1件 不当と認める国庫補助金 6,605,000円
国宝重要文化財等保存整備費補助金(文化財建造物等を活用した地域活性化事業)は、文化財保護法(昭和25年法律第214号)の趣旨にのっとり、文化財の適正な保存管理とその活用を図り、もって文化財保護の充実に資することを目的として、登録有形文化財建造物等の公開活用に資する設備の整備、耐震対策工事等の事業を行う登録有形文化財建造物等の所有者等に対して、文化財保存事業費関係補助金交付要綱(昭和54年文化庁長官裁定。以下「交付要綱」という。)等に基づき当該事業に要する経費の一部を国が補助するものである。
本院が、10県、20府県の64市町、36法人等において会計実地検査を行ったところ、次のような事態が見受けられた。
部局等 | 補助事業者(事業主体) | 交付金の種類 | 年度 | 補助対象経費 | 左に対する国庫補助金交付額 | 不当と認める補助対象経費 | 不当と認める国庫補助金 | 摘要 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(54) | 愛知県 | 一宮市 | 登録有形文化財建造物墨会館公開活用 | 24、25 | 55,623 | 27,811 | 13,208 | 6,605 | 補助の対象とならない経費を補助対象経費に含めていたもの |
一宮市は、平成24、25両年度に実施した登録有形文化財建造物墨会館の保存及び公開活用を行うための耐震補強改修工事等に係る設計料、監理料、建築工事経費等を対象として、補助対象経費を計55,623,236円(国庫補助金計27,811,000円)としていた。
しかし、同市は、補助の対象とした設計料10,237,500円及び監理料7,100,000円に、登録有形文化財建造物の公開活用に資する設備の整備、耐震対策工事等に該当せず補助の対象とならない事務所棟や集会所棟の改修工事等に係る設計料8,056,913円及び監理料5,168,800円を含めていたため、24、25両年度において、補助対象経費が過大に算定されていた。
したがって、設計料及び監理料から補助対象とならない経費を除いて適正な補助対象経費を算定すると計42,414,458円(国庫補助金計21,206,000円)となり、国庫補助金計6,605,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同市において交付要綱等の理解が十分でなかったこと、愛知県教育委員会において実績報告書等に対する審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。