法務省は、刑務所、少年刑務所及び拘置所の刑事施設、少年院及び少年鑑別所(以下、これらを合わせて「刑事施設等」という。)の医務部門に常勤で勤務する医師又は歯科医師(以下、これらを合わせて「常勤医師」という。)に対して、国家公務員法(昭和22年法律第120号)等に基づき所定の給与を支給している。そして、常勤医師は、医療技術の維持向上等を目的として、勤務時間中に、大学医学部、大学病院等の外部医療機関等における研修(以下「外部研修」という。)を行うことが認められている。しかし、刑事施設等において、外部研修中の勤務時間の管理、研修内容の把握等が適切に行われていないにもかかわらず、外部研修が研修計画どおりに適正に行われたとしているなどの事態が見受けられた。
したがって、法務省において、外部研修が適正に行われ、これに従事する常勤医師に対する給与の支給が適正なものであることを確認できるようにするために、研修期間中の勤務時間の管理、研修内容の把握等を適切に行う方策を検討して、刑事施設等に対して指導を行うよう、法務大臣に対して平成25年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、法務本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、法務省は、本院指摘の趣旨に沿い、26年6月に各矯正管区に対して通知を発するなどして、次のような処置を講じていた。
ア 外部研修の実施に当たり、刑事施設等の長と研修先の研修責任者との間で、研修協定書等の研修の委託内容が確認できる文書を作成することとした。また、外部研修中の勤務時間管理等が著しく困難であり客観的に研修の実施状況を確認できない自宅又は図書館での研修を認めないこととした。
イ 研修先での各研修日の出欠状況、研修内容等を、毎月、一定の書式等により、常勤医師から刑事施設等の長に報告させることとした。
ウ 常勤医師から提出させる研修結果報告書に記載すべき事項を具体的に示すことなどにより、研修内容を適切に把握することとした。