復興基本方針では、東日本大震災からの復興を担う行政主体は市町村が基本になるとしており、また、県は、被災地の復興に当たって、広域的な施策を実施するとともに、市町村の実態を踏まえて、市町村に関する連絡調整や市町村の行政機能の補完等の役割を担うこととしている。
このため、24年報告では、特定被災自治体のうち、特に著しい被害を受けるなどして第1回復興交付金事業計画に基づく復興交付金交付可能額の通知を受けた58市町村について、23年度の復旧・復興事業に対する復興交付金や国庫補助金等の交付状況、事業の実施状況等について調査表により把握するなどして検査した。そして、本報告においては、8道県及び100市町村を対象に会計実地検査を行って、調書を徴したり担当者から事業の実施状況に関する説明を聴取したりするなどして、24年報告に引き続き23年度の復旧・復興事業の実施状況等を検査するとともに、24年度から新規に実施している復興事業の実施状況について検査した。
検査の対象とした経費は、23年度1次補正、23年度2次補正及び23年度3次補正、24年度復興特会当初予算及び24年度1次補正において措置された東日本大震災復興関係経費のうち、上記の8道県及び100市町村に交付された復興交付金及び国庫補助金、震災復興特別交付税並びに復興基金の原資とするために措置された特別交付税とした。なお、復興基金による事業(以下「復興基金事業」という。)については、特定被災自治体以外の38市町村においても実施されているため、これらの市町村における事業も検査の対象とした。
また、検査に当たっては、復旧・復興事業を、①国庫補助金等を基金の造成又は積み増しに用いて当該基金により事業を行う「復興関連基金事業」及び「復興基金事業」、②著しい被害を受けた地域の復興のため復興交付金により事業を行う「復興交付金事業」、③基金事業と復興交付金事業を除く「補助事業等」に区分することとし、それぞれの執行状況を示す指標に着眼するなどして分析している。ただし、震災復興特別交付税については、補助事業等の地方負担額に加えて地方税法等の特例措置による減収額に対する措置や単独災害復旧事業費、中長期職員派遣、職員採用等を対象とした経費も含まれていることから、執行状況を示す指標による分析からは除外した。
国及び地方公共団体が実施する東日本大震災関係経費に係る事業についてみると、表11のとおり、23年度1次補正、23年度2次補正及び23年度3次補正により計14兆9354億余円が予算措置されており、また、表12のとおり、24年度復興特会当初予算及び24年度1次補正により地方交付税交付金5490億余円、公共事業等の追加5091億余円等、計4兆9706億余円が予算措置されていて、合計で19兆9060億余円が予算措置されている。
上記の予算には、国が自ら実施する道路、港湾等の復旧事業、仮設住宅の建設、除染の実施等のほか、全国の都道府県や市町村を対象とする全国防災対策費等が含まれていることから、本報告においては、会計実地検査により特定被災自治体ごとに復旧・復興事業に係る国庫補助金、特別交付税等の交付状況や事業の実施状況等を検査した。なお、これらの資金の中には、特定被災自治体において復旧・復興事業を円滑に実施するなどの理由から交付決定額が概算となっているものや、震災復興特別交付税のように市町村等から提出された23、24両年度の復旧・復興事業の実施見込みなどの調査等に基づき額を決定して交付し、事業実施後の実績等により過大又は過小に算定された額を減額又は加算するものなども含まれている。
会計実地検査等に基づいて把握した8道県及び100市町村に対する23、24両年度の国庫補助金等の交付決定額や復興交付金の交付可能額の内訳については、表57のとおり、復興関連基金事業に充てられる国庫補助金等交付決定額1270億余円、復興基金事業についての特別交付税交付額310億円、復興交付金交付可能額429億余円、補助事業等に係る国庫補助金等交付決定額2721億余円及び震災復興特別交付税交付額2809億余円となっていて、計7540億余円が交付決定等されている。そして、これらの資金のうち、補助事業等に係る国庫補助金等は、23年度又は24年度の事業実績に基づいて交付されることなどから、上記の国庫補助金等交付決定額2721億余円から、23年度繰越分のうち25年度に事故繰越しされた額等を控除した計2152億余円が、特定被災自治体に交付されていて、8道県及び100市町村に対する交付額等は23、24両年度計で6971億余円と多額に上っている。
復旧・復興事業のうち主なものについて、それぞれに係る交付額等が全体に占める割合をみると、震災復興特別交付税が40.3%、補助事業等が30.8%、復興関連基金事業が18.2%などとなっている。なお、震災復興特別交付税は、復旧・復興事業に係る地方負担分を解消することなどを目的として、東日本大震災に係る災害復旧事業、復興事業その他の事業の実施のため特別の財政需要があることなどを考慮して道府県及び市町村に交付される特別交付税であり、年度ごとに道府県及び市町村が国の補助金等を受けて実施する災害復旧事業等、国の補助金を受けないで実施する災害復旧事業等に係る道府県及び市町村負担額について総務大臣が調査した額の全額について交付され、復旧・復興事業実施後の実績等に基づき過大又は過小に算定された額を減額又は加算される制度であり、災害復旧事業等を実施する道府県及び市町村における財源の裏付けとなっていて、交付額全体に占める割合も高くなっている。
また、復旧・復興事業は、前記のとおり、基金を設けて事業を実施しているものが多いことから、前記交付額等のうち基金事業に係るものについてみると、復興関連基金事業が1270億余円、復興基金事業が310億円、復興交付金事業が429億余円となり、これらの3事業を合わせた交付額等は全体の28.7%を占め、単年度で実施する補助事業等の約30%に相当する割合となっている。
道県別の交付額の規模についてみると、表57及び図23のとおり、おおむね道県ごとの特定被災自治体数及び被災状況に応じた規模となっている。すなわち、交付額計6971億余円のうち、茨城県及び40市町村に対する交付額は計3083億余円、茨城県に次いで特定被災自治体数が多い千葉県及び29市町に対する交付額は計1226億余円となっている。また、茨城県内の40市町村に対する復興交付金交付可能額も、8道県における交付可能額計429億余円のうち295億余円を占めていて、東日本大震災により甚大な被害を被っていることがうかがえる。
青森県は、特定被災自治体数は少ないものの、津波による被害の影響は大きく、港湾施設、漁業関連施設等の復旧・復興事業費に係る交付額等が多額であることなどにより、同県より特定被災自治体数が多い栃木県に比べて交付額等が多額となっている。
表57 8道県及び100市町村における平成23、24両年度の国庫補助金、震災復興特別交付税等の交付等の状況
(単位:百万円、%)
特定被災自治 体 |
基金事業 | 復興交付金 交付可能額 (第1回から 第5回まで の計) |
補助事業等 | 震災復興特 別交付税 |
特定被災自治体 に交付決定等さ れた国庫補助金 等の合計 |
特定被災自治体 に交付等された 国庫補助金等の 合計 |
交付額等全体に占める国庫補助金等の各割合 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
国庫補助金 等交付決定 額 |
特別交付税 交付額 |
交付決定額 | 交付額 | 交付決定額 | 基金(国庫 補助金等) |
基金(特別 交付税) |
復興交付 金 |
補助(補助 事業) |
震災復興 特別交付 税 |
|||||
a | b | c | d | e | f | G =(a+b+c+d+f) |
H =(a+b+c+e+f) |
(a/H) | (b/H) | (c/H) | (e/H) | (f/H) | ||
北海道 | 18,292 | - | - | 18,734 | 16,586 | 4,729 | 41,755 | 39,608 | 46.1 | - | - | 41.8 | 11.9 | |
4町 | - | - | 15 | 1,624 | 1,562 | 673 | 2,313 | 2,251 | - | - | 0.6 | 69.3 | 29.9 | |
青森県 | 20,997 | 8,000 | - | 22,535 | 19,311 | 28,590 | 80,122 | 76,898 | 27.3 | 10.4 | - | 25.1 | 37.1 | |
4市町 | - | - | 3,188 | 8,738 | 7,951 | 7,977 | 19,904 | 19,117 | - | - | 16.6 | 41.5 | 41.7 | |
茨城県 | 36,351 | 14,000 | - | 58,242 | 44,885 | 67,556 | 176,150 | 162,793 | 22.3 | 8.5 | - | 27.5 | 41.4 | |
40市町村 | - | - | 29,526 | 52,944 | 43,799 | 72,222 | 154,693 | 145,549 | - | - | 20.2 | 30.0 | 49.6 | |
栃木県 | 12,904 | 4,000 | - | 6,114 | 5,624 | 11,656 | 34,675 | 34,185 | 37.7 | 11.7 | - | 16.4 | 34.0 | |
17市町 | - | - | 614 | 14,846 | 7,391 | 10,953 | 26,413 | 18,959 | - | - | 3.2 | 38.9 | 57.7 | |
埼玉県 | 9,085 | - | - | 434 | 406 | 1,007 | 10,527 | 10,499 | 86.5 | - | - | 3.8 | 9.5 | |
1市 | - | - | 223 | 2 | 2 | 606 | 833 | 833 | - | - | 26.8 | 0.3 | 72.8 | |
千葉県 | 9,755 | 3,000 | - | 17,725 | 14,683 | 19,720 | 50,201 | 47,160 | 20.6 | 6.3 | - | 31.1 | 41.8 | |
29市町 | - | - | 7,904 | 41,696 | 27,893 | 39,730 | 89,331 | 75,528 | - | - | 10.4 | 36.9 | 52.6 | |
新潟県 | 8,978 | 1,000 | - | 12,215 | 10,684 | 7,188 | 29,382 | 27,851 | 32.2 | 3.5 | - | 38.3 | 25.8 | |
3市町 | - | - | 86 | 3,980 | 3,278 | 1,201 | 5,269 | 4,566 | - | - | 1.9 | 71.7 | 26.3 | |
長野県 | 10,681 | 1,000 | - | 8,884 | 7,957 | 6,283 | 26,849 | 25,922 | 41.2 | 3.8 | - | 30.6 | 24.2 | |
2村 | - | - | 1,345 | 3,403 | 3,229 | 876 | 5,625 | 5,451 | - | - | 24.6 | 59.2 | 16.0 | |
合計 | 127,046 | 31,000 | 42,905 | 272,124 | 215,249 | 280,975 | 754,051 | 697,176 | 18.2 | 4.4 | 6.1 | 30.8 | 40.3 | |
8道県計 | 127,046 | 31,000 | - | 144,886 | 120,140 | 146,732 | 449,665 | 424,919 | 29.8 | 7.2 | - | 28.2 | 34.5 | |
100市町村計 | - | - | 42,905 | 127,237 | 95,109 | 134,242 | 304,385 | 272,257 | - | - | 15.7 | 34.9 | 49.3 |
図23 道県別国庫補助金交付額等の構成
8道県に対する復興関連基金事業に係る国庫補助金等交付額は、表58のとおり、14基金で計1270億余円となっており、これら14基金により30事業を実施している(8道県別の実施状況については、別添1参照)。
上記30事業のうち、地域自殺対策緊急強化基金及び高校生修学支援基金(高等学校授業料減免事業等支援臨時特例交付金)の2基金による2事業は、東日本大震災が発生する23年3月以前から実施されている基金事業と復興関連基金事業とを区分することなく一体として経理することとされていて、復興に係る基金事業執行率等を区分して把握することが困難なため、これらを除いた28事業の交付額等の状況についてみると、国庫補助金等交付額は計1249億余円、24年度末時点における取崩額は計531億余円、基金事業執行率は平均で42.4%となっている。
表58 8道県における復興関連基金事業別の執行状況等
(単位:百万円、%)
基金名 | 復興予算 区分 |
基金事業名 | 所管省庁名 | 国庫補助金等付先 | 国庫補助金等交付額 | 平成24年度末までの取崩額 | 基金事業 執行率 |
24年度末に保有している国庫補助金等相当額 | 当初の終 了年度 |
延長された年度等 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
(A) | (B) | (B/A) | (A-B) | |||||||
地域自殺対策緊急強化基金 | 23年度 3次補正 |
地域自殺対策緊急強化事業 | 内閣府 | 8道県 | 655 | / | / | / | 24年度 | 25年度 |
地方消費者行政活性化 基金 |
24年度 当初予算 |
消費生活行政強化対策費 | 内閣府 | 茨城県 | 47 | 11 | 24.6 | 36 | 25年度 | - |
高校生修学支援基金 (被災児童生徒就学支 援等臨時特例交付金) |
23年度 1次補正、 3次補正 |
被災幼児就園支援事業 | 文部科学省 | 8道県 | 337 | 138 | 41.2 | 198 | 26年度 | - |
被災児童生徒就学援助事業 | 文部科学省 | 8道県 | 1,262 | 484 | 38.3 | 778 | 26年度 | - | ||
奨学金事業 | 文部科学省 | 北海道、栃木 県、新潟県、長 野県 |
81 | 6 | 7.8 | 75 | 26年度 | - | ||
私立学校授業料等減免事業 | 文部科学省 | 8道県 | 647 | 145 | 22.4 | 501 | 26年度 | - | ||
被災児童生徒等特別支援教育就学奨励事 業 |
文部科学省 | 8道県 | 11 | 3 | 30.1 | 7 | 26年度 | - | ||
専修学校・各種学校授業料等減免事業 | 文部科学省 | 8道県 | 362 | 60 | 16.5 | 302 | 26年度 | - | ||
計 | 2,703 | 838 | 31 | 1,864 | / | / | ||||
高校生修学支援基金 (高等学校授業料減免 事業等支援臨時特例交 付金) |
23年度 3次補正 |
高等学校授業料減免事業等 | 文部科学省 | 青森県、茨城 県、千葉県、長 野県 |
1,418 | / | / | / | 26年度 | - |
安心こども基金 | 23年度 1次補正 |
地域子育て創生事業 | 厚生労働省 | 埼玉県、千葉県 | 45 | 1 | 4 | 44 | 23年度 | 25年度 |
23年度 3次補正 |
保育所等の複合化・多機能化推進事業 | 厚生労働省 | 茨城県、千葉県 | 770 | 352 | 45.7 | 417 | 24年度 | 25年度(25年度中に施 設整備に着手し、26年 度に完了が見込まれる 場合は、26年度まで) |
|
幼稚園等の複合化・多機能化推進事業 | 文部科学省 | 茨城県、千葉県 | 826 | 404 | 48.9 | 422 | 24年度 | 25年度(25年度中に施 設整備に着手し、26年 度に完了が見込まれる 場合は、26年度まで) |
||
計 | 1,643 | 759 | 46.2 | 883 | / | / | ||||
医療施設耐震化臨時特 例基金 |
23年度 3次補正 |
医療施設耐震化臨時特例基金事業 | 厚生労働省 | 茨城県、栃木 県、長野県 |
3,071 | 346 | 11.2 | 2,724 | 24年度 | 25年度 |
社会福祉施設等耐震化 等臨時特例基金 |
23年度 3次補正 |
児童福祉施設等改修事業 | 厚生労働省 | 茨城県、長野県 | 92 | 69 | 74.9 | 23 | 24年度 | 25年度 |
地域医療再生基金 | 24年度 予備費 |
被災地域医療提供体制特別再生事業費 | 厚生労働省 | 茨城県 | 2,500 | - | - | 2,500 | 27年度 | - |
緊急雇用創出事業臨時 特例基金(住まい対策 拡充等支援事業分) |
23年度 3次補正 |
社会的包摂・「絆」再生事業 | 厚生労働省 | 埼玉県、千葉 県、新潟県、長 野県 |
1,546 | 588 | 38 | 958 | 24年度 | 25年度 |
生活福祉資金相談等体制整備事業 | 厚生労働省 | 北海道、青森 県、栃木県、埼 玉県、千葉県 |
1,372 | 621 | 45.2 | 750 | 24年度 | 25年度 | ||
パーソナル・サポート・サービスモデ ル・プロジェクト事業 |
厚生労働省 | 北海道、千葉 県、新潟県、長 野県 |
251 | 243 | 96.7 | 8 | 24年度 | - | ||
被災生活保護受給者に対する生活再建サ ポート事業 |
厚生労働省 | 長野県を除く7 道県 |
259 | 22 | 8.7 | 236 | 24年度 | 25年度 | ||
計 | 3,429 | 1,476 | 43 | 1,953 | / | / | ||||
介護基盤緊急整備等臨 時特例基金 |
23年度 1次補正 |
地域支え合い体制づくり事業 | 厚生労働省 | 青森県、茨城 県、栃木県、千 葉県、新潟県、 長野県 |
1,020 | 319 | 31.3 | 701 | 23年度 | 25年度 |
23年度 3次補正 |
地域支え合い体制づくり事業 | 厚生労働省 | 埼玉県を除く7 道県 |
425 | 106 | 25.1 | 318 | 24年度 | 25年度 | |
23年度 3次補正 |
被災地健康支援事業 | 厚生労働省 | 茨城県、千葉 県、長野県 |
13 | 6 | 49.9 | 6 | 24年度 | - | |
計 | 1,459 | 433 | 29.6 | 1,026 | / | / | ||||
緊急雇用創出事業臨時 特例基金 |
23年度 1次補正 |
震災等緊急雇用対応事業 | 厚生労働省 | 8道県 | 8,360 | 8,111 | 97 | 248 | 24年度 | 25年度(被災9県のみ(25 年度までに開始した事業は 26年度まで)、それ以外は 24年度まで(24年度までに 開始した事業は25年度ま で)) |
23年度 3次補正 |
震災等緊急雇用対応事業 | 厚生労働省 | 8道県 | 37,620 | 27,074 | 71.9 | 10,545 | 24年度 (24年度ま でに開始し た事業は25 年度まで) |
25年度(被災9県のみ(25 年度までに開始した事業は 26年度まで)、それ以外は 24年度まで(24年度までに 開始した事業は25年度ま で)) |
|
23年度 3次補正 |
雇用復興推進事業 | 厚生労働省 | 青森県、茨城 県、栃木県、千 葉県、新潟県、 長野県 |
6,000 | 567 | 9.4 | 5,432 | 27年度 | 28年度 | |
24年度 1次補正 |
震災等緊急雇用対応事業 | 厚生労働省 | 青森県、茨城 県、栃木県、千 葉県、新潟県、 長野県 |
9,740 | - | - | 9,740 | 25年度 (25年度 までに開 始した事 業は26年 度まで) |
- | |
計 | 61,720 | 35,754 | 57.9 | 25,965 | / | / | ||||
森林整備加速化・林業 再生基金 |
23年度 3次補正 |
森林整備加速化・林業再生事業 | 農林水産省 | 8道県 | 27,880 | 7,128 | 25.5 | 20,751 | 26年度 | - |
災害等廃棄物処理基金 | 23年度 3次補正 |
災害等廃棄物処理基金事業 | 環境省 | 埼玉県を除く7 道県 |
3,945 | 3,945 | 100 | - | 25年度 | - |
24年度 当初予算 |
災害等廃棄物処理基金事業 | 環境省 | 青森県、茨城 県、栃木県、千 葉県、新潟県、 長野県 |
483 | 453 | 93.7 | 30 | 25年度 | - | |
計 | 4,428 | 4,398 | 99.3 | 30 | / | / | ||||
再生可能エネルギー等 導入地方公共団体支援 基金 |
23年 3次補正 |
再生可能エネルギー等導入推進事業 | 環境省 | 青森県、茨城県 | 15,995 | 1,884 | 11.7 | 14,110 | 27年度 | - |
合計(14基金30事業) | 127,046 | / | / | / | ||||||
うち28事業(「地域自殺対策緊急強化事業」、「高等学校授業料減免事業等」を除く。) | 124,971 | 53,101 | 42.4 | 71,869 |
これを所管別にみると、厚生労働省所管が16事業、国庫補助金等交付額730億余円と事業数、金額とも最も多くなっている。また、上記730億余円のうち、緊急雇用創出事業臨時特例基金に係る国庫補助金等交付額が617億余円と大半を占めている。
また、各復興関連基金事業の24年度末時点における基金事業執行率についてみると、災害等廃棄物処理基金事業等4事業が90%を超えている一方、奨学金事業等6事業が10%未満となっていて、著しい開差が見受けられた。これは、想定していた事業規模に対する需要や、既存事業による補完代替の有無等が事業によって異なっていることなどによると推定される。
各復興関連基金事業の当初の終了年度及び当初の終了年度が延長された年度についてみると、当初の終了年度では、24年度に終了するものが13事業と最も多くなっていて、集中復興期間の最終年度である27年度に終了するものが3事業となっている。そして、当初の終了年度が23年度とされていた2事業、24年度とされていた13事業、計15事業のうち、8道県で予定どおり終了したものは、パーソナル・サポート・サービスモデル・プロジェクト事業及び被災地健康支援事業の2事業である。また、他の13事業は、事業を十分に実施できていないことを主な理由として終了年度が延長されている。
なお、被災地健康支援事業は、各種健康支援活動を担う保健師等を確保することによって、仮設住宅等で生活する被災者の健康状態の悪化を防ぐことを目的にした事業であり、甚大な被害を被った東北3県については、25年度も引き続き実施することとされ、終了年度を25年度末に延長している。
前記のとおり、基金事業執行率は、事業によって著しい開差が見受けられることから、道県別基金別に執行状況を整理した。
前記14基金のうち、復興に係る基金事業執行率を把握できない地域自殺対策緊急強化基金等2基金と8道県のうち茨城県のみに設置造成等されている地域医療再生基金等2基金の計4基金を除いた10基金について道県別に24年度末の基金事業執行率についてみると、表59のとおり、災害等廃棄物処理基金では、98.6%から100%までと8道県でほぼ全額を取り崩している一方、介護基盤緊急整備等臨時特例基金では0%から92.7%までとなっていて著しい開差が生じていた。このうち、基金事業執行率が特に低い県についてみると、事業計画において25年度以降に取崩しが予定されていておおむね計画どおり復興関連基金事業が進捗しており、現時点では基金の取崩しがないものがある一方、被害が想定より小さかったことや、既存の事業で対応できたことなどにより結果として事業が実施されなかったものなどがある。
表59 8道県別の復興関連基金の執行状況
(単位:百万円)
道県名 | 区分 | 高校生 修学支 援基金 (被災 児童生 徒就学 支援等 臨時特 例交付 金) |
安心こ ども基 金 |
医療施 設耐震 化臨時 特例基 金 |
社会福 祉施設 等耐震 化等臨 時特例 基金 |
緊急雇 用創出 事業臨 時特例 基金 (住ま い対策 拡充等 支援事 業分) |
介護基 盤緊急 整備等 臨時特 例基金 |
緊急雇 用創出 事業臨 時特例 基金 |
森林整 備加速 化・林 業再生 基金 |
災害等 廃棄物 処理基 金 |
再生可能 エネル ギー等導 入地方公 共団体支 援基金 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
文部科 学省 |
文部科 学省、 厚生労 働省 |
厚生労 働省 |
厚生労 働省 |
厚生労 働省 |
厚生労 働省 |
厚生労 働省 |
農林水 産省 |
環境省 | 環境省 | ||
北海道 | 交付額 A | 275 | - | - | - | 381 | 60 | 5,460 | 11,980 | 69 | - |
取崩額 B | 55 | - | - | - | 196 | - | 5,460 | 3,199 | 69 | - | |
基金事業 執行率 B/A |
19.9% | - | - | - | 51.4% | - | 100.0% | 26.7% | 100.0% | - | |
青森県 | 交付額 A | 160 | 215 | - | - | 71 | 201 | 8,510 | 2,300 | 961 | 8,497 |
取崩額 B | 65 | 102 | - | - | - | - | 5,748 | 515 | 961 | 140 | |
基金事業 執行率 B/A |
40.7% | 47.7% | - | - | - | - | 67.5% | 22.3% | 100.0% | 1.6% | |
茨城県 | 交付額 A | 246 | 974 | 576 | 86 | 28 | 264 | 20,800 | 950 | 2,186 | 7,498 |
取崩額 B | 69 | 271 | 241 | 69 | 10 | 108 | 8,004 | 371 | 2,156 | 1,744 | |
基金事業 執行率 B/A |
28.1% | 27.8% | 41.9% | 80.5% | 35.5% | 41.0% | 38.4% | 39.1% | 98.6% | 23.2% | |
栃木県 | 交付額 A | 332 | - | 1,152 | - | 176 | 201 | 7,490 | 3,025 | 463 | - |
取崩額 B | 68 | - | - | - | 70 | 3 | 3,614 | 1,340 | 463 | - | |
基金事業 執行率 B/A |
20.5% | - | 0.0% | - | 39.9% | 1.9% | 48.2% | 44.3% | 100.0% | - | |
埼玉県 | 交付額 A | 558 | 9 | - | - | 1,839 | - | 5,930 | 660 | - | - |
取崩額 B | 155 | 1 | - | - | 778 | - | 5,158 | 161 | - | - | |
基金事業 執行率 B/A |
27.7% | 19.6% | - | - | 42.2% | - | 86.9% | 24.3% | - | - | |
千葉県 | 交付額 A | 557 | 443 | - | - | 610 | 267 | 5,530 | 465 | 455 | - |
取崩額 B | 159 | 383 | - | - | 249 | 60 | 3,159 | 112 | 455 | - | |
基金事業 執行率 B/A |
28.6% | 86.4% | - | - | 40.8% | 22.6% | 57.1% | 24.0% | 99.9% | - | |
新潟県 | 交付額 A | 496 | - | - | - | 159 | 201 | 4,920 | 2,900 | 219 | - |
取崩額 B | 246 | - | - | - | 78 | 186 | 2,896 | 438 | 219 | - | |
基金事業 執行率 B/A |
49.5% | - | - | - | 49.1% | 92.7% | 58.8% | 15.1% | 100.0% | - | |
長野県 | 交付額 A | 75 | - | 1,342 | 6 | 162 | 264 | 3,080 | 5,600 | 72 | - |
取崩額 B | 19 | - | 104 | - | 93 | 74 | 1,712 | 990 | 72 | - | |
基金事業 執行率 B/A |
26.1% | - | 7.7% | - | 57.6% | 28.0% | 55.5% | 17.6% | 100.0% | - | |
計 | 交付額 A | 2,703 | 1,643 | 3,071 | 92 | 3,429 | 1,459 | 61,720 | 27,880 | 4,428 | 15,995 |
取崩額 B | 838 | 759 | 346 | 69 | 1,476 | 433 | 35,754 | 7,128 | 4,398 | 1,884 | |
基金事業 執行率 B/A |
31.0% | 46.2% | 11.2% | 74.9% | 43.0% | 29.6% | 57.9% | 25.5% | 99.3% | 11.7% |
そこで、事業の需要が想定よりも少なかったり、既存の事業で対応できたりしたことなどから、今後も使用が見込まれない復興関連基金事業について例を示すと、次のとおりである。
① 緊急雇用創出事業臨時特例基金(住まい対策拡充等支援事業分)(厚生労働 省所管) 8道県8基金に対する国庫補助金等交付額34億余円
青森県は、東日本大震災により被災した生活保護受給世帯を対象として、生活再建サポーターによる各種支援を行う被災生活保護受給者生活再建サポート事業を実施するため、厚生労働省から23年度3次補正により措置された緊急雇用創出事業臨時特例交付金1440万余円の交付を受けて、基金を設置造成等している。
しかし、同県が、事業主体となる市町等に本事業実施の意向を確認したところ、全ての事業主体から既存のケースワーカーにより対応が可能であるという回答を受け、結果として本事業は実施されていないことから、24年度末までに基金が全く取り崩されておらず、25年度以降も本事業が実施される見込みがない状況となっている。
② 介護基盤緊急整備等臨時特例基金(厚生労働省所管) 7道県7基金に対する国庫補助金等交付額14億余円
北海道、青森県、茨城県、栃木県、千葉県及び長野県は、地域支え合い体制づくり事業として避難所や仮設住宅等の高齢者、障害者等に対して必要となる相談、介護、生活支援等の提供を行う介護・福祉サービス拠点の設置等を実施するため、厚生労働省から23年度1次補正及び23年度3次補正により措置された介護支援体制等臨時特例交付金計12億4508万余円の交付を受け、基金を設置造成等している。このうち、北海道及び青森県は、東日本大震災前に整備された既存の施策の枠組みにより対応できるとして、新規に介護・福祉サービス拠点の設置等を実施していないことから、24年度末までに同交付金計2億6179万余円が全く取り崩されておらず、25年度以降も本事業が実施される見込みがない状況となっている。
また、茨城県、栃木県、千葉県及び長野県は、24年度末の基金事業執行率が1.9%から41.0%までにとどまっていて、4県が24年度末に保有している地域支え合い体制づくり事業に係る国庫補助金等相当額は7億4302万余円となっている。このうち千葉県を除く3県では、復旧が進捗する中で、仮設住宅、サポート拠点等が既に撤去されていて生活支援等の提供が終了していることなどから、25年度以降は本事業が実施される見込みがない状況となっており、千葉県では、市町村からの申請が少ないことなどから、基金の大半が使用される見込みがない状況となっている。
これらのことから、国は、各地方公共団体における復興関連基金事業について、設置造成等された基金規模の検証を行うとともに、基金事業執行率が低い復興関連基金事業がある場合には、各地方公共団体の実情に即して、今後の使用見込みの有無を確認する必要がある。そして、使用見込みがないなどの場合には、不用となる資金を国庫に返納することを当該地方公共団体に対して要請するなどして、資金の適切かつ有効な活用に努める必要がある。
復興基金は、1(2)イ(オ)のとおり、23年度2次補正において増額された特別交付税を基に創設されたものであり、特定被災地方公共団体である青森県等9県に設置されていることから、9県における復興基金の設置状況と会計実地検査を行った6県における復興基金事業の実施状況等についてみると、次のとおりである。
復興基金の創設のために措置された上記の特別交付税1960億円についてみると、表60のとおり、東北3県が計1650億円、会計実地検査を行った6県が計310億円となっていて、東北3県に対する措置額が突出している。これら9県は、特別交付税を原資として10億円から660億円までの復興基金を設置造成している。そして、青森県等7県は、復興基金のうち半額を市町村に交付しており、このうち、新潟県では半額を市町に交付し、半額を公益財団法人新潟県中越大震災復興基金に出えんしており、同法人において基金が設置されている。また、千葉県及び長野県は全額を市町村に交付することとしている。
表60 9県の復興基金の設置造成状況等
(単位:百万円)
県名 | 基金名 | 基金規模 | 特別交付税 措置額 |
管内市町村 交付金額 (既交付額) |
備考 |
---|---|---|---|---|---|
青森県 | 青森県東日本大震 災復興推進基金 |
8,000 | 8,000 | 4,000 | / |
岩手県 | 東日本大震災津波 復興基金 |
42,600 | 42,000 | 21,000 | 基金規模には、寄附金を 含む |
宮城県 | 東日本大震災復興 基金 |
66,000 | 66,000 | 33,000 | / |
福島県 | 福島県原子力災害 等復興基金 |
57,000 | 57,000 | 28,500 | / |
茨城県 | 茨城県東日本大震 災復興基金 |
15,733 | 14,000 | 7,000 | 基金規模には、寄附金を 含む |
栃木県 | 栃木県東日本大震 災復興推進基金 |
4,000 | 4,000 | 2,000 | / |
千葉県 | 千葉県東日本大震 災市町村復興基金 |
3,000 | 3,000 | 2,000 | 平成25年6月補正で市町 村への交付金10億円を計 上予定 |
新潟県 | (公財)新潟県中 越大震災復興基金 |
1,000 | 1,000 | 500 | 法人内において特別会計 を設置 |
長野県 | 長野県栄村復興基 金 |
1,000 | 1,000 | 592 | 全額栄村に交付予定 |
計 | 198,333 | 196,000 | 98,592 | / |
上記の6県は、管内市町村への復興基金からの交付に当たり、基金の趣旨や対象事業等の使途、申請や実績報告の方法等を規定した交付要綱や交付要領等をそれぞれ定めるなどして、これを管内市町村に通知している。
6県の復興基金計310億円についてみると、25年7月末時点で管内市町村へ交付するとされた額は、表61のとおり、計175億余円となっている。県における管内市町村への交付及び配分方法についてみると、青森県、新潟県及び長野県は、特定被災区域の市町村のみを交付対象とし、茨城県、栃木県及び千葉県は、震災による被害が県内の全域に及んでいるとして、特定被災区域以外の市町村を含む管内全ての市町村を交付対象としている。
そして、6県の復興基金からの交付対象市町村は計132市町村となり、そのうち特定被災区域の市町村が94市町村(25年7月末時点の交付予定額162億余円)、特定被災区域以外の市町村が38市町村(同12億余円)となっている。
表61 6県の復興基金の管内市町村への配分方法等
(単位:百万円)
県名 | 実施期間 | 交付対象市町 村 |
配分方法 | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
うち特定被災区 域の市町村数 |
うち特定被災区 域以外の市町村 |
25年7月末 時点の交 付予定額 |
均等割 | 人口割 | 被害状 況割 |
その他 | 配分算 定額計 |
|||||
平成25年7 月末時点の 交付予定額 |
25年7月末 時点の交付 予定額 |
|||||||||||
青森県 | 特に定めなし | 4市町 | 4 | 4,000 | - | - | 4,000 | - | - | 2,000 | 2,000 | 4,000 |
茨城県 | 23年度から27 年度まで |
全市町村(44 市町村) |
40 | 6,764 | 4 | 236 | 7,000 | 1,000 | - | 6,000 | - | 7,000 |
栃木県 | 23年度から27 年度まで |
全市町(26市 町) |
17 | 1,626 | 9 | 373 | 2,000 | 700 | 500 | 800 | - | 2,000 |
千葉県 | 24年度から33 年度まで |
全市町村(54 市町村) |
29 | 2,404 | 25 | 597 | 3,001 | 1,080 | 100 | 1,820 | - | 3,000 |
新潟県 | 特に定めなし | 3市町 | 3 | 500 | - | - | 500 | - | - | 500 | - | 500 |
長野県 | 24年度から28 年度まで |
1村 | 1 | 1,000 | - | - | 1,000 | - | - | 1,000 | - | 1,000 |
計 | 132市町村 | 94 | 16,294 | 38 | 1,206 | 17,501 | 2,780 | 600 | 12,120 | 2,000 | 17,500 |
132市町村に対する交付予定額175億余円について復興基金からの配分方法をみると、地域の実情に応じて、市町村数で均等に配分する均等割、市町村の人口割、被害状況に応じた被害状況割等によるなどしているが、市町村の標準財政規模を加味しているものもあった。これらの中では、被害状況割による配分額が計121億余円と最も多くなっていた。なお、長野県では、下水内郡栄村に被害が集中しているとして、その全額を同村に交付するとしている。
また、交付を受けた132市町村は、この資金により、複数年度にわたって事業を実施するための基金造成資金としたり(以下、この造成した基金により実施する事業を「市町村基金事業」という。)、交付金を受けた年度に直ちに支出して事業を実施したり(以下、この事業を「市町村単年度事業」という。)している。
さらに、復興基金事業の実施期間についてみると、千葉県は、国が復興基本方針において定める復興期間に合わせておおむね10年間としており、茨城県、栃木県及び長野県は、復興基本方針において定める集中復興期間に合わせておおむね5年間としている。なお、青森県及び新潟県は実施期間を定めていない。
このように、復興基金事業は、各県及び各市町村において、その被害の状況や地域の実情等に合わせて、弾力的に実施されている。
前記のとおり、復興基金は、特定被災地方公共団体である青森県等9県が地域の実情に応じて弾力的かつきめ細かに対処できる資金として措置されていることから、県及び市町村においては、このような資金の趣旨にのっとり、様々な事業を実施している。
会計実地検査を行った6県及び管内の交付対象市町村である132市町村のうち、24年度末までに事業を実施しているのは、千葉県及び長野県を除く4県並びに112市町村となっており、20市町村(交付済額計12億余円)は事業が実施されていなかった。そして、20市町村のうち、16市町村は25年度以降の事業計画が策定されているが、4市町は事業計画が策定されておらず事業の実施は未定となっている。4県及び112市町村が、24年度末までに実施した復興基金事業は次のとおりである。
東日本大震災により被災した住宅の再建を促進するために、工事費の一部又は借入金に係る利子の一部を助成するなどの事業
東日本大震災による被災者に生活再建支援金や見舞金を支給するなどの事業
東日本大震災による地域防災計画等の見直し、災害時に必要な防災資機材や非常用備蓄食料等の整備、防災教育推進等のための事業
東日本大震災により被災した小・中学校及び市民会館の改修や被災した道路の補修工事を行う事業
東日本大震災からの復興に向けた風評被害の払拭、農作物の安全性PR、地域経済の活性化を図るためのイベント、観光情報の収集・発信等による観光PR強化等の事業
東日本大震災により被災した公民館等の地域集会施設の修繕や地域コミュニティの強化につながる地域住民のためのイベントなどを開催するなどの事業
指定文化財及びそれに準ずる歴史的資産等を復旧等するための事業
4県及び112市町村が実施した事業の使途別件数及び執行額についてみると、表62及び図24のとおり、4県が実施した事業は計64件、執行額計19億余円、112市町村が実施した事業は計530件、執行額計51億余円、合計594件、執行額合計71億余円となっている。
これらのうち、防災・安全対策事業(266件、執行額20億余円)、地域活性化支援促進事業(182件、同22億余円)が件数、金額ともに多く、両事業の執行額は全執行額の約6割を占めている。
また、特定被災区域の市町村の多くが、被災住宅再建支援事業(24件、同9億余円)、公共・教育施設復旧事業(49件、同9億余円)及び被災者生活支援事業(11件、同3億余円)を実施しているが、特定被災区域以外の市町村は、これらの事業について全く又はほとんど実績がない状況となっている。これについて、被災住宅再建支援事業及び被災者生活支援事業に関しては、両事業が被災者に対して支援金や見舞金等を支給する事業であり、被災を受けた市町村が被災者に対する支援等を重点的に実施した結果によると推定される。一方、特定被災区域以外の市町村では、防災・安全対策事業の執行額が、特定被災区域以外の市町村における執行額全体の約7割を占める結果となり、これは、東日本大震災を教訓に防災、減災事業を重点的に実施した結果によると推定され、各市町村が地域の実情に応じて様々な使途に活用している状況が見受けられる。
表62 4県及び112市町村における復興基金事業の使途別の実施状況(平成24年度末現在)
上段:事業数(単位:件)
下段:平成24年度執行額(単位:千円)
使途
\
県名
|
a被災住宅再建 支援事業 |
b被災者生活 支援事業 |
c防災・安全 対策事業 |
d公共・教育施設 復旧事業 |
e地域活性化支援 促進事業 |
f地域コミュニティ 再生事業 |
g文化・芸能の 復興事業 |
hその他震災からの復興に資する事業 | 計 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
青森県 | 4 | - | 25 | 1 | 28 | 2 | 1 | 1 | 62 | ||
72,831 | - | 338,658 | 5,700 | 367,039 | 29,443 | 3,271 | 378 | 817,323 | |||
県実施分 | 1 | - | 4 | - | 8 | 1 | - | - | 14 | ||
34,950 | - | 115,041 | - | 236,371 | 26,231 | - | - | 412,595 | |||
特定被災区域の4 市町 |
3 | - | 21 | 1 | 20 | 1 | 1 | 1 | 48 | ||
37,880 | - | 223,616 | 5,700 | 130,667 | 3,212 | 3,271 | 378 | 404,727 | |||
茨城県 | 12 | 7 | 74 | 23 | 26 | 7 | 3 | 3 | 155 | ||
608,830 | 334,152 | 846,218 | 716,516 | 1,146,430 | 85,891 | 40,588 | 167,654 | 3,946,281 | |||
県実施分 | 1 | - | - | - | 2 | - | 1 | 1 | 5 | ||
16,896 | - | - | - | 771,630 | - | 32,440 | 117,854 | 938,821 | |||
特定被災区域の 35市町村 |
11 | 7 | 69 | 21 | 24 | 7 | 2 | 2 | 143 | ||
591,934 | 334,152 | 786,568 | 686,516 | 374,800 | 85,891 | 8,148 | 49,800 | 2,917,810 | |||
上記以外の4市町 | - | - | 5 | 2 | - | - | - | - | 7 | ||
- | - | 59,650 | 30,000 | - | - | - | - | 89,650 | |||
栃木県 | 7 | 4 | 55 | 11 | 54 | 4 | 2 | 9 | 146 | ||
86,655 | 26,878 | 314,537 | 90,002 | 489,842 | 15,606 | 3,303 | 45,306 | 1,072,132 | |||
県実施分 | 1 | 1 | 14 | - | 20 | - | - | 1 | 37 | ||
6,198 | 4,232 | 150,364 | - | 356,966 | - | - | 2,679 | 520,441 | |||
特定被災区域の 16市町 |
6 | 2 | 31 | 11 | 23 | 3 | 1 | 7 | 84 | ||
80,457 | 20,710 | 140,383 | 90,002 | 115,463 | 14,300 | 175 | 38,474 | 499,966 | |||
上記以外の6市町 | - | 1 | 10 | - | 11 | 1 | 1 | 1 | 25 | ||
- | 1,936 | 23,790 | - | 17,412 | 1,306 | 3,128 | 4,153 | 51,725 | |||
千葉県 | 2 | 2 | 110 | 5 | 52 | 5 | - | 7 | 183 | ||
192,070 | 4,615 | 505,676 | 39,545 | 129,951 | 9,115 | - | 11,312 | 892,287 | |||
特定被災区域の 23市町村 |
2 | 2 | 60 | 3 | 40 | 5 | - | 2 | 114 | ||
192,070 | 4,615 | 336,911 | 38,130 | 99,111 | 9,115 | - | 1,547 | 681,501 | |||
上記以外の20市 町村 |
- | - | 50 | 2 | 12 | - | - | 5 | 69 | ||
- | - | 168,765 | 1,415 | 30,840 | - | - | 9,765 | 210,786 | |||
新潟県 | 2 | - | 2 | 13 | 22 | 4 | 1 | 1 | 45 | ||
1,080 | - | 2,891 | 132,000 | 95,369 | 35,755 | 2,200 | 17,215 | 286,511 | |||
財団実施分 | 2 | - | - | - | 3 | 3 | - | - | 8 | ||
1,080 | - | - | - | 41,115 | 34,555 | - | - | 76,751 | |||
特定被災区域の3 市町 |
- | - | 2 | 13 | 19 | 1 | 1 | 1 | 37 | ||
- | - | 2,891 | 132,000 | 54,254 | 1,200 | 2,200 | 17,215 | 209,760 | |||
長野県(1村) | 2 | - | - | - | - | - | - | 1 | 3 | ||
85,348 | - | - | - | - | - | - | 6,751 | 92,099 | |||
合計 | 29 | 13 | 266 | 53 | 182 | 22 | 7 | 22 | 594 | ||
1,046,816 | 365,646 | 2,007,982 | 983,764 | 2,228,634 | 175,810 | 49,362 | 248,618 | 7,106,635 | |||
4県実施分 計 | 5 | 1 | 18 | - | 33 | 4 | 1 | 2 | 64 | ||
59,126 | 4,232 | 265,406 | - | 1,406,084 | 60,786 | 32,440 | 120,533 | 1,948,609 | |||
特定被災区域 の82市町村 |
24 | 11 | 183 | 49 | 126 | 17 | 5 | 14 | 429 | ||
987,690 | 359,478 | 1,490,370 | 952,348 | 774,297 | 113,718 | 13,794 | 114,166 | 4,805,864 | |||
上記以外の30 市町村 |
- | 1 | 65 | 4 | 23 | 1 | 1 | 6 | 101 | ||
- | 1,936 | 252,205 | 31,415 | 48,252 | 1,306 | 3,128 | 13,918 | 352,161 | |||
112市町村 計 | 24 | 12 | 248 | 53 | 149 | 18 | 6 | 20 | 530 | ||
987,690 | 361,414 | 1,742,576 | 983,764 | 822,549 | 115,024 | 16,922 | 128,084 | 5,158,025 |
図24 4県及び112市町村における復興基金事業の執行額の使途別内訳(平成24年度末現在)
6県の復興基金事業について、24年度末時点における取崩しの状況をみると、表63のとおり、特別交付税により措置された計310億円は、県が実施した64事業により19億余円が取り崩され、管内市町村へ交付したことにより155億余円が取り崩されている。この結果、基金事業執行率は平均で56.5%となっており、県における復興基金の残高は計134億余円となっている。
なお、長野県の基金事業執行率が9.2%と低くなっているのは、基金の活用対象を下水内郡栄村が24年10月に策定した「栄村震災復興計画」に基づき実施する事業としたため、24年度末までの交付額が少額となっていることによるものである。また、千葉県は、復興基金30億円全額を管内市町村に交付することとしており、残りの10億円は25年度に交付することとしている。
表63 6県における復興基金事業の取崩しの状況(平成24年度末現在)
(単位:千円、%)
県名 | 特別交付税 措置額 |
復興基金事業のうち県実施分に係る | 市町村への 交付済額 |
県の復興基 金残高 |
基金事 業執行 率 |
|||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
配分額 | うち、平成24年度末までの 取崩状況 |
|||||||
事業数 | 取崩額 | 取崩率 | ||||||
A | B | C | C/B | D | E=A-C-D | (C+D)/A | ||
青森県 | 8,000,000 | 4,000,000 | 14 | 412,595 | 10.3 | 4,000,000 | 3,587,404 | 55.1 |
茨城県 | 14,000,000 | 7,000,000 | 5 | 938,821 | 13.4 | 7,000,000 | 6,061,178 | 56.7 |
栃木県 | 4,000,000 | 2,000,000 | 37 | 520,441 | 26 | 2,000,000 | 1,479,558 | 63 |
千葉県 | 3,000,000 | - | - | - | - | 2,000,000 | 1,000,000 | 66.6 |
新潟県 | 1,000,000 | 500,000 | 8 | 76,751 | 15.3 | 500,000 | 423,248 | 57.6 |
長野県 | 1,000,000 | - | - | - | - | 92,099 | 907,901 | 9.2 |
計 | 31,000,000 | 13,500,000 | 64 | 1,948,609 | 14.4 | 15,592,099 | 13,459,291 | 56.5 |
132市町村に対する復興基金からの交付状況についてみると、表64のとおり、24年度末現在、前記の交付予定額計175億余円のうち計155億余円が交付されている。
このうち、市町村単年度事業分として支出されたものが35市町村で計20億余円、市町村基金事業分として基金造成されたものが111市町村で計135億余円となっている。また、14市町は、市町村単年度事業と市町村基金事業の両方を実施している。
そして、24年度末までの上記基金の取崩額は84市町村で計31億余円となっており、市町村単年度事業分として支出された上記の20億余円と合わせて計51億余円が執行されている。この結果、前記事業未実施の20市町村分を含む交付済額計155億余円に対する132市町村合計での執行率は33.0%となっており、111市町村における24年度末現在の基金残高は計104億余円となっている。
県ごとの執行状況についてみると、青森県内4市町の10.1%から長野県内1村の100%までとなっているが、長野県内1村が100%になっているのは、市町村単年度事業であり、24年度に全額が支出されたことによるものである。
表64 132市町村における復興基金の支出及び取崩しの状況(平成24年度末現在)
(単位:千円、%)
区分 | 平成24年度末までの県から市町村への交付額 | 市町村単年度事業 | 市町村基金事業 | 24年度末 までの 執行額 |
24年度末 までの 執行率 |
|||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
市町 村数 |
24年度末 までの 支出額 |
市町 村数 |
||||||||||
造成額 | うち、24年度末までの実施状況 | |||||||||||
市町 村数 |
24年度末 までの 取崩額 |
基金残高 | 基金事業 執行率 |
|||||||||
A | B | C | D | E=C-D | D/C | F=B+D | F/A | |||||
青森県管内の市町計 | 4,000,000 | 0 | - | 4 | 4,000,000 | 4 | 404,727 | 3,595,272 | 10.1 | 404,727 | 10.1 | |
特定被災区域の市町 | 4,000,000 | 0 | - | 4 | 4,000,000 | 4 | 404,727 | 3,595,272 | 10.1 | 404,727 | 10.1 | |
茨城県管内の市町村計 | 7,000,000 | 14 | 1,322,385 | 38 | 5,677,615 | 31 | 1,685,075 | 3,992,539 | 29.6 | 3,007,460 | 42.9 | |
特定被災区域の市町村 | 6,764,000 | 12 | 1,302,385 | 34 | 5,461,615 | 27 | 1,615,425 | 3,846,189 | 29.5 | 2,917,810 | 43.1 | |
上記以外の市町 | 236,000 | 2 | 20,000 | 4 | 216,000 | 4 | 69,650 | 146,350 | 32.2 | 89,650 | 37.9 | |
栃木県管内の市町計 | 2,000,000 | 0 | - | 26 | 2,000,000 | 22 | 551,691 | 1,448,308 | 27.5 | 551,691 | 27.5 | |
特定被災区域の市町 | 1,626,830 | 0 | - | 17 | 1,626,830 | 16 | 499,966 | 1,126,863 | 30.7 | 499,966 | 30.7 | |
上記以外の市町 | 373,170 | 0 | - | 9 | 373,170 | 6 | 51,725 | 321,445 | 13.8 | 51,725 | 13.8 | |
千葉県管内の市町村計 | 2,000,000 | 19 | 593,262 | 41 | 1,406,738 | 25 | 299,025 | 1,107,712 | 21.2 | 892,287 | 44.6 | |
特定被災区域の市町 | 1,603,000 | 8 | 438,862 | 24 | 1,164,138 | 16 | 242,639 | 921,499 | 20.8 | 681,501 | 42.5 | |
上記以外の市町村 | 397,000 | 11 | 154,400 | 17 | 242,600 | 9 | 56,386 | 186,213 | 23.2 | 210,786 | 53.0 | |
新潟県管内の市町計 | 500,000 | 1 | 50,000 | 2 | 450,000 | 2 | 159,760 | 290,240 | 35.5 | 209,760 | 41.9 | |
特定被災区域の市町 | 500,000 | 1 | 50,000 | 2 | 450,000 | 2 | 159,760 | 290,240 | 35.5 | 209,760 | 41.9 | |
長野県(栄村分) | 92,099 | 1 | 92,099 | 0 | - | 0 | - | - | - | 92,099 | 100.0 | |
合計(132市町村) | 15,592,099 | 35 | 2,057,746 | 111 | 13,534,353 | 84 | 3,100,279 | 10,434,073 | 22.9 | 5,158,025 | 33.0 | |
特定被災区域の市町村小計 | 14,585,929 | 22 | 1,883,346 | 81 | 12,702,583 | 65 | 2,922,518 | 9,780,064 | 23.0 | 4,805,864 | 32.9 | |
上記以外の市町村小計 | 1,006,170 | 13 | 174,400 | 30 | 831,770 | 19 | 177,761 | 654,008 | 21.3 | 352,161 | 35.0 |
そして、6県の復興基金に係る復興基金事業の執行状況としては、県から管内市町村へ資金を交付することによりその金額が執行されたことになることから、前記132市町村のうちの112市町村が実施した復興基金事業に係る支出及び取崩しの状況を反映してみると、24年度末現在における復興基金事業全体の執行状況は、6県の復興基金計310億円に対して、4県が実施した64事業による取崩額が19億余円、112市町村が実施した530事業による支出及び取崩額が51億余円、計71億余円(反映後の基金事業執行率22.9%)となっている。
会計実地検査を行った8道県及び100市町村のうち、23、24両年度に復興庁に復興交付金事業計画を提出して、復興庁から交付可能額の通知を受けたのは5道県及び30市町村であり、これらの地方公共団体に対する交付決定額は計428億余円となっていた。そして、5道県及び30市町村のうち、基金型を選択したのは4県及び26市町村であり、これらの地方公共団体に対する交付決定額は、基幹事業に係る分393億余円、効果促進事業に係る分31億余円、計424億余円となっていて、交付決定額の全額が基金造成に充てられている。このように、復興交付金事業の実施に当たり基金型を選択している地方公共団体が大半を占め、基幹事業に係る基金造成額も多額に上っている。
そこで、会計検査院は、上記の4県及び26市町村から調書を徴して、復興交付金基金の取崩しの状況を検査した。
その結果、表65のとおり、4県及び26市町村における基幹事業に係る復興交付金基金造成額計393億余円のうち、23、24両年度分に係る復興交付金基金造成額は119億余円、24年度末時点における取崩額は48億余円となっていて、復興交付金基金造成額に対する取崩額の割合(以下「復興交付金基金事業執行率」という。)は40.8%となっていた。県別にみると、復興交付金基金造成額については、地方公共団体数に応じて多額となっていて、甚大な被害を被っている茨城県及び11市町村に係る復興交付金基金造成額283億余円は、全体の7割以上を占めている。また、復興交付金基金事業執行率については、11.5%から83.3%までと地域により大きな開差が見受けられる。
表65 復興交付金基金による基幹事業の県別執行状況
(単位:百万円、%)
県名 | 県及び市町村数 | 基金造成額計 (第1回~第5回) |
左のうち平成23、24 両年度分の復興交付 金(A) |
24年度末までの取 崩額計(B) |
復興交付金基金 事業執行率 (B/A) |
---|---|---|---|---|---|
青森県 | 青森県及び4市町 | 2,551 | 1,598 | 1,021 | 63.9 |
茨城県 | 茨城県及び11市町村 | 28,349 | 5,662 | 2,090 | 36.9 |
栃木県 | 1市 | 475 | 475 | 54 | 11.5 |
埼玉県 | 1市 | 187 | - | - | - |
千葉県 | 千葉県及び8市 | 6,649 | 3,581 | 1,183 | 33.0 |
長野県 | 長野県及び1村 | 1,090 | 635 | 529 | 83.3 |
計 | 4県及び26市町村 | 39,303 | 11,953 | 4,879 | 40.8 |
基幹事業別の執行状況についてみると、表66のとおりであり、23、24両年度分の復興交付金に係る基金造成額は、災害公営住宅整備事業(事業番号D-4)、道路事業(同D-1)、造成宅地滑動崩落緊急対策事業(同D-14)等が多額となっている。また、復興交付金基金事業執行率は、被災者の居住の支援を行う災害公営住宅家賃低廉化事業(同D-5)及び東日本大震災特別家賃低減事業(同D-6)の2事業が80%以上と高くなっている。
なお、復興交付金基金は、単年度の枠に捕らわれずに執行を可能とするなどのために設けられたものであり、24年度分の復興交付金の基幹事業についても複数年度にわたって実施されるなどの場合もあることから、実際の事業の進捗状況を把握するためには、復興交付金基金事業執行率により執行の状況を確認するとともに、事業ごとに計画と実際の進捗状況を対比するなど、実際の事業の進捗状況を具体的にみる必要がある。
表66 復興交付金基金による基幹事業の事業別執行状況
(単位:百万円、%)
所管省庁 | 事業 番号 |
基幹事業名 | 基金造成額 (第1回~第5回) |
左のうち平成23、24両年度分の復興交付金(A) | 24年度末 取崩額 (B) |
復興交付金基 金事業執行率 (B/A) |
---|---|---|---|---|---|---|
文部科学省 | A-1 | 公立学校施設整備費国庫負担事業(公立小中学校等の新増築・統合) | 6 | - | - | - |
A-2 | 学校施設環境改善事業(公立学校の耐震化等) | 521 | 93 | 89 | 95.0 | |
A-3 | 幼稚園等の複合化・多機能化推進事業 | - | - | - | - | |
A-4 | 埋蔵文化財発掘調査事業 | - | - | - | - | |
厚生労働省 | B-1 | 医療施設耐震化事業 | - | - | - | - |
B-2 | 介護基盤復興まちづくり整備事業 (「定期巡回・随時対応サービス」や「訪問看護ステーション」の整備等) | - | - | - | - | |
B-3 | 保育所等の複合化・多機能化推進事業 | - | - | - | - | |
農林水産省 | C-1 | 農山漁村地域復興基盤総合整備事業 (集落排水等の集落基盤、農地等の生産基盤整備等) | 400 | 256 | 46 | 18.1 |
C-2 | 農山漁村活性化プロジェクト支援(復興対策)事業 (被災した生産施設、生活環境施設、地域間交流拠点整備等) | 13 | - | - | - | |
C-3 | 震災対策・戦略作物生産基盤整備事業 (麦・大豆等の生産に必要となる水利施設整備等) | - | - | - | - | |
C-4 | 被災地域農業復興総合支援事業(農業用施設整備等) | 256 | 21 | 18 | 85.1 | |
C-5 | 漁業集落防災機能強化事業(漁業集落地盤かさ上げ、生活基盤整備等) | - | - | - | - | |
C-6 | 漁港施設機能強化事業(漁港施設用地かさ上げ、排水対策等) | - | - | - | - | |
C-7 | 水産業共同利用施設復興整備事業 (水産業共同利用施設、漁港施設、放流用種苗生産施設整備等) | 3,142 | 186 | 6 | 3.2 | |
C-8 | 農林水産関係試験研究機関緊急整備事業 | - | - | - | - | |
C-9 | 木質バイオマス施設等緊急整備事業 | - | - | - | - | |
国土交通省 | D-1 | 道路事業(市街地相互の接続道路等) | 13,678 | 2,783 | 891 | 32.0 |
D-2 | 道路事業(高台移転等に伴う道路整備(区画整理)) | - | - | - | - | |
D-3 | 道路事業(道路の防災・震災対策等) | 491 | 153 | 23 | 15.4 | |
D-4 | 災害公営住宅整備事業 (災害公営住宅整備事業、災害公営住宅用地取得造成費等補助事業等) | 6,964 | 3,545 | 2,154 | 60.7 | |
D-5 | 災害公営住宅家賃低廉化事業 | 105 | 12 | 10 | 84.6 | |
D-6 | 東日本大震災特別家賃低減事業 | 16 | 1 | 1 | 82.8 | |
D-7 | 公営住宅等ストック総合改善事業(耐震改修、エレベーター改修) | - | - | - | - | |
D-8 | 住宅地区改良事業(不良住宅除却、改良住宅の建設等) | - | - | - | - | |
D-9 | 小規模住宅地区改良事業(不良住宅除却、小規模改良住宅の建設等) | 534 | 141 | 29 | 20.5 | |
D-10 | 住宅市街地総合整備事業(住宅市街地の再生・整備) | - | - | - | - | |
D-11 | 優良建築物等整備事業(市街地住宅の供給、任意の再開発等) | - | - | - | - | |
D-12 | 住宅・建築物安全ストック形成事業(住宅・建築物耐震改修事業) | - | - | - | - | |
D-13 | 住宅・建築物安全ストック形成事業(がけ地近接等危険住宅移転事業) | - | - | - | - | |
D-14 | 造成宅地滑動崩落緊急対策事業 | 3,705 | 2,013 | 593 | 29.4 | |
D-15 | 津波復興拠点整備事業 | - | - | - | - | |
D-16 | 市街地再開発事業 | - | - | - | - | |
D-17 | 都市再生区画整理事業(被災市街地復興土地区画整理事業等) | - | - | - | - | |
D-18 | 都市再生区画整理事業(市街地液状化対策事業) | - | - | - | - | |
D-19 | 都市防災推進事業(市街地液状化対策事業) | 7,636 | 1,866 | 676 | 36.2 | |
D-20 | 都市防災総合推進事業(津波シミュレーション等の計画策定等) | 1,269 | 512 | 328 | 64.2 | |
D-21 | 下水道事業 | 532 | 337 | - | 0.0 | |
D-22 | 都市公園事業 | - | - | - | - | |
D-23 | 防災集団移転促進事業 | 27 | 27 | 9 | 34.5 | |
環境省 | E-1 | 低炭素社会対応型浄化槽等集中導入事業 | - | - | - | - |
計 | 39,303 | 11,953 | 4,879 | 40.8 |
前記のとおり、24年度末における基幹事業に係る復興交付金基金事業執行率は40.8%となっているが、復興交付金基金事業執行率は事業がどの程度進捗しているかを直接示すものではない。
そこで、前記の4県及び26市町村における復興交付金基金事業は、当初の計画どおり進捗しているか、当初の計画どおり進捗していない場合にはどのような理由によるのかなどに着眼して検査した。検査に当たっては、進捗状況に関する調書を徴するなどして、復興交付金事業計画に添付されている各事業の工程表と、実際の工程の進捗状況とを比較するなどの方法により、工程表に記載された完了時期を延長しているものについて、半年を超えて遅延しているもの、完了時期が未定となっているものなどに分類し、その理由を調査分析した。
その結果、表67のとおり、4県及び26市町村における復興交付金基金による基幹事業の件数は146件となっており、このうち、23、24両年度分の復興交付金に係る事業は102件となっていた。そして、これらの進捗状況についてみると、24年度末現在で、24年度の工程表に記載された工程が24年度内に完了していた事業が33件、25年度以降も実施するとしていた事業が69件となっていた。この69件の完了時期についてみると、おおむね工程表どおりに進捗している事業が15件、完了時期の延長が6か月以下にとどまっている事業が26件と、ほぼ順調に推移している事業がある一方、完了時期を7か月以上延長している事業が21件、完了時期が未定となっている事業が7件と、完了時期が遅延している事業も見受けられた。
表67 復興交付金基金による基幹事業の事業別進捗状況
(単位:件)
所管省庁 | 番号 | 基幹事業名 | 事業数 (第1回~ 第5回) |
左のうち平成23、24両年度分の復興交付金に係る事業数(A+B) | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
24年度内に 完了した 事業(A) |
25年度以降も実施するとしていた事業(B=C+D+E+F) | |||||||||
おおむね 工程表 どおり (C) |
完了時期の延長が6か月以下の事業(D) | 完了時期を7か月以上延長している事業(E) | 完了時期 未定(F) |
|||||||
文部科学省 | A-1 | 公立学校施設整備費国庫負担事業(公立小中学校等の新増築・統合) | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
A-2 | 学校施設環境改善事業(公立学校の耐震化等) | 9 | 4 | 1 | 3 | 0 | 2 | 1 | 0 | |
農林水産省 | C-1 | 農山漁村地域復興基盤総合整備事業(集落排水等の集落基盤、農地等の生産基盤整備等) | 4 | 3 | 0 | 3 | 1 | 0 | 2 | 0 |
C-2 | 農山漁村活性化プロジェクト支援(復興対策)事業 (被災した生産施設、生活環境施設、地域間交流拠点整備等) | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
C-4 | 被災地域農業復興総合支援事業(農業用施設整備等) | 4 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
C-7 | 水産業共同利用施設復興整備事業 (水産業共同利用施設、漁港施設、放流用種苗生産施設整備等) | 10 | 7 | 1 | 6 | 1 | 3 | 0 | 2 | |
国土交通省 | D-1 | 道路事業(市街地相互の接続道路等) | 22 | 13 | 2 | 11 | 0 | 7 | 4 | 0 |
D-3 | 道路事業(道路の防災・震災対策等) | 5 | 5 | 2 | 3 | 0 | 1 | 1 | 1 | |
D-4 | 災害公営住宅整備事業 (災害公営住宅整備事業、災害公営住宅用地取得造成費等補助事業等) | 16 | 16 | 7 | 9 | 5 | 4 | 0 | 0 | |
D-5 | 災害公営住宅家賃低廉化事業 | 8 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
D-6 | 東日本大震災特別家賃低減事業 | 8 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
D-9 | 小規模住宅地区改良事業(不良住宅除却、小規模改良住宅の建設等) | 3 | 3 | 1 | 2 | 0 | 2 | 0 | 0 | |
D-14 | 造成宅地滑動崩落緊急対策事業 | 6 | 6 | 0 | 6 | 1 | 2 | 2 | 1 | |
D-19 | 都市防災推進事業(市街地液状化対策事業) | 15 | 12 | 0 | 12 | 4 | 2 | 5 | 1 | |
D-20 | 都市防災総合推進事業(津波シミュレーション等の計画策定等) | 32 | 27 | 15 | 12 | 2 | 3 | 5 | 2 | |
D-21 | 下水道事業 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 0 | |
D-23 | 防災集団移転促進事業 | 1 | 1 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | |
計 | 146 | 102 | 33 | 69 | 15 | 26 | 21 | 7 |
また、基幹事業別の進捗状況についてみると、災害公営住宅整備事業 (事業番号D-4) は、23、24両年度分の復興交付金に係る事業16件のうち、24年度末までに完了した事業が7件あり、25年度以降も事業を実施するとしていた9件については、おおむね工程表どおりに進捗している又は完了時期の延長が6か月以下にとどまっていて、事業はほぼ順調に推移している。
一方、都市防災推進事業(市街地液状化対策事業)(同D-19)(以下「市街地液状化対策事業」という。)は、23、24両年度分の復興交付金に係る事業12件のうち、24年度末までに完了した事業は0件であり、25年度以降も事業を実施するとしていた12件のうち、完了時期を7か月以上延長している事業が5件、完了時期が未定となっている事業が1件となっており、都市防災総合推進事業(同D-20)は、23、24両年度分の復興交付金に係る事業27件のうち、24年度末までに完了した事業は15件であり、25年度以降も事業を実施するとしていた12件のうち、完了時期を7か月以上延長している事業が5件、完了時期が未定となっている事業が2件となっているなど、一部の事業については完了時期が遅延していた。
また、完了時期を7か月以上延長している21件と完了時期が未定となっている7件の計28件の事業について、基幹事業別に完了時期を延長しているなどの理由を分析したところ、表68のとおり、入札不調や労働者、資材の不足等を理由としたものは少なく、調査設計や工法の選定に時間を要したことによるものが10件となっていた。
そして、完了時期を7か月以上延長するなどしている事業のうち市街地液状化対策事業(事業番号D-19)の完了時期の延長等の理由についてみると、調査設計や工法の選定に時間を要したことによるものが3件となっているなどしており、事業を実施している市町村によれば、液状化対策工法の選定に時間を要していることが要因であるとしている。
表68 復興交付金基金による基幹事業について完了時期を延長した理由
(単位:件)
所管省庁 | 番号 | 基幹事業名 | 完了時期を7か月以上延長した事業及び完了時期未定の事業の数 | 完了時期を延長した理由 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
① 工程表 の精度 |
② 住民等 との協 議 |
③ 調査・設 計・工法 の選定 |
④ 入札不 調 |
⑤ 用地取 得 |
⑥ 土地の 境界 |
⑦ 労働 者・資 材 |
⑧ 職員不 足 |
⑨ 他事業 の進捗 |
⑩ 国との 協議 |
⑪ その他 |
||||
文部科学省 | A-2 | 学校施設環境改善事業(公立学校の耐震化等) | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
農林水産省 | C-1 | 農山漁村地域復興基盤総合整備事業(集落排水等の集落基盤、農地等の生産基盤整備等) | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
C-7 | 水産業共同利用施設復興整備事業 (水産業共同利用施設、漁港施設、放流用種苗生産施設整備等) | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | |
国土交通省 | D-1 | 道路事業(市街地相互の接続道路等) | 4 | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
D-3 | 道路事業(道路の防災・震災対策等) | 2 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | |
D-14 | 造成宅地滑動崩落緊急対策事業 | 3 | 1 | 3 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | |
D-19 | 都市防災推進事業(市街地液状化対策事業) | 6 | 1 | 1 | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | |
D-20 | 都市防災総合推進事業(津波シミュレーション等の計画策定等) | 7 | 2 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 3 | |
D-21 | 下水道事業 | 1 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | |
計 | 28 | 6 | 6 | 10 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 3 | 0 | 11 |
東日本大震災により生じた液状化による宅地への被害状況は、国土交通省によれば、23年9月27日時点で26,914件(宮城県沿岸部や福島県の警戒区域等については被害状況の把握が困難であるため含まれていない。)とされており、このうち、会計実地検査を行った茨城県、埼玉県及び千葉県における液状化による宅地被害は25,600件と、液状化による宅地への被害件数26,914件の95.1%を占めている。
そこで、復興交付金基金による基幹事業を実施している前記の4県及び26市町村のうち、市街地液状化対策事業を実施している12市を対象として、被害の状況、事業の進捗状況等を検査したところ、次のとおりとなっていた。
茨城県、埼玉県及び千葉県内12市が実施する市街地液状化対策事業において、調査の対象となった地区における液状化の被害状況についてみると、表69のとおり、24年度末現在、市街地液状化対策事業により調査した面積は計4,288ha、液状化被害を受けた戸数は19,908戸となっていた。
表69 市街地液状化対策事業を実施する12市における宅地の液状化被害
県名 | 市名 | 市街地液状化対策事業により調査した地区数 | 市街地液状化対策事業により調査した面積(ha) | 液状化被害のあった住戸数(戸) | 全体に占める割合(%) | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
全壊 | 大規模 半壊 |
半壊 | 一部損 壊 |
全壊 | 大規模 半壊 |
半壊 | 一部損 壊 |
|||||
茨城県 | ひたちなか市 | 1地区 | 108 | 48 | 12 | 8 | 28 | - | 25 | 16.6 | 58.3 | - |
茨城県 | 鹿嶋市 | 5地区 | 280 | 722 | 94 | 166 | 291 | 171 | 13 | 22.9 | 40.3 | 23.6 |
茨城県 | 潮来市 | 6地区 | 389 | 3,180 | 77 | 680 | 1,452 | 971 | 2.4 | 21.3 | 45.6 | 30.5 |
茨城県 | 稲敷市 | 1地区 | 54 | 53 | 18 | 18 | 17 | - | 33.9 | 33.9 | 32 | - |
茨城県 | 神栖市 | 18地区 | 677 | 1,318 | - | - | - | - | - | - | - | - |
埼玉県 | 久喜市 | 1地区 | 110 | 177 | 11 | 41 | 54 | 71 | 6.2 | 23.1 | 30.5 | 40.1 |
千葉県 | 千葉市 | 1地区 | 143 | 1,501 | 17 | 222 | 339 | 923 | 1.1 | 14.7 | 22.5 | 61.4 |
千葉県 | 旭市 | 4地区 | 537 | 774 | 100 | 218 | 263 | 193 | 12.9 | 28.1 | 33.9 | 24.9 |
千葉県 | 習志野市 | 1地区 | 68 | 1,061 | 1 | 103 | 255 | 702 | 0 | 9.7 | 24 | 66.1 |
千葉県 | 我孫子市 | 1地区 | 12 | 219 | 118 | 1 | 19 | 81 | 53.8 | 0.4 | 8.6 | 36.9 |
千葉県 | 浦安市 | 未定 | 1,455 | 8,469 | 10 | 1,509 | 2,102 | 4,848 | 0.1 | 17.8 | 24.8 | 57.2 |
千葉県 | 香取市 | 4地区 | 455 | 2,386 | 74 | 889 | 890 | 533 | 3.1 | 37.2 | 37.3 | 22.3 |
計 | / | 4,288 | 19,908 | / | / | / | / | / | / | / | / |
市街地液状化対策事業は、東日本大震災による地盤の液状化により著しい被害を受けた地域において、再度の災害の発生に対して被害を抑制するため、道路、下水道等の公共施設と隣接宅地等との一体的な液状化対策を推進することを目的とするものであり、液状化対策事業計画の作成等を実施する液状化対策事業計画案作成事業と、地盤の液状化による公共施設の被害を抑制するための事業等を実施する市街地液状化対策推進事業とで構成されている。
このうち、市街地液状化対策推進事業を行おうとする地方公共団体は、対象とする区域、対象区域の面積、計画期間、概算事業費、土地所有者等の負担額等を定めた液状化対策事業計画を策定することとされている。また、市街地液状化対策推進事業の対象区域については、区域内の宅地に所有権及び借地権を有する全ての者のうち、それぞれの3分の2以上の同意が得られていること(以下「同意要件」という。)などの要件がある。
一方、国土交通省は、被災した地方公共団体に対して、市街地の液状化に関する適切な判断に資するための液状化対策の実施等に係る各種のガイダンス(案)等を公表するなどしている。そして、同省は、液状化対策工法について、地下水位低下工法及び格子状地中壁工法の二つの工法が有力であるとしている。このうち、地下水位低下工法は、住宅地の道路部分に地下水を浸透させて、流下させる管路を埋め込むなどして地下水位を下げて、地盤面下の特定の高さまで非液状化層とすることにより、液状化の被害を抑制する工法であり、また、格子状地中壁工法は、セメント系固化材により地中壁を格子状に形成して、液状化しやすい砂地盤をこの地中壁で取り囲むことにより、砂層の液状化を制御する工法である。
市街地液状化対策事業のうち液状化対策事業計画案作成事業の一般的な事務手続の概要は、次のとおりである。
① 市町村は、液状化対策事業計画の策定に当たり、第三者の意見を求める機関として地盤の液状化に関する専門家等から構成される液状化対策検討委員会を設置するとともに、地質調査や地盤解析を実施する。
② 地質調査等の結果や液状化対策検討委員会の議論等を経て、液状化対策工法及び対象となる候補地区を選定して、これと並行して地質調査等によって得られた地下水位低下工法による想定沈下量等を実地盤の実証実験により検証する。
③ ②により選定した工法及び地区に基づき、住民の負担額を算定して周知し、実証実験の結果も踏まえて、住民の合意形成を図り、液状化対策検討委員会による審議を経て、事業の要件を満たした地区について液状化対策事業計画を策定する。
そこで、3県内の12市における液状化対策事業計画案作成事業14件について24年度末現在の進捗状況を、上記の①から③までの事務手続の段階ごとにみると、表70のとおり、液状化対策検討委員会を設置しているのは12市の13件、地質調査・地盤解析を実施しているのは12市の14件、液状化対策工法を選定しているのは3市の3件、対象となる候補地区を選定しているのは2市の2件、住民負担額の算定・周知をしているのは3市の3件と一定の進捗がみられるものの、液状化対策事業計画の策定に至っているものは全くない状況となっていた。なお、その後、25年5月末までに、12市のうち1市については、液状化対策事業計画を策定している。
表70 市街地液状化対策事業のうち液状化対策事業計画案作成事業の進捗状況
(平成24年度末現在)
事務手続の段階 | 進捗状況 | 計 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
区分 | 市数 | 事業 数 |
区分 | 市数 | 事業 数 |
市数 | 事業 数 |
||
① | 液状化対策検討委員会の設置 | 設置済み | 12 | 13 | 未設置 | 1 | 1 | 12 | 14 |
地質調査・地盤解析の実施 | 実施済み又は実施中 | 12 | 14 | 未実施 | 0 | 0 | |||
② | 液状化対策工法の選定 | 選定済み | 3 | 3 | 未選定 | 11 | 11 | ||
対象となる候補地区の選定 | 選定済み | 2 | 2 | 未選定 | 12 | 12 | |||
実証実験の実施 | 実施済み又は実施中 | 5 | 5 | 未実施 | 9 | 9 | |||
③ | 住民負担額の算定・周知 | 済み | 3 | 3 | 未済 | 11 | 11 | ||
液状化対策事業計画の策定 | 策定済み | 0 | 0 | 未策定 | 12 | 14 |
上記のように液状化対策事業計画案作成事業の多くが、地質調査や地盤解析の実施段階にあり、各市では液状化対策工法の選定のための調査や検討に時間を要しているなどとしている。このような状況となっているのは、既存の市街地に対する液状化対策が講じられたことはこれまでほとんどなく、また、これら市街地に対する液状化対策の技術が十分に確立していなかったことなどによると認められる。
また、12市において今後想定される課題について検査したところ、前記の市街地液状化対策推進事業の同意要件を満たすことを課題として挙げている市が多数見受けられた。そこで、同意要件を満たすための課題として、①住民負担額等のコスト、②技術的なリスク(再液状化の可能性があることなど)、③住民の事業に対するニーズ、④手続上の問題(土地所有者の不在等)の四つに区分し、市街地液状化対策事業を実施する12市の状況を分析した。
その結果、12市のうち上記の①から④までのいずれかの課題に直面している又は直面することを想定しているのは10市となっており、残りの2市は、地盤調査や地盤解析の段階であるなどのため、現段階では具体的には特定できないとしていた。
上記の10市について、課題としている区分の内訳をみると、表71のとおり、住民負担額等のコストについては全ての市、技術的なリスクについては9市がそれぞれ課題であるなどとしていた。
また、その主な内容をみると、住民負担額等のコストについては、住民の一部には、既に地盤沈下等による住宅の傾きに係る修繕費に多額の負担をしていて、その上に液状化対策に係る費用が生ずるのは経済的に大きな負担となること、技術的なリスクについては、高額な費用を投じて液状化対策を講じたとしても、液状化がなくなるとは限らないことなどとなっている。
表71 市街地液状化対策推進事業の同意要件を満たすための課題
区分 | 市数 | 主な内容 |
①住民負担額等のコスト | 10 |
|
②技術的なリスク | 9 |
|
③住民の事業に対するニーズ | 8 |
|
④手続上の問題 | 6 |
|
⑤その他 | - |
|
そして、各市では、同意要件を満たすための課題に対応するため、住民負担額に対する補助金制度や地下水位が低下したことにより一定以上の傾斜が起こった場合の補償制度を設けたり、市街地液状化対策事業を活用することにより、スケールメリットが発生して費用の低廉化が図られることを十分説明したりなどしているが、補助金制度に要する財源の確保が困難であるという市も見受けられた。また、技術的なリスクについては、実証実験等により工法の有効性及び不同沈下量を確認して、工法の安全性を確認するなどしている。
市街地液状化対策推進事業の同意要件は、一義的には各市が取り組むべきものであるが、市街地の液状化対策は東日本大震災発生以降に本格的に始められたものであり、技術的な課題やコストの縮減等取り組むべき課題も多いことから、国は、今後より一層、被災地である各市との意見交換を図りながら、市街地の液状化対策が進捗するよう技術的支援を含め各種課題に係る支援に努めることが求められる。
23、24両年度の復興交付金を受け、基金型を選択した4県及び26市町村における基幹事業の復興交付金基金事業執行率は40.8%となっており、県別にみると、11.5%から83.3%までと地域により大きな開差が見受けられた。また、4県及び26市町村における基幹事業の進捗状況をみたところ、大半の事業がほぼ順調に推移している一方、完了時期が遅延している事業も見受けられた。そして、市街地液状化対策事業を実施する12市の状況についてみると、液状化対策工法の選定のための調査や検討に時間を要するなどしているほか、住民負担額等のコストや技術的なリスクなどの課題があり、同意要件を満たすことを今後の課題としていた。
被災した地方公共団体においては、復興に向けたまちづくり・地域づくりを推進するに当たって、復興計画の策定や土地利用の再編に関する各種の計画、事業の対象区域の選定等、被災者等の意向を踏まえて実施する施策や事業が多いものと思料される。国においても、市町村と十分な意見交換を行いつつ、情報提供、助言その他必要な協力を行い、地方公共団体の迅速かつ着実な復興の支援に努めることが求められる。
8道県及び100市町村は、東日本大震災関係経費により、学校施設、社会福祉施設、公共土木等の災害復旧事業や除染、災害廃棄物処理等の補助事業等を実施しており、前記のとおり、8道県及び100市町村が実施する23、24両年度の補助事業等に係る国庫補助金等交付決定額は計2721億余円と多額に上っている。
そこで、8道県及び100市町村における補助事業等の執行状況について、国庫補助金等交付決定額から事業完了後に生じた過不足額等を控除した最終の交付決定額に対する国庫補助金等交付額の割合(以下「補助事業執行率」という。)はどのようになっているかなどに着眼して検査した。検査に当たっては、8道県及び100市町村から調書や事業実績報告書等を徴するなどして特定被災自治体ごとの補助事業執行率等を算定するとともに、繰越しを行っている事業についてその理由等を聴取するなどした。なお、補助事業等のうち、地方負担が生じていないものや広域連合、土地改良区等複数の市町村の範囲において実施する広域的な事業に係るものについては、可能な限り把握して、集計及び分析の対象とした。
8道県及び100市町村において、23年度補正予算により措置された補助事業等に係る国庫補助金等交付決定額は、表72のとおり、計2202億余円となっており、これに対する23年度末までの国庫補助金等交付額は計955億余円(補助事業執行率43.8%)となっていて、計1221億余円が24年度に繰り越されていた。そして、これらについて、24年度末までの執行状況をみると、国庫補助金等交付額は計949億余円となっており、23、24両年度での補助事業執行率は92.4%と高くなっていて、25年度への繰越額も155億余円と大幅に減少している。
これを8道県及び100市町村の別にみると、23年度の補助事業執行率は道県及び市町村によって大きな開差が生じており、補助事業執行率が30%未満となっている1県及び17市町についてみると、9市町は液状化による被害を受けた千葉県内の市町となっている(エ(ウ)参照)。
そして、24年度末において、埼玉県及び77市町村が補助事業等を完了しており、他の7道県及び23市町村についても、全ての道県と14市町村の23、24両年度での補助事業執行率が90%以上となっていて、8道県及び100市町村では、復旧・復興に係る23年度の補助事業等は進捗していると認められた。
一方で、栃木県那須塩原市では、放射性物質の除染に係る事業を実施するに当たり必要とされる関係者からの同意を得るための調整に時間を要したこと、また、同県芳賀郡市貝町及び塩谷郡高根沢町では、公立学校施設の改修等の事業を実施するに当たり、騒音対策工法等の決定に時間を要したことなどにより、24年度末までの実施がいまだ困難な状況となっている。
また、前記の25年度へ繰り越された155億余円は、資材の入手難、地元調整の困難、他事業との調整等の理由により事故繰越しとなっている。
表72 8道県及び100市町村における平成23年度補正予算により措置された補助事業等の実施状況
道県名 | 特定被災 自治体名 |
平成23年度の執行状況 | 24年度の執行状況 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
交付決定額 | 交付額 | 24年度への 繰越額 |
差引過不足額 (不用額等) |
23年度の補助 事業執行率 |
(C)に対する 交付額 |
25年度への 繰越額 (事故繰越等) |
差引過不足額 (不用額等) |
24年度までの 補助事業 執行率 |
||
(A) | (B) | (C) | (D) =(A-B-C) |
(E) =(B/(A-D)) |
(F) | (G) | (H) =(C-F-G) |
(B+F) (A-D-H) |
||
北海道 | 北海道 | 13,610 | 6,311 | 6,720 | 578 | 48.4 | 6,545 | 57 | 117 | 99.5 |
*鹿部町 | 136 | 47 | 88 | - | 34.8 | 88 | - | - | 100.0 | |
*八雲町 | 830 | 99 | 730 | - | 12.0 | 671 | - | 59 | 100.0 | |
*広尾町 | 57 | 42 | 15 | - | 72.9 | 12 | - | 2 | 100.0 | |
*浜中町 | 472 | 332 | 140 | - | 70.3 | 140 | - | - | 100.0 | |
青森県 | 青森県 | 19,069 | 8,207 | 10,743 | 118 | 43.3 | 9,205 | 839 | 697 | 95.3 |
八戸市 | 6,626 | 2,133 | 4,485 | 7 | 32.2 | 4,297 | 140 | 48 | 97.8 | |
*三沢市 | 205 | 200 | - | 5 | 100.0 | - | - | - | 100.0 | |
*おいらせ町 | 439 | 219 | 217 | 3 | 50.2 | 215 | - | 1 | 100.0 | |
*階上町 | 200 | 193 | 2 | 4 | 98.7 | 1 | - | 1 | 100.0 | |
茨城県 | 茨城県 | 45,461 | 19,639 | 25,306 | 514 | 43.6 | 19,237 | 4,122 | 1,946 | 90.4 |
水戸市 | 4,532 | 2,621 | 1,903 | 7 | 57.9 | 1,455 | 305 | 143 | 93.0 | |
*日立市 | 1,967 | 1,670 | 244 | 52 | 87.2 | 188 | - | 56 | 100.0 | |
*土浦市 | 347 | 271 | 63 | 12 | 80.9 | 61 | - | 2 | 100.0 | |
*古河市 | 88 | 87 | - | 0 | 100.0 | - | - | - | 100.0 | |
*石岡市 | 458 | 321 | 134 | 2 | 70.6 | 129 | - | 4 | 100.0 | |
*結城市 | 345 | 89 | 254 | 1 | 26.1 | 240 | - | 14 | 100.0 | |
*龍ヶ崎市 | 425 | 137 | 284 | 4 | 32.5 | 23 | - | 260 | 100.0 | |
*下妻市 | 490 | 420 | 62 | 6 | 87.1 | 55 | - | 6 | 100.0 | |
*常総市 | 471 | 191 | 278 | 1 | 40.7 | 276 | - | 1 | 100.0 | |
常陸太田市 | 2,027 | 1,405 | 596 | 26 | 70.2 | 482 | 79 | 33 | 95.9 | |
*高萩市 | 1,637 | 577 | 1,057 | 1 | 35.3 | 891 | - | 166 | 100.0 | |
北茨城市 | 2,705 | 2,295 | 391 | 18 | 85.4 | 284 | 14 | 92 | 99.4 | |
*笠間市 | 1,432 | 800 | 627 | 5 | 56.0 | 612 | - | 14 | 100.0 | |
*取手市 | 2,080 | 248 | 1,832 | 0 | 11.9 | 662 | - | 1,169 | 100.0 | |
*牛久市 | 322 | 128 | 176 | 17 | 42.2 | 168 | - | 7 | 100.0 | |
*つくば市 | 737 | 285 | 439 | 12 | 39.3 | 102 | - | 336 | 100.0 | |
ひたちなか市 | 2,830 | 1,068 | 1,747 | 14 | 37.9 | 1,414 | 225 | 108 | 91.6 | |
鹿嶋市 | 3,573 | 1,528 | 2,031 | 12 | 42.9 | 1,869 | 159 | 2 | 95.5 | |
潮来市 | 5,420 | 1,597 | 3,698 | 123 | 30.1 | 1,905 | 1,743 | 50 | 66.7 | |
*常陸大宮市 | 983 | 436 | 539 | 7 | 44.7 | 519 | - | 19 | 100.0 | |
*那珂市 | 2,106 | 931 | 1,127 | 47 | 45.2 | 1,069 | - | 57 | 100.0 | |
*筑西市 | 626 | 617 | 8 | 1 | 98.7 | 8 | - | 0 | 100.0 | |
*坂東市 | 76 | 74 | 1 | - | 97.7 | 1 | - | 0 | 100.0 | |
稲敷市 | 3,343 | 1,858 | 1,477 | 7 | 55.7 | 1,056 | 359 | 61 | 89.0 | |
*かすみがうら市 | 183 | 144 | 36 | 2 | 79.8 | 35 | - | 1 | 100.0 | |
*桜川市 | 492 | 243 | 244 | 5 | 49.8 | 191 | - | 53 | 100.0 | |
神栖市 | 3,633 | 1,363 | 2,256 | 13 | 37.6 | 1,300 | 235 | 720 | 91.8 | |
*行方市 | 766 | 616 | 145 | 4 | 80.9 | 143 | - | 1 | 100.0 | |
鉾田市 | 1,179 | 662 | 515 | 1 | 56.2 | 472 | 22 | 20 | 98.0 | |
*つくばみらい市 | 206 | 107 | 71 | 26 | 59.9 | 64 | - | 7 | 100.0 | |
*小美玉市 | 369 | 251 | 113 | 5 | 68.9 | 107 | - | 5 | 100.0 | |
茨城町 | 1,255 | 692 | 561 | 1 | 55.2 | 481 | 37 | 42 | 96.9 | |
*大洗町 | 467 | 396 | 70 | 0 | 84.8 | 70 | - | 0 | 100.0 | |
*城里町 | 598 | 383 | 212 | 2 | 64.2 | 207 | - | 5 | 100.0 | |
東海村 | 875 | 537 | 337 | 0 | 61.4 | 264 | 68 | 4 | 92.1 | |
*大子町 | 109 | 64 | 44 | 0 | 59.5 | 43 | - | 0 | 100.0 | |
美浦村 | 140 | 48 | 91 | 0 | 34.6 | 6 | 83 | 1 | 39.8 | |
*阿見町 | 210 | 200 | 1 | 8 | 99.2 | 1 | - | - | 100.0 | |
*河内町 | 120 | 63 | 56 | - | 53.0 | 44 | - | 12 | 100.0 | |
*利根町 | 50 | 40 | 9 | 1 | 81.2 | 9 | - | - | 100.0 |
道県名 | 特定被災 自治体名 |
平成23年度の執行状況 | 24年度の執行状況 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
交付決定額 | 交付額 | 24年度への 繰越額 |
差引過不足 額(不用額等) |
23年度の補助 事業執行率 |
(C)に対する 交付額 |
25年度への 繰越額(事故繰越等) |
差引過不足 額(不用額 等) |
24年度まで の補助事業 執行率 |
||
(A) | (B) | (C) | (D) =(A-B-C) |
(E) =(B/(A-D)) |
(F) | (G) | (H) =(C-F-G) |
(B+F) (A-D-H) |
||
栃木県 | 栃木県 | 5,103 | 2,806 | 2,247 | 50 | 55.5 | 2,132 | 13 | 101 | 99.7 |
宇都宮市 | 1,001 | 623 | 371 | 6 | 62.7 | 296 | 62 | 12 | 93.6 | |
*足利市 | 122 | 17 | 103 | 1 | 14.7 | 89 | - | 13 | 100.0 | |
*佐野市 | 18 | 18 | - | 0 | 100.0 | - | - | - | 100.0 | |
*小山市 | 40 | 37 | 2 | - | 93.5 | 2 | - | - | 100.0 | |
*真岡市 | 814 | 410 | 398 | 5 | 50.7 | 376 | - | 21 | 100.0 | |
大田原市 | 1,792 | 241 | 1,547 | 2 | 13.5 | 606 | 860 | 80 | 49.6 | |
*矢板市 | 502 | 154 | 337 | 10 | 31.3 | 305 | - | 32 | 100.0 | |
那須塩原市 | 4,079 | 501 | 3,365 | 212 | 12.9 | 396 | 2,967 | 1 | 23.2 | |
*さくら市 | 114 | 88 | 25 | 0 | 77.3 | 25 | - | 0 | 100.0 | |
*那須烏山市 | 415 | 223 | 192 | 0 | 53.7 | 191 | - | 0 | 100.0 | |
*益子町 | 176 | 176 | - | 0 | 100.0 | - | - | - | 100.0 | |
*茂木町 | 92 | 92 | - | 0 | 100.0 | - | - | - | 100.0 | |
市貝町 | 1,265 | 233 | 1,028 | 3 | 18.5 | 311 | 716 | 0 | 43.1 | |
*芳賀町 | 163 | 160 | - | 2 | 100.0 | - | - | - | 100.0 | |
高根沢町 | 1,495 | 458 | 1,015 | 21 | 31.1 | 46 | 957 | 12 | 34.5 | |
*那須町 | 457 | 288 | 165 | 3 | 63.5 | 165 | - | - | 100.0 | |
*那珂川町 | 219 | 217 | 2 | - | 98.9 | 1 | - | 0 | 100.0 | |
埼玉県 | *埼玉県 | 356 | 303 | 44 | 8 | 87.0 | 42 | - | 2 | 100.0 |
*久喜市 | 2 | 2 | - | 0 | 100.0 | - | - | - | 100.0 | |
千葉県 | 千葉県 | 14,186 | 7,475 | 6,631 | 79 | 52.9 | 5,545 | 705 | 381 | 94.8 |
*千葉市 | 4,301 | 2,298 | 1,664 | 339 | 57.9 | 1,444 | - | 219 | 100.0 | |
*銚子市 | 325 | 267 | 56 | 0 | 82.4 | 51 | - | 5 | 100.0 | |
*市川市 | 1,742 | 576 | 1,156 | 8 | 33.2 | 963 | - | 192 | 100.0 | |
*船橋市 | 502 | 378 | 120 | 3 | 75.9 | 111 | - | 8 | 100.0 | |
*松戸市 | 1,116 | 487 | 626 | 2 | 43.7 | 612 | - | 13 | 100.0 | |
*野田市 | 472 | 230 | 241 | 0 | 48.8 | 232 | - | 9 | 100.0 | |
*成田市 | 108 | 55 | 52 | 0 | 51.4 | 41 | - | 10 | 100.0 | |
*佐倉市 | 366 | 34 | 331 | 0 | 9.3 | 318 | - | 12 | 100.0 | |
*東金市 | 60 | 17 | 42 | - | 29.2 | 38 | - | 3 | 100.0 | |
*旭市 | 2,602 | 2,077 | 516 | 8 | 80.0 | 496 | - | 19 | 100.0 | |
*習志野市 | 322 | 254 | 67 | 1 | 79.0 | 62 | - | 4 | 100.0 | |
*柏市 | 5,100 | 248 | 4,847 | 4 | 4.8 | 2,271 | - | 2,575 | 100.0 | |
*八千代市 | 90 | 45 | 44 | 0 | 50.7 | 40 | - | 3 | 100.0 | |
我孫子市 | 1,293 | 331 | 934 | 27 | 26.1 | 461 | 140 | 332 | 84.9 | |
*浦安市 | 3,509 | 595 | 2,908 | 4 | 17.0 | 2,017 | - | 891 | 100.0 | |
*印西市 | 451 | 138 | 312 | 0 | 30.7 | 302 | - | 10 | 100.0 | |
*富里市 | 66 | 26 | 39 | 0 | 39.9 | 37 | - | 2 | 100.0 | |
*匝瑳市 | 68 | 21 | 46 | 0 | 31.8 | 42 | - | 4 | 100.0 | |
香取市 | 4,416 | 1,119 | 3,290 | 6 | 25.3 | 2,884 | 299 | 107 | 93.0 | |
*山武市 | 215 | 170 | 41 | 3 | 80.5 | 37 | - | 3 | 100.0 | |
*大網白里市 | 80 | - | 80 | - | 0.0 | 46 | - | 34 | 100.0 | |
*酒々井町 | 10 | 7 | 2 | 0 | 74.0 | 2 | - | 0 | 100.0 | |
*栄町 | 298 | 286 | 12 | - | 95.9 | 10 | - | 1 | 100.0 | |
*神崎町 | 474 | 393 | 75 | 5 | 83.9 | 71 | - | 4 | 100.0 | |
*多古町 | 7 | 0 | 7 | - | 5.7 | 7 | - | - | 100.0 | |
*東庄町 | 198 | 159 | 38 | - | 80.7 | 38 | - | - | 100.0 | |
九十九里町 | 88 | 41 | 47 | 0 | 46.4 | 33 | 13 | 0 | 84.6 | |
*横芝光町 | 23 | 19 | 4 | 0 | 81.8 | 3 | - | 0 | 100.0 | |
*白子町 | 56 | - | 56 | - | 0.0 | 37 | - | 19 | 100.0 | |
新潟県 | 新潟県 | 9,245 | 2,959 | 6,258 | 27 | 32.1 | 6,168 | 58 | 31 | 99.3 |
十日町市 | 1,611 | 542 | 1,065 | 3 | 33.7 | 1,030 | 29 | 5 | 98.1 | |
*上越市 | 659 | 107 | 552 | 0 | 16.2 | 542 | - | 9 | 100.0 | |
*津南町 | 701 | 437 | 263 | 0 | 62.3 | 263 | - | 0 | 100.0 | |
長野県 | 長野県 | 7,163 | 1,807 | 5,315 | 41 | 25.3 | 5,163 | 140 | 11 | 98.0 |
*野沢温泉村 | 121 | 50 | 71 | - | 41.2 | 55 | - | 15 | 100.0 | |
栄村 | 3,188 | 1,890 | 1,297 | 0 | 59.3 | 1,173 | 113 | 10 | 96.4 | |
計(8道県100市町村) | 220,285 | 95,525 | 122,167 | 2,592 | 43.8 | 94,994 | 15,573 | 11,599 | 92.4 |
8道県及び100市町村のうち、24年度復興特会予算により措置された補助事業等に係る国庫補助金等の交付を受けたものは8道県及び72市町村であり、国庫補助金等交付決定額は、表73のとおり、計518億余円となっている。そして、これに対して、24年度末までの国庫補助金等交付額は計247億余円(補助事業執行率49.5%)となっていて、計252億余円が25年度に繰り越されている。
8道県及び72市町村の別にみると、補助事業執行率は0.0%から100%までと道県及び市町村によって大きな開差が生じているが、45市町村は24年度内に補助事業等を完了している。
一方で、茨城県桜川市や同県東茨城郡城里町等の茨城県内の4市町では、国宝重要文化財保存整備事業や災害等廃棄物処理事業等の実施に当たり、関係機関等との調整に時間を要しているものも見受けられた。
また、前記の25年度へ繰り越された252億余円についてみると、県が実施する事業に係るものが計137億余円と多額になっており、特に茨城県が67億余円と多額になっている。このほか、千葉県内においては、千葉市で学校施設の耐震補強等工事の実施に当たり地元との調整を行う中で設計の見直しに時間を要したことにより、また、浦安市で、河川等災害復旧事業の液状化対策工事の実施に当たり本事業と合わせて復興交付金事業を実施することに伴う工法等の変更により、いずれも20億円以上の繰越しを行っている。
表73 8道県及び72市町村における平成24年度復興特会予算により措置された補助事業等の実施状況
(単位:百万円、%)
道県名 | 特定被災 自治体名 |
交付決定額 | 交付額 | 平成25年度への 繰越額 |
差引過不足額 (不用額等) |
24年度の補助 事業執行率 |
---|---|---|---|---|---|---|
(A) | (B) | (C) | (D) =(A-B-C) |
(B/(AーD)) | ||
北海道 | 北海道 | 5,123 | 3,728 | 1,334 | 60 | 73.6 |
*鹿部町 | 47 | 47 | - | - | 100.0 | |
*浜中町 | 80 | 80 | - | - | 100.0 | |
青森県 | 青森県 | 3,465 | 1,898 | 1,555 | 12 | 54.9 |
八戸市 | 1,184 | 615 | 545 | 23 | 52.9 | |
*三沢市 | 54 | 49 | - | 5 | 100.0 | |
*階上町 | 26 | 25 | - | 1 | 100.0 | |
茨城県 | 茨城県 | 12,781 | 6,008 | 6,708 | 64 | 47.2 |
*水戸市 | 37 | 37 | - | - | 100.0 | |
日立市 | 5 | 1 | 3 | - | 35.8 | |
*土浦市 | 10 | 10 | - | - | 100.0 | |
*石岡市 | 10 | 10 | - | - | 100.0 | |
*結城市 | 0 | 0 | - | - | 100.0 | |
*下妻市 | 1 | 1 | - | - | 100.0 | |
*常陸太田市 | 78 | 78 | - | 0 | 100.0 | |
高萩市 | 26 | 13 | 13 | - | 51.5 | |
北茨城市 | 84 | 78 | 5 | - | 93.0 | |
*笠間市 | 10 | 8 | - | 2 | 100.0 | |
*取手市 | 473 | 473 | - | - | 100.0 | |
*牛久市 | 1 | 1 | - | - | 100.0 | |
ひたちなか市 | 225 | 130 | 93 | 1 | 58.3 | |
鹿嶋市 | 325 | 79 | 246 | - | 24.3 | |
*潮来市 | 2 | 2 | - | - | 100.0 | |
*那珂市 | 7 | 7 | - | - | 100.0 | |
*筑西市 | 2 | 2 | - | - | 100.0 | |
稲敷市 | 822 | 312 | 510 | - | 37.9 | |
桜川市 | 252 | 4 | 247 | - | 1.6 | |
神栖市 | 485 | 13 | 471 | 0 | 2.8 | |
*行方市 | 5 | 5 | - | 0 | 100.0 | |
鉾田市 | 266 | 27 | 239 | - | 10.1 | |
*茨城町 | 0 | 0 | - | - | 100.0 | |
*大洗町 | 33 | 33 | - | - | 100.0 | |
城里町 | 16 | - | 16 | - | 0.0 | |
*東海村 | 16 | 12 | - | 4 | 100.0 | |
*大子町 | 12 | 11 | - | 0 | 100.0 | |
*阿見町 | 35 | 31 | - | 4 | 100.0 | |
栃木県 | 栃木県 | 1,010 | 684 | 240 | 84 | 74.0 |
宇都宮市 | 636 | 147 | 487 | 1 | 23.1 | |
*小山市 | 5 | 5 | - | 0 | 100.0 | |
*大田原市 | 4 | 4 | - | - | 100.0 | |
*矢板市 | 20 | 18 | - | 1 | 100.0 | |
*那須塩原市 | 8 | 8 | - | - | 100.0 | |
*那須烏山市 | 0 | 0 | - | - | 100.0 | |
*市貝町 | 21 | 20 | - | 0 | 100.0 | |
*高根沢町 | 70 | 70 | - | - | 100.0 | |
那須町 | 1,307 | 355 | 273 | 678 | 56.4 | |
埼玉県 | 埼玉県 | 78 | 61 | 16 | - | 78.4 |
*久喜市 | 0 | 0 | - | - | 100.0 | |
千葉県 | 千葉県 | 3,539 | 1,663 | 1,726 | 149 | 49.0 |
千葉市 | 2,840 | 478 | 2,346 | 14 | 16.9 | |
*銚子市 | 0 | 0 | - | - | 100.0 |
道県名 | 特定被災 自治体名 |
交付決定額 | 交付額 | 平成25年度への 繰越額 |
差引過不足額 (不用額等) |
24年度の補助 事業執行率 |
---|---|---|---|---|---|---|
(A) | (B) | (C) | (D) =(A-B-C) |
(B/(AーD)) | ||
千葉県 | 市川市 | 1,053 | 61 | 991 | - | 5.8 |
*船橋市 | 507 | 507 | - | - | 100.0 | |
松戸市 | 2,889 | 1,124 | 1,045 | 719 | 51.8 | |
野田市 | 597 | 594 | 3 | - | 99.4 | |
*成田市 | 348 | 348 | - | - | 100.0 | |
佐倉市 | 192 | 20 | 171 | 0 | 10.4 | |
旭市 | 534 | 449 | 85 | 0 | 84.0 | |
柏市 | 306 | 222 | 83 | - | 72.7 | |
*八千代市 | 3 | 3 | - | - | 100.0 | |
*我孫子市 | 59 | 47 | - | 12 | 100.0 | |
浦安市 | 2,593 | 508 | 2,079 | 5 | 19.6 | |
*印西市 | 84 | 77 | - | 6 | 100.0 | |
*匝瑳市 | 0 | 0 | - | - | 100.0 | |
香取市 | 946 | 355 | 589 | 1 | 37.6 | |
*山武市 | 1 | 1 | - | - | 100.0 | |
*大網白里市 | 1 | 1 | - | - | 100.0 | |
*酒々井町 | 3 | 3 | - | - | 100.0 | |
*栄町 | 1 | 1 | - | - | 100.0 | |
*神崎町 | 50 | 50 | - | - | 100.0 | |
*東庄町 | 4 | 4 | - | - | 100.0 | |
*九十九里町 | 0 | 0 | - | 0 | 100.0 | |
白子町 | 303 | 21 | 281 | 0 | 7.1 | |
新潟県 | 新潟県 | 2,969 | 1,556 | 1,399 | 14 | 52.6 |
十日町市 | 361 | 181 | 179 | 0 | 50.2 | |
上越市 | 470 | 117 | 341 | 11 | 25.5 | |
津南町 | 176 | 55 | 120 | - | 31.5 | |
長野県 | 長野県 | 1,721 | 987 | 734 | 0 | 57.3 |
*野沢温泉村 | 42 | 42 | - | - | 100.0 | |
栄村 | 51 | 17 | 34 | 0 | 33.3 | |
計(8道県72市町村) | 51,838 | 24,729 | 25,224 | 1,885 | 49.5 |
8道県及び100市町村が実施した23年度の補助事業等について、所管別、補助事業別にみると、表74のとおり、8府省、107事業となっており、補助事業執行率は、23年度で43.8%、23、24両年度で92.4%となっている。
補助事業別の実施状況についてみると、「公立学校施設災害復旧事業」、「農地・農業用施設災害復旧事業費補助」、「河川等災害復旧事業費補助」及び「災害等廃棄物処理事業費補助」の4事業を実施している市町村が、いずれも70市町村以上となっている。そして、これら4事業の国庫補助金等交付決定額は計716億余円となっていて、全体の国庫補助金等交付決定額計2202億余円の32.5%を占めている。また、4事業のうち災害等廃棄物処理事業費補助は、86市町村が実施しているが、24年度への繰越しを行っていたのは8市町村であり、24年度末には全て執行されるなど、速やかな進捗が見られた一方で、河川等災害復旧事業費補助は、実施した80市町村のうち43市町村で24年度への繰越しを行っているなど、災害等廃棄物処理事業以外の3事業に係る24年度への繰越額は計302億余円と多額になっていた。さらに、このうち計49億余円については、25年度に事故繰越しを行っている。
25年度への繰越しの状況についてみると、「情報通信技術利活用事業費補助」、「東日本大震災農業生産対策交付金」、「港湾施設災害復旧事業費補助」及び「港湾施設災害関連事業費補助」の4事業で交付決定額に対する繰越額の割合が20%以上となっている。津波により甚大な被害を受けた地域における港湾、漁業関連施設等に係る災害復旧は、関係機関等との調整や造船会社の供給能力の影響等により25年度に事故繰越しを行っているなど、事業の実施に当たり困難な事態に直面しているものがある。
表74 8道県100市町村における平成23年度補助事業等の所管別・事業別実施状況
(単位:百万円、%)
所管 | 事業名 | 事業実施 特定被災 自治体数 |
交付決定額 | 平成23年度の執行状況 | 24年度の執行状況 | ||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
平成24年 度に繰り 越した特 定被災自 治体数 |
25年度に 繰り越し た特定被 災自治体 数 |
交付額 | 24年度への繰 越額 |
差引過不足額 (不用額等) |
23年度の補 助事業執行 率 |
(C)に対する 交付額 |
25年度への繰 越額(事故繰 越等) |
差引過不足額 (不用額等) |
24年度まで の補助事業 執行率 |
||||
(A) | (B) | (C) | (D) =(A-B-C) |
(E) =B/(A-D) |
(F) | (G) | (H) =(C-F-G) |
(B+F) (A-D-H) |
|||||
内閣府 | 都道府県警察施設災害復旧費補助等3事業 (*) |
/ | / | / | 1,071 | 742 | 282 | 46 | 72.4 | 254 | - | 27 | 100.0 |
総務省 | 消防防災施設災害復旧費補助 | 59 | 15 | 1 | 1,887 | 445 | 1,406 | 35 | 24.0 | 1,034 | 305 | 66 | 82.9 |
市町村行政機能応急復旧補助金(*) | 20 | 3 | 0 | 1,624 | 986 | 638 | - | 60.6 | 633 | - | 5 | 100.0 | |
消防防災通信基盤整備費補助(*) | 40 | 36 | 0 | 1,286 | 3 | 1,283 | 0 | 0.2 | 1,144 | - | 139 | 100.0 | |
情報通信技術利活用事業費補助 | 9 | 9 | 1 | 286 | - | 286 | - | 0.0 | 178 | 83 | 24 | 68.1 | |
消防防災設備災害復旧費補助等5事業(*) | / | / | / | 528 | 254 | 266 | 7 | 48.8 | 240 | - | 26 | 100.0 | |
文部科学省 | 公立学校施設災害復旧事業 | 78 | 32 | 5 | 12,513 | 4,550 | 7,808 | 154 | 36.8 | 5,029 | 1,899 | 879 | 83.4 |
学校施設環境改善交付金(*) | 14 | 14 | 0 | 6,143 | 765 | 5,378 | - | 12.4 | 5,029 | - | 348 | 100.0 | |
公立社会教育施設災害復旧費補助金 | 68 | 30 | 1 | 4,805 | 2,825 | 1,950 | 29 | 59.1 | 1,830 | 29 | 89 | 99.3 | |
国宝重要文化財等保存整備費補助 | 10 | 9 | 2 | 466 | 6 | 459 | 0 | 1.3 | 357 | 65 | 35 | 84.6 | |
私立学校施設整備費補助金等8事業(*) | / | / | / | 311 | 132 | 167 | 11 | 44.0 | 160 | - | 6 | 100.0 | |
厚生労働省 | 水道施設等災害復旧費補助 | 43 | 19 | 3 | 7,336 | 3,226 | 4,036 | 73 | 44.4 | 2,792 | 757 | 486 | 88.8 |
社会福祉施設等災害復旧費補助(*) | 68 | 16 | 0 | 3,396 | 2,632 | 619 | 144 | 80.9 | 570 | - | 48 | 100.0 | |
災害救助費負担金(*) | 18 | 0 | 0 | 2,351 | 2,316 | - | 35 | 100.0 | - | - | - | 100.0 | |
医療施設等災害復旧費補助等16事業(*) | / | / | / | 2,067 | 1,875 | 113 | 78 | 94.2 | 100 | - | 13 | 100.0 | |
農林水産省 | 農地・農業用施設災害復旧事業費補助 | 74 | 33 | 9 | 10,153 | 5,026 | 4,972 | 153 | 50.2 | 4,240 | 505 | 226 | 94.8 |
漁港施設災害復旧事業費補助 | 8 | 6 | 1 | 7,344 | 2,950 | 4,392 | 1 | 40.1 | 2,617 | 1,026 | 749 | 84.4 | |
共同利用漁船等復旧支援対策事業 | 3 | 3 | 3 | 5,375 | 904 | 4,469 | 1 | 16.8 | 4,204 | 251 | 13 | 95.3 | |
農林水産業共同利用施設災害復旧事業費補助 | 20 | 7 | 2 | 4,731 | 1,908 | 2,690 | 133 | 41.4 | 2,441 | 152 | 96 | 96.6 | |
水産基盤整備事業補助 | 5 | 5 | 1 | 4,081 | 593 | 3,467 | 20 | 14.6 | 2,884 | 67 | 515 | 98.1 | |
東日本大震災農業生産対策交付金 | 41 | 12 | 1 | 4,069 | 573 | 3,434 | 61 | 14.2 | 2,544 | 860 | 30 | 78.3 | |
林地荒廃防止施設等災害復旧事業(*) | 4 | 3 | 0 | 3,219 | 1,629 | 1,589 | - | 50.6 | 1,540 | - | 49 | 100.0 | |
養殖施設災害復旧事業費補助(*) | 3 | 1 | 0 | 3,154 | 2,342 | 296 | 515 | 88.7 | 296 | - | - | 100.0 | |
治山事業費補助 | 7 | 7 | 1 | 1,775 | 538 | 1,236 | - | 30.3 | 1,210 | 13 | 12 | 99.2 | |
戸別所得補償実施円滑化基盤整備事業補助(*) | 3 | 3 | 0 | 1,756 | 36 | 1,720 | - | 2 | 1,720 | - | 0 | 100.0 | |
災害関連緊急治山事業費補助(*) | 3 | 3 | 0 | 1,691 | 791 | 797 | 102 | 49.8 | 797 | - | - | 100.0 | |
森林環境保全整備事業費補助(*) | 6 | 6 | 0 | 1,505 | 90 | 1,414 | - | 5.9 | 1,412 | - | 2 | 100.0 | |
災害関連農村生活環境施設復旧事業(*) | 12 | 8 | 0 | 1,288 | 928 | 357 | 2 | 72.2 | 299 | - | 57 | 100.0 | |
優良農地確保・有効利用対策事業費補助(*) | 1 | 1 | 0 | 1,159 | 68 | 1,091 | - | 5.8 | 1,091 | - | - | 100.0 | |
林道施設災害復旧事業費補助 | 20 | 18 | 3 | 975 | 352 | 622 | - | 36.1 | 599 | 21 | 2 | 97.7 | |
農業用施設等災害関連事業費補助等17事業(*) | / | / | / | 1,810 | 1,063 | 616 | 130 | 63.3 | 579 | - | 36 | 100.0 | |
経済産業省 | 中小企業組合等共同施設等災害復旧費補助 | 4 | 3 | 2 | 12,063 | 7,171 | 4,890 | 1 | 59.4 | 3,235 | 1,123 | 531 | 90.2 |
工業用水道施設災害復旧事業費補助等2事業(*) | / | / | / | 2,307 | 112 | 2,191 | 4 | 4.8 | 1,923 | - | 267 | 100.0 | |
国土交通省 | 河川等災害復旧事業費補助 | 80 | 43 | 15 | 37,591 | 19,770 | 17,505 | 316 | 53.0 | 14,113 | 2,527 | 864 | 93.0 |
港湾施設災害復旧事業費補助 | 5 | 3 | 2 | 10,678 | 3,254 | 7,362 | 62 | 30.6 | 5,077 | 2,284 | - | 78.4 | |
都市災害復旧事業費補助(下水道) | 48 | 22 | 3 | 10,008 | 5,086 | 4,893 | 28 | 50.9 | 4,412 | 231 | 249 | 97.6 | |
社会資本整備総合交付金 | 12 | 11 | 2 | 5,971 | 1,165 | 4,805 | 0 | 19.5 | 4,641 | 62 | 102 | 98.9 | |
都市災害復旧事業費補助 | 48 | 23 | 2 | 5,527 | 2,706 | 2,796 | 25 | 49.1 | 2,065 | 284 | 446 | 94.3 | |
災害関連緊急砂防等事業費補助(*) | 2 | 2 | 0 | 1,933 | 1,153 | 780 | - | 59.6 | 780 | - | 0 | 100.0 | |
住宅施設災害復旧事業費補助(*) | 22 | 5 | 0 | 1,208 | 966 | 235 | 5 | 80.4 | 206 | - | 28 | 100.0 | |
港湾施設災害関連事業費補助 | 2 | 2 | 1 | 215 | 11 | 204 | - | 5.2 | 147 | 51 | 5 | 75.4 | |
砂防事業費補助等12事業(*) | / | / | / | 2,742 | 1,057 | 1,666 | 18 | 38.8 | 1,571 | - | 95 | 100.0 | |
環境省 |
災害等廃棄物処理事業費補助(*) | 86 | 8 | 0 | 11,388 | 9,208 | 2,153 | 26 | 81.0 | 2,141 | - | 12 | 100.0 |
廃棄物処理施設災害復旧事業費補助(*) | 52 | 2 | 0 | 1,732 | 840 | 891 | - | 48.5 | 891 | - | - | 100.0 | |
循環型社会形成推進交付金等4事業(*) | / | / | / | 727 | 530 | 197 | 0 | 72.8 | 196 | - | 0 | 100.0 | |
複数府省 | 放射線量低減対策特別緊急事業費補助 | 32 | 21 | 1 | 15,177 | 1,730 | 13,084 | 362 | 11.6 | 5,118 | 2,967 | 4,997 | 69.7 |
東日本大震災復旧復興推進事業費補助等2事業(*) | / | / | / | 839 | 198 | 640 | 0 | 23.6 | 635 | - | 5 | 100.0 | |
計(8府省107事業) | 108 | 101 | 30 | 220,285 | 95,525 | 122,167 | 2,592 | 43.8 | 94,994 | 15,573 | 11,599 | 92.4 |
また、24年度の補助事業等について、所管別、補助事業別にみると、表75のとおり、8府省、65事業となっており、補助事業執行率は49.5%となっている。
前記のとおり、8道県及び100市町村においては、復旧・復興事業が進捗していることから、24年度の補助事業等として、上記の65事業を実施した市町村数、国庫補助金等交付額は、いずれも減少しており、「社会資本整備総合交付金」で17市町村、「消防防災施設災害復旧費補助」及び「災害等廃棄物処理事業費補助」で16市町村等となっている。
25年度への繰越しの状況についてみると、37事業が年度内に完了しているものの、「学校施設環境改善交付金」、「社会資本整備総合交付金」の2事業は、それぞれ50億円以上の繰越額が生じている状況となっている。
表75 平成24年度補助事業等の所管別・事業別実施状況
(単位:百万円、%)
所管 | 事業名 | 事業 実施 特定 被災 自治体数 |
交付決定額 | 交付額 | 25年度への 繰越額 |
差引過不足額 (不用額等) |
24年度の補助 事業執行率 |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
平成25年度に繰り越した特定被災自治体数 | ||||||||
(A) | (B) | (C) | (D) =(A-B-C) |
(E) =B/(AーD) |
||||
内閣府 | 都道府県警察施設整備費補助等2事業(*) | / | / | 227 | 221 | - | 6 | 100.0 |
総務省 | 消防防災施設災害復旧費補助 | 16 | 3 | 149 | 71 | 69 | 8 | 50.5 |
情報通信技術利活用事業費補助等2事業(*) | / | / | 161 | 134 | - | 27 | 100.0 | |
文部科 学省 |
学校施設環境改善交付金 | 11 | 11 | 5,194 | 90 | 5,101 | 2 | 1.7 |
公立学校施設災害復旧事業 | 7 | 1 | 745 | 443 | 300 | 1 | 59.6 | |
国宝重要文化財等保存整備費補助 | 4 | 3 | 488 | 44 | 443 | 0 | 9.1 | |
公立学校施設整備費負担金 | 2 | 1 | 107 | 21 | 81 | 3 | 21.1 | |
義務教育費国庫負担金等5事業(*) | / | / | 60 | 46 | - | 13 | 100.0 | |
厚生労 働省 |
社会福祉施設等施設整備費補助 | 1 | 1 | 101 | 47 | 53 | 0 | 46.9 |
水道水源開発等施設整備費補助 | 1 | 1 | 63 | - | 63 | - | 0.0 | |
災害救助費負担金等8事業(*) | / | / | 115 | 113 | - | 2 | 100.0 | |
農林水 産省 |
水産基盤整備事業補助 | 5 | 5 | 5,079 | 2,836 | 2,232 | 10 | 55.9 |
漁港施設災害復旧事業費補助 | 5 | 1 | 1,046 | 328 | 697 | 21 | 32.0 | |
治山事業費補助 | 7 | 6 | 907 | 352 | 551 | 3 | 39.0 | |
農地・農業用施設災害復旧事業費補助 | 10 | 2 | 597 | 331 | 265 | 0 | 55.5 | |
地域再生基盤強化交付金等6事業 | / | / | 245 | 106 | 139 | 0 | 43.2 | |
漁場復旧対策支援事業費補助等14事業(*) | / | / | 739 | 559 | - | 179 | 100 | |
経済産 業省 |
中小企業組合等共同施設等災害復旧費補助 | 4 | 3 | 9,457 | 5,066 | 4,294 | 96 | 54.1 |
原子力施設等防災対策等交付金 | 1 | 1 | 112 | 20 | 91 | - | 17.9 | |
国土交 通省 |
社会資本整備総合交付金 | 17 | 13 | 12,991 | 6,633 | 6,354 | 3 | 51.0 |
河川等災害復旧事業費補助 | 10 | 9 | 2,595 | 313 | 2,280 | 0 | 12.0 | |
都市災害復旧事業費補助(下水道) | 1 | 1 | 2,027 | 488 | 1,539 | - | 24.1 | |
地籍調査費負担金等4事業 | / | / | 559 | 287 | 271 | 0 | 51.4 | |
地域連携推進事業費等3事業(*) | / | / | 1,199 | 1,188 | - | 11 | 100.0 | |
環境省 | 放射線量低減対策特別緊急事業費補助 | 10 | 3 | 3,335 | 1,531 | 374 | 1,428 | 80.3 |
循環型社会形成推進交付金(*) | 12 | 0 | 2,281 | 2,251 | - | 29 | 100.0 | |
災害等廃棄物処理事業費補助 | 16 | 1 | 939 | 911 | 16 | 11 | 98.2 | |
指定廃棄物保管業務委託金等2事業(*) | / | / | 308 | 284 | - | 23 | 100.0 | |
計(8府省65事業) | 80 | 35 | 51,838 | 24,729 | 25,224 | 1,885 | 49.5 |
復旧・復興事業に係る補助事業等は、多額の国の予算が投じられて特定被災自治体において実施されている。そして、その実施状況について検査したところ、少なくとも東北3県を除く8道県及び100市町村では、23、24両年度の補助事業が進捗していると認められた。しかし、8道県及び100市町村の一部においては、被災の状況に応じて関係機関等との調整や液状化対策等に係る工法の検討等に時間を要していて、復旧のための事業の実施に当たり困難な事態に直面している特定被災自治体も見受けられた。
国は、今後ともこれらの特定被災自治体が実施する復旧・復興事業が円滑かつ迅速に実施されるよう引き続き支援することが必要である。