9件 不当と認める国庫補助金 165,536,584円
障害者自立支援給付費負担金(以下「負担金」という。)は、障害者自立支援法(平成17年法律第123号)に基づき、障害者及び障害児の福祉の増進を図ることなどを目的として、市町村(特別区を含む。)が、都道府県知事の指定する障害福祉サービス事業者等から居宅介護等の障害福祉サービス等を受けた障害者及び障害児に対して、介護給付費、訓練等給付費等(以下「自立支援給付費」という。)を支給した場合に、その支給に要する費用の一部を国が負担するものである。
負担金の交付額は、次のとおり算定することとなっている。
〔1〕 所定の方式により算定した基準額と、自立支援給付費の支給に要した費用(以下「対象経費の実支出額」という。)から寄附金その他の収入額を控除した額とを比較して少ない方の額を選定する。
〔2〕 〔1〕 により選定された額を国庫負担対象事業費として、これに100分の50を乗じて得た額を交付額とする。
本院が、26都道府県の230市区町村において会計実地検査を行ったところ、7府県の9市町において、負担金の算定に当たり、誤って、基準額を過大に算定したり、対象経費の実支出額に対象とならない経費を計上したりなどしていたため、負担金計165,536,584円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、9市町において負担金の算定についての理解が十分でなかったため適正な実績報告を行っていなかったこと、7府県において事業実績報告書の審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例>
南アルプス市は、誤った算定方式により居宅介護等に係る障害福祉サービス費等の基準額を算定するなどして、平成21年度から24年度までの間の負担金の基準額を過大に算定していた。
この結果、国庫負担対象事業費が84,270,324円過大に算定されており、これに係る負担金42,135,161円が過大に交付されていた。
以上を部局等別・事業主体別に示すと次のとおりである。
部局等 | 補助事業者 (事業主体) |
年度 | 国庫負担対象事業費 | 左に対する国庫負担金交付額 | 不当と認める国庫負担対象事業費 | 不当と認める国庫負担金交付額 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(215) | 茨城県 | 高萩市 | 20~24 | 1,290,699 | 645,349 | 8,946 | 4,473 | 基準額を過大に算定していたものなど |
(216) | 同 | 神栖市 | 23、24 | 1,268,134 | 634,067 | 29,658 | 14,829 | 同 |
(217) | 同 | 東茨城郡 城里町 |
20、24 | 400,792 | 200,396 | 5,110 | 2,555 | 同 |
(218) | 栃木県 | 小山市 | 23 | 1,249,718 | 624,859 | 57,110 | 28,555 | 対象経費を二重に計上していたものなど |
(219) | 千葉県 | 鎌ケ谷市 | 21~23 | 1,539,534 | 769,767 | 34,423 | 17,211 | 基準額を過大に算定していたものなど |
(220) | 山梨県 | 南アルプス市 | 21~24 | 3,257,677 | 1,628,838 | 84,270 | 42,135 | 基準額を過大に算定していたもの |
(221) | 京都府 | 亀岡市 | 21~24 | 4,178,628 | 2,089,314 | 38,538 | 19,269 | 基準額を過大に算定していたものなど |
(222) | 岡山県 | 笠岡市 | 24 | 725,492 | 362,746 | 7,470 | 3,735 | 対象外経費を計上していたもの |
(223) | 佐賀県 | 唐津市 | 21~24 | 5,671,314 | 2,835,657 | 65,543 | 32,771 | 基準額を過大に算定していたもの |
(215)―(223)の計 | 19,581,993 | 9,790,996 | 331,073 | 165,536 |