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  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

(3) 国有財産台帳等における報告漏れ及び誤びゅう訂正について、効果的な発生防止策を周知したり、取扱いが明確になっていないものについてその適切な取扱いを定めたりなどして、国有財産台帳等の誤りを防止するなどの取組を推進するよう意見を表示したもの


部局等
財務本省(全17府省等の国有財産を総括する部局)
衆議院、参議院、最高裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省(各省各庁の国有財産に関する事務の実施部局)
国有財産台帳等における報告漏れ及び誤びゅう訂正の概要
国有財産台帳における登録漏れや誤りを発見し訂正するときなどに用いる増減事由
国有財産台帳等における報告漏れ及び誤びゅう訂正の額
増 326億0402万円(背景金額)(平成25年度)
減 231億7085万円(背景金額)(平成25年度)

【意見を表示したものの全文】

国有財産台帳等における報告漏れ及び誤びゅう訂正について

(平成26年10月28日付け 財務大臣宛て)

標記について、会計検査院法第36条の規定により、下記のとおり意見を表示する。

1 制度の概要

(1) 国有財産の総括

国有財産法(昭和23年法律第73号。以下「法」という。)によれば、財務大臣は、国有財産の総括をしなければならないとされている。そして、この国有財産の総括とは、国有財産の適正な方法による管理及び処分を行うため、国有財産に関する制度を整え、その管理及び処分の事務を統一し、その増減、現在額及び現状を明らかにし、並びにその管理及び処分について必要な調整を行うこととされている。

(2) 国有財産台帳の概要

法によれば、衆議院、参議院、内閣、内閣府、各省、最高裁判所及び会計検査院(以下「各省各庁」という。)は、国有財産台帳(以下「台帳」という。)を備えなければならないこととされており、各省各庁の長又は国有財産に関する事務の一部を分掌する部局等の長は、その所管に属し、又は所属に属する国有財産につき、取得、所管換、処分その他の理由に基づく変動があった場合においては、直ちに台帳に記載し、又は記録しなければならないこととされている。

そして、各省各庁は、平成22年1月から国有財産総合情報管理システム(以下「システム」という。)を活用して上記の事務処理を行っている。

(3) 国有財産の現況等の報告

法によれば、各省各庁の長は、その所管する国有財産について、台帳に記録された毎会計年度間における増減及び毎会計年度末現在における現在額を集計して「国有財産増減及び現在額報告書」(以下「現在額報告書」という。)を作成し、翌年度の7月31日までに財務大臣に送付することとされている。そして、財務大臣は、各省各庁の長から送付された現在額報告書の内容を審査した後に、現在額報告書に基づき、「国有財産増減及び現在額総計算書」(以下「総計算書」という。)を作成することとされている。また、内閣は、総計算書を現在額報告書とともに本院に送付し、本院の検査を経た総計算書を国会に報告することとされている。25年度の総計算書において、同年度末現在の国有財産の現在額は、104兆8131億4542万余円となっている。

(4) 台帳等の報告漏れ及び誤びゅう訂正の概要

貴省は、国有財産法施行細則(昭和23年大蔵省令第92号)において、台帳に記入すべき増減事由用語として、「(何年度何々の)報告洩」(以下「報告漏れ」という。)、「(何々の)誤謬訂正」(以下「誤びゅう訂正」という。また、以下、「報告漏れ」及び「誤びゅう訂正」を合わせて「報告漏れ等」という。)等を定めている。

貴省は、「国有財産台帳等取扱要領について」(平成13年財理第1859号財務省理財局長通達。以下「取扱要領」という。)において、報告漏れは、台帳に登録するとともに現在額報告書に計上すべきものの登録漏れ及び計上漏れを翌年度以降において発見し、これを登録するとともに計上しようとするときなどに適用することとしている。また、誤びゅう訂正は、既に台帳に登録し又は現在額報告書に計上した数量又は価格について誤りを発見し訂正するときに適用することとし、原則として、明白な誤記、誤算等の整理の誤りで他に適当な事由用語がない場合に限り適用することとしている。

総計算書における報告漏れ等による増減額は、表1のとおり、毎年度多額に上っており、25年度総計算書においては、326億0402万余円の増、231億7085万余円の減となっている。

表1 総計算書における報告漏れ等による増減額

(単位:千円)
府省等 区分 報告漏れ 誤びゅう訂正
平成22年度 23年度 24年度 25年度 22年度 23年度 24年度 25年度
衆議院 3,273 - - 606,705 8,122 418 - 612,109
20 - - 134,831 - 154 0 612,109
参議院 - - - - - - - -
4,117 - 54 - - - - -
最高裁判所 61,643 17,597 2,808 8,047 49,045 46,060 1,369 1,720,492
187,794 1,115 1,199 4,867 64,681 18,156 2,752 875,806
会計検査院 - - 88 - 781 908 432 -
1,646 33 2,475 - 26 905 70 -
内閣 269,844 - - - 115 149 - -
- 30 - - 84,785 46 - -
内閣府 1,609,623 404,712 8,670 15,511 244,640 427,566 4,173,495 277,995
105,532 78,330 42,313 24,662 272,301 1,560,021 319,529 5,895
総務省 1,474 8,920 1,499,599 2,691 118 - 0 1,085
- - - 997 14,990 5,041 30 2,779
法務省 770,139 1,484,676 141,916 586,507 301,393 1,925,685 297,273 163,505
541,448 53,612 36,415 148,288 485,553 1,393,048 1,943,735 512,650
外務省 273,895 37,236 17,413 5,420 245,442 - 458,439 758
17,474 2,677 3,927 445 209,735 178 4,072 165
財務省 117,944 225,604 99,838 44,457 472,197 18,162,981 3,953,247 4,345,056
515,063 308,118 703,733 239,899 804,747 22,602,633 1,886,950 3,736,801
文部科学省 876,740 142 0 - - 1,332 - 565
194,551 - 0 - 680,774 - - 68
厚生労働省 3,143,645 248,060,355 28,356 273,546 945,908 60,983 71,323 5,863,427
907,931 40,755 8,404 369,312 1,448,482 249,192,151 81,218 356,215
農林水産省 105,482 487,453 359,915 92,119 7,311,425 626,418 114,442 1,690
46,095 280,013 28,352 9,215 658,370 990,389 31,024 13,280
経済産業省 36,252 37,107 - 41,471 609 3,521,925 2,667,049 649
36,252 2,067,012 - 490 - 11,368,886 165,419 69,627
国土交通省 6,121,848 5,329,785 1,586,945 1,901,900 2,272,444 7,944,459 716,070 1,961,427
645,836 2,313,503 606,828 1,536,644 2,377,234 119,822,058 15,994,971 578,150
環境省 835,333 918,831 335,251 507,247 1,341,260 131,822 28,430 13,427
50,003 975,841 93,527 156,732 73,913 1,798 27,390 90,283
防衛省 1,836,647 157,340 897,159 522,656 3,103,697 12,279,669 771,212 13,033,548
2,003,772 189,257 170,065 52,877 7,727,959 15,573,194 305,851 13,637,760
16,063,788 257,169,763 4,977,965 4,608,284 16,297,205 45,130,380 13,252,786 27,995,742
5,257,540 6,310,303 1,697,296 2,679,266 14,903,559 422,528,665 20,763,019 20,491,593

(注) 表中の金額は単位未満を切り捨てているため、合計額と一致しない。

貴省は、13年に、各省各庁の国有財産に関する事務を総括する部局(以下「総括部局」という。)に発した「国有財産増減及び現在額報告書の作成等について」(平成13年財理第1858号財務省理財局長通達。以下「13年通達」という。)に基づき、1件1000万円以上の報告漏れ等が発生した場合は、部局名、増減事由用語、数量、価格、理由、今後の防止策等(以下、これらを合わせて「報告事項」という。)を記載した報告書(以下「発生報告書」という。)を理財局長宛てに速やかに提出させることとしている。

貴省は、発生報告書の提出により、各省各庁に自ら報告漏れ等の発生原因を分析させるとともに、提出された発生報告書の内容を貴省と各省各庁との間で確認することを通じて報告漏れ等の発生原因に応じて適切な再発防止策を検討する仕組みとしている。また、貴省は、報告漏れ等の発生防止に資するために、毎年3月頃に、各省各庁の総括部局の国有財産事務担当官を対象に実施している決算事務等に係る説明会(以下「決算事務説明会」という。)の中で、報告漏れ等の主な事由及び発生原因、発生報告書記載時の留意点等を示すとともに、発生の都度、速やかに発生報告書を提出するよう注意喚起を行っている。

2 本院の検査結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

前記のとおり、報告漏れ等の額が毎年度多額に上っていることは、国会に報告された総計算書の正確性が損なわれていることになる。

そこで、本院は、正確性、合規性、有効性等の観点から、各省各庁で発生した報告漏れ等の発生原因はどのようなものであったのか、各省各庁は発生報告書を適切に作成して提出するとともに報告漏れ等の取扱いを適切に行っているか、国有財産の総括事務を所掌する貴省は各省各庁が備える台帳等の誤りの発生を防止するために十分な取組を行っているかなどに着眼して検査を行った。

検査に当たっては、22年4月から25年12月までの間に貴省が10府省等(注1)から提出を受けた発生報告書に記載されていた1件1000万円以上の報告漏れ等1,535件及び全17府省等(注2)がシステムに登録したその他の報告漏れ等を対象として、貴省本省、14財務(支)局等(注3)、法務本省、厚生労働本省、経済産業本省、国土交通本省、環境本省及び防衛省内部部局において発生報告書等により会計実地検査を行った。

(注1)
10府省等  最高裁判所、内閣府、法務、外務、財務、厚生労働、農林水産、国土交通、環境、防衛各省
(注2)
全17府省等  衆議院、参議院、最高裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、総務、法務、外務、財務、文部科学、厚生労働、農林水産、経済産業、国土交通、環境、防衛各省
(注3)
14財務(支)局等  東北、関東、東海、近畿、中国、九州各財務局、福岡財務支局、千葉、東京、横浜、長野各財務事務所、立川、横須賀、小倉各出張所

(検査の結果)

検査したところ、次のような事態が見受けられた。

(1) 報告漏れ等の主な発生原因

前記の報告漏れ等1,535件について、発生報告書に基づき前記の10府省等に事実関係を確認するなどして報告漏れ等の発生原因により分類したところ、表2のとおり、報告漏れ等の中には、東日本大震災によって滅失するなどした国有財産について、被害状況の確定に時間を要したため報告漏れとなったものなど各省各庁の取組によって発生を防止できない外的要因によるものが69件あったが、各省各庁の組織内の体制等に起因する内的要因によるものが1,466件と大部分であった。

表2 発生原因別の報告漏れ等の件数及び金額

(単位:件、千円)
発生原因 件数 金額
内的要因によるもの 1,466 362,859,028 467,462,949
  制度等の理解不足によるもの 1,023 330,901,297 320,580,467
担当者の不注意等によるもの 217 16,367,019 15,759,075
組織内の報告失念等によるもの 125 11,899,766 117,931,028
人事異動等における引継漏れによるもの 19 860,581 310,482
その他 82 2,830,363 12,881,895
外的要因によるもの 69 2,479,309 8,578,613
1,535 365,338,338 476,041,563

(注) 表中の金額は単位未満を切り捨てているため、合計額と一致しない。

内的要因によるものは、制度等の理解不足によるものが1,023件と最も多く、その内容は、台帳価格の改定に係る計算方法の理解不足により生じた誤びゅう訂正等であった。担当者の不注意等によるものが217件と次に多く、その内容は、基礎資料からの転記誤りにより生じた誤びゅう訂正等であった。このほか、組織内の報告失念等によるものが125件あり、その内容は、事業担当部署の国有財産事務担当部署への報告の失念、誤り等により生じた報告漏れ等であった。

報告漏れ等は、その発生原因が外的要因によるものか内的要因によるものかにかかわらず、総計算書の正確性を損うものであるが、上記のように、その多くは、それぞれの発生原因に応じて適切な発生防止策を講ずることにより発生を抑制できる内的要因によるものであった。

(2) 発生報告書の提出状況

発生報告書は、報告漏れ等の発生原因に応じて適切な再発防止策を検討するなどのために活用されるものである。
しかし、全17府省等がシステムに登録した報告漏れ等のデータを用いて確認したところ、4省等(注4)において、発生報告書の提出が行われていない1件1000万円以上の報告漏れ等が70件(増32件計87億7249万余円、減38件計144億6205万余円)見受けられた。そして、貴省は、上記の4省等において1件1000万円以上の報告漏れ等が発生していたことについて、システムを活用して把握し発生報告書の提出を促す取組を行っていなかった。

上記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例1> 発生報告書が提出されていなかったもの

経済産業省は、平成23年3月から25年3月までの間に、同省の2部局において、1件1000万円以上の報告漏れ等が56件(増22件計61億7913万余円、減34件計135億2202万余円)発生したため、システムに報告漏れ等として登録していた。

同省では、貴省が毎年実施している決算事務説明会に総括部局の担当者が出席していたが、総括部局等において発生報告書を提出する必要性について認識していなかったことなどから、貴省に発生報告書を提出しておらず、速やかな再発防止策の検討が行われていなかった。

また、前記の報告漏れ等1,535件についてみても、速やかに発生報告書が提出されていないものが見受けられた。このうち、891件の報告漏れ等(増474件計403億4148万余円、減417件計274億6505万余円)については、国土交通省において20年4月から24年5月までの間に発生したもので、同省が、貴省に提出していなかったことを24年6月に認識して、同年7月にこれらに係る発生報告書を貴省に提出したものであり、速やかな再発防止策の検討が行われていなかった。そして、上記891件のうち67件(増50件計65億6691万余円、減17件計13億7084万余円)については、組織内の報告失念等による同様の報告漏れ等が上記の期間内で繰り返し発生したものであった。

(注4)
4省等  内閣、総務、文部科学、経済産業各省

(3) 発生報告書の記載状況

貴省は、報告漏れ等の発生防止に資するために、決算事務説明会において、報告漏れ等の主な事由、発生原因等を各省各庁に示すなどの際に発生報告書の報告事項を活用している。

一方、各省各庁は、13年通達において発生報告書の書式が定められていないことなどから、それぞれ異なる書式で発生報告書を作成しており、報告事項以外にも必要な情報と判断して、報告漏れ等を発見した経緯や、報告漏れ等の処理をシステムに登録した年月日を記載したり、決議書や台帳の写しなどを添付したりしているものがある一方で、これらの記載や添付がないものが見受けられた。

また、5省(注5)が貴省に提出した報告漏れ等193件に係る発生報告書(増52件計51億7894万余円、減141件計265億5785万余円)については、増減事由用語、価格等を誤っていたり、理由の記載がなかったりするなど、記載内容に不備があり、報告漏れ等の発生防止に資するために必要な情報を貴省が正確に把握できないものであった。

上記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例2> 発生報告書の記載内容に不備があったもの

環境省は、平成22年1月から25年3月までの間に発生した報告漏れ等50件(増44件計15億0454万余円、減6件計1億0325万余円)について、その内容を取りまとめ、25年4月にこれに係る発生報告書を貴省に提出していた。

そして、同省が上記50件の報告漏れ等を取りまとめる際に使用した書式には、増減事由用語を記載する欄はあったものの報告漏れと誤びゅう訂正を区分する欄がなかったり、増減額を記載する欄はあったものの増と減を区分する欄がなかったりしていた。このことなどから、同省から貴省に提出された発生報告書の内容をみると、増減事由用語の一部は記載されていたものの報告漏れと誤びゅう訂正が判別できなかったり、増減事由用語を記載する欄に「報告洩」又は「誤謬訂正」としか記載されておらず増減事由用語が正確に記載されていなかったり、金額が記載されていたものの増と減が判別できなかったり、発生原因が判別できなかったりするなど、記載内容に不備があった発生報告書が27件(増21件計6億7077万余円、減6件計1億0325万余円)見受けられた。

(注5)
5省  法務、厚生労働、国土交通、環境、防衛各省

(4) 報告漏れ等の取扱いの状況

ア 同一の財産区分内における種目の訂正

システムの操作マニュアルによれば、土地、建物等の同一の財産区分内において、種目(宅地、事務所建等)の訂正を登録する場合は、誤びゅう訂正として処理することとされており、前記の報告漏れ等1,535件のうち、同一の財産区分内において種目の訂正を登録する場合に誤びゅう訂正として処理されていたものは、6省(注6)で27件(増15件計5億9227万余円、減12件計5億3220万余円)となっていた。

一方、取扱要領によれば、同一の財産区分内において種目の訂正を登録する場合は、誤びゅう訂正として処理せず「(何々)より種目変更」及び「(何々)へ種目変更」として処理することとされており、その取扱いが明確となっていない。

(注6)
6省  法務、財務、厚生労働、農林水産、国土交通、防衛各省

イ 価格が確定したときの台帳価格の訂正

前記の報告漏れ等1,535件の中には、次のように、取扱要領に定められている誤びゅう訂正の性格とは異なるものが見受けられた。

すなわち、防衛省は、航空機の調達については、台帳価格の確定までに日時を要する場合があることなどから、同省の訓令に基づき、概算価格を台帳価格として登録し、価格が確定したときに台帳価格の訂正を行うこととしている。

このような台帳価格の訂正については、明白な誤記、誤算等の整理の誤りではないが、貴省において、このような場合の取扱いを明確にしていないことから、防衛省は、22年3月から24年3月までの間に、これらの訂正40件(増2件計13億7281万余円、減38件計121億0279万余円)を誤びゅう訂正として処理していた。

(改善を必要とする事態)

前記のとおり、発生原因に応じて適切な発生防止策を講ずることにより発生を抑制できる内的要因による報告漏れ等の額が多額に上っている事態、報告漏れ等の発生防止に資するために徴している発生報告書の提出が速やかかつ適切に行われていない事態、貴省においてこれらを防止するための取組が十分に行われていない事態及び報告漏れ等に係る取扱いが明確となっていない事態は適切ではなく、改善の要があると認められる。

(発生原因)

このような事態が生じているのは、一部の各省各庁の総括部局等において、台帳等の誤りを防止するための取組が十分でなかったり、速やかかつ適切に発生報告書の提出を行うことについての認識が欠けていたりしていることのほか、貴省において、各省各庁の取組に対する把握が十分でないこと、報告漏れ等に係る取扱いが明確になっていないことについての認識が欠けていることなどによると認められる。

3 本院が表示する意見

総計算書の正確性を確保するためには、各省各庁において、台帳等の誤りを発見し、その発生原因に応じて適切な発生防止策を講ずることは当然であるが、貴省において、各省各庁の報告漏れ等の発生状況、発生原因、発見の経緯等を適時適切に把握して、各省各庁が備える台帳等の誤りを防止するなどのための統一的な取組を推進することが重要である。

ついては、貴省において、次のとおり、台帳等の誤りを防止するなどの取組を推進するよう意見を表示する。

ア 報告漏れ等の発生原因ごとに効果的な発生防止策を改めて検討し、各省各庁に対してそれらを周知するなどして台帳等の誤りの発生を防止するために適切な措置を徹底するよう求めること

イ 各省各庁に対して、速やかかつ適切に発生報告書の提出を行うよう周知徹底を図るとともに、システムを活用するなどして各省各庁による発生報告書の提出の失念、遅延等がないか確認すること

ウ 各省各庁で発生した報告漏れ等の状況を適時適切に把握するために、発生報告書について必要な報告事項、添付資料等を検討し、書式等を定めること

エ 明白な誤記、誤算等の整理の誤りではないが誤びゅう訂正として処理されているものなどその取扱いが明確になっていないものについては、その適切な取扱いを検討して、取扱要領等に定め、各省各庁に周知徹底すること