前記のとおり、年金記録問題発生の経緯、原因、責任の所在等についての調査・検証を行う検証委員会が設置されている。
検証委員会報告書によれば、年金記録問題発生の根本にある問題として、「年金記録問題発生の根本は、厚生労働省及び社会保険庁の年金記録管理に関する基本的姿勢にある。この姿勢が、年金記録の正確性確保に対する社会保険庁の認識不足や、問題を多く含んだ「裁定時主義」を中心とした業務の遂行につながった。」こと、「厚生労働省及び社会保険庁の基本的姿勢として、国民の大切な年金に関する記録を正確に作成し、保管・管理するという組織全体としての使命感、国民の信任を受けて業務を行うという責任感が、厚生労働省及び社会保険庁に決定的に欠如していたことが、年金記録問題発生の根本にある問題であったと考える。」ことなどが挙げられている。
そして、年金記録問題発生の直接的な要因として、「約5,000万件の年金記録が未統合のまま残った原因として、次のようなことが推定できる。」として、「「生存の可能性が高いことが判明した者の記録」(略)については、a)社会保険庁は、平成10年度から18年度にかけて、複数の年金手帳記号番号を持っていると思われる55歳(略)までの被保険者(略)に対して、順次確認の照会を行った。しかし、56歳(略)以上の者に対しては、数年のうちに裁定請求がなされることになるのでその時に処理できると考え、これを実施しなかったこと」などが原因と考えられるとされている。
年金記録問題発生の間接的な要因として、「社会保険庁は、三層構造(注7)
に伴う問題、職員団体の問題、地方事務官制度に係る問題等の結果、組織としてのガバナンスが決定的に欠如していた。また、人事政策や人材育成上の取組が不十分であった。地方組織は都道府県ごとの過度の独自性を主張し、全国統一的な業務処理の視点が欠けていた。」ことなどが挙げられている。
また、「年金記録の正確性に係る問題の中には、(略)「厚生年金保険、国民年金などの年金の被保険者あるいは受給者の側に保険料納付の領収証書やこれに類する記録があるにもかかわらず、社会保険庁の側に記録がない。」という問題が生じており、その原因の一つとして、社会保険庁職員等の関係者による横領行為があるのではないかとの疑念が生じている。」とされている。
社会保険庁は、これまでにも、金銭登録機の不適切な購入等の不祥事発生を契機として、不祥事発生の背景にあるとされた組織体質と組織の構造問題を刷新するために、16年11月に業務を改革する取組事項を掲げた「緊急対応プログラム」を策定して、次いで 17年9月に「業務改革プログラム」を策定するなどして国民サービスの向上、予算執行の無駄の排除、法令遵守等に取り組んできたとしている。
しかし、その後に年金記録問題が発覚したことから、20年4月の業務改革プログラムの改定の際に年金記録問題への対応も盛り込んでいるとしている。
そして、22年1月に社会保険庁が廃止されて新たに日本年金機構が設立される予定であることなどから、21年1月に業務改革プログラムの項目を整理する改定を行い、年金記録問題への対応、国民サービスの向上、内部統制の仕組みの構築と職員の意識改革の推進等として再編したとしている。
会計検査院は、社会保険庁において、年金記録問題の再発防止に向け上記の業務改革プログラム等により実施された、(1)不適正な事務処理等の防止に係る取組、(2)内部監査の実施等による不適正な事務処理等の再発防止に係る取組、(3)同庁の基本的姿勢や 組織上の問題に対応するための組織改革等について検査した。
社会保険庁は、これまでに、保険料の横領等の不正行為の再発を防止するために、8年9月に「不正事故防止のための点検事項について」を、11年11月に「現金詐取及び記録改竄等の不正行為防止対策について」を、それぞれ定めるなどしているが、その後も不正行為や国民年金保険料免除等に関する不適正な事務処理が発生している。
このような事態が発生したことなどを受けて、社会保険庁は、図表52のとおり、不適正な事務処理等の防止に係る通知を発出している。
時期
|
概要
|
|
平成17年10月
|
社会保険業務の適正な事務処理について
|
|
月間事務処理スケジュールによる事務処理の確認、業務処理の 処理状況等点検・確認フローによる点検確認、進捗管理票による管理等を定めるもの
|
||
18年3月
|
不正事故防止のための点検事項並びに指定届書及び特定届書の指定について
|
|
庶務・経理・業務等の全般にわたる点検事項を策定し、保険料 徴収及び保険給付・年金給付に直接影響のある重要な届書に係る確認を徹底することなどを定めるもの
|
||
18年8月
|
国民年金保険料の免除等に係る入力処理等について
|
|
社会保険事務所等では受付・審査処理のみを行い、入力処理に ついては地方社会保険事務局の事務センターで一括処理することなどを定めるもの
|
||
19年2月
|
事務処理誤りの未然防止対策について
|
|
保険料の徴収過不足等の誤った事務処理について、具体的事例を示すなどして、再発防止策を周知するもの
|
||
19年7月
|
不正事故防止について
|
|
上記18年3月の通知を再確認するとともに、着服等の不正行為は発覚する仕組みとなっていること、不正行為に対しては刑事告発を行うことなどを改めて周知徹底するもの
|
||
21年3月
|
厚生年金保険における不適正な遡及訂正処理の発生を防止するための適正な事務処理の徹底について
|
|
社会保険業務処理マニュアル等に基づく事務処理手順を遵守すること、特に「被保険者報酬月額変更届」等の届出の事実関係を厳正に確認することなどを周知・徹底するもの
|
これらは、前記の業務改革プログラムの法令遵守又は内部統制の仕組みの構築と職員の意識改革の推進等に係る具体的な取組として、不適正な事務処理等の再発を防止して年金記録の正確性確保を図ることなどを目的としたものであるとしている。
このうち、19年7月の「不正事故防止について」は、前記の工程表において保険料着服の対応策とされているものであり、また、21年3月の「厚生年金保険における不適正な遡及訂正処理の発生を防止するための適正な事務処理の徹底について」は、前記の標準報酬月額等の不適正なそ及訂正処理の再発防止について周知・徹底を図るものであるとしている。
社会保険庁においては、18年3月に前記の「不正事故防止のための点検事項並びに指定届書及び特定届書の指定について」が定められた後にも、年金記録の正確性に影響を及ぼす保険料の横領の不正行為が発生している。これまでに会計検査院が決算検査報告に掲記した不正行為のうち、被保険者から直接現金で受領した国民年金保険料を領得するなどした時期が18年3月以降となっているものについてみると、図表53のとおりとなっている。
掲記年度
|
部局等
|
不正行為期間
|
損害金の種類
|
損害額(円)
|
補てんの状況(年月)
|
年金記録の訂正必要の有無
|
訂正の結果等
|
平成18
|
長野社会保険事務局長野南社会保険事務室
|
18.6
|
国民年金保険料
|
1,905,380
|
全額補てん済(18.8)
|
有り
|
訂正済
|
18
|
小倉南社会保険事務所
|
18.2〜18.5
|
国民年金保険料
|
1,046,640
|
全額補てん済(19.8)
|
有り
|
訂正済
|
19
|
鳥取社会保険事務局鳥取社会保険事務室
|
19.5
|
国民年金保険料
|
122,790
|
全額補てん済(19.5)
|
有り
|
訂正済
|
また、18、19両年度に社会保険庁が公表した、地方社会保険事務局及び社会保険事務所等における老齢厚生年金等の裁定誤り等の件数は、18年度1,061件、19年度1,609件となっている。
(2) 内部監査の実施等による不適正な事務処理等の再発防止に係る取組
社会保険庁が実施する内部監査には、〔1〕 業務監察、〔2〕 会計監査及び〔3〕 自治監査がある。
〔1〕 業務監察は、「社会保険庁業務監察規程」(平成18年社会保険庁訓第24号。以下「監察規程」という。)に基づき、業務の実施状況を調査し、これに基づいて、是正指示等を行うことにより、事業の適正かつ効率的で透明性のある運営の確保を図ることを目的としており、社会保険監察官等がこれを実施することとされている。
〔2〕 会計監査は、「社会保険庁所管会計事務監査規程」(平成17年社会保険庁訓第3号。以下「監査規程」という。)に基づき、会計経理についてその実態を把握し、これが適正かつ効率的に行われるよう是正指導し、もって、会計事務の改善及び能率の向上に寄与することを目的としており、会計監査官等がこれを実施することとされている。
そして、業務監察については監察規程により、また、会計監査については監査規程により、それぞれ、目的、対象、体制、実施方針及び実施計画、講評及び報告、結果に対する措置等の基本的な事項が定められている。
さらに、上記の業務監察及び会計監査のほか、〔3〕 自治監査として、「自治監査実施要領」(平成17年庁文発第0406002号)に基づき、各社会保険事務所長等は、社会保険業務の適切な事務執行を図るため、会計関係の帳簿類や給付関係書類の点検、金庫等の管理の実態等の点検を実施することとされている。
社会保険庁が実施する内部監査の実施の経緯についてみると、次のとおりとなっている。
(ア) 社会保険庁が発足した昭和37年から平成12年3月までの間は、地方事務官制度が採られており、社会保険庁の地方組織は都道府県知事の指揮命令を受けることとされていた。
その間における地方組織に対する内部監査は、次のとおりとなっていた。
本庁においては、昭和37年7月の社会保険庁発足時には長官官房監察課が所掌していた。その後、47年6月以降は長官官房地方課、63年10月以降は総務部地方課が内部監査を所掌し、それぞれの課に所属する社会保険監察官が業務監察及び会計監査を実施していた。
また、地方組織においては、都道府県の保険課及び国民年金課が内部監査を所掌していた。保険課については、41年度以降、同課に所属する地方社会保険監察官が、保険課及び社会保険事務所に対して業務監察及び会計監査を実施していた。 国民年金課については、44年4月以降、同課に所属する地方国民年金監察官が、国民年金課、社会保険事務所及び市町村に対して業務監察及び会計監査を実施していた。そして、これらの実施に当たり、本庁から毎年度業務監察又は会計監査の実施方針等が示されていた。
(イ) 平成12年4月に地方事務官制度が廃止されたことにより、地方組織に対する内部監査は、本庁及び地方社会保険事務局が実施することとされた。本庁においては、総務部地方課社会保険監察室が内部監査を所掌し、同室所属の社会保険監察官が業務監察及び会計監査を実施していた。また、地方社会保険事務局においては、地方社会保険事務局総務課が内部監査を所掌し、同課所属の地方社会保険監察官が管轄区域内の社会保険事務所の所掌事務についての業務監察及び会計監査を実施していた。
(ウ) 17年1月の組織改編により、総務部サービス推進課社会保険指導室が業務監察を所掌することとされ、同室所属の社会保険指導官がこれを実施していた。また、総務部経理課監査指導室が会計監査を所掌することとされ、同室所属の会計監査官がこれを実施していた。
(エ) 18年10月以降、社会保険庁は、前記の業務改革プログラム等における監査部門の機能強化を図るために、47地方社会保険事務局に所属していた地方社会保険監察官を9か所のブロック担当地方社会保険事務局(北海道、宮城、埼玉、東京、愛知、大阪、広島、香川、福岡各地方社会保険事務局。以下、これらの地方社会保険事務局を総称して「ブロック局」という。)に集約配置した。そして、これらの地方社会保険監察官を本庁の総務部サービス推進課及び経理課の併任とした上で、本庁の直接の指揮監督の下で、ブロック局及び管轄区域内の地方社会保険事務局(社会保険事務所等を含む。)の業務監察及び会計監査を実施することとされた。
そして、20年10月の組織改編により、総務部総務課社会保険監察室が業務監察を所掌し、同室所属の社会保険監察官がこれを実施することとされ、地方社会保険監察官は同室の併任とされた。
(ア) 内部監査の実施対象等について
20年度における社会保険庁の内部監査対象部局は、本庁内部部局、社会保険大学校、社会保険業務センター、47地方社会保険事務局及び312社会保険事務所等となっている。
そして、21年3月末現在、本庁の内部監査組織において、業務監察を担当する職員は計13名(社会保険監察官(専任10名、兼任2名)、補助者(専任1名))、また、会計監査を担当する職員は会計監査官(専任)3名となっている。
一方、各ブロック局が内部監査の対象として所管している地方社会保険事務局数、社会保険事務所等数並びに業務監察及び会計監査を担当する地方社会保険監察官数については、図表54のとおりであり、各ブロック局の地方社会保険監察官はすべて専任となっている。
図表54 | 各ブロック局の内部監査対象部局数及び地方社会保険監察官数 | (単位:箇所、人) |
区分
|
北海道
|
宮城
|
埼玉
|
東京
|
愛知
|
大阪
|
広島
|
香川
|
福岡
|
計
|
事務局数
事務所等数 |
1
16 |
6
30 |
6
38 |
4
51 |
7
47 |
6
46 |
5
26 |
4
15 |
8
43 |
47
312 |
監察官数
|
6
|
12
|
15
|
20
|
19
|
17
|
9
|
6
|
17
|
121
|
(イ) 内部監査の実施方針等について
a 本庁が実施する業務監察
本庁が実施する業務監察においては、毎年度、監察規程に基づく業務監察の実施方針等により、業務監察項目、実施対象等を定めている。
18年度から20年度までの業務監察の実施方針における基本的事項についてみると、年金記録の正確性確保に関するものとして、18年度では事故防止に関する取組状況についての監察及び事務処理が法令等に基づき適正に行われていることを確認するための検査(以下「適正検査」という。)を実施すること、19年度では適正検査を拡充すること、20年度では適正検査により重点を置いた監察を行うことなどとなっている。
そして、20年度における業務監察項目は、〔1〕 組織の管理・運営、〔2〕 法令遵守、〔3〕 個人情報保護の徹底等、〔4〕 行政文書の管理及び情報公開法に係る取組、〔5〕 国民の声等に対する対応、〔6〕 厚生年金保険事業等の進捗管理、指導及び事故防止等、〔7〕 公益法人に対する指導監督、〔8〕 前回監察時における指摘事項等の改善状況、〔9〕 その他必要に応じた事項となっている。
b 本庁が実施する会計監査
本庁が実施する会計監査においては、毎年度、監査規程に基づく会計監査実施方針等により、会計監査指導項目、実施部局等を定めている。
18年度から20年度までの会計監査実施方針における重点事項についてみると、会計経理の適正性を確保する観点として、各年度において、内部牽制体制が実効性を確保できる取組となっているか実地に検証を行うことなどとなっている。
そして、20年度における会計監査指導項目は、〔1〕 会計の組織及び機構に関する事項、〔2〕 債権管理及び歳入徴収に関する事項、〔3〕 支出負担行為及び支出に関する事項、〔4〕 現金出納に関する事項、〔5〕 契約に関する事項、〔6〕 国有財産に関する事項、〔7〕 物品管理に関する事項、〔8〕 その他に関する事項となっている。
c 年金記録の正確性確保等に係る業務監察及び会計監査
上記の20年度における業務監察項目及び会計監査指導項目のうち、年金記録の正確性確保等に係る主なものを整理すると、図表55のとおりとなる。
そして、各ブロック局においては、本庁が策定した業務監察項目及び会計監査指導項目に準じて、業務監察及び会計監査を実施することとなっている。
区分
|
概要
|
|
業務監察
|
組織の管理・運営
|
|
危機管理等(事故防止対策、適正な事務処理)
|
||
厚生年金保険事業等の進捗管理、指導及び事故防止等
|
||
保険料等に係る収納処理
資格喪失届及び報酬月額変更届に係る事務処理 全喪届に係る事務処理 国民年金免除申請書等に係る事務処理 |
||
会計監査
|
会計の組織及び機構に関する事項
|
|
事故防止対策の取組の状況
|
||
現金出納に関する事項
|
||
領収スタンプ、金銭登録機の管理状況
|
(ウ) 内部監査の実施体制について
a 20年度における業務監察の実施体制については、本庁内部部局及び社会保険大学校は社会保険指導官3名で1日、社会保険業務センターは社会保険監察官6名で4日間、9ブロック局(管内の1社会保険事務所等を含む。)は社会保険監察官(20年9月までは社会保険指導官)3名で5日間、ブロック局以外の38地方社会保険事務局(管内の1社会保険事務所等を含む。)は社会保険監察官(同)2名及び地方社会保険監察官2名で5日間、上記以外の社会保険事務所等では地方社会保険監察官3名で3日間となっている。
b 20年度における会計監査の実施対象及び実施体制については、本庁内部部局(経理課)は会計監査官等7名で3日間、社会保険業務センターは会計監査官等6名で2日間、社会保険大学校は会計監査官等2名で1日、ブロック局及び19年度に会計監査を実施しなかった地方社会保険事務局(管内の1社会保険事務所等を含む。)は会計監査官等2から4名で3日間等となっている。
(ア) 内部監査の実施状況について
18年度から20年度までの間に、本庁及びブロック局が業務監察及び会計監査を実施した部局数については、図表56のとおりとなっている。
a 業務監察については、社会保険庁として年金記録問題への対応に追われた19年度には、地方社会保険監察官も年金相談等の支援に配置されるなどした。このため、業務監察を一時中断したり、社会保険指導官のみによる業務監察を実施したり、業務監察項目を事故防止の取組状況等に限定して日程を短縮するなどしたりして業務監察を実施していた。このことから、19年度においては、地方社会保険監察官が単独で業務監察を実施した社会保険事務所等数は46か所となっていて、18年度及び20年度と比較して大幅に少なくなっている状況となっている。
また、緊張感のある内部監査を行う目的及び不正事故防止の観点から、事前に受検側に通告をしない業務監察も実施している。20年度の業務監察においては、業務監察当日の朝に開庁と同時に入庁して行う抜き打ち監察を実施した社会保険事務所等数は5か所となっている。その実施対象箇所の選定については、前年度及び当年度に業務監察を実施していない社会保険事務所等、事務処理誤りの多発している社会保険事務所等から選定するなどしている。なお、監察規程において、「総務課長(サービス推進課長)が必要と認めたときに、総務課長(サービス推進課長)が指定した事項について実施する業務監察」が特別監察として規定されているが、18年度以降に特別監察を実施した例はない。
b 会計監査についても、19年度においては、地方社会保険監察官が単独で会計監査を実施した社会保険事務所等数は38か所となっていて、18年度及び20年度と比較して大幅に少なくなっている状況となっている。
また、上記の業務監察と同様に、現金亡失等の事故防止の観点から、事前に受検側に通告をしない会計監査を実施した社会保険事務所等数は19年度3か所、20年度12か所となっている。その実施対象の選定については、18年10月以降に会計監査が実施されていない社会保険事務所等を優先して、過去に会計事故が発生した社会保険事務所等から選定するなどしている。なお、監査規程においても、「経理課長が必要と認めたときに、経理課長が指定した事項について実施する監査指導」が特定監査指導として規定されているが、18年度以降に年金記録に関する特定監査指導を実施した例はない。
図表56 | 本庁及びブロック局が業務監察及び会計監査を実施した部局数 | (単位:箇所) |
区分
|
平成18年度
|
19年度
|
20年度
|
||||
業務監察
|
会計監査
|
業務監察
|
会計監査
|
業務監察
|
会計監査
|
||
内部部局数
|
0
|
3
|
3
|
3
|
3
|
3
|
|
本庁(共同)
|
事務局数
事務所等数 |
32
32 |
47
47 |
47
43 |
27
27 |
47
49 |
30
30 |
ブロック局
|
事務局数
事務所等数 |
9
141 |
0
265 |
0
46 |
0
38 |
0
105 |
17
106 |
事前に受検側に通告をしないで実施
|
0
|
0
|
0
|
3
|
5
|
12
|
|
特別監察又は特定監査指導
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
(イ) 内部監査の実施結果について
a 実施結果の区分及び通知等
(a) 業務監察においては、監察規程等により業務監察の実施結果を、〔1〕 是正指示事項、〔2〕 指摘事項、〔3〕 指導事項の三つに区分している。〔1〕 是正指示事項は、関係法令に抵触するおそれがあるなど直ちに是正のために必要な措置を講じるべき事項、〔2〕 指摘事項は、本庁から示されている運用方針に沿った適切な業務運営が図られていないなど早急に改善を図るべき事項、〔3〕 指導事項は、効果的かつ効率的な業務の運営に向けたより一層の取組が求められるなどの事項である。
これらの事項は、業務監察の対象である部局の長(地方社会保険事務局長等)に対して、文書で通知されるとともに、是正又は改善のための措置及びその結果について、書面で改善報告書の提出を求められることとなっている。
また、業務監察においては、上記の三つの区分のほかに、他地方社会保険事務局の効果的かつ効率的な業務の運営方法等を参考として更なる業務改善のための検討が必要であると認められた事項等を口頭要請事項としている。
(b) 会計監査においては、監査規程等により、会計監査の結果、是正等を要すると認めた事項(指摘事項)について、会計監査の対象である部局の長(地方社会保険事務局長等)に対して、文書で通知されるとともに、是正等のための措置及びその結果について、書面で改善報告書の提出を求められることとなっている。
そして、業務監察及び会計監査において、改善内容が不十分な場合には更なる是正指示又は改善指導を行うとともに、次回の業務監察及び会計監査時に改善状況の確認を行っているとしている。
b 実施結果の状況
18、19、20各年度における本庁及びブロック局が実施した業務監察及び会計監査の実施結果を指摘区分ごとの指摘件数についてみると、図表57のとおり、20年度の業務監察において適正検査により重点を置いた監察を行うこととしたことなどから指摘件数の総数が大幅に増加している状況となっている。
(a) 20年度における業務監察の実施結果の状況についてみると、是正指示事項43件のうち3件は、年金記録の正確性確保に係る業務監察項目である厚生年金保険事業における全喪届に係る事務処理に関するものであった。これにつ いては、適用事業所に該当しなくなったことを確認できる書類(解散登記の記載がある法人登記簿謄本の写しなど)の提出がないまま処理が行われていたなどの不適切な事例が指摘されている。
また、20年10月以降の業務監察においては、不適正なそ及訂正処理の発生防止の観点から、厚生年金保険事業における資格喪失届及び報酬月額変更届のそ及訂正に係る事務処理の確認を行っている。その結果、60日以上そ及した届出については賃金台帳等を添付することとされているのに、これが添付されていない事例が指摘事項とされている。
(b) 20年度における会計監査の実施結果の状況についてみると、指摘事項687件のうち現金出納に関する事項が302件となっている。これについては、スタンプ領収機の管理等が適切でない事例や、現金領収証書の取扱いが適切に行われていない事例が多数指摘されている。
図表57 | 業務監察及び会計監査の指摘件数 | (単位:件) |
区分
|
平成18年度
|
19年度
|
20年度
|
|
業務監察
|
是正指示事項
指摘事項 指導事項 口頭要請事項 |
5
26 154 300 |
4
100 128 168 |
43
530 423 91 |
計
|
485
|
400
|
1,087
|
|
会計監査
|
指摘事項
|
899
|
522
|
687
|
c 業務監察における事業等別の指摘件数
上記の図表57のうち、業務監察における指摘区分ごとに、国民年金事業、厚生年金保険事業、年金相談等、事故防止等の指摘件数についてみると、図表58のとおりとなっている。
このうち、事故防止に関しては、前記のとおり18年3月に「不正事故防止のための点検事項並びに指定届書及び特定届書の指定について」を定めるなどして再発防止を図っているにもかかわらず、その後も同通知に定められている事務処理が適切に実施されていない事例が多数指摘されている。
図表58 | 業務監察における事業等別の指摘件数 | (単位:件) |
区分
|
平成18年度
|
19年度
|
20年度
|
||||||||||
是正
|
指摘
|
指導
|
口頭
|
是正
|
指摘
|
指導
|
口頭
|
是正
|
指摘
|
指導
|
口頭
|
||
国民年金事業関係
|
4
|
2
|
32
|
90
|
1
|
10
|
9
|
15
|
28
|
52
|
91
|
24
|
|
厚生年金保険事業関係
|
1
|
8
|
65
|
74
|
3
|
20
|
51
|
36
|
14
|
265
|
80
|
29
|
|
年金相談・年金給付
|
0
|
0
|
0
|
8
|
0
|
0
|
0
|
0
|
0
|
8
|
15
|
6
|
|
事故防止関係
|
0
|
12
|
10
|
28
|
0
|
48
|
4
|
15
|
0
|
106
|
35
|
1
|
|
磁気カード等の管理
記録のチェック体制 その他 |
0
0 0 |
7
3 2 |
1
4 5 |
3
0 25 |
0
0 0 |
37
2 9 |
1
0 3 |
2
0 13 |
0
0 0 |
0
32 74 |
0
1 34 |
0
0 1 |
|
その他
|
0
|
4
|
47
|
100
|
0
|
22
|
64
|
102
|
1
|
99
|
202
|
31
|
|
計
|
5
|
26
|
154
|
300
|
4
|
100
|
128
|
168
|
43
|
530
|
423
|
91
|
d 業務監察における適正検査等の指摘件数
前記の図表57のうち、20年度の業務監察において、より重点を置いた適正検査等について、指摘区分ごとの指摘件数をみると、図表59のとおりとなっている。
そして、前記の20年度の厚生年金保険事業における全喪届に係る事務処理に関する是正指示事項、資格喪失届及び報酬月額変更届のそ及訂正に係る事務処理に関する指摘事項は、いずれも適正検査に関するものとなっている。
また、組織の管理・運営のうち、事件・事故及び事務処理誤りの防止については、指定届書等の処理結果リストと届書原議との相互チェックが行われていない事例、自治監査の実施については、自治監査結果は適正とされているが業務監察で不備が見られた事例等が指摘されている。
図表59 | 平成20年度の業務監察における適正検査等の指摘件数 | (単位:件) |
区分
|
是正
|
指摘
|
指導
|
|
適正検査
|
41
|
281
|
100
|
|
全喪届に係る事務処理
資格喪失届及び報酬月額変更届に係る事務処理 その他 |
3
0 38 |
61
14 206 |
25
0 75 |
|
組織の管理・運営
|
1
|
102
|
121
|
|
事件・事故及び事務処理誤りの防止
自治監査の実施 その他 |
0
0 1 |
41
30 31 |
28
0 93 |
(ウ) 内部監査の実施結果の周知について
内部監査の実施結果については、前記のとおり、業務監察及び会計監査の対象である部局の長(地方社会保険事務局長等)に対して、実施結果を文書で通知するなどしている。しかし、実施結果の通知を受けた各地方社会保険事務局から個々の職員への周知については、監察規程、監査規程等において定められておらず、その具体的な方法等については、各地方社会保険事務局の判断にゆだねられている状況となっている。
そして、当該年度に実施した地方社会保険事務局及び社会保険事務所等の業務監察の実施結果については、その概要を取りまとめたものを17年度から全職員が庁内LANで閲覧できるようになっている。
一方、会計監査の実施結果については、その概要を取りまとめたものを19年度から会計担当職員に限定して庁内LANで閲覧できるようになっている。
(3) 社会保険庁の基本的姿勢や組織上の問題に対応するための組織改革等
ア 社会保険庁は、前記のとおり、これまでの不祥事発生の背景にあるとされた組織体質と組織の構造問題を刷新するための業務改革を実施してきており、事務処理の標準化、法令遵守意識の徹底、監査部門の機能強化、職員の意識改革の推進等に取り組んできた。
そして、21年1月の業務改革プログラムの改定において、その項目を整理して、年金記録問題への対応、国民サービスの向上、内部統制の仕組みの構築と職員の意識改革の推進等として再編したとしている。
このうち、年金記録問題の再発防止に向けて実施された社会保険庁の基本的姿勢や組織上の問題に対応するための組織改革等の取組を含むものとして、「内部統制の仕組みの構築と職員の意識改革の推進」が挙げられる。
この「内部統制の仕組みの構築と職員の意識改革の推進」については、民間企業等における内部統制の考え方を踏まえながら、社会保険庁における内部統制の強化に取り組むために、金融庁企業会計審議会による内部統制の基本的要素ごとに、こ れまでに実施した各種の取組を整理するなどしている。
同審議会によれば、内部統制の基本的要素は、〔1〕 統制環境、〔2〕 リスクの評価と対応、〔3〕 統制活動、〔4〕 情報と伝達、〔5〕 モニタリング(監視活動)、〔6〕 IT(情報技術)への対応であるとされており、これらは次のとおり定義されている。
〔1〕 統制環境とは、組織の気風を決定し、組織内のすべての者の統制に対する意識に影響を与えるとともに、他の基本的要素の基礎をなし、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング及びITへの対応に影響を及ぼす基盤をいう。
〔2〕 リスクの評価と対応とは、組織目標の達成に影響を与える事象について、組織目標の達成を阻害する要因をリスクとして識別、分析及び評価し、当該リスクへの適切な対応を行う一連のプロセスをいう。
〔3〕 統制活動とは、経営者の命令及び指示が適切に実行されることを確保するために定める方針及び手続をいう。
〔4〕 情報と伝達とは、必要な情報が識別、把握及び処理され、組織内外及び関係者相互に正しく伝えられることを確保することをいう。
〔5〕 モニタリングとは、内部統制が有効に機能していることを継続的に評価するプロセスをいう。
〔6〕 ITへの対応とは、組織目標を達成するために予め適切な方針及び手続を定め、それを踏まえて、業務の実施において組織の内外のITに対し適切に対応することをいう。
社会保険庁が実施した「内部統制の仕組みの構築と職員の意識改革の推進」に係る取組の主なものについては、図表60のとおりとなっている。
概要
|
||
〔1〕 統制環境
社会保険庁改革リスタートプロジェクトの推進(平成18年8月) |
||
全ての職員の参加の下に、職員間で共有すべき組織目標等について、「社会保険庁改革リスタートプラン」としてとりまとめ
|
||
〔2〕 リスクの評価と対応
|
||
法令遵守委員会の設置及び機能拡充
|
||
事務手続における法令違反の疑い等について、早期発見及び早期対処等を図る(内部通報制度については、職員からの通報を受け付ける「法令違反通報窓口」を社会保険庁に設置)(16年10月)
|
||
地方社会保険事務局法令遵守委員会の設置内部通報制度に関して、職員以外の者からの通報を受け付ける「法令違反通報窓口」を社会保険庁に設置(18年7月)
|
||
上記の社会保険庁の「法令違反通報窓口」のほかに、外部の弁護士が通報を直接受け付ける外部窓口を設置(20年4月)
|
||
リスクアセスメント調査の実施
|
||
業務運営上のリスクを網羅的に把握・分析・評価し、その発生や対応について管理する仕組みを構築するため、業務運営上のリスクを洗い出す
|
||
〔3〕 統制活動
|
||
社会保険業務処理マニュアルの運用開始(18年10月)
|
||
事務処理の標準化と適正な事務処理の確保を図るための事務処理方法の統一、各種届書の様式や添付書類の統一化
|
||
全国統一の事務処理規程の施行(20年9月)
|
||
地方社会保険事務局ごとに定めていた事務処理規程を廃止し、全国統一の事務処理規程を策定
|
||
〔4〕 情報と伝達
社会保険庁業務ナレッジマネジメントの運用開始(19年3月) |
||
社会保険庁LAN等の活用による優れた業務ノウハウ等の情報の収集・共有化
|
||
〔5〕 モニタリング(監視活動)
監査部門の機能強化(18年10月) |
||
地方社会保険監察官をブロック単位に集約し、それまで所属していた地方社会保険事務局の管轄以外の社会保険事務所等の業務監察及び会計監査を行う仕組みを導入
|
||
〔6〕 IT(情報技術)への対応
社会保険オンラインシステムの刷新 |
||
社会保険業務の業務・システム最適化計画に基づきシステムを刷新
|
(ア) 検証委員会報告書によれば、年金記録問題発生の間接的な要因の一つとして、「社会保険庁本庁は、現場に対しては、業務処理方法等の一般的な方針を示すだけで、統一的業務マニュアルを近年まで示さず、地方の裁量に任せがちであった。 そのため、統一した業務処理方法によるのではなく、各地方による独自の事務処理が行われることもあった。」ことが挙げられている。
また、「国民年金保険料の免除等に係る事務処理に関する第3次調査報告書」(18年8月社会保険庁)によれば、不適正な事例には「個々人の申請の意思を確認しないまま承認手続を行ったもの」などがあり、事案発生の構造的背景として、「独自の判断で独自の事務処理を行う中で、法令等に定める手続を逸脱したものであり、独自の判断による事務処理を認めてきた組織風土が背景にある。」ことなどが挙げられている。
上記の図表60に掲げられた社会保険庁の取組のうち、18年10月の「社会保険業務処理マニュアルの運用開始」及び「監査部門の機能強化」は、このような独自の判断による事務処理に基因する不適正な事務処理の再発防止を図るため策定されたものであるとしている。
(イ) 「リスクアセスメント調査の実施」は、日本年金機構の設立に向けて取り組むべき項目であり、業務運営上のリスクを網羅的に把握・分析・評価して、その発生や対応について管理する仕組みを構築するために、業務運営上のリスクを洗い出すものであるとしている。
(ウ) 「社会保険オンラインシステムの刷新」は、社会保険業務の業務・システム最適化計画に基づき、システムの刷新を進めるものであり、不適正処理の防止及び早期発見が可能となるチェック機能の整備を含むものとなっていて、適正な事務処理を確保するものであるとしている。
イ 検証委員会報告書によれば、年金記録問題発生の根本にある問題の一つとして、「年金記録の正確性を確保するためには、裁定請求に至るまでの間においても、本人に定期的に年金記録を確認する仕組みを制度的に組み込むべきであった。」ことが挙げられている。社会保険庁は、年金記録の正確性を確保するために、前記のとおり、「ねんきん定期便の発送」や「インターネットによる年金記録照会」により年金受給者、被保険者等本人が年金記録を確認する仕組みの整備を進めているとしている。
社会保険庁は22年1月に廃止されることが予定されており、政府が管掌する厚生年金保険事業及び国民年金事業については、日本年金機構法(平成19年法律第109号)に基づき設立される日本年金機構が、厚生労働大臣の監督の下にその業務運営を担うことが予定されている。そして、同機構の業務運営については、「日本年金機構の当面の業務運営に関する基本計画」(20年7月閣議決定)により定められている。
この基本計画によれば、
(ア) 同機構の組織ガバナンスの確立に関する内部統制の仕組みの構築については、「リスクアセスメント調査、業務処理マニュアルの整備を進めることや、内部統制を推進する組織体制を整備するなど、内部統制の強化に早急に取り組む。」ことなどとされている。
(イ) 監査体制等の整備については、「理事長に直結した内部監査部門を設け」、「会計監査人による会計監査のみならず、業務についても外部監査を活用する。」、「厚生労働省以外の第三者が機構を検査する仕組みについて、今後、法改正も含めた検討を行う。」ことなどとされている。
(ウ) 固定的な三層構造を一掃するための人材登用の仕組みについては、「本部で一括採用を行うとともに、地方の幹部人事も本部で行う。また、本部・地方組織間で全国異動を行い、管理業務と現場業務の経験を通じて幹部を養成することを基本的なキャリアパターンとして確立し、これを人事制度上のルールとする。」ことなどとされている。
(エ) 年金記録問題への対応については、「現下のいわゆる年金記録問題への対応については、現在、その問題解決に向け、政府において鋭意取組を進めている。一方、本基本計画で示した機構の必要人員数は、通常想定される業務をベースにしている。年金記録問題への対応として、一定期間、一定程度の人員・体制がなお必要となる場合も、まずは既定の人員の枠内で最大限の工夫を行うものとし、それでも対応が困難である場合でも、できる限り、外部委託や有期雇用の活用などにより対応するものとする。これに関係する具体的な人員については、年金記録問題の進捗状況を踏まえ、早期に検討を進める。また、いかなる場合でも、機構の他の業務に重大な支障が生じないよう、厚生労働省が責任を持って適切な対応策を講ずる。」こととされている。
日本年金機構における内部統制システムの構築についてみると、社会保険庁は、「国民の意見を反映しつつサービスの質の向上を図るとともに、効率的かつ公正・透明な事業運営を行う。」ことなどの基本的視点に基づき、かつ会社法や金融商品取引法に基づく民間企業の取組を参考にして、基本方針を定めているとしている。
(ア) この基本方針において、〔1〕 コンプライアンス確保、〔2〕 業務運営における適切なリスク管理、〔3〕 業務の有効性・効率性の確保、〔4〕 適切な外部委託管理、〔5〕 情報の適切な管理・活用、〔6〕 業務運営及び内部統制の実効的な監視及び改善、〔7〕 ITへの適切な対応の7事項が柱として位置付けられている。
このうち、年金記録問題の再発防止に向けて実施される内部監査の実施等による不適正な事務処理等の再発防止に係る取組を含むものとして、〔6〕 の「業務運営及び内部統制の実効的な監視及び改善」が挙げられる。
この「業務運営及び内部統制の実効的な監視及び改善」の具体的な取組内容についてみると、(a)監査機能の独立性の確保・指揮命令系統の一元化として、理事長直属の監査部が一元的に所掌することなど、(b)監査業務の厳格化・効率化として、リスクアセスメント調査の結果を踏まえ、リスクが高い分野等へ重点監査項目を設定したり、監査結果に基づく、不適切な事務処理等への改善提言、定期的なフォローアップ、適切な公表を行ったりすることなど、(c)民間の知見、外部監査の活用等として、民間手法、ノウハウの導入が必要な特定分野について外部監査を定期的に実施することなどとしている。
そして、前記の7事項における具体的な取組内容は、いずれも社会保険庁におけるこれまでの年金記録問題への対応で明らかになった課題等について、改善を図るものであるとしている。
(イ) 外部監査については、内部監査を補完し、客観性を確保するものであって、システム監査や個人情報保護監査等の特定テーマを設定して、外部専門機関が実施することとしている。
(ウ) 年金記録問題については、次の体制で対応することとしている。
〔1〕 「機構本部」に理事長を本部長とする年金記録問題対策本部を設置して、年金記録問題に係る対策の企画、実施、進ちょく管理や厚生労働省年金局等との調整、関係機関等への協力依頼等を担当すること
〔2〕 全国9か所に置かれる「ブロック本部」において、管内の事務センター、年金事務所の作業計画の進ちょく管理等を担当すること
〔3〕 47都道府県単位で置かれる「事務センター」において、有期雇用職員等が行う紙台帳とコンピュータ記録の突合せの作業管理等を担当すること
〔4〕 全国312か所に置かれる「年金事務所」において、ねんきん定期便送付後の相談、記録調査等を担当すること