法務省は、刑事施設等の新営工事等の契約を歳出予算又は国庫債務負担行為に基づいて締結している。しかし、法務本省において、歳出予算及び国庫債務負担行為のそれぞれにより付与された権限を超えた支出負担行為が行われていたり、支出負担行為の額が示達額及び予算を超えていたりしていて、会計法令及び予算に違反している事態、財政法(昭和22年法律第34号)に基づく歳出予算の繰越しが制度の趣旨にのっとって行われていない事態及び支出負担行為認証官による統制が十分に機能していない事態が見受けられた。
したがって、法務省において、上記の予算の執行等に携わる法務本省の支出負担行為担当官、支出負担行為認証官等(以下「会計事務担当者」という。)に対して研修を実施するなどして予算執行等を適正に行うために必要な会計法令等における基本的事項について周知徹底を図るとともに、予算の執行等を行う上での留意点や執行段階における支出負担行為認証官による統制を十分に機能させる上での留意点等をまとめたマニュアル等を作成して十分に周知することにより、予算の執行等が適正に行われるよう、法務大臣に対して平成25年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めた。
本院は、法務本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、法務省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア 26年2月に、会計事務担当者に対して研修を実施するなどして、予算執行等を適正に行うために必要な会計法令等における基本的事項について周知徹底を図った。
イ 26年3月に、予算の執行等を行う上での留意点や執行段階における支出負担行為認証官による統制を十分に機能させる上での留意点等をまとめた「適正な予算執行等のマニュアル」を作成して、会計事務担当者に対してこれを周知した。