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  • 平成25年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第3 内閣府(警察庁)|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

自動車ナンバー自動読取装置の照明用部品の調達に当たり、障害の発生状況を把握して保有率を見直すなどすることとし、障害の発生状況を報告させるとともに、一律に定期交換を行わないことを周知徹底するなどして、適切な調達数を算定するよう改善させたもの


会計名及び科目
一般会計 (組織)警察庁 (項)警察活動基盤整備費
部局等
警察庁、7管区警察局、51府県情報通信部等
照明用部品の概要
夜間等における自動車のナンバーの読み取りに必要な部品
照明用部品の調達数及び調達額
1,786個 3億4967万余円(平成21年度~25年度)
上記のうち節減できた調達数及び調達額
1,413個  2億7667万円

1 自動車ナンバー自動読取装置の照明用部品の概要等

(1) 自動車ナンバー自動読取装置の概要

警察庁は、自動車を利用した犯罪等を迅速かつ的確に検挙するために、道路を通行する自動車のナンバーを自動的に読み取り、手配された車両のナンバーと照合する自動車ナンバー自動読取装置(以下「読取装置」という。)を一括して調達し、管区警察局(以下「管区局」という。)に置かれた府県情報通信部等(以下「通信部等」という。)に設置させている。そして、警察庁は、製造会社が仕様書等に基づき読取装置を納品してから10年間は修理用部品の確保を確実に行うこととなっていることなどから、約10年ごとに読取装置を更新している。

(2) 照明用部品の調達等

読取装置は、夜間等でも自動車のナンバーを読み取ることができるように照明部を備えており、照明部の部品(以下「照明用部品」という。)には、平成7年から、従来の照明よりも長寿命であるLEDが使用されている。そして、照明用部品は多数のLEDが集まって構成されていることなどから、一部のLEDの機能が低下しても自動車のナンバーを読み取ることができる構造になっている。また、通信部等は、読取装置の稼働状況を常時監視していて、照明用部品に故障等による障害が発生した場合は、速やかに交換するなどの対応(以下「障害対応」という。)を行っており、障害対応用として照明用部品を保有している。

そして、読取装置は複数の機種があることから、それぞれの機種に適合する照明用部品を調達する必要があり、通信部等が照明用部品を調達する場合と管区局が調達した照明用部品を必要に応じて通信部等に配布する場合とがある。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

前記のとおり、照明用部品は長寿命のLEDが使用されていることなどから、本院は、経済性等の観点から、照明用部品の調達数の算定は適切か、照明用部品の交換時期は適切かなどに着眼して、21年度から25年度までに全国の7管区局及び51通信部等が調達した計1,786個の照明用部品(調達額計3億4967万余円)を対象として、警察庁、5管区局(注1)及び9通信部等(注2)において、契約関係書類、受払簿等を確認するなどして会計実地検査を行うとともに、警察庁から残りの管区局及び通信部等に係る関係書類の提出を受けるなどの方法により検査した。

(注1)
5管区局  東北、関東、中部、中国、九州各管区警察局
(注2)
9通信部等  東京都警察情報通信部、京都府情報通信部、宮城、愛知、三重、兵庫、広島、愛媛、福岡各県情報通信部

(検査の結果)

検査したところ、次のような事態が見受けられた。

(1) 障害対応用の照明用部品の調達数の算定

7管区局及び51通信部等は、21年度から25年度までに障害対応用として計1,290個の照明用部品(調達額計2億6212万余円)を調達していた。そして、それぞれ独自に見込んだ照明用部品の障害発生数に基づいて算出した障害発生率(年度ごとの照明用部品の設置数に対する障害発生数の割合をいう。)を考慮して定めた保有率(照明用部品の設置数に対する保有数の割合をいう。)によって照明用部品の調達数を算定していた。

しかし、実際の障害発生数は独自に見込んだ障害発生数を大幅に下回っていたことから、実際の障害発生数を把握して障害発生率を算出するなどしていれば適切な保有率を算定することが可能であったと認められた。

そこで、通信部等の全体における21年度から25年度までの読取装置の機種ごとの照明用部品に係る障害発生率が0%から5%程度までであったことから、保有率を5%として必要な照明用部品の調達数を算定すると、前記の計1,290個は計373個(調達額計7299万余円)で足りると認められた。

(2) 通信部等が行っていた照明用部品の定期交換

51通信部等のうち17通信部等(注3)は、読取装置を設置した後に、それぞれの通信部等が定めた3年又は6年の照明用部品の交換年数が経過するごとに交換(以下「定期交換」という。)することにしており、21年度から25年度までに定期交換を行った照明用部品は計496個(調達額計8754万余円)に上っていた。定期交換を行っている理由について、17通信部等は、同時多発的に照明用部品に障害が発生した場合に迅速な障害対応を行えなくなるためなどとしていた。

しかし、照明用部品は、一部のLEDの機能が低下しても自動車のナンバーを読み取ることができる構造になっているため、夜間等において読取装置の機能が低下するなどの兆候が現れた場合に、障害対応用として保有している照明用部品と交換すれば足りることなどから、一律に定期交換を行う必要はなかったと認められた。

(注3)
17通信部等  東京都警察情報通信部、京都府情報通信部、青森、岩手、宮城、秋田、山形、石川、福井、岐阜、愛知、三重、滋賀、兵庫、徳島、愛媛、高知各県情報通信部

このように、読取装置の照明用部品について、障害の発生状況を把握せずに保有率を見直さないまま調達数を算定したり、一律に定期交換を行ったりしている事態は適切ではなく、改善の必要があると認められた。

(節減できた調達額)

読取装置の照明用部品について、障害の発生状況を把握するなどして障害対応用の照明用部品の調達数を算定すると調達額は計7299万余円(調達数計373個)となり前記の調達額計2億6212万余円を計1億8913万余円節減できること、また、照明用部品の定期交換を行わないこととすると調達額計8754万余円(調達数計496個)が不要となることから、前記の調達額計3億4967万余円(調達数計1,786個)を計2億7667万余円(調達数計1,413個)節減できたと認められた。

(発生原因)

このような事態が生じていたのは、警察庁において、障害の発生状況を把握せずに保有率を見直すなどしておらず、管区局及び通信部等に対して、照明用部品の障害の発生状況を報告させていなかったこと、照明用部品の定期交換を行わないよう周知徹底していなかったことなどによると認められた。

3 当局が講じた改善の処置

上記についての本院の指摘に基づき、警察庁は、照明用部品の調達に当たり、障害の発生状況を把握して保有率を見直すなどすることとし、26年7月に全国の管区局及び通信部等に対して通達を発して、障害の発生状況を報告させるとともに、一律に定期交換を行わないことを周知徹底するなどして、適切な調達数を算定することとする処置を講じた。