘定における繰越欠損金の解消を計画的に行う。 | 264 | △28 |
|
中期計画の履行が遅れており、中期目標達成のためには業務の改善が必要である。 | ||
勤労者退職金共済機構 | 一般の中小企業退職金共済事業等 | 累積欠損金を承継した事業においては、収益改善・経費節減等に関する具体的な計画を策定の上、累積欠損金の解消に向けて、当該計画を着実に実行する。 | 141 | △713 |
|
中期計画におおむね合致している。 |
(中期目標に収支改善についての目標設定があるもの)<3法人4勘定>
(単位:億円)
法人名 | 勘定名 | 中期目標 | 繰越欠損金 | 18年度評価(参考) | ||||
平成18年度末 | 対前年度増減額 | 段階 | 記述 | |||||
中小企業基盤整備機構 | 小規模企業共済 | 累積欠損金を承継した勘定については、収支を改善するための取組を着実に実行する。 | 4,953 | △932 |
|
質・量の両面においておおむね中期計画を達成 | ||
施設整備等 | 188 | △9 | ||||||
科学技術振興機構 | 文献情報提供 | 文献情報提供勘定については、新たな経営改善計画を策定して、自己収入の増加を図り、効率的な業務運営に取り組むことにより、平成21年度までに単年度黒字化を達成するとともに、継続的な収益性の改善に努める。 | 754 | 12 |
|
中期計画どおり、又は中期計画を上回って履行し、中期目標に向かって順調、又は中期目標を上回るペースで実績を上げている。 | ||
労働者健康福祉機構 | - | 独立行政法人移行後の労災病院においては、勤労者医療の中核的役割を的確に果たしていくため、中期目標期間中において、計画的に経営改善を図り、経営基盤を確立して、収支相償(損益均衡)を目指す。 | 240 | 40 |
|
中期計画を上回っている。 |
(中期目標に繰越欠損金の解消や収支改善についての目標設定がないもの)<4法人4勘定>
(単位:億円)
法人名 | 勘定名 | 中期目標 | 繰越欠損金 | 18年度評価(参考) | ||||
平成18年度末 | 対前年度増減額 | 段階 | 記述 | |||||
農畜産業振興機構 | 砂糖 | 中期目標期間における予算、収支計画及び資金計画を適正に計画するとともに、効率的に執行することにより、適切な財務内容の実現を図る。 | 500 | △341 |
|
順調に行われている。 | ||
情報通信研究機構 | 基盤技術研究促進 | 基盤技術研究の委託については、採択時において収益の可能性のある場合等に限定するとともに、中間評価において一定の基準を満たさないものは、研究開発の中止又は研究計画の変更を行い、委託研究開発からの収益納付の可能性を高める。 | 480 | 36 |
|
中期目標を十分達成 | ||
福祉医療機構 | 保険(注) | - | 424 | 36 | - | - | ||
新エネルギー・産業技術総合開発機構 | 基盤技術研究促進 | 産業投資特別会計から出資を受けて実施する業務については、採択時において収益の可能性のある場合等に限定するとともに、実施段階において必要に応じて収益改善に向けた取組を行うものとする。 | 414 | 22 |
|
質・量の両面においておおむね中期計画を達成 |
4法人4勘定は、中期目標において繰越欠損金の解消に向けての目標が設定されているものの、定量的な目標の設定が行われていない。
一方、3法人4勘定は、中期目標において収支改善についての目標が設定されているものの、上記の4法人4勘定とは異なり、明確に繰越欠損金の解消をうたったものとはなっていない。
また、残りの4法人4勘定は、繰越欠損金の解消や収支改善についての目標が設定されていないが、このうち農畜産業振興機構の砂糖勘定及び福祉医療機構の保険勘定の2法人2勘定については、これらの勘定に係る業務の性質上、法人の努力により繰越欠損金の解消を図ることが困難であるため、こうした目標を設定していないとしている。
このように、多額の繰越欠損金がある法人・勘定に係る中期目標は、繰越欠損金の解消に向けて設定されたものもあるが、当該勘定の収益等の改善を目標として設定したにとどまったり、繰越欠損金の解消や収支改善についての目標を設定していなかったりなどしていて、必ずしも、策定指針にいう定量的かつ高水準の目標設定とはなっていない状況である。そして、中期目標の設定とその達成状況の評価については、中期目標の期間が終了しなければ詳細な分析はできないが、評価委員会による18年度の年度評価の状況をみると、繰越欠損金が前年度に比べて増加している法人・勘定においても、中期目標又は中期計画を達成しているなどとしている状況である。