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  • 平成24年1月

大規模な治水事業(ダム、放水路・導水路等)に関する会計検査の結果について


3 導水路

 導水路は、水道用水等の補給等の流水の正常な機能の維持等のため、人工水路を利用して流水を導くもので、余剰流量等を河川から取水して、地下等を掘削して築造された水路を通じて流量が不足している河川に流水を供給するものである。
 導水路事業については、22年度において、大規模な治水事業として国が事業主体である霞ヶ浦導水事業と水資源機構が事業主体である木曽川水系連絡導水路事業の2事業が実施されている。
 これらの事業について検査したところ、次のような状況になっていた。

(1) 事業の目的、必要性等についての検討の状況

ア 霞ヶ浦導水事業

 霞ヶ浦では、流域内の人口増加等により昭和40年代後半から水質汚濁が進行したことなどから、51年から霞ヶ浦導水事業の事業計画に関する調査が行われている。同事業は、那珂川下流部、霞ヶ浦(西浦)、桜川及び利根川下流部を導水路(地下トンネル)で連絡して、状況に応じて那珂川及び利根川から余剰流量を取水して那珂川、霞ヶ浦及び利根川の間で相互に水を融通するものである。そして、事業の目的は、霞ヶ浦、桜川等の水質浄化、水道用水等の補給等の流水の正常な機能の維持と増進及び新規都市用水の供給の確保を図ることとされている。
 現行の霞ヶ浦導水事業計画等によると、事業期間は51年度から平成22年度まで、計画事業費は1900億円、主な施設は、那珂川と霞ヶ浦(西浦)を連絡する那珂導水路(内径3.5m〜4.5m、延長約42.9km、最大導水量15m3 /s)、利根川と霞ヶ浦(西浦)を連絡する利根導水路(内径4.0m、延長約2.6km、最大導水量25m3 /s)等となっている(図表3-1 及び図表3-2 参照)。このうち利根導水路については、水資源機構が別途新規都市用水の供給の確保を図るなどの事業を実施することから、工事は関東地方整備局と水資源機構との共同事業で実施され、同導水路は国と水資源機構との共同施設となっている。

図表3-1
 霞ヶ浦導水事業位置図

図表3-1

図表3-2
 霞ヶ浦導水事業における事業計画等の概要

事業期間 計画事業費 主な機能等 主な施設等
導水量
  億円
m3 /s m3 /s  
昭和51年度
  〜平成22年度
1,900 利根導水路最大25 那珂導水路最大15 那珂導水路約42.9km、利根導水路約2.6km、機場4基、立坑12基

 前記の目的のうち霞ヶ浦の水質浄化については、霞ヶ浦(西浦)へ流入する河川より水質が良い那珂川及び利根川の水を霞ヶ浦(西浦)へ導水することで、霞ヶ浦(西浦)の水が入れ替わる年間の回数が従来の約2回から約3回に増えることになり、希釈効果により水質浄化が図られるとされている。その導水量等は、霞ヶ浦(西浦)の容量6.4億m3 に対し、那珂川から霞ヶ浦への導水量は年間約3.3億m3 、年間導水日数は約300日、利根川から霞ヶ浦への導水量は年間約3.2億m3 、年間導水日数は約170日とされている。
 霞ヶ浦は、生活環境の保全に関する環境基準において湖沼のA類型に指定(昭和47年環境庁告示98号)され、そのCOD値(化学的酸素要求量。水質汚濁の一指標)の基準値は3.0mg/L以下であるとされている。一方、霞ヶ浦の水質については、直近10年の霞ヶ浦(西浦)の環境基準地点における年平均のCOD値が、13年から18年までは7.0mg/Lから8.0mg/Lまでの間で推移していたが、19年には8.0mg/Lを超え、さらに、21年には9.0mg/Lを超えるなどしており、近年は水質が悪化する傾向にある。
 霞ヶ浦では、湖沼水質保全特別措置法(昭和59年法律第61号)に基づき昭和62年に霞ヶ浦に係る湖沼水質保全計画(第1期)(計画期間は61年度から65年度まで)が策定されるなど、各期の計画に基づき水質の保全に資する整備等が行われているが、生活排水等に対する対策が十分ではないこと、湖内において難分解性有機物が増加していることなどから水質の大幅な改善には至っていない。水質の目標については、霞ヶ浦に係る湖沼水質保全計画(第5期)(平成19年3月茨城県・栃木県・千葉県策定。計画期間は18年度から22年度まで)では、霞ヶ浦導水事業を含めた諸施策を実施することにより32年度にCOD値5.0mg/L台前半(霞ヶ浦の湖水浴場が賑わっていた昭和40年代前半の状況)を目指すとされている。そして、那珂川等の水を霞ヶ浦(西浦)へ導水することによる本事業の水質改善効果は、試算(注) では、霞ヶ浦(西浦)へ年間約6億m3 導水することにより霞ヶ浦(西浦)のCOD値は約0.8mg/L(平成8年から17年までの10年間の年平均値の平均値)低くなるとされているが、上記のように、近年霞ヶ浦(西浦)のCOD値は8.0mg/Lを超え更に悪化する傾向にあることから、現状においては本事業により導水を実施してもCOD値5.0mg/L台前半という目標を達成するまでに相当な期間を要することが見込まれる状況となっている。

 試算  霞ヶ浦に係る湖沼水質保全計画(第5期)の将来(平成22年度)負荷量の想定を基に8年から17年までの流況により水質改善効果を試算したもの

 前記の目的のうち水道用水等の補給等の流水の正常な機能の維持と増進については、那珂川と利根川は渇水の時期が異なる(那珂川は4月から5月まで、利根川は7月から9月まで)ことから、それぞれの河川の渇水時に相互に水を融通して流況調整を行うとしているものである。
 また、霞ヶ浦導水事業は、ダム建設事業そのものではないが、国土交通省の検証対象のダム建設事業等の一つとされ、「霞ヶ浦導水事業の関係地方公共団体からなる検討の場」を設置し、第1回幹事会を22年12月に、第2回幹事会を23年6月にそれぞれ開催するなどして「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」が示した中間とりまとめに従い、必要性、代替案等の検討や、利水者の意思確認等を行っているところである。そして、第2回の幹事会において、利水者に対する事業参画の継続の意思確認等の結果、一部の利水者(千葉市(水利権量0.06m3 /s)及び東総広域水道企業団(水利権量0.114m3 /s))には事業参画を継続する意思がないことが明らかにされている。
 なお、霞ヶ浦導水事業で実施する工事のうち那珂樋管工事については、那珂川の漁業協同組合から漁業権の侵害に当たるとして21年3月に工事に関する差止め請求が裁判所に提出され現在口頭弁論が行われているところであるが、和解等の裁判の終結見込みは23年10月末現在未定である。また、漁業補償契約については、利根川で1漁業協同組合との契約が締結されておらず、那珂川の漁業協同組合に対する補償交渉は実施されていない。
 このように、事業開始当初に比べて霞ヶ浦導水事業を取り巻く社会経済情勢に変化が見受けられるが、現状における同事業の効果、必要性等の再検討を十分に行わないまま、従前の事業計画により引き続き事業を実施している。

イ 木曽川水系連絡導水路事業

 木曽川水系連絡導水路事業は、流水の正常な機能の維持(異常渇水時の緊急水の補給)と新規利水の供給を目的としており、水資源機構が建設した徳山ダムに確保されている流水の正常な機能の維持を図るための容量のうちの4000万m3 の水を水源として、一部は長良川を経由して木曽川に導水して河川環境の改善のための流量を確保し、また、愛知県の水道用水として最大2.3m3 /s、名古屋市の水道用水として最大1.0m3 /s及び同市の工業用水として最大0.7m3 /sをそれぞれ導水し、木曽川において取水を可能とするものである。
 本事業は、18年度に中部地方整備局が直轄事業として事業に着手したが、木曽川におけるほとんどの水資源施設を水資源機構が管理していることなどから、20年度に水資源機構に事業承継され実施されている。
 なお、水源としての徳山ダムにおける流水の正常な機能の維持(異常渇水時の緊急水の補給)という目的は、6年の異常渇水、8年の名古屋市の水道用水の利水量の一部返上表明を踏まえた徳山ダム建設事業に関する事業計画の第2回変更(10年1月)において、名古屋市の水道用水の利水量を5.0m3 /sから2.0m3 /sに減量したことによって生じた容量5300万m3 を振り替えることとして、新たに目的の一つとして加えられたものである。
 水資源機構が策定した木曽川水系連絡導水路事業計画によると、事業期間は18年度から27年度まで、計画事業費は890億円、主な施設は、上流施設(約43km)として、揖斐川から長良川に導水する導水路(最大導水量20.0m3 /s)及び長良川から木曽川に導水する導水路(最大導水量15.3m3 /s)、下流施設(約1km)として長良川から木曽川に導水する導水路(最大導水量4.7m3 /s)等となっている(図表3-3 及び図表3-4 参照)。

図表3-3
 木曽川水系連絡導水路事業位置図

図表3-3

図表3-4
 木曽川水系連絡導水路事業における事業計画等の概要

事業期間 計画事業費 主な機能等 主な施設等
導水量
  億円 m3 /s m3 /s  
平成18年度
  〜27年度
890 (上流施設)
揖斐川〜長良川、
最大20
長良川〜木曽川、
最大15.3
(下流施設)
長良川〜木曽川、
最大4.7
上流施設約43km、下流施設約1km

 木曽川水系連絡導水路事業は、ダム建設事業そのものではないが、国土交通省の検証対象のダム建設事業等の一つとされ、水資源機構等が検討主体となって「木曽川水系連絡導水路事業の関係地方公共団体からなる検討の場」を設置し、23年6月に第1回を開催するなどして「今後の治水対策のあり方に関する有識者会議」が示した中間とりまとめに従い、必要性、代替案等の検討や、利水者の意思確認等を行っているところである。

(2) 事業の実施状況

ア 霞ヶ浦導水事業

 霞ヶ浦導水事業において22年度末までの執行済事業費は1473億円で執行率は77.6%となっている(図表3-5 参照)。そして、導水路工事の進捗状況(22年度末現在)は、利根導水路は3年に全延長約2.6kmの工事が全て完了(進捗率100%)しており、那珂導水路は、全延長約42.9kmのうち約14.2kmの工事が完了(進捗率33.1%)し、残りの約28.7kmは未整備となっている。

図表3-5
 霞ヶ浦導水事業の進捗状況

計画事業費 執行済事業費 執行率 主な実施済事業 今後実施が予定されている主な事業
億円 億円    
1,900 1,473 77.6 那珂導水路約14.2km、利根導水路約2.6km、機場2基、立坑11基、区分地上権の設定約138,600m2 那珂導水路約28.7km、機場2基、立坑1基、区分地上権の設定約55,700m2

 14年度までの那珂導水路の工事の進捗状況は、延長約42.9kmのうち約9.2kmの工事が完了し未整備区間は約33.7kmとなっていた。 そして、15年度に開催された事業評価監視委員会の説明資料では、事業期間の最終年度である22年度までに那珂導水路の未整備区間を含めた全ての施設の工事が完了予定とされていた。しかし、実際には導水路の工事を実施するのに必要である地下トンネル部分に関する区分地上権の設定に時間を要したため、那珂導水路は15年度から22年度までの8年間で未整備区間約33.7kmのうち約5.0kmしか工事が完了していないなどしていて、現事業計画の事業期間の最終年度である22年度末以降も事業は継続して実施されている。
 事業の進捗の見込みについては、19年12月に開催された事業評価監視委員会の説明資料では、23年度までに区分地上権は全件設定を完了し、27年度の事業完了を目指すとされている。しかし、事業計画における事業期間の延長は、事業評価に大きな影響を与えるものであるのに、19年12月以降、現事業計画の事業期間を変更するまでには至っていない。なお、同事業は、21年12月に、前記のとおり検証対象のダム建設事業等の一つとされているところである。
 また、那珂導水路については前記のように約138,600m2 の区分地上権の設定に時間を要したが、事業の進捗に伴って区分地上権の設定を必要とする箇所が約55,700m2 残されていて、今後の区分地上権の設定にも時間を要すると、事業の効果の発現が更に遅れることになる。
 次に、完成している利根導水路の利用状況(22年度末現在)についてみると、霞ヶ浦の水質改善という目的に関しては、利根導水路と那珂導水路を一体として運用することにより効果を発揮するとしているため、利根川から霞ヶ浦への導水は一度も実施されていない。また、水道用水等の補給等の流水の正常な機能の維持と増進という目的に関しては、那珂導水路が完成しておらず利根川、霞ヶ浦及び那珂川の間で相互に水の融通が行えないため、利根川と霞ヶ浦の双方向において導水は一度も実施されていない。さらに、新規都市用水の供給の確保という目的に関しては、事業が完了していないことから送水実績は一度もない。このように、利根導水路については、霞ヶ浦導水事業として利用された実績がない状況となっている。

イ 木曽川水系連絡導水路事業

 木曽川水系連絡導水路事業は、18年度に中部地方整備局が事業に着手し、20年度に水資源機構に承継されて引き続き実施されているが、前記のとおり検証対象のダム建設事業等の一つとされていることから、調査中の段階にとどめられている状況となっている(図表3-6 参照)。

図表3-6
 木曽川水系連絡導水路事業の進捗状況

計画事業費 執行済事業費 執行率 主な実施済事業 今後実施が予定されている主な事業
億円 億円    
890 34 3.9 測量試験等 上流施設約43km、下流施設約1km

(3) 事業費の推移及び事業計画の変更等に伴う見直し等の状況

ア 霞ヶ浦導水事業

 霞ヶ浦導水事業は、前記のとおり昭和51年度から実施されており、平成22年度末までの執行済事業費は1473億円である。また、年度別執行済事業費等の推移は図表3-7 のとおりである。

図表3-7
 霞ヶ浦導水事業における過去10年間の年度別執行済事業費等

年度
項目
平成13 14 15 16 17 18 19 20 21 22
  百万円 百万円 百万円 百万円 百万円 百万円 百万円 百万円 百万円 百万円
年度別執行済事業費 4,083 4,509 5,613 5,693 4,524 1,442 1,179 1,140 1,079 650
年度末執行済事業費 121,515 126,025 131,638 137,332 141,856 143,299 144,478 145,619 146,699 147,349
計画事業費 190,000 190,000 190,000 190,000 190,000 190,000 190,000 190,000 190,000 190,000
執行率 64.0% 66.3% 69.3% 72.3% 74.7% 75.4% 76.0% 76.6% 77.2% 77.6%

 霞ヶ浦導水事業計画の変更状況は、図表3-8 のとおり、昭和60年度に当初事業計画が策定されて以降、計3回の事業計画の変更が行われている。

図表3-8
 霞ヶ浦導水事業における事業計画の変更等の状況

計画 計画事業費 変更等実施年月 事業期間 主な変更内容 変更理由等

当初
億円
1,600

昭和60年7月

昭和51年度〜68年度(平成5年度)


第1回変更 1,900 平成5年8月 昭和51年度〜平成12年度 事業期間7年
延長計画事業費300億円増
地上権の設定に伴う地元調整に時間を要したため
土浦放流口の位置変更のため
第2回変更 1,900 平成13年9月 昭和51年度〜平成22年度間 事業期間10年延長 区分地上権の設定に時を要したため
第3回変更 1,900 平成14年10月 昭和51年度〜平成22年度 利水参画量3.5m3 /sの減 茨城県から事業計画変更の要望があったため

 計画事業費については、第1回の事業計画変更で土浦放流口の位置変更等により計画事業費が300億円増額されている。第3回の事業計画変更では、計画事業費は1900億円で第2回の事業計画と同額であるが、利水参画量の減に基づく事業規模の縮小等により計画事業費の内容に変更が生じており、結果的に、増額が184億円、減額が184億円となり、増額と減額が相殺されて計画事業費の変更はなかったものである。
 また、事業期間については、当初の事業計画では18年間で事業完了が68年度(平成5年度)とされていたが、第1回の事業計画変更(5年8月)において、地上権の設定に伴う地元調整に時間を要したなどのため事業期間が7年延長され事業完了が12年度となり、第2回の事業計画変更(13年9月)において、区分地上権の設定に時間を要したため事業期間が更に10年延長となり事業完了が22年度となっている。そして、22年度末時点において当初の事業計画に比べて事業期間が17年延長され、事業着手から35年が経過しているが、前記のとおり事業は完了しておらず継続中となっている。

イ 木曽川水系連絡導水路事業

 木曽川水系連絡導水路事業は、前記のとおり18年度から実施されており、22年度末までの執行済事業費は34億円である。また、年度別執行済事業費等の推移は図表3-9 のとおりである。

図表3-9
 木曽川水系連絡導水路事業における事業着手からの年度別執行済事業費等

年度
項目
平成18〜20(事業承継まで) 20 21 22
  百万円 百万円 百万円 百万円
年度別執行済事業費 - 531 458 199
年度末執行済事業費 2,277 2,809 3,267 3,467
計画事業費 - 89,000 89,000 89,000
執行率 - 3.2% 3.7% 3.9%

 木曽川水系連絡導水路の事業計画の変更状況は、図表3-10 のとおりであり、中部地方整備局では事業計画を策定しておらず、水資源機構は事業承継をした際に事業計画を策定している。

図表3-10
 木曽川水系連絡導水路事業における事業計画の変更等の状況

事業主体 計画事業費 変更等実施年月 事業期間 主な変更内容 変更理由等
  億円        
中部地方整備局
水資源機構 890 平成20年8月 平成18年度〜27年度 上流案から上流分割案へ変更

 17年度に中部地方整備局が事業主体として行った新規事業採択時評価における計画事業費は900億円であり、同事業の承継を予定していた水資源機構が事業主体として19年度に行った新規事業採択時評価及び20年度に策定した事業計画における計画事業費はいずれも890億円で10億円の減額となっていた。
 なお、計画事業費が減額となった要因は、導水路を、揖斐川から木曽川に導水する上流案から、揖斐川から木曽川に導水する上流施設及び長良川を経由させた水を木曽川へ導水する下流施設から構成される上流分割案に変更したことなどによるとされている。

(4) 事業再評価時における投資効果等の検討の状況

ア 霞ヶ浦導水事業

 霞ヶ浦導水事業は、10年度に事業再評価が実施されて以降、22年度までに計4回の事業再評価が実施され、その評価結果は図表3-11 のとおりである。

図表3-11
 霞ヶ浦導水事業における事業再評価等の概要

事業再評価等 総便益(B) 総費用(C) 費用便益比(B/C) 対応方針
実施年度 対象事業 金額 内容 金額 内容
    億円 億円 億円 億円    
平成10 霞ヶ浦導水 1,146 対象期間不明 860 対象期間不明 1.3 継続
対象便益 対象費用
 被害軽減期待額 : 11  建設費 : 860
 レクリエーション  
 効果 : 42      
 存在効果 : 9      
平成15第1回 霞ヶ浦導水 2,476 対象期間不明 1,442 対象期間不明 1.7 継続
対象便益 対象費用
 被害軽減期待額 : 9  建設費 : 1,442
 レクリエーション  
 効果 : 49      
 身替り建設費 : 57      
 存在効果 : 34      
平成15第2回 霞ヶ浦導水 1,904 対象期間不明 1,442 対象期間不明 1.3 継続
対象便益 対象費用
 被害軽減期待額 : 32  建設費 : 1,442
 レクリエーション  
 効果 : 49      
 存在効果 : 34      
平成19 霞ヶ浦導水 1,869 対象期間 1,584 対象期間 1.2 継続
平成28年度〜77年度 昭和51年度〜平成77年度
対象便益 対象費用
 被害軽減期待額 : 492  建設費 : 1,464
 レクリエーション 維持管理費 : 120
 効果 : 805      
 存在効果 : 533      
 残存価値 : 39      
注(1)  総便益は、新たに検討されて追加されているものがあるため、事業再評価の実施時期によって異なる内容が見受けられる。
注(2)  平成10年度及び15年度の総便益の内容欄の対象便益は、総便益を換算係数を用いたり、現在価値化したりして算定する前の年当たりのものである。
注(3)  平成15年度は、河川の水量確保に係る費用対効果の算定方法について、事業評価監視委員会で再度説明を行うことになったため、事業再評価を2回実施したとしている。
注(4)  平成23年度に実施された事業再評価における費用便益比は1.1(総便益2104億円、総費用1878億円)となっている。

 霞ヶ浦導水事業における19年度の事業再評価については、レクリエーション効果等の総便益は1869億円、建設費等の総費用は1584億円であり、費用便益比の値は1.2と算出されている。10年度及び15年度の事業再評価における対象便益は事業評価監視委員会の説明資料にそれぞれ記載されているが、現在価値化前の便益から現在価値化後の便益を算定する過程等の総便益の算定根拠については、説明資料の作成に用いた関係資料を保有していないとしていて、過去の事業再評価における総便益の算定過程等の妥当性を明確にできず、説明責任が果たせない状況となっていた。

イ 木曽川水系連絡導水路事業

 木曽川水系連絡導水路事業は、計2回の新規事業採択時評価が実施され、その評価結果は図表3-12 のとおりである。

図表3-12
 木曽川水系連絡導水路事業における事業再評価等の概要

事業再評価等 総便益(B) 総費用(C) 費用便益比(B/C) 対応方針
実施年度 対象事業 金額 内容 金額 内容
    億円 億円 億円 億円    
平成17 木曽川水系連絡導水路 1,223 対象期間 943 対象期間 1.3 採択
平成18年度〜77年度 平成9年度〜77年度
対象便益 対象費用
 代替ダム建設費 : 1,374  導水路建設費 : 664
 維持管理費 : 343 徳山ダム木曽川分渇水対策容量事業費
         : 278
       維持管理費 : 246
平成19 木曽川水系連絡導水路 1,472 対象期間 876 対象期間 1.7 採択
平成18年度〜77年度 平成9年度〜77年度
対象便益 対象費用
 代替ダム建設費 : 1,374  導水路建設費 : 583
代替導水施設建設費 徳山ダム木曽川分渇水対策容量事業費
   : 369   : 278
維持管理費 : 436 維持管理費 : 226
注(1)  総便益及び総費用の内容欄の対象便益及び対象費用は、現在価値化する前のものである。
注(2)  平成23年度に実施された事業再評価における費用便益比は1.7(総便益1704億円、総費用1030億円)となっている。

 木曽川水系連絡導水路事業における19年度の新規事業採択時評価では、17年度の新規事業採択時評価の上流案から上流分割案に変更になったことなどから、便益として、代替ダム建設費に加え、木曽川から長良川への代替導水路の建設費を計上したことなどにより、費用便益比が17年度の1.3から1.7に上昇している。