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  • 平成25年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
  • 第1節 省庁別の検査結果 |
  • 第9 厚生労働省 |
  • 不当事項 |
  • 補助金

(14)児童手当交付金が過大に交付されていたもの[厚生労働本省](253)


1件 不当と認める国庫補助金 2,674,656円

児童手当(以下「手当」という。)は、市町村(特別区を含む。)が、児童手当法(昭和46年法律第73号)に基づき、家庭等における生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健やかな成長に資することを目的として、日本国内に住所を有し、中学校修了前の児童(以下「児童」という。)を監護し、かつ、これと生計を同じくする父母等(以下「受給資格者」という。)に対して支給するものである。国は、手当の支給に要する費用の3分の2等を児童手当交付金(以下「交付金」という。)として交付している。

手当は、原則として、毎年2月、6月及び10月の3期、所定の額(月額で、3歳未満の児童は15,000円、3歳以上小学校修了前の児童は第1子及び第2子が10,000円、第3子以降が15,000円、小学校修了後中学校修了前の児童は10,000円)を支給することとなっている。ただし、受給資格者の前年(1月から5月までの月分の手当については前々年)の所得が、所得制限限度額(扶養親族等がないときは、622万円とし、扶養親族等があるときは、622万円に当該扶養親族等1人につき38万円を加算した額等。以下同じ。)以上の場合は、手当を支給しないこととなっている。また、当分の間の措置として、平成24年6月分以降、所得が所得制限限度額以上であることにより手当を支給されない受給資格者に対し、児童1人につき月額5,000円の特例給付を支給することとなっている。

市町村は、受給資格者から児童手当・特例給付認定請求書が提出された場合、児童の監護状況、生計の維持状況、配偶者の有無及びこれらの者の所得等を調査確認して、支給要件を満たしている場合に、受給資格及び手当の額について認定を行い、当該受給資格者に対し手当を支給することとなっている。そして、児童を父母が共に監護し、かつ、生計を同じくしている場合は、児童の生計を維持する程度が高い者によって監護され、かつ、生計を同じくするものとみなすこととなっている。

また、市町村は、毎年6月に、手当の受給者から児童手当・特例給付現況届(以下「現況届」という。)を提出させ、受給者の受給資格や前年の所得等について調査確認し、併せて、児童を受給者と共に監護し、かつ、生計を同じくする配偶者の所得についても調査確認を行うこととなっている。そして、受給者よりも児童の生計を維持する程度が高い者がいて、かつ、当該者の所得が所得制限限度額以上である場合には、受給者に係る手当を支給すべき事由が消滅することとなり、当該者に対し改めて受給資格等を認定した上で、特例給付を支給することとなる。

本院が、17都道府県の29市町において、会計実地検査を行ったところ、次のような事態が見受けられた。

  部局等 補助事業者
(事業主体)
年度 児童手当支給額 左に対する交付金 支給すべきでなかった児童手当の額 不当と認める交付金 摘要
        千円 千円 千円 千円  
(253) 厚生労働本省 栃木県
宇都宮市
24 6,900 4,767 3,760 2,674 支給要件を満たしていない者に対して支給していたもの

宇都宮市は、児童3名を監護し、かつ、生計を同じくする父から提出された現況届等により、父の23年の所得が所得制限限度額未満であったことから、父に、24年6月分から25年1月分までの手当(月額計35,000円)として、計280,000円を支給していた。

しかし、実際には、父と共に監護し、かつ、生計を同じくしている母がおり、また、母の23年の所得は、父を上回っていて、かつ、所得制限限度額以上となっていることから、父に24年6月分から25年1月分までの手当を支給するのではなく、母に対し受給資格等を認定した上で、母に、24年6月分から25年1月分までの特例給付計120,000円を支給すべきであったと認められた。

このため、父に支給した手当計280,000円と母に支給すべき特例給付計120,000円との差額160,000円が過大に支給されており、これに係る交付金106,666円が過大に交付されていた。

そして、同市では、このような事態が、上記を含め、24年度受給者51人において見受けられた。このため、24年度において、同市に対する交付金が計2,674,656円過大に交付されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同市において、手当の受給資格等の認定等に当たり、受給者等の配偶者の所得の調査確認を行っていなかったこと、制度について理解が十分でなかったことなどによると認められる。