1件 不当と認める国庫補助金 45,000,000円
地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金(先進的事業支援特例交付金のうち介護療養型医療施設転換整備計画に係る分。以下「交付金」という。)は、「地域における公的介護施設等の計画的な整備等の促進に関する法律」(平成元年法律第64号)に基づき、市町村(特別区を含む。以下同じ。)等が実施する施設整備事業に要する経費を対象として市町村に交付するものである。
交付金の交付要綱等によれば、交付金の交付額は、市町村が作成する介護療養型医療施設転換整備計画(以下「転換整備計画」という。)に基づき、既存の介護療養型医療施設(注1)を転換して、新たに適合高齢者専用賃貸住宅(注2)等の施設を整備する場合に、転換する介護療養型医療施設の介護療養病床数に所定の単価を乗じて得た額と、施設の整備に要した対象経費の実支出額とを比較して、少ない方の額とするなどとされている。
本院が、3市町において会計実地検査を行ったところ、1市において次のような事態が見受けられた。
部局等 | 補助事業者 (事業主体) |
年度 | 交付金交付額 | 不当と認める交付金交付額 | 摘要 | |
千円 | 千円 | |||||
(233) | 関東信越厚生局 | 埼玉県 和光市 |
21 | 45,000 | 45,000 | 補助の対象外 |
和光市は、平成21年度に既存の介護療養型医療施設を転換して新たに適合高齢者専用賃貸住宅を整備する転換整備計画を作成し、転換する介護療養型医療施設の介護療養病床45床に所定の単価(1床当たり100万円)を乗じた45,000,000円を交付金の交付額と算定した上で、転換整備計画に基づく事業が完了したとする実績報告書を関東信越厚生局に提出し、交付金45,000,000円の交付を受けていた。
しかし、同市は、適合高齢者専用賃貸住宅については新たに整備していたが、既存の介護療養型医療施設の介護療養病床については全く転換していなかった。
したがって、本件事業は、転換整備計画に基づき実施されていないことから、交付金の交付対象とは認められず、これに係る交付金45,000,000円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同市において転換整備計画に基づき交付金事業を実施することについての理解が十分でなかったこと、関東信越厚生局において実績報告書等の審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。