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  • 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書|
  • 平成24年1月

特別会計改革の実施状況等に関する会計検査の結果について


(9) 国立高度専門医療センター特別会計

特別会計名 国立高度専門医療センター特別会計 所管府省名 厚生労働省 設置等年度 平成19年度から21年度まで 分類 行政的事業
設置目的 国立高度専門医療センター(国立がんセンター、国立循環器病センター、国立精神・神経センター、国立国際医療センター、国立成育医療センター及び国立長寿医療センター)の円滑な運営と経理の適正を図ることを目的として、その経理を明確にするため 勘定
特別会計の歳入歳出額の推移等 歳入額
年度
/
項目
平成17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度
歳入予算額 1680億円 1979億円 1507億円 1569億円 1894億円
収納済歳入額(A) 1652億円 1969億円 1600億円 1698億円 2081億円
一般会計からの繰入額(B) 587億円 880億円 470億円 487億円 810億円
(B/A) (35.5%) (44.7%) (29.3%) (28.6%) (38.9%)
特定財源の額(C) - - - - -
(C/A) - - - - -
歳出額 歳出予算現額(D) 1689億円 1987億円 1616億円 1715億円 2073億円
支出済歳出額(E) 1642億円 1842億円 1449億円 1524億円 1672億円
(支出率 E/D) (97.2%) (92.6%) (89.6%) (88.8%) (80.6%)
繰越額(F) 8億円 108億円 146億円 171億円 -
(繰越率 F/D) (0.4%) (5.4%) (9.0%) (10.0%) -
不用額(G) 38億円 36億円 21億円 19億円 400億円
(不用率 G/D) (2.2%) (1.8%) (1.3%) (1.1%) (19.3%)
剰余金 剰余金(H)=(A)-(E) 9億円 126億円 151億円 174億円 408億円
(剰余金率 H/A) (0.5%) (6.4%) (9.4%) (10.2%) (19.6%)
特別会計に関する法律に規定されている剰余金の処理方法 積立金等に積立て、翌年度の歳入に繰入れ、一般会計の歳入に繰入れ
積立金等の年度末残高            
積立金 9億円 1億円 18億円 6億円 2億
             
平成21年度特別会計財務書類のうち貸借対照表における特別会計に帰属する資産及び負債の状況 <資産の部>   <負債の部>  
〔1〕 現金・預金 410億円 〔1〕 政府短期証券 -
〔2〕 有形固定資産 3240億円 〔2〕 借入金 1728億円
〔3〕 出資金 - 〔3〕 公債 -
〔4〕 その他の資産 145億円 〔4〕 その他の負債 448億円
    負債合計 2176億円
    <資産・負債差額の部>  
資産合計 3796億円 資産・負債差額 1620億円
剰余金の推移等の状況

 歳出の翌年度繰越額が年々増加したことに伴い、剰余金は増加傾向となっている。
 本特別会計が廃止された際に、21年度の剰余金408億円のうち、厚生労働大臣が指定した386億円は独立行政法人(国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、国立精神・神経医療研究センター、国立国際医療研究センター、国立成育医療研究センター及び国立長寿医療研究センター)へ承継され、残りの21億円は22年度の一般会計の歳入に繰り入れられた。

積立金等の推移等の状況

 この積立金は、国立高度専門医療センターの経営費に充てるため、診療収入等が積み立てられていたものである。19年度末の残高が大きくなっているのは、本特別会計が独立行政法人へ移行するのに伴い財政融資資金からの借入金を繰上償還するため、これに要する費用が18年度1次補正予算で措置されたが、この繰上償還に関して財政投融資特別会計に支払う補償費の支出が予定を下回ったことなどにより剰余金が発生し、18年度決算を受けて本積立金に積み立てられたためである。この繰上償還に係る費用の財源は一般会計からの受入れであり、不用となり本積立金に積み立てられた分を含めた本積立金の残高18億円のうち17億円が20年度の本特別会計の歳入に繰り入れられた。また、本特別会計は特会法の規定に基づき21年度末までの設置であったため、本積立金は、高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律に基づき全額が一般会計に帰属され、22年度に一般会計の歳入に繰り入れられた。


支出済歳出額の推移表(国立高度専門医療センター特別会計)

(単位:百万円、%)

使途別分類名 目名 平成17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度 対17年度比(増減)
増減額 増減率
 人件費 職員基本給 23,283 23,380 23,338 23,412 23,703 △23,283 △100.0
職員諸手当 12,492 12,752 12,824 12,870 13,578 △12,492 △100.0
超過勤務手当 2,527 2,574 2,608 2,649 2,797 △2,527 △100.0
人件費 計 44,419 45,511 46,433 46,071 47,034 △44,419 △100.0
旅費 職員旅費
44
47
43
39
38
△44
△100.0
旅費計 117 121 117 103 102 △117 △100.0
物件費 医薬品等購入費 32,297 30,044 30,787 31,509 32,603 △32,297 △100.0
情報処理業務庁費 - - 292 300 239 - -
先端医療機器等整備費 - - - 299 16,901 - -
庁費 20,429 18,981 19,758 19,133 18,901 △20,429 △100.0
通信専用料 278 278 - - - △278 △100.0
物件費 計 55,684 51,707 53,295 53,593 71,127 △55,684 △100.0
 施設費 施設整備費 1,047 429 537 2,864 3,265 △1,047 △100.0
特別施設整備費 9,690 3,680 4,850 14,206 7,324 △9,690 △100.0
施設費 計 10,738 4,110 9,803 17,070 10,744 △10,738 △100.0
補助費・委託費 がん研究助成金 1,711 1,712 1,803 1,798 1,903 △1,711 △100.0
国家公務員共済組合負担金 6,951 6,980 6,921 6,647 6,982 △6,951 △100.0
国際医療協力研究委託費 425 426 425 425 856 △425 △100.0
循環器病研究委託費 656 657 656 656 856 △656 △100.0
成育医療研究委託費 240 240 240 240 825 △240 △100.0
精神・神経疾患研究委託費 656 657 656 655 856 △656 △100.0
長寿医療研究委託費 240 240 240 240 824 △240 △100.0
補助費・委託費 計 10,913 10,947 10,972 10,735 13,136 △10,913 △100.0
他会計へ繰入 計 34,726 64,918 17,341 17,593 17,336 △34,726 △100.0
その他 医療技術開発等研究費 6,046 6,710 6,784 6,915 7,428 △6,046 △100.0
その他 計 7,696 6,944 6,979 7,269 7,813 △7,696 △100.0
国立高度専門医療センター特別会計 合計 164,296 184,262 144,943 152,437 167,295 △164,296 △100.0
国立高度専門医療センター特別会計 合計
(他会計へ繰入を除いた合計)
129,570 119,344 127,601 134,843 149,959 △129,570 △100.0
(注)
 計には、表示した目以外を含む。


支出済歳出額の推移の分析  

<特徴> この会計は21年度末に廃止され、22年度からは、高度専門医療に関する研究等を行う6独立行政法人に移行している。17年度から 21年度までの支出済歳出額は、人件費、物件費、補助費・委託費において増加傾向を示している。使途別分類別の状況は次のとお りである。

(人件費)
 総人件費改革に基づき予算定員が減少する一方で、安全・安心な医療を提供するために医師、看護師等の医療職を増員してきて いるため増加している。また、21年度には、人事院規則の改正に伴い、医師初任給調整手当の額が増加している。

(物件費)
 21年度に先端医療機器等整備費が増加しているのは、経済危機対策の一環として「健康長寿・子育て」の推進を図るために先端 医療機器等の整備に必要な経費の補正予算が組まれたためである。

(施設費)
 20、21両年度に施設整備費が増加しているのは、地震災害防止のための病院の改修や大型医療機器の導入に伴うものであり、17 年度から21年度までの特別施設整備費は、主に国立国際医療センターの新棟建替整備等によるものである。

(補助費・委託費)
 21年度に循環器病研究委託費等の委託費が増えているのは、22年度の独立行政法人への移行を踏まえ、国内の医療水準をリード し、国際的な研究成果を継続して生み出せるようにするための基盤整備として、研究委託費の増額を行ったためである。

(その他)
 医療技術開発等研究費が増加しているのは、治験等の受託研究及び競争的研究費の間接的経費であり、受託研究の依頼や競争的 研究費の獲得額が増えたためである。