文化庁及び独立行政法人日本芸術文化振興会(以下「振興会」という。)は、映画の製作活動を支援するために、映画の製作を行うことを主たる目的とする我が国の団体に対して文化芸術振興費補助金及び同補助金を財源とした助成金(以下、これらを合わせて「補助金等」という。)を交付している。そして、補助金等の交付を受けた団体に映画の公開により相当の収入があった場合には、補助金等の交付額を限度として国又は振興会に納付させること(以下、このことを「収入の納付」という。)ができることとなっている。しかし、収入の納付を求めるために必要な体制が整備されていなかったり、収入状況の報告書が収入の納付の要否の判断や納付すべき額の算定に活用できるものとなっていなかったりしている事態が見受けられた。
したがって、文化庁及び振興会において、納付の請求に関する手続等を定めて収入の納付を求めるために必要な体制を整備したり、報告書に記入する収入の額の捉え方や添付する根拠資料の詳細を定めたりして、募集案内等においてこれらの内容を明示するとともに、今後、補助金等の交付を受ける団体に対して要件に該当すれば収入の納付を行うことを明確に示すよう、文化庁長官及び独立行政法人日本芸術文化振興会理事長に対して平成25年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、文化庁及び振興会において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、文化庁及び振興会は、本院指摘の趣旨に沿い、26年6月にそれぞれ交付要綱を改正するとともに、それぞれ手引書を作成するなどして次のような処置を講じていた。
ア 交付要綱及び手引書において、納付すべき額の算定方法、納付の手続等を定めて、収入の納付を求めるために必要な体制を整備した。
イ 手引書において、報告書に記入する収益の捉え方や添付する根拠資料の詳細を定めた。
ウ 26年7月に、手引書を補助金等の交付を受ける団体に送付して、要件に該当すれば収入の納付を行うことを明確に示した。また、27年度の募集案内に手引書の内容を明記した。