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  • 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書|
  • 平成24年1月

特別会計改革の実施状況等に関する会計検査の結果について


(10) 労働保険特別会計

特別会計名 労働保険特別会計 所管府省名 厚生労働省 設置等年度 平成19年度 分類 保険事業
設置目的 労働者災害補償保険事業に関する経理を明確にするため 勘定 労災勘定
特別会計の歳入歳出額の推移等 歳入額
年度
項目
平成17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度
歳入予算額 1兆3894億円 1兆3684億円 1兆4416億円 1兆4470億円 1兆2557億円 1兆1754億円
収納済歳入額(A) 1兆3968億円 1兆3777億円 1兆4326億円 1兆4474億円 1兆2014億円 1兆1386億円
一般会計からの繰入額(B) 12億円 12億円 4億円 4億円 4億円 3億円
(B/A) (0.0%) (0.0%) (0.0%) (0.0%) (0.0%) (0.0%)
特定財源の額(C) - - - - - -
(C/A) - - - - - -
歳出額 歳出予算現額(D) 1兆1777億円 1兆1659億円 1兆1520億円 1兆1341億円 1兆1253億円 1兆1302億円
支出済歳出額(E) 1兆1110億円 1兆1191億円 1兆1049億円 1兆0834億円 1兆0451億円 1兆0440億円
(支出率 E/D) (94.3%) (95.9%) (95.9%) (95.5%) (92.8%) (92.3%)
繰越額(F) 4億円 9億円 20億円 19億円 33億円 9億円
(繰越率 F/D) (0.0%) (0.0%) (0.1%) (0.1%) (0.2%) (0.0%)
不用額(G) 662億円 458億円 450億円 487億円 768億円 852億円
(不用率 G/D) (5.6%) (3.9%) (3.9%) (4.2%) (6.8%) (7.5%)
剰余金 剰余金(H)=(A)-(E) 2858億円 2585億円 3277億円 3640億円 1562億円 945億円
(剰余金率 H/A) (20.4%) (18.7%) (22.8%) (25.1%) (13.0%) (8.3%)
特別会計に関する法律に規定されている剰余金の処理方法 積立金等に積立て、翌年度の歳入に繰入れ、一般会計の歳入に繰入れ
積立金等の年度末残高            
積立金 7兆6989億円 7兆7753億円 7兆8228億円 7兆9413億円 8兆1967億円 8兆1532億円
             
平成21年度特別会計財務書類のうち貸借対照表における特別会計に帰属する資産及び負債の状況 <資産の部>   <負債の部>  
〔1〕 現金・預金 8兆3529億円 〔1〕 政府短期証券 -
〔2〕 有形固定資産 853億円 〔2〕 借入金 -
〔3〕 出資金 1702億円 〔3〕 公債 -
〔4〕 その他の資産 729億円 〔4〕 その他の負債 8兆3656億円
    負債合計 8兆3656億円
    <資産・負債差額の部>  
資産合計 8兆6815億円 資産・負債差額 3158億円
剰余金の推移等の状況  

 18年度から20年度までは、保険給付費の支給が減少したことや、特別会計改革の一環として社会復帰促進等事業費について計画的な削減を行って きたことなどにより歳出が減少したこと、また、保険料収入が増加したことや、預託金利子収入が増加したことなどにより歳入が増加したことか ら、剰余金は増加している。
 21年度以降は、労災保険率を引き下げたことにより、保険料収入が大きく減少したため、剰余金が大幅に減少している。

積立金等の推移等の状況  
 この積立金は、労災保険事業の保険給付費及び社会復帰促進等事業費(特別支給金に充てるためのものに限る)に充てるため、事業主から徴収した保険料等が積み立てられているものである。そして、残高は増加傾向にあるが、労災保険率を引き下げたことにより保険料収入が減少したことなどから21年度の決算では不足が生じており、この不足分を22年度に本積立金から補足したため、22年度末では残高が減少している。なお、22年度の決算においても不足が生じており、この不足分は23年度に本積立金から補足することとなる。また、船員保険特別会計が21年度に廃止されたことに伴い、同特別会計に設置されていた積立金のうち、982億円が本積立金となった。

支出済歳出額の推移表(労災勘定)

(単位:百万円、%)

使途別分類名 目名 平成17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度 対17年度比(増減)
増減額 増減率
人件費 職員基本給 13,999 13,966 14,150 14,177 14,047 13,976 △22 △0.1
職員諸手当 6,490 6,498 6,710 6,785 6,269 6,002 △488 △7.5
退職手当 1,730 1,824 1,887 1,400 1,075 1,600 △129 △7.4
人件費 計 23,631 23,668 24,162 23,843 22,858 23,164 △467 △1.9
旅費 職員旅費 705 626 528 479 359 337 △368 △52.2
旅費 計 951 874 775 730 583 588 △362 △38.1
物件費 情報処理業務庁費 937 2,231 10,062 13,400 7,519 7,759 6,821 727.5
庁費 8,874 8,166 7,626 6,812 6,598 6,074 △2,800 △31.5
通信専用料 9,700 8,999 10 6 8 8 △9,691 △99.9
電子計算機等借料 1,431 1,276 1,276 3,120 3,098 3,206 1,775 124.0
補装具等支給費 2,101 2,219 2,429 2,563 - - △2,101 △100.0
物件費 計 25,163 25,058 23,421 27,873 19,191 18,995 △6,168 △24.5
施設費 施設整備費(20年度以前は「施設費」) 3,338 2,722 2,700 2,849 1,297 1,199 △2,139 △64.0
施設費 計 3,601 2,722 3,233 2,849 1,360 1,200 △2,400 △66.6
補助費・委託費 独立行政法人福祉医療機構労災年金担保貸付勘定運営費交付金 34 33 32 - - - △34 △100.0
独立行政法人労働安全衛生総合研究所施設整備費補助金(17年度以前は「独立行政法人産業安全研究所施設整備費補助金」及び「独立行政法人産業医学総合研究所施設整備費補助金」) 485 397 396 250 223 230 △255 △52.5
独立行政法人労働安全衛生総合研究所社会復帰促進等事業勘定運営費交付金(17年度以前は「独立行政法人産業安全研究所労働福祉事業勘定運営費交付金」及び「独立行政法人産業医学総合研究所労働福祉事業勘定運営費交付金」、18年度は「独立行政法人労働安全衛生総合研究所労働福祉事業勘定運営費交付金」) 1,656 1,679 1,694 1,696 1,736 1,471 △185 △11.1
独立行政法人労働者健康福祉機構運営費交付金 11,494 11,281 11,433 10,666 10,694 9,476 △2,017 △17.5
独立行政法人労働者健康福祉機構施設整備費補助金 13,064 11,976 10,040 8,832 1,438 2,492 △10,572 △80.9
独立行政法人労働政策研究・研修機構施設整備費補助金 16 22 23 67 98 39 23 143.9
独立行政法人労働政策研究・研修機構労災勘定運営費交付金 152 152 150 148 146 141 △10 △7.1
未払賃金立替払事業費補助金 18,141 18,728 17,014 17,687 26,001 20,186 2,044 11.2
補助費・委託費 計 98,290 94,003 85,772 82,814 83,968 78,779 △19,510 △19.8
他会計へ繰入 計 62,369 65,301 67,650 53,509 47,148 60,269 △2,100 △3.3
その他 保険給付費 772,303 780,587 776,128 770,673 749,647 744,457 △27,846 △3.6
補装具等支給費 - - - - 2,208 2,313 2,313 -
労災援護給付金(19年度以前は「福祉施設給付金」) 119,024 121,153 118,070 115,357 112,243 108,283 △10,740 △9.0
その他 計 897,015 907,524 899,967 891,781 870,048 861,087 △35,927 △4.0
労災勘定 合計 1,111,024 1,119,152 1,104,983 1,083,402 1,045,160 1,044,085 △66,938 △6.0
労災勘定 合計
(他会計へ繰入を除いた合計)
1,048,654 1,053,851 1,037,332 1,029,893 998,011 983,816 △64,838 △6.1

(注)
  計には、表示した目以外を含む。

支出済歳出額の推移の分析  

<特徴> 17年度以降の支出済歳出額は、物件費、施設費、補助費・委託費、その他において減少傾向を示している。使途別分類別の状況は次のとおりである。

(物件費)
 物件費の減少は、庁費において、競争入札の積極的な導入に伴い契約価格が予定より下回ったこと、補装具等支給費について、20年度まで現物給付していたものを21年度から申請者への費用払に変更したことで、使途別分類の異なるその他に移行したことなどによる。

(施設費)
 施設費の減少は、障害者職業能力開発校の施設整備において歳出削減の観点から必要最小限の改修工事のみを行うことにしたこと及び都道府県労働局等を財務省の合同庁舎に入居させるなどしたことによる。

(補助費・委託費)
 補助費・委託費の減少は、独立行政法人に対する財政支出の抑制が主な要因である。特に、独立行政法人労働者健康福祉機構に対する施設整備費補助金については、16年度に、特殊法人から独立行政行政法人に移行するに当たり、労災病院は診療収入を基礎とした自律的経営の健全性を図ることとし、建設費の補助を廃止することにしている。なお、経過措置として、第1期中期計画(16年度から20年度)に限り、既に工事を着工していた病院については補助の対象としている。

(その他)
 その他の減少は、労働災害の減少により療養補償給付、休業補償給付等の保険給付費が減少しているためである。

<予算科目の見直し> 労働保険特別会計は、行政改革の重要方針(平成17年12月閣議決定)により、原則として純粋な保険給付事業に限り行うこととされ、労災勘定の労働福祉事業の見直しが行われた。これにより、18年度までの(項)労働福祉事業費は、19年度に(項)社会復帰促進等事業費に名称変更されている。また、20年度には、財政制度等審議会からの指摘を踏まえて予算・決算と政策評価の連携を図るため、表示科目を政策評価の施策単位とするなどしており、これに合わせて、項及び目名の変更及びこれらに含まれる事業内容等の大幅な見直しが行われている。なお、物件費の通信専用料のうち、システムに係るデータ通信サービス等の経費を19年度から情報処理業務庁費に計上しており、その他の「福祉施設給付金」については、20年度に、「労災援護給付金」に名称変更している。


特別会計名 労働保険特別会計 所管府省名 厚生労働省 設置等年度 平成19年度 分類 保険事業
設置
目的
雇用保険事業に関する経理を明確にするため 勘定 雇用勘定
特別会計の歳入歳出額の推移等 歳入額
年度
項目
平成17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度
歳入予算額 3兆2876億円 3兆4147億円 2兆6642億円 2兆7683億円 3兆7546億円 4兆1879億円
収納済歳入額(A) 3兆4231億円 3兆4165億円 2兆7381億円 2兆8126億円 3兆3178億円 2兆7792億円
一般会計からの繰入額(B) 3470億円 1961億円 1198億円 1611億円 5895億円 710億円
(B/A) (10.1%) (5.7%) (4.3%) (5.7%) (17.7%) (2.5%)
特定財源の額(C) - - - - - -
(C/A) - - - - - -
歳出額 歳出予算現額(D) 2兆9530億円 2兆8348億円 2兆3749億円 2兆2766億円 3兆6607億円 4兆1884億円
支出済歳出額(E) 1兆8986億円 1兆8781億円 1兆8298億円 2兆0287億円 3兆1272億円 2兆4888億円
(支出率 E/D) (64.2%) (66.2%) (77.0%) (89.1%) (85.4%) (59.4%)
繰越額(F) 10億円 7億円 9億円 7億円 4億円 6億円
(繰越率 F/D) (0.0%) (0.0%) (0.0%) (0.0%) (0.0%) (0.0%)
不用額(G) 1兆0533億円 9559億円 5441億円 2470億円 5329億円 1兆6988億円
(不用率 G/D) (35.6%) (33.7%) (22.9%) (10.8%) (14.5%) (40.5%)
剰余金 剰余金(H)=(A)-(E) 1兆5245億円 1兆5383億円 9082億円 7838億円 1905億円 2903億円
(剰余金率 H/A) (44.5%) (45.0%) (33.1%) (27.8%) (5.7%) (10.4%)
特別会計に関する法律に規定されている剰余金の処理方法 積立金等に積立て、翌年度の歳入に繰入れ、一般会計の歳入に繰入れ
積立金等の年度末残高            
積立金 1兆6025億円 2兆8031億円 4兆1534億円 4兆8831億円 5兆0453億円 5兆2100億円
雇用安定資金 5673億円 8106億円 1兆0004億円 1兆0678億円 8000億円 5047億円
平成21年度特別会計財務書類のうち貸借対照表における特別会計に帰属する資産及び負債の状況 <資産の部>   <負債の部>  
〔1〕 現金・預金 6兆0360億円 〔1〕 政府短期証券 -
〔2〕 有形固定資産 1162億円 〔2〕 借入金 -
〔3〕 出資金 6655億円 〔3〕 公債 -
〔4〕 その他の資産 805億円 〔4〕 その他の負債 4248億円
    負債合計 4248億円
    <資産・負債差額の部>  
資産合計 6兆8983億円 資産・負債差額 6兆4734億円
剰余金の推移等の状況  

 19年度は、歳入額が保険料率の引下げなどにより減少した一方、歳出額はほぼ横ばいとなっていたことにより、剰余金は減少している。
 21年度は、保険料率の更なる引下げなどにより歳入が減少したこと、また、歳出において雇用失業情勢の悪化により、失業等給付金等の歳出が急激に伸びたことから、剰余金が大幅に減少している。

積立金等の推移等の状況  
 この積立金は、雇用保険事業の失業等給付費に充てるため、事業主及び被保険者から徴収した保険料等が積み立てられているものである。そして、本積立金の残高は18、19両年度末に大きく増加している。これは、17年度に保険料が引き上げられたことにより保険料収入が増加した一方、失業等給付費が減少したことにより、17、18両年度の決算を受けて本積立金へ積み立てた金額が大きかったためである。また、船員保険特別会計が21年度に廃止されたことに伴い、同特別会計に設置されていた積立金のうち、22億円が本積立金となった。
 雇用安定資金は、雇用安定事業費に充てるため、事業主から徴収した保険料等が積み立てられているものである。そして、20年度末までの残高が増加しているのは、保険料収入が多かったことなどにより、19年度まで本勘定から本資金へ繰入れを行ったことなどによるものである。また、21年度末に残高が減少したのは、経済危機対策の一環として雇用対策の推進を図るため本資金から本勘定の歳入に繰入れを行ったことなどによるものである。

支出済歳出額の推移表(雇用勘定)

(単位:百万円、%)

使途別分類名 目名 平成17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度 対17年度比(増減)
増減額 増減率
人件費 職員基本給 22,496 22,352 22,307 21,899 22,493 22,723 226 1.0
職員諸手当 10,329 10,323 10,531 10,353 9,825 9,593 △736 △7.1
退職手当 2,371 1,949 2,430 2,057 1,896 1,588 △783 △33.0
短時間勤務職員給与 - - - 216 234 354 354 -
超過勤務手当 1,463 1,433 1,447 1,542 1,900 2,006 543 37.1
人件費 計 36,891 36,339 36,994 36,367 36,676 36,837 △53 △0.1
旅費 職員旅費 633
580
457
412
330
295
△337
△53.3
旅費 計
996
871
684
626
615
617
△378
△38.0
物件費 情報処理業務庁費 11,852 12,367 27,508 29,446 40,951 32,540 20,688 174.5
庁費 18,318 18,328 17,151 16,002 21,061 21,048 2,730 14.9
通信専用料 10,089 9,899 11 6 8 8 △10,080 △99.9
電子計算機等借料 16,320 16,646 16,528 14,886 21,415 25,553 9,232 56.5
物件費 計 65,188 65,263 68,528 67,358 90,936 87,001 21,812 33.4
施設費 施設整備費(20年度以前は「施設費」) 2,632 3,771 3,211 3,106 3,413 3,138 505 19.2
施設費 計 2,893 3,771 3,993 3,638 3,499 3,689 795 27.4
補助費・委託費 ふるさと雇用再生特別交付金 - - - 250,000 - - - -
独立行政法人雇用・能力開発機構一般勘定運営費交付金 89,853 85,449 79,005 76,242 72,387 61,414 △28,438 △31.6
独立行政法人雇用・能力開発機構財形勘定運営費交付金 592 703 686 667 568 531 △60 △10.2
独立行政法人雇用・能力開発機構施設整備費補助金 1,188 1,556 1,314 1,508 1,440 926 △262 △22.0
独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構高齢・障害者雇用支援 勘定運営費交付金 18,002 17,619 17,095 16,715 16,883 13,811 △4,191 △23.2
独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構施設整備費補助金 29 35 34 32 60 - △29 △100.0
独立行政法人労働政策研究・研修機構雇用勘定運営費交付金 2,719 2,687 2,505 2,425 2,282 2,173 △545 △20.0
独立行政法人労働政策研究・研修機構施設整備費補助金 71 69 62 65 137 22 △48 △68.0
補助費・委託費 計 270,660 263,403 231,812 476,515 244,115 213,424 △57,236 △21.1
他会計へ繰入 計 69,350 156,194 162,660 27,364 27,545 23,587 △45,763 △65.9
その他 雇用安定等給付金 55,521 53,941 47,978 49,793 714,796 426,507 370,985 668.1
失業等給付金 1,377,171 1,280,278 1,259,799 1,349,592 1,980,506 1,661,646 284,475 20.6
その他 計 1,452,698 1,352,351 1,325,196 1,416,871 2,723,903 2,123,736 671,037 46.1
雇用勘定 合計 1,898,679 1,878,195 1,829,869 2,028,744 3,127,291 2,488,893 590,214 31.0
雇用勘定 合計
(他会計へ繰入を除いた合計)
1,829,328 1,722,000 1,667,209 2,001,379 3,099,746 2,465,306 635,977 34.7

(注)
  計には、表示した目以外を含む。

支出済歳出額の推移の分析  

<特徴> 17年度以降の支出済歳出額は、補助費・委託費が減少傾向にあるが、物件費及びその他は増加傾向を示している。使途別分類別の状況は次のとおりである。

(物件費)
 情報処理業務庁費及び電子計算機等借料の増加は、政府全体の方針として決定された「電子政府構築計画」(15年7月策定)を受け、17年度に作成した「職業安定行政関係業務の業務・システム最適化計画」に基づき、これまでのシステムとして別々に構築・運用してきた総合的雇用情報システム、雇用保険トータル・システム等について、新たなシステムとして一体化を図ることとし、その設計・システム等については、18年度から5年計画で進められ、その期間は旧システムの運用と新システムの開発が同時進行したことによるものである。また、庁費の増加は、急激な雇用情勢の悪化を受け、21年度において、「ハローワークにおける職業相談体制の整備の実施」や雇用調整助成金の支給件数の急増に対応するための「労働局等における助成金窓口の体制整備」を実施したことによるものである。

(補助費・委託費)
 補助費・委託費の減少は、独立行政法人に対する財政支出の抑制が主な要因である。なお、20年度に、緊急雇用対策の一環として、都道府県に基金を設け雇用機会を創出するための「ふるさと雇用再生特別交付金」が計上されている。

(その他)
 その他の増加は、急激な雇用情勢の悪化を受け、21年度に雇用安定等給付金及び失業等給付金に係る補正予算が編成されたことが主な要因である。

<予算科目の見直し>
 20年度に、政策評価ごとに予算を決算を結びつけ、予算とその成果を評価できるように、予算書・決算書の表示単位と政策評価の単位とを対応させるなどの見直しを行っている。これにより19年度の(項)雇用安定等事業費が11の項に細分化され、これに合わせて目等の新設等も行われている。なお、物件費の通信専用料のうち、システムに係るデータ通信サービス等の経費を19年度から情報処理業務庁費に計上している。


特別会計名 労働保険特別会計 所管府省名 厚生労働省 設置等年度 平成19年度 分類 保険事業
設置目的 労働保険料の徴収に関する経理を明確にするため 勘定 徴収勘定
特別会計の歳入歳出額の推移等 歳入額
年度
項目
平成17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度
歳入予算額 3兆9953億円 4兆1271億円 3兆6472億円 3兆6570億円 2兆8736億円 3兆3605億円
収納済歳入額(A) 4兆0871億円 4兆1896億円 3兆6779億円 3兆6748億円 2兆7177億円 3兆1941億円
一般会計からの繰入額(B) - 6億円 1億円 0億円 0億円 0億円
(B/A) - (0.0%) (0.0%) (0.0%) (0.0%) (0.0%)
特定財源の額(C) - - - - - -
(C/A) - - - - - -
歳出額 歳出予算現額(D) 4兆0596億円 4兆1271億円 3兆6486億円 3兆6570億円 2兆8736億円 3兆3605億円
支出済歳出額(E) 4兆0561億円 4兆1123億円 3兆6072億円 3兆6412億円 2兆6961億円 3兆1704億円
(支出率 E/D) (99.9%) (99.6%) (98.8%) (99.5%) (93.8%) (94.3%)
繰越額(F) - 14億円 - - - 0億円
(繰越率 F/D) - (0.0%) - - - (0.0%)
不用額(G) 34億円 133億円 414億円 157億円 1775億円 1900億円
(不用率 G/D) (0.0%) (0.3%) (1.1%) (0.4%) (6.1%) (5.6%)
剰余金 剰余金(H)=(A)-(E) 309億円 773億円 707億円 335億円 216億円 236億円
(剰余金率 H/A) (0.7%) (1.8%) (1.9%) (0.9%) (0.7%) (0.7%)
特別会計に関する法律に規定されている剰余金の処理方法 翌年度の歳入に繰入れ、一般会計の歳入に繰入れ
積立金等の年度末残高          
  - - - - - -
             
平成21年度特別会計財務書類のうち貸借対照表における特別会計に帰属する資産及び負債の状況 <資産の部>   <負債の部>  
〔1〕 現金・預金 216億円 〔1〕 政府短期証券 -
〔2〕 有形固定資産 7億円 〔2〕 借入金 -
〔3〕 出資金 - 〔3〕 公債 -
〔4〕 その他の資産 64億円 〔4〕 その他の負債 364億円
    負債合計 364億円
    <資産・負債差額の部>  
資産合計 288億円 資産・負債差額 △ 75億円
剰余金の推移等の状況

 剰余金には、労働保険料収入等が他勘定への繰入予算額を上回った場合に発生する「繰入未済金」、一般拠出金収入が石綿健康被害救済事業交付金予算額を上回った場合に発生する「交付未済金」及び他勘定からの繰入額又は一般会計からの繰入額のうちの使用残額である「前受金」が含まれており、これらの動向により剰余金の額は変動することになる。

積立金等の推移等の状況
 本勘定に積立金等は設置されていない。

支出済歳出額の推移表(徴収勘定)

(単位:百万円、%)

使途別分類名 目名 平成17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度 対17年度比(増減)
増減額 増減率
人件費 職員基本給 7,055 6,341 5,283 4,009 3,893 3,806 △3,248 △46.0
職員諸手当 3,169 2,867 2,435 1,841 1,661 1,558 △1,611 △50.8
人件費 計 11,721 10,707 9,006 6,818 6,167 6,409 △5,312 △45.3
旅費 職員旅費 192 146 125 105 76 68 △124 △64.6
旅費 計 321 263 226 193 138 113 △208 △64.6
物件費 情報処理業務庁費 - 147 5,419 5,462 6,948 2,435 2,435 -
庁費 5,573 4,770 5,130 4,827 4,386 3,920 △1,653 △29.6
通信専用料 4,270 3,839 - - - - △4,270 △100.0
電子計算機等借料 1,218 1,044 1,044 1,044 2,217 2,526 1,308 107.3
物件費 計 11,075 10,382 11,684 11,346 13,568 8,899 △2,176 △19.6
補助費・委託費 石綿健康被害救済事業交付金 - - 7,102 7,226 9,124 9,488 9,488 -
補助費・委託費 計 2,934 2,833 9,785 9,529 11,433 11,414 8,479 288.9
他会計へ繰入 計 3,962,661 4,025,098 3,513,907 3,551,007 2,602,984 3,094,138 △868,522 △21.9
その他 保険料返還金 54,879 50,377 49,681 50,585 49,325 36,768 △18,111 △33.0
その他 計 67,438 63,089 62,597 62,405 61,835 49,462 △17,976 △26.6
徴収勘定 合計 4,056,153 4,112,374 3,607,206 3,641,299 2,696,128 3,170,438 △885,715 △21.8
徴収勘定 合計(他会計へ繰入を除いた合計) 93,492 87,275 93,299 90,292 93,143 76,299 △17,192 △18.3

(注)
 計には、表示した目以外を含む。

支出済歳出額の推移の分析  

<特徴>
 17年度以降の支出済歳出額は、人件費、物件費、その他は減少傾向にあるが、補助費・委託費は増加傾向を示している。使途別分類別の状況は次のとおりである。

(人件費)
 総人件費改革に基づく予算定員の減少及び人事院勧告を踏まえた給与法改正による俸給や一部手当の見直しなどにより減少している。

(物件費)
 情報処理業務庁費は、政府全体の方針として決定された「電子政府構築計画」(15年7月策定)を受け、「労働保険適用徴収業務の業務・システム最適化計画」(18年3月策定)に基づき、25年4月の本格稼働に向けて順次システムの最適化を実施しており、電子計算機等借料とともに支出額が増減している。なお、22年度に情報処理業務庁費が減少したのは、21年度に第1フェーズが終了したことに伴い旧システムの契約も21年度に終了したためである。

(補助費・委託費)
 補助費・委託費の増加は、「石綿による健康被害の救済に関する法律」(平成18年法律第4号)により、厚生労働省が一般拠出金を徴収し、独立行政法人環境再生保全機構へ交付しているためである。

(その他)
 その他の減少は、事業主からの還付請求が減少したことにより保険料返還金が減少しているためである。

<予算科目の見直し> 物件費の通信専用料のうち、システムに係るデータ通信サービス等の経費を19年度から情報処理業務庁費に計上している。