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  • 国会からの検査要請事項に関する報告(検査要請)|
  • 会計検査院法第30条の3の規定に基づく報告書 |
  • 平成25年10月 |
  • 東日本大震災からの復興等に対する事業の実施状況等に関する会計検査の結果について |
  • 第3  検査の結果に対する所見

2 所見

会計検査院は、24年次に引き続き、東日本大震災からの復旧・復興に対する事業について検査を行った。国及び地方公共団体は、現在全力を挙げて復旧・復興に取り組んでいるところであるが、東日本大震災から2年半以上を経過した今もなお、多くの住民は仮設住宅での不自由で困難な生活を余儀なくされており、地方公共団体は膨大な復旧・復興事業に取り組んでいる。特に、原子力災害からの復興再生については長期にわたることが予想されていて、地方公共団体は除染や健康管理等の事業を執行する一方、風評被害に苦しめられているなど、被災地の社会経済の再生や生活の再建に向けた課題は数多く、これらを解決するには多くの困難がある。

このため、復旧・復興のための施策は、被災地に暮らす国民の声に配慮して迅速に実施することが不可欠であり、復興庁及び関係府省等は連携して、国及び地方公共団体が行う施策が、基本理念に即して、更なる復旧・復興の進展につながるよう、今後、次の点に留意して、復興施策の推進及び支援に適切に取り組む必要がある。

ア 国は、東日本大震災復旧・復興事業の実施に当たっては、多数かつ多額の事業が実施されている一方、多額の事業費が翌年度に繰り越されていることから、事業の実施計画や規模等は適切かなどについて的確に検討するとともに、事業実施の障害となっている事項について不断に検証して、必要に応じて見直すこと。また、国は、復興事業が有効かつ効率的に実施されるよう優先度等も考慮するなどして予算の配分や人的・技術的支援を行うとともに、事業が適切に実施されているかなどについて確認して、不適切な事態や障害となっている事項については、既存の制度の見直しも含めて迅速な措置を講ずるなどして、被災地の復興が円滑かつ迅速に実施されるよう努めること

イ 復興特別区域制度の各種計画の作成状況や各種特例の活用状況を把握して、地方公共団体が必要としている制度について十分な意見交換をした上で、情報提供、助言その他必要な協力を行い、地方公共団体の迅速かつ着実な支援に努めること

ウ 基金事業、復興交付金事業等が、復興に寄与され適切かつ効率的な執行や資金の有効活用が図られるよう、実施状況等の把握と必要な支援に努めること

エ 原子力災害からの復興再生については、長期的視点から、被災者等に対する支援や除染等の実施、産業振興・雇用対策等に関して、被災した地方公共団体の意向や要望等を踏まえるなどして、必要な支援に努めること

会計検査院としては、国会からの検査要請後、できる限り速やかに報告を行うこととして、24年10月に、被災の状況、復旧・復興事業の実施状況等について23年度予算を中心に報告を行った。本報告では、引き続き、被災の状況や、東日本大震災からの復旧・復興事業のうち23年度予算の繰越しとなっている事業及び24年度復興特会予算に係る事業について、その経費項目別、事業別等の実施状況や一部の特定被災自治体を除く地方公共団体における復旧・復興事業の執行状況を分析するとともに、原子力災害からの復興再生については、関係する事業の実施状況を分析して報告することとした。そして、東日本大震災関係経費により実施される復旧・復興事業は、各府省庁や特定被災自治体等において長期にわたり継続して実施されていること、復興事業の実施に係る諸制度の見直しなどが想定されることなどから、次年次以降は東北3県を含めた被災の状況及び復興事業の実施状況等について引き続き検査を実施して、その結果については取りまとめが出来次第報告することとする。