1件 不当と認める国庫補助金 22,210,778円
国民健康保険は、市町村(特別区、一部事務組合及び広域連合を含む。以下同じ。)又は国民健康保険組合(以下「国保組合」という。)が保険者となって、被用者保険の被保険者及びその被扶養者等を除き、当該市町村の区域内に住所を有する者等を被保険者として、その疾病、負傷、出産又は死亡に関して、療養の給付、出産育児一時金の支給、葬祭費の支給等を行う保険である。そして、保険者である国保組合の数は、平成25年度末現在で164となっている。
国保組合は、国民健康保険法(昭和33年法律第192号)に基づき、主たる事務所の所在地の都道府県知事の認可を受けて設立され、都道府県知事の認可を受けた規約において定めた同種の事業又は業務に従事する者で当該国保組合の地区内に住所を有する者を組合員として組織することとなっており、国保組合が行う国民健康保険の被保険者は、これらの組合員及びその世帯に属する者となっている。
また、常時5人以上の従業員を使用する建設、医療等の事業を行う事業所又は法人事業所は、健康保険法(大正11年法律第70号)の適用を受けることとなっており、これらの事業所(以下「適用事業所」という。)に常時使用される者等は、健康保険の被保険者となることとなっている。ただし、国保組合の組合員を使用する事業所が新たに適用事業所としての要件を満たすこととなるなどの場合において、当該事業所に使用される者が、厚生労働大臣(21年12月以前は社会保険庁長官)等に健康保険の適用を受けないこと(以下「適用除外」という。)とする申請を行い、承認を受けた場合には、従前どおり国保組合が行う国民健康保険の被保険者として取り扱われることとなっている。
国民健康保険については各種の国庫助成が行われており、その一環として、国保組合が行う国民健康保険の事業運営の安定化を図るなどのために、国民健康保険法に基づき、国保組合に対して療養給付費補助金、事務費負担金等が交付されている。
このうち、療養給付費補助金の交付額は、〔1〕 9年9月以降国保組合の組合員となった者のうち健康保険の適用除外の承認を受けた者及びその世帯に属する者の医療給付費(注)(以下「特定分の医療給付費」という。)については100分の13に相当する額、〔2〕 これ以外の被保険者の医療給付費(以下「一般分の医療給付費」という。)については100分の32に相当する額の合算額等とすることとなっている。
療養給付費補助金等の交付手続については、〔1〕 交付を受けようとする国保組合は都道府県に交付申請書を提出して、〔2〕 これを受理した都道府県は、その内容を添付書類により、また、必要に応じて現地調査を行うことにより審査した上で厚生労働省に提出して、〔3〕 厚生労働省はこれに基づき交付決定を行い療養給付費補助金等を交付することとなっている。そして、〔4〕 当該年度の終了後に、国保組合は都道府県に事業実績報告書を提出して、〔5〕 これを受理した都道府県は、その内容を審査した上で厚生労働省に提出して、〔6〕 厚生労働省はこれに基づき交付額の確定を行うこととなっている。
本院は、17都道府県の28国保組合において、会計実地検査を行った。その結果、東京都の1国保組合において、次のとおり適切でない事態が見受けられた。
部局等 | 補助事業者 (保険者) |
補助金等の種類 | 年度 | 国庫補助金等交付額 | 不当と認める国庫補助金等交付額 | 摘要 | |
千円 | 千円 | ||||||
(71) | 東京都 | 東京都薬剤師国民健康保険組合 | 療養給付費補助金 | 17~21 | 1,389,155 | 22,210 | 特定分の医療給付費を一般分の医療給付費に含めていたもの |
上記の国保組合は、療養給付費補助金の実績報告における医療給付費の算定に当たり、組合員計103人及びその世帯に属する者計71人の医療給付費が特定分の医療給付費に該当するのに、これを同補助金の交付割合が高い一般分の医療給付費に含めていたため、同補助金計22,210,778円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同国保組合において基礎資料の確認が十分でないなど事務処理が適切でなかったこと、東京都において事業実績報告書の審査が十分でなかったことなどによると認められる。