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  • 平成25年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
  • 第1節 省庁別の検査結果 |
  • 第9 厚生労働省 |
  • 不当事項 |
  • 補助金

(7)生活保護費等負担金が過大に交付されていたもの[13府県](187)―(214)


28件 不当と認める国庫補助金 117,496,710円

生活保護費等負担金(平成19年度以前は生活保護費負担金。以下「負担金」という。)は、都道府県又は市町村(特別区を含む。)が、生活に困窮する者に対して、最低限度の生活を保障するために、その困窮の程度に応じて必要な保護を行う場合に、その費用の一部を国が負担するものである。この保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産や能力等あらゆるものを活用することを要件としており、厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)、国民年金法(昭和34年法律第141号)等、生活保護法(昭和25年法律第144号)以外の他の法律又は制度による保障、援助等を受けることができる者については極力その利用に努めさせることとなっている。

負担金の交付額は、次のとおり算定することとなっている。

生活保護費等負担金が過大に交付されていたもの 画像

この費用の額及び返還金等の額は、それぞれ次のとおり算定することとなっている。

ア 費用の額は、次の〔1〕 及び〔2〕 に〔3〕 を加えて算定する。

  • 〔1〕 保護を受ける世帯(以下「被保護世帯」という。)を単位として、その所在地域、構成員の数、年齢等の別に応じて算定される生活費の額から、被保護世帯における就労収入、年金又は手当の受給額等を基に収入として認定される額を控除して決定された保護に要する費用(以下「保護費」という。)の額の合計額
  • 〔2〕 被保護者が医療機関で診察、治療等の診療を受けるなどの場合の費用について、その全額又は一部を事業主体が負担するものとして決定された保護費の額の合計額
  • 〔3〕 事業主体の事務経費

イ 返還金等の額は、急迫の場合等において、資力があるにもかかわらず保護を受けた者が、資産を売却するなどして収入を得たときに返還する保護費の額等の合計額とする。

本院が、32都道府県の257事業主体において会計実地検査を行ったところ、13府県の28事業主体において、被保護世帯の世帯主等に年金受給権が発生していたにもかかわらず裁定請求手続が行われていなかったことから、世帯主等において年金を受給しておらず年金が収入として認定されていなかったなどのため、計120世帯に対する保護費が過大に支給されていた。このため、負担金計117,496,710円が過大に交付されていて不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、事業主体において被保護者の年金受給権等に係る調査確認及び裁定請求手続に係る指導が十分でなかったこと、府県において適正な生活保護の実施に関する指導が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の保護費が過大に支給されていた事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例>

事業主体Aは、昭和58年4月に世帯Bを対象として保護を開始しており、平成20年4月から25年3月までの保護費の支給に当たり、世帯主Cからの届出に基づき、保護費の額を決定していた。

しかし、世帯主Cには17年7月に年金受給権が発生していたにもかかわらず、裁定請求手続が行われていなかったため年金を受給していなかった。本院の検査を踏まえ、事業主体Aが裁定請求手続に係る指導を行った結果、世帯主Cは計4,213,766円の年金を遡及して受給した。したがって、事業主体Aがこの額を収入として認定していれば、当該収入分の保護費計4,213,766円は支給の必要がなく、同額が過大に支給されていた。

以上を部局等別・事業主体別に示すと次のとおりである。

  部局等 補助事業者
(事業主体)
年度 国庫負担対象事業費 左に対する国庫負担金交付額 不当と認める国庫負担対象事業費 不当と認める国庫負担金交付額 摘要
        千円 千円 千円 千円  
(187) 千葉県 千葉市 20~25 74,062 55,547 9,342 7,007 年金受給権の調査が十分でなかったものなど
(188) 神奈川県 横浜市 20~25 44,215 33,161 7,792 5,844 年金受給権の調査が十分でなかったもの
(189) 川崎市 20~24 35,340 26,505 2,906 2,180
(190) 相模原市 20~24 43,255 32,441 3,243 2,432 手当収入を認定していなかったものなど
(191) 横須賀市 20~25 67,006 50,254 18,782 14,086 年金受給権の調査が十分でなかったもの
(192) 大和市 20~24 19,818 14,863 3,455 2,591
(193) 石川県 金沢市 20~25 24,518 18,389 8,685 6,513
(194) 加賀市 20~24 22,782 17,086 2,474 1,855 年金受給権の調査が十分でなかったものなど
(195) かほく市 20~24 21,367 16,025 2,175 1,631
(196) 福井県 坂井市 20~25 21,918 16,439 1,971 1,478 年金受給権の調査が十分でなかったもの
(197) 長野県 上田市 20~24 9,063 6,797 2,384 1,788
(198) 愛知県 豊橋市 20~25 48,322 36,242 2,583 1,937
(199) 一宮市 20~25 51,619 38,714 5,673 4,254
(200) 春日井市 20~25 15,436 11,577 4,112 3,084
(201) 三重県 津市 23、24 8,869 6,652 1,671 1,253 手当収入を認定していなかったものなど
(202) 松阪市 19~24 10,943 8,207 2,959 2,219 年金受給権の調査が十分でなかったものなど
(203) 桑名市 19~25 41,549 31,162 15,575 11,681 年金受給権の調査が十分でなかったもの
(204) 大阪府 大阪市 19~23 62,906 47,180 5,421 4,066 手当収入を認定していなかったものなど
(205) 豊中市 19~24 120,775 90,581 9,508 7,131
(206) 山口県 下関市 20~24 4,722 3,541 3,027 2,270 年金受給権の調査が十分でなかったもの
(207) 宇部市 19~25 114,971 86,228 6,754 5,066
(208) 山口市 19~25 36,737 27,552 5,203 3,902
(209) 香川県 高松市 19~21 6,830 5,122 6,830 5,122 預金の保有が判明したのに保護費の徴収を怠っていたもの
(210) 福岡県 福岡県 20~24 18,439 13,829 1,778 1,333 手当収入を認定していなかったものなど
(211) 大分県 大分市 20~24 70,986 53,240 7,302 5,476 年金受給権の調査が十分でなかったもの
(212) 中津市 19~24 68,759 51,569 10,280 7,710
(213) 臼杵市 20~24 7,303 5,477 1,778 1,333
(214) 宮崎県 日南市 20~25 23,205 17,404 2,985 2,239
(187)―(214)の計 1,095,730 821,797 156,662 117,496