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  • 平成25年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第3 内閣府(内閣府本府)|
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  • 補助金

木造施設の施工が設計と相違していたため、所要の安全度が確保されていない状態になっていたもの[内閣府本府](2)


会計名及び科目
一般会計 (組織)内閣本府 (項)沖縄振興交付金事業推進費
部局等
内閣府本府
交付の根拠
沖縄振興特別措置法(平成14年法律第14号)
交付金事業者
沖縄県
間接交付金事業者
(事業主体)
島尻郡粟国村
交付金事業
沖縄振興特別推進交付金
交付金事業の概要
沖縄の実情に即した事業の的確かつ効果的な実施を図ることを目的として、沖縄振興交付金事業計画に基づいて実施するもの
事業費
51,276,913円(平成24、25両年度)
上記に対する交付金交付額
39,280,000円
不当と認める事業費
19,343,000円(平成24、25両年度)
不当と認める交付金相当額
14,817,448円(平成24、25両年度)

1 補助金等の概要

内閣府(内閣府本府)所管の補助事業は、地方公共団体等が事業主体となって実施するもので、同府は、この事業に要する経費について、直接又は間接に事業主体に対して補助金等を交付している。

同府は、沖縄振興特別措置法(平成14年法律第14号)等に基づき、沖縄の実情に即した事業の的確かつ効果的な実施を図ることを目的として、沖縄県が策定した計画に基づいて実施する沖縄振興特別推進交付金事業に要する経費に充てるために、平成24年度から、同県に対して沖縄振興特別推進交付金(以下「交付金」という。)を交付している。

そして、沖縄県島尻郡粟国村は、24年度(25年度に一部事業を繰越し)の沖縄振興特別推進交付金事業の一環として、同村字西地区に所在する粟国島パークゴルフ場において、シャワー室、ロッカー室及び倉庫として利用する施設(木造平屋建て1棟。以下「木造施設」という。)の建設等を工事費51,276,913円(交付金39,280,000円)で実施している。

2 検査の結果

本院は、合規性等の観点から、木造施設の施工は適切に行われているかなどに着眼して、上記の交付金事業を対象として、同村において、設計図面等の書類及び現地の状況を確認するなどして会計実地検査を行った。

検査したところ、次のような事態が見受けられた。

同村は、木造施設について、柱、土台、筋交いなどの部材で骨組みを構成する木造軸組工法により建設することとし、建築基準法(昭和25年法律第201号)等に基づき、地震や風により生ずる水平力に抵抗するために、柱と柱との間に筋交いを設置した耐力壁を、張り間方向(注)に12か所、桁行方向(注)に8か所それぞれ配置することとしていた。そして、耐力壁を構成する柱については、水平力により生ずる引抜力に抵抗するために、同法等に基づく告示「木造の継手及び仕口の構造方法を定める件」(平成12年建設省告示第1460号)に基づき、筋交いの種類等別に定められている金物等(以下「接合金物」という。)を用いて、梁、土台、基礎コンクリート等と接合することとしていた(参考図参照)

同村は、上記のように耐力壁を配置すれば、設計計算上の耐力壁の長さが、張り間方向及び桁行方向とも水平力に対して必要な耐力壁の長さをそれぞれ上回ることなどから安全であるとして設計し、施工することとしていた。

しかし、請負人は、耐力壁を構成する33か所の柱のうち、10か所の柱において梁や土台等との接合箇所の一部に接合金物を使用せずに部材を組み合わせただけにするなど、設計と相違した施工をしていた。

このように、梁や土台等との接合が適切ではない柱で構成された壁は耐力壁とは認められないことから、改めて有効な設計計算上の耐力壁の長さを算出すると、張り間方向10.92m及び桁行方向7.28mとなり、水平力に対して必要な長さ、張り間方向29.73m及び桁行方向10.94mをいずれも大幅に下回っていた。

したがって、木造施設(工事費相当額19,343,000円)は、施工が設計と相違していたため、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る交付金相当額14,817,448円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、請負人が、設計図書、法令等についての理解が十分でないまま施工していたのに、これに対する同村の監督及び検査が十分でなかったことなどによると認められる。

(注)
張り間方向、桁行方向  一般的に建物の短辺方向を張り間方向、長辺方向を桁行方向という。

(参考図)

耐力壁概念図,接合金概念図