文化庁は、重要文化財の所有者等(以下「補助事業者」という。)に対して、国宝重要文化財等保存整備費補助金を交付しており、補助金交付額の算定に当たっては、文化財保存事業費関係補助金交付要綱等(以下「要綱等」という。)により、補助事業者の事業規模指数に応じて、補助率の加算を行うことができることとなっている(以下、加算された分の補助率を「加算率」という。)。しかし、事業規模指数の算出に当たり、平均収入額に算入する収入額の範囲が補助事業者の一般会計及び特別会計の会計区分別にみて統一されていないのにこれにより加算率を算定するなどしていたり、複数年度にわたり実施される補助事業において補助事業者の財政規模の変動状況が資金計画及び加算率の算定に反映されていなかったりしている事態が見受けられた。
したがって、文化庁において、平均収入額に算入する収入額の範囲が特別会計の収入額等も含めた収入の総額を基礎としたものとなるよう改め、この改めた内容を要綱等に明記するとともに、複数年度にわたり実施される補助事業について、補助事業者の財政規模の変動状況を資金計画及び加算率の算定に適切に反映させる仕組みを検討するよう、文化庁長官に対して平成25年10月に、会計検査院法第36条の規定により意見を表示した。
本院は、文化庁において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、文化庁は、本院指摘の趣旨に沿い、25年11月以降、平均収入額に算入する収入額の範囲を特別会計の収入額等も含めた収入の総額を基礎とするよう取扱いを改めることを検討するなどしており、その上で、改めた内容を要綱等に明記するなどの必要な処置を講ずることとしているほか、財政規模の変動状況を加算率の算定等に適切に反映させる仕組みについても検討することとしている。