1件 不当と認める国庫補助金 28,490,000円
地域医療再生臨時特例交付金(以下「交付金」という。)は、「平成21年度地域医療再生臨時特例交付金の交付について」(平成21年厚生労働省発医政第0605003号)に基づき、医療機能の強化の取組等、地域における医療課題の解決に向けて都道府県が策定する地域医療再生計画に基づく事業を支援することを目的として、都道府県に設置する基金(以下「地域医療再生基金」という。)の造成に必要な経費を国が交付するものである。
都道府県は、「地域医療再生臨時特例交付金の運営について」(平成21年医政発第0605008号)に基づき、地域医療再生計画の範囲内で、必要に応じ、都道府県以外の者(以下「事業者」という。)等が行う地域医療再生基金を活用して行われる事業(以下「基金事業」という。)に必要な経費を地域医療再生基金から取り崩し、支出することとなっている(以下、地域医療再生基金から取り崩して支出したものを「助成金」という。)。また、都道府県は、事業者が行う基金事業に係る助成金の交付申請等の事務手続等に関する助成要綱を定めることとなっている。そして、事業者は、毎年度、基金事業の実績報告書を都道府県に提出することとなっている。
本院が、19都道府県において基金事業に係る助成金の交付を受けた59事業主体を対象に会計実地検査を行ったところ、次のような事態が見受けられた。
部局等 | 補助事業者 | 間接補助事業者等 | 補助事業 | 年度 | 基金使用額 | 左に対する交付金交付額 | 不当と認める基金使用額 | 不当と認める交付金相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(70) | 厚生労働本省 | 岡山県 | 社会福祉法人恩賜財団済生会支部岡山県済生会 (事業主体) |
地域医療再生基金 | 22 | 28,490 | 28,490 | 28,490 | 28,490 |
岡山済生会総合病院を運営する社会福祉法人恩賜財団済生会支部岡山県済生会(以下「済生会」という。)は、平成22年度に基金事業として実施した超音波診断装置等の購入を行うに当たり、岡山県の助成要綱等で交付決定の条件として行うことが定められた一般競争入札又は3社以上による指名競争入札のうち、後者を23年3月に行い、同月に購入したとする実績報告書等を同県に提出し、これにより同県から助成金28,490,000円(交付金相当額同額)の交付を受けていた。
しかし、上記の購入の契約等の事務手続を行った同病院は、上記交付決定の条件に反して、実際には指名競争入札を行っておらず、22年9月に3社による見積合わせにより超音波診断装置等を購入していた。そして、同病院は、同県に対し、指名競争入札を行ったこととする虚偽の入札結果等を報告していた。さらに、実際の契約日及び納品日とは異なる日付を記載した虚偽の契約書等を作成し、済生会はこれを実績報告書に添付して提出していた。
したがって、同病院が本件基金事業で実施した医療機器の購入は補助の対象とは認められず、これに係る済生会への助成金交付額28,490,000円(交付金相当額同額)が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、済生会において基金事業の適正な実施に対する認識が欠けていたこと、同県において済生会から提出された実績報告書等の審査及び確認が十分でなかったこと、厚生労働省において同県に対する指導及び監督が十分でなかったことなどによると認められる。