3件 不当と認める国庫補助金 22,438,837円
地域情報通信基盤整備推進交付金は、地域の知恵と工夫をいかしつつ効果的かつ効率的な情報通信基盤整備を促進し、もって地域の情報格差を是正する事業を実施する市町村等に対して、事業の実施に要する経費の一部について、国が交付するものである。そして、その交付対象経費は、光ファイバケーブル等の線路設備及びセンター施設等の施設・設備の設置に要する経費とされている。
地域活性化・公共投資臨時交付金は、地域活性化・公共投資臨時交付金制度要綱(平成22年府地活第4号、総行応第30号等)等に基づき、地域活性化等の速やかかつ着実な実施を図ることを目的として、公共事業及び施設費の追加に伴う地方負担の軽減を図り、国の施策と歩調を合わせ、地域における公共投資を円滑に実施することができるよう、地方公共団体が作成した地域活性化・公共投資実施計画に基づき実施する事業に要する費用のうち地方公共団体が負担する経費に対して国が交付するものである。
また、地域活性化・経済危機対策臨時交付金は、地域活性化・経済危機対策臨時交付金制度要綱(平成21年府地活第11号、総行政第185号等)等に基づき、地域活性化等の速やかかつ着実な実施を図ることを目的として、地球温暖化対策、少子高齢化社会への対応、安全・安心の実現、その他将来に向けた地域の実情に応じた地域活性化等に資する事業を行うために、地方公共団体が作成した地域活性化・経済危機対策実施計画に基づき実施する事業に要する費用のうち地方公共団体が負担する経費に対して国が交付するものである。
そして、地域活性化・公共投資臨時交付金及び地域活性化・経済危機対策臨時交付金の交付対象事業は、それぞれ地域活性化・公共投資実施計画、地域活性化・経済危機対策実施計画を作成する地方公共団体が地域活性化等に資する事業の実施に要する費用の一部を負担する国庫補助事業又は地方単独事業とされており、地域情報通信基盤整備推進交付金の交付を受けて実施される事業は、地域活性化・公共投資臨時交付金及び地域活性化・経済危機対策臨時交付金の交付対象にすることができることとなっている。
本院が総務本省、11道県管内の84市町村及び1連携主体において会計実地検査を行ったところ、3道県の3事業主体において、交付対象事業費が過大に精算されていたり、交付の対象とならない費用を含めていたりしたため、交付金が過大に交付されていて不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、事業主体において本件交付金事業の適正な実施に対する認識が欠けていたこと、2県及び総務本省において本件交付金事業の審査及び確認並びに事業主体に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
これを事業主体別に示すと次のとおりである。
部局等 | 交付金事業者(事業主体) | 交付金事業 | 年度 | 交付対象事業費 | 左に対する交付金交付額 | 不当と認める交付対象事業費 | 不当と認める交付金相当額 | 摘要 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(6) | 総務本省 | 北海道 天塩郡 幌延町 |
地域情報通信基盤整備推進交付金 | 21、22 | 827,295 | 275,765 | 6,131 | 2,044 | 精算過大 |
この交付金事業は、幌延町が、同町内の全域に高速ブロードバンド環境を整備するために、光ファイバケーブル等の架空配線等を実施したものである。 そして、同町は、光ファイバケーブルを架空配線するためのコンクリート柱及び鋼管柱計673本を設置する際に、これと同数量のコンクリート根かせ及びコンクリート底板(以下「コンクリート根かせ等」という。)を使用し、材料費計4,791,760円を要したとして実績報告を行っていた。 しかし、請負業者は、施工箇所が柱の傾斜や沈下が生ずるおそれがある軟弱地盤ではなかったことから、コンクリート根かせ等を設置せず、実際には、ガラス繊維強化プラスチック製の根かせ(以下「FRP根かせ」という。)を56本設置していた。 したがって、実際には設置していないコンクリート根かせ等の材料費を除き、実際に設置していたFRP根かせの材料費を加えるなどして、適正な交付対象事業費を算定すると821,163,597円となり、本件交付対象事業費827,295,596円との差額6,131,999円が過大に精算されていて、これに係る交付金相当額2,044,000円が不当と認められる。 |
|||||||||
(7) | 総務本省、秋田県 | 北秋田市 | 地域情報通信基盤整備推進交付金、地域活性化・公共投資臨時交付金、地域活性化・経済危機対策臨時交付金 | 21、22 | 595,512 | 574,385 | 6,789 | 6,463 | 精算過大 |
これらの交付金事業は、北秋田市が、同市の6地区に高速ブロードバンド環境を整備するために、光ファイバケーブル等の架空配線等を実施したものである。 そして、同市は、光ファイバケーブルとこの光ファイバケーブルに張力がかからないようにするための鋼線とを一束化するための1本当たり80mのスパイラルハンガー(参考図参照)を960本使用し、これに単価5,800円を乗じた5,568,000円を要したとして実績報告を行っていた。 しかし、実際には、請負業者は、当初使用することとしていたものとは異なる1本当たり1.5m、単価122円のスパイラルハンガーを960本使用していた。 したがって、上記の単価に基づいてスパイラルハンガーの材料費を算出するなどして、適正な交付対象事業費を算定すると588,723,536円となり、本件交付対象事業費595,512,750円との差額6,789,214円が過大に精算されていて、これに係る交付金相当額計6,463,038円が不当と認められる。 スパイラルハンガーの概念図 |
|||||||||
(8) | 総務本省、鹿児島県 | 鹿児島郡 三島村 |
地域情報通信基盤整備推進交付金、地域活性化・公共投資臨時交付金 | 21、22 | 2,854,530 | 2,854,530 | 13,931 | 13,931 | 精算過大、補助の対象外 |
これらの交付金事業は、三島村が、同村の竹島、硫黄島及び黒島に高速ブロードバンド環境を整備するために、海底光ファイバケーブル及び島内光ファイバケーブルの整備、これらの整備の際に発生したコンクリート殻の処理等を実施したものである。 そして、同村は、黒島で発生したコンクリート殻を再生資源品として使用するため破砕するなどし、これに8,902,816円の経費を要したとして実績報告を行っていた。また、同村は、上記の海底光ファイバケーブルが運用開始後に損傷等した際の復旧に要する費用を補償するための保険に係る経費4,088,709円を交付対象事業費に含めていた。 しかし、同村は、実際には、黒島で発生したコンクリート殻の破砕等をすることなく、そのまま再利用していた。また、上記の保険に係る経費は、光ファイバケーブルの維持管理に係る経費であり、交付対象事業費に含めることが認められない経費であった。 したがって、コンクリート殻の破砕等に要したとしていた経費及び前記の保険に係る経費を除くなどして適正な交付対象事業費を算定すると2,840,598,201円となり、本件交付対象事業費2,854,530,000円との差額13,931,799円が過大に精算されるなどしていて、これに係る交付金相当額計13,931,799円が不当と認められる。 |
|||||||||
(6)-(8)の計 | 4,277,338 | 3,704,680 | 26,853 | 22,438 |