東日本大震災に係る全国の避難者等の数は、復興庁によれば、25年4月4日現在で約30万9千人とされており、また、被災地からの人口流出も顕著となっているため、一刻も早い被災者の生活再建と安定が急務であり、早期の復旧・復興事業の実施が求められているところである。一方、地震及び津波により甚大な被害を受けた東北3県における復旧・復興事業に係る工事において、入札不調が発生しているところである。
そこで、入札不調の発生を抑制し、速やかに復旧・復興事業が実施されることが重要であることから、効率性、有効性等の観点から、次の点に着眼して検査を行った。
会計検査院は、東北地方整備局及び東北農政局並びに東北3県及び管内の太平洋沿岸部13市町(注1)、内陸部8市(注2)、計21市町において、23年10月から24年9月までに入札に付すなどされた復旧・復興事業等に係る予定価格が1000万円以上の工事計4,538件(直轄事業1,123件、補助事業3,415件)、契約金額計5622億9170万余円(直轄事業2576億1636万余円、補助事業3046億7534万余円(注3)(うち国庫補助金等相当額2081億8133万余円(注4)))について、入札不調の発生状況の分析を行うとともに、入札公告等の関係書類を確認するなどして、会計実地検査を行った。また、国土交通省及び農林水産省において、入札不調対策の取組状況を聴取するなどして、会計実地検査を行った。
さらに、受注者側が入札への参加を見合わせるなどした理由等について実態を把握するために、東北3県及び近隣の青森県、秋田県及び山形県(以下「近隣3県」という。)に所在する建設事業者3,000者に対して質問票による意識調査を行った。