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  • 平成25年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 文部科学省|
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  • 補助金

(1) 義務教育費国庫負担金が過大に交付されていたもの[4県](24)-(27)


4件 不当と認める国庫補助金 17,056,412円

義務教育費国庫負担金(以下「負担金」という。)は、義務教育費国庫負担法(昭和27年法律第303号)に基づき、義務教育について、義務教育無償の原則にのっとり、国が必要な経費を負担することによって教育の機会均等とその水準の維持向上とを図ることを目的として、都道府県に対して交付するものである。また、負担金により国が負担する経費は、公立の義務教育諸学校(小学校、中学校、中等教育学校の前期課程(以下、これらを合わせて「小中学校」という。)並びに特別支援学校の小学部及び中学部)に勤務する教職員の給与及び報酬等に要する経費となっており、その額は、都道府県の実支出額と「義務教育費国庫負担法第二条ただし書の規定に基づき教職員の給与及び報酬等に要する経費の国庫負担額の最高限度を定める政令」(平成16年政令第157号。以下「限度政令」という。)に基づいて都道府県ごとに算定した額(以下「算定総額」という。)とのいずれか低い額の3分の1となっている。

算定総額は、限度政令に基づき、小中学校の教職員に係る基礎給料月額等に同教職員に係る算定基礎定数を乗ずるなどして得た額と、特別支援学校の小学部及び中学部の教職員に係る基礎給料月額等に同教職員に係る算定基礎定数を乗ずるなどして得た額とを合算して算定することとなっている。

このうち、基礎給料月額等は、「義務教育費国庫負担法第二条ただし書の規定に基づき教職員の給与及び報酬等に要する経費の国庫負担額の最高限度を定める政令施行規則」(平成16年文部科学省令第28号)等に基づき、都道府県ごとに当該年度の5月1日に在職する教職員を対象として算定した教職員一人当たりの給料等の単価となっている。

また、算定基礎定数は、当該年度の5月1日現在において、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」(昭和33年法律第116号)に基づいて算定した教職員の定数(以下「標準定数」という。)に、産休代替教職員及び育児休業代替教職員の実数を加え、育児休業者の実数を差し引くなどして算定することとなっている。

そして、特別支援学校については、義務教育である小学部及び中学部のほかに幼稚部と高等部を置く学校があるため、特別支援学校に勤務する全ての教職員の給与及び報酬等に要する経費を算定し、これに義務制率(注)を乗ずるなどして小学部及び中学部に係る実支出額を算定することとなっている。また、特別支援学校に係る算定基礎定数は、当該年度の5月1日現在における標準定数並びに産休代替教職員、育児休業代替教職員及び育児休業者の実数にそれぞれ義務制率を乗ずるなどして小学部及び中学部に係る算定基礎定数を算定することとなっている。

(注)
義務制率  「小学部及び中学部の標準学級数の合計」を「小学部及び中学部の標準学級数並びに幼稚部及び高等部の実学級数の合計」で除して求めた率。なお、標準学級数とは、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」(昭和33年法律第116号)に規定する学級編制の標準により算定した学級数のことである。

本院が、23府県において会計実地検査を行ったところ、4県において、誤った幼稚部及び高等部の実学級数を用いて算定した義務制率を乗ずるなどして実支出額及び算定基礎定数を算定していたり、誤って、当該年度の5月2日以降に産休を取得した教職員に係る産休代替教職員を含めて算定基礎定数を算定していたり、5月2日以降に事務手続を行ったことにより5月1日に遡及して支給対象となった教職員を含めることなく基礎給料月額等を算定していたりしていたため、負担金計17,056,412円が過大に交付されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、上記の4県において、義務制率の算定に用いる学級数の確認が十分でなかったこと、算定基礎定数や基礎給料月額等の算定方法についての理解が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例>

広島県は、平成21、22両年度において、小中学校並びに特別支援学校の小学部及び中学部に勤務する教職員の給与及び報酬等に要する経費の実支出額が算定総額を下回ったことから、実支出額を基に21年度36,230,827,276円、22年度36,446,934,057円の負担金の交付を受けていた。

しかし、広島県は、特別支援学校の小学部及び中学部の実支出額を算定する際に、幼稚部及び高等部の実学級数を21年度計208学級、22年度計229学級とすべきところ、誤って21年度計206学級、22年度計228学級として義務制率を算定して、この率を特別支援学校に勤務する全ての教職員の給与及び報酬等に要する経費に乗ずるなどしていた。したがって、正しい幼稚部及び高等部の実学級数により適正な負担金の額を算定すると、21年度36,223,869,679円、22年度36,443,498,329円となることから、21年度6,957,597円、22年度3,435,728円、計10,393,325円の負担金が過大に交付されていた。

以上を部局等別に示すと次のとおりである。

部局等 補助事業者(事業主体) 年度 算定総額又は実支出額 左に対する負担金交付額 不当と認める算定総額又は実支出額 不当と認める負担金交付額 摘要
千円 千円 千円 千円
(24) 茨城県 茨城県 21 121,918,879 40,639,626 6,217 2,072 基礎給料月額等の算定が過大となっていたもの
(25) 神奈川県 神奈川県 23 264,912,784 88,304,261 6,961 2,320 算定基礎定数の算定が過大となっていたもの
(26) 広島県 広島県 21、22 218,038,257 72,677,761 31,181 10,393 実支出額の算定が過大となっていたもの
(27) 大分県 大分県 21 54,724,413 18,241,471 6,810 2,270 算定基礎定数の算定が過大となっていたもの
(24)-(27)の計 659,594,335 219,863,120 51,170 17,056