文部科学省は、耐震補強事業を実施する地方公共団体に対して学校施設環境改善交付金等を交付しており、同事業の対象となる工事の範囲を、交付金に係る事務処理等を定めている同省の通知(以下「通知」という。)において、平成22年度以降、補強工事及び補強の関連工事(以下、両者を合わせて「補強工事等」という。)に限定するよう改めている。しかし、補強工事等の対象とはならない設備の耐震化等を目的とした工事や、補強工事の施工箇所とは関連性のない箇所で施工された工事を耐震補強事業に含めている事態が見受けられた。
したがって、文部科学省において、補強工事等の対象となる工事を通知において明確に示すとともに、事業主体である地方公共団体及び実績報告書の審査を行う都道府県が確認すべき事項を示した資料を作成するなどして、事業主体及び都道府県に対して周知徹底を図るよう、文部科学大臣に対して25年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。
本院は、文部科学本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、文部科学省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。
ア 25年5月に都道府県に対して発した通知において、補強工事は学校建物の耐震性能向上を趣旨とした工事であって、構造計算等で耐震性能の向上に資することが明確にされているものに限ること、及び補強の関連工事は補強工事の施工に係る必要最小限の範囲のものとすることを明確に示した。
イ 補強工事等の対象となる工事について、より具体的に示した事務連絡を25年12月に都道府県に対して発したり、同年5月から26年3月にかけて全国施設主管課長協議会総会等において説明したりするなどして、事業主体及び都道府県に対して周知徹底を図った。