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(4)特定疾病併用者に係る自立支援医療費の支給の制度、審査方法等を周知して、適正に審査を実施することにより、特定疾病併用者に係る自立支援医療費の額の算定が適正に行われるよう適宜の処置を要求し及び是正改善の処置を求めたもの


会計名及び科目
一般会計 (組織)厚生労働本省 (項)障害保健福祉費
部局等
厚生労働本省、16道府県
国庫負担の根拠
障害者自立支援法(平成17年法律第123号。平成25年4月1日以降は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)
補助事業者
(事業主体)
249市町村
国庫負担対象事業
自立支援医療費の支給
国庫負担対象事業の概要
障害者及び障害児の福祉の増進を図ることなどを目的として市町村等が、自立支援医療を受けた障害者等に対して、自立支援医療費の支給を行うもの
特定疾病併用者に係る自立支援医療費が過大に支給されていた事業主体数
235事業主体
過大に支給されていた自立支援医療費
4億2519万余円(平成24年度)
上記に係る国庫負担金の額
2億1259万円
特定疾病併用者に係る自立支援医療費が適正かどうか検証できない事業主体数
14事業主体
適正かどうか検証できない特定疾病併用者に係る自立支援医療費
27億4995万余円(平成24年度)
上記に係る国庫負担金相当額
13億7497万円

【適宜の処置を要求し及び是正改善の処置を求めたものの全文】

自立支援医療と医療保険の特定疾病制度の併用者に係る障害者医療費国庫負担金の算定について

(平成26年10月17日付け 厚生労働大臣宛て)

標記について、会計検査院法第34条の規定により、下記のとおり是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求める。

 

1 自立支援医療等の概要

(1)自立支援医療制度の概要

貴省は、障害者自立支援法(平成17年法律第123号。平成25年4月1日以降は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)に基づき、障害者及び障害児(以下、これらを「障害者等」という。)の福祉の増進を図ることなどを目的として、障害者等の居住地の市町村(特別区を含む。以下同じ。)又は都道府県が、都道府県知事等の指定する病院、薬局等(以下、これらを「指定医療機関」という。)から心身の障害の状態の軽減を図り、自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な医療(以下「自立支援医療」という。)を受けた障害者等に対して、自立支援医療に要した費用を支給した場合に、その支給に要する費用の100分の50を障害者医療費国庫負担金(以下「負担金」という。)として交付している。

自立支援医療費の額は、同法に基づき、同一月に受けた自立支援医療につき健康保険の療養に要する費用の額の算定方法により算定した額から、当該障害者等の家計の負担能力、障害の状態等をしんしゃくして政令で定める額(政令で定める額が当該算定額の100分の10に相当する額を超えるときは、100分の10に相当する額。以下「自己負担額」という。)を控除した額とすることとなっている。また、自立支援医療費の支給に当たって、医療保険により同等の給付を受けることが可能な部分について、自立支援医療費の支給の対象とならないこととなっている。

特定疾病併用者に係る自立支援医療費の支給の制度、審査方法等を周知して、適正に審査を実施することにより、特定疾病併用者に係る自立支援医療費の額の算定が適正に行われるよう適宜の処置を要求し及び是正改善の処置を求めたもの 画像

自立支援医療は、その医療の種類等によって、育成医療、更生医療及び精神通院医療に分けられ、このうち更生医療は、肢体不自由、人工透析療法を受ける慢性腎不全等の内臓障害等の身体障害者を対象として、市町村が事業主体となり実施している。

そして、都道府県は、市町村が行う自立支援医療費の支給等が適正かつ円滑に行われるよう、市町村に対して必要な助言、情報の提供その他の援助を行うなどの責務を有することとなっており、また、都道府県知事等は、指定医療機関に対して自立支援医療の実施に関し指導を行うこととなっている。

(2)自立支援医療費の支給認定等

更生医療に係る自立支援医療費の支給認定を受けようとする者又は支給認定の有効期間が終了して再度の支給認定を受けようとする者は、同法及び「自立支援医療費の支給認定について」(平成18年障発第0303002号。以下「支給認定通知」という。)に基づき、市町村長(特別区にあっては区長。以下同じ。)に申請して、支給認定を受けて、自立支援医療受給者証の交付を受けることとなっている(以下、支給認定を受けた者を「支給認定障害者」という。)。

(3)自立支援医療費の支給に係る審査等

事業主体は、支給認定障害者が指定医療機関から更生医療を受けたときは、当該支給認定障害者に代わり指定医療機関に自立支援医療費を支払うことができることとなっている。そして、この支払に係る審査及び事務は、社会保険診療報酬支払基金又は国民健康保険団体連合会(以下、これらを「支払基金等」という。)に委託することとなっている。

支払基金等は、毎月指定医療機関から提出される診療(調剤)報酬請求書及び診療(調剤)報酬明細書(以下「レセプト」という。)の内容の審査を行った後、審査結果に基づき支払額を算出した上でレセプト又は連名簿(注1)を事業主体等に送付している。

そして、事業主体は、毎月支払基金等から送付される連名簿等について審査点検を行い、請求に誤りがある場合は支払基金等を通じて過誤調整を行うなどした上で指定医療機関に対して自立支援医療費を支払うことになっている。

(注1)
連名簿  支払基金等が、医療保険と自立支援医療の給付対象者について、レセプトに代わるものとして作成する医療費の請求明細資料で、レセプトの記載内容のうち、自立支援医療費、患者ごとの医療費負担額等を受給者番号別に出力したもの

(4)医療保険の特定疾病制度の概要

医療保険の高額療養費制度は、費用が著しく高額な治療を著しく長期間にわたって継続しなければならない疾病として、厚生労働大臣が定めた人工透析療法を受ける慢性腎不全等(以下「特定疾病」という。)に係る療養を受けた場合の自己負担の限度額(以下「自己負担限度額」という。)を、当該被保険者の負担軽減を図る観点から、特例的に1万円(標準報酬月額等が所定額以上の被保険者で70歳未満の者については2万円)とし、これを超える額全額を保険者が負担するものである(以下、高額療養費制度のうち特定疾病の患者に対するこの負担軽減制度を「医療保険の特定疾病制度」という。)。

そして、医療保険の特定疾病制度を受けようとする被保険者は保険者に対して申請し、保険者は認定した被保険者に対して特定疾病療養受療証を交付しなければならないこととなっている。

(5)自立支援医療と医療保険の特定疾病制度の併用者

特定疾病のうち、人工透析療法を受ける慢性腎不全の患者(以下「人工透析患者」という。)は、市町村長の支給認定を受けると自立支援医療費の支給認定障害者になるとともに、保険者の認定を受けると医療保険の特定疾病制度の対象者にもなる(以下、両制度の認定を受けた人工透析患者を「特定疾病併用者」という。)。

そして、特定疾病併用者の自立支援医療費の支給に当たって、前記のとおり、医療保険により同等の給付を受けることが可能な部分については、自立支援医療費の支給の対象とならない。このため、医療保険の特定疾病制度による自己負担限度額を超える額はその全額を医療保険で負担することとなり、特定疾病併用者の自立支援医療費は医療保険の特定疾病制度の対象となっていない支給認定障害者の自立支援医療費と比較して低額となる。

(6)特定疾病併用者に係る自立支援医療の実施

ア 特定疾病併用者に係る自立支援医療費の支給の認定等

特定疾病併用者に係る自立支援医療費の支給額は、上記のとおり、医療保険の特定疾病制度の対象となっていない支給認定障害者に係る支給額と異なることから、人工透析患者の自立支援医療費の支給認定申請に際して、特定疾病併用者であることなどを確認するために、支給認定通知により、特定疾病療養受療証の写しを市町村長に提出させることとなっている。

イ 特定疾病併用者に係る自立支援医療費の支給に係る審査等

貴省は、都道府県等に対して、「医療保険の特定疾病療養受療と自立支援医療を併用する者の自己負担について」(平成18年障精発第0613001号)を発出して、支払基金等において特定疾病併用者に係る自立支援医療費の自己負担額に係る審査が行われないため、連名簿等を確認した際に特定疾病併用者に係る自立支援医療費の自己負担額が適正な額となっていない場合に、指定医療機関に対して返戻又は過誤調整を行うなど、自立支援医療費の適正な給付を図ることを求めている。

2 本院の検査結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

自立支援医療費のうち更生医療に係る負担金の額は、制度開始当初の18年度で74億8752万余円であったのに対して24年度で741億3338万余円となっていて、ほぼ10倍に増加し、24年度の更生医療に係る医療費のうち人工透析療法に係る医療費の占める割合は約89%に上っている。

そこで、本院は、合規性等の観点から、更生医療に係る医療費のうち特定疾病併用者に係る自立支援医療費の算定が適正なものとなっているかなどに着眼して、貴省及び16道府県(注2)の446事業主体において、24年度に交付を受けた計119億4725万余円について、事業主体の自立支援医療費の受給者台帳、自立支援医療費に係る支払関係書類等を確認するなどして会計実地検査を行った。

(注2)
16道府県  北海道、京都府、茨城、栃木、神奈川、山梨、静岡、和歌山、香川、愛媛、高知、福岡、佐賀、長崎、熊本、鹿児島各県

(検査の結果)

検査したところ、表1のとおり、16道府県の235事業主体(注3)において、特定疾病併用者の自立支援医療費について、自立支援医療費の支給の対象とならない医療保険の特定疾病制度による給付対象額が含まれていて、自立支援医療費が過大に支払われている事態が見受けられた。

表1 自立支援医療費が過大に支給されていたもの

(単位:千円)
区分 事業主体数 当初国庫負担対象額
(A)
当初国庫負担金
(B)=(A)×50/100
自立支援医療費の支給対象とならない額(C) 修正国庫負担対象額
(D)=(A-C)
修正国庫負担金
(E)=(D)×50/100
過大となっていた国庫負担金
(B-E)
北海道 1 359,050 179,525 7,116 351,934 175,967 3,558
茨城県 2 39,275 19,637 328 38,947 19,473 164
栃木県 1 167,414 83,707 2,020 165,394 82,697 1,010
神奈川県 8 2,826,523 1,413,261 3,266 2,823,257 1,411,628 1,633
山梨県 25 1,001,515 500,757 52,979 948,535 474,267 26,489
静岡県 6 1,222,143 611,071 9,433 1,212,710 606,355 4,716
京都府 23 4,849,013 2,424,506 121,811 4,727,201 2,363,600 60,905
和歌山県 18 1,421,205 710,602 11,298 1,409,907 704,953 5,649
香川県 16 1,011,723 505,861 10,324 1,001,398 500,699 5,162
愛媛県 12 1,514,666 757,333 19,956 1,494,710 747,355 9,978
高知県 21 1,691,930 845,965 22,203 1,669,726 834,863 11,101
福岡県 31 1,705,800 852,900 42,569 1,663,231 831,615 21,284
佐賀県 17 959,889 479,944 24,811 935,077 467,538 12,405
長崎県 13 2,030,412 1,015,206 56,626 1,973,786 986,893 28,313
熊本県 28 2,669,049 1,334,524 35,507 2,633,541 1,316,770 17,753
鹿児島県 13 424,888 212,444 4,944 419,943 209,971 2,472
16道府県 235 23,894,503 11,947,251 425,197 23,469,305 11,734,652 212,598
(注)
当初国庫負担金(B)欄及び修正国庫負担金(E)欄は、事業主体ごとの金額を合計したものであるため、道府県の当初国庫負担対象額(A)欄及び修正国庫負担対象額(D)欄の金額に2分の1を乗じても一致しない場合がある。

これらの事業主体は、人工透析患者からの自立支援医療費の支給認定申請に際して、特定疾病療養受療証の写しを提出させ自己負担限度額等の特定疾病併用者に係る情報を把握していたのに、連名簿等について、その情報を活用した十分な審査を実施していなかった。

このため、これらの事業主体において、自立支援医療費計4億2519万余円が過大に支払われており、これに係る負担金2億1259万余円が過大に交付されていたと認められる。

上記の事態について一例を示すと、次のとおりである。

<事例>

長崎県五島市は、平成24年度の更生医療に係る医療費の請求2,555件計3535万余円を支払基金等を通じて指定医療機関へ支払っていた。

しかし、上記の請求のうち、人工透析患者に係る請求2,264件2812万余円は特定疾病併用者に係る請求であり、さらに、これらのうち612件1459万余円は、医療保険の特定疾病制度の給付対象とすべき額を誤って自立支援医療費として請求したものであった。同市は、当該人工透析患者について、自立支援医療費の支給認定申請時に特定疾病療養受療証の写しを提出させて、特定疾病併用者に係る情報を把握していたのに、その情報を活用した連名簿等の審査を行わないまま上記の請求どおりに自立支援医療費を支払っていた。

このため、これに係る負担金729万余円が過大に交付されていた。

(注3)
235事業主体  北海道帯広市、茨城県鉾田、小美玉各市、栃木県栃木市、神奈川県川崎、鎌倉、藤沢、小田原、茅ヶ崎、逗子、厚木、綾瀬各市、山梨県甲府、富士吉田、都留、山梨、大月、韮崎、南アルプス、北杜、甲斐、笛吹、上野原、甲州、中央各市、西八代郡市川三郷、南巨摩郡早川、身延、南部、富士川、中巨摩郡昭和、南都留郡西桂、富士河口湖各町、道志、忍野、山中湖、鳴沢各村、静岡県静岡、浜松、磐田、掛川、藤枝、袋井各市、京都府京都、福知山、舞鶴、宇治、宮津、亀岡、城陽、向日、長岡京、八幡、京田辺、京丹後、南丹、木津川各市、久世郡久御山、綴喜郡井手、宇治田原、相楽郡和束、精華、船井郡京丹波、与謝郡伊根、与謝野各町、相楽郡南山城村、和歌山県和歌山、海南、橋本、有田、御坊、田辺、新宮、紀の川、岩出各市、伊都郡かつらぎ、高野、有田郡有田川、日高郡みなべ、西牟婁郡白浜、上富田、すさみ、東牟婁郡那智勝浦、串本各町、香川県高松、丸亀、坂出、善通寺、観音寺、さぬき、東かがわ、三豊各市、小豆郡土庄、小豆島、木田郡三木、綾歌郡宇多津、綾川、仲多度郡琴平、多度津、まんのう各町、愛媛県松山、今治、宇和島、八幡浜、新居浜、西条、大洲、伊予、四国中央、西予、東温各市、伊予郡松前町、高知県高知、室戸、安芸、南国、土佐、須崎、宿毛、土佐清水、四万十、香南、香美各市、安芸郡東洋、長岡郡本山、吾川郡いの、高岡郡佐川、津野、四万十、幡多郡大月、黒潮各町、安芸郡芸西村、中芸広域連合、福岡県田川、柳川、八女、筑後、大川、行橋、豊前、小郡、筑紫野、春日、大野城、太宰府、古賀、福津、うきは、宮若、朝倉、みやま各市、糟屋郡篠栗、新宮、久山、粕屋、遠賀郡水巻、岡垣、遠賀、朝倉郡筑前、三井郡大刀洗、八女郡広川、京都郡苅田、築上郡上毛、築上各町、佐賀県佐賀、唐津、鳥栖、多久、伊万里、武雄、鹿島、小城、嬉野、神埼各市、神埼郡吉野ヶ里、三養基郡基山、みやき、西松浦郡有田、杵島郡江北、白石、藤津郡太良各町、長崎県長崎、佐世保、島原、諫早、平戸、松浦、対馬、五島、西海、雲仙各市、西彼杵郡長与、時津、東彼杵郡川棚各町、熊本県熊本、八代、人吉、荒尾、水俣、山鹿、菊池、宇土、上天草、宇城、阿蘇、天草、合志各市、下益城郡美里、玉名郡南関、菊池郡大津、菊陽、阿蘇郡南小国、小国、高森、上益城郡甲佐、山都、葦北郡芦北、球磨郡錦、多良木各町、阿蘇郡西原、南阿蘇、球磨郡山江各村、鹿児島県阿久根、指宿、西之表、垂水、薩摩川内、霧島、志布志、南九州、伊佐各市、薩摩郡さつま、姶良郡湧水、曽於郡大崎、熊毛郡南種子各町

また、表2のとおり、1県の14事業主体(注4)において、特定疾病併用者に係る自立支援医療費の審査が全く実施されておらず、その額が適正かどうか検証できない状況となっている事態が見受けられた。

表2 特定疾病併用者に係る自立支援医療費の額が適正かどうか検証できないもの

(単位:件、千円)
区分 事業主体数 支給した自立支援医療費
(a)
左のうち人工透析患者に係るもの
(b)
左のうち医療保険に加入していない世帯に係るもの
(c)
適正かどうか検証できないもの
(d)=(b)-(c)
(d)に係る国庫負担金相当額
(d)×50/100
件数 金額 件数 金額 件数 金額 件数 金額
福岡県 14 11,554 7,437,531 9,237 6,313,753 1,375 3,563,795 7,862 2,749,958 1,374,979

これらの事業主体は、人工透析患者からの自立支援医療費の支給認定申請に際して、特定疾病療養受療証の写しを全く提出させていなかったり、提出させていても連名簿等の審査に必要な医療保険の特定疾病制度に係る自己負担限度額等の情報を受給者台帳等に記録していなかったりしていた。

このため、これらの事業主体が支給した自立支援医療費のうち、医療保険に加入している人工透析患者に係る支給額計27億4995万余円(うち国庫負担金相当額13億7497万余円)については、特定疾病併用者に係る自立支援医療費の額の審査を全く実施しないまま支給していて、特定疾病併用者に係る自立支援医療費の額が適正かどうかの検証ができず、著しく適切ではない状況となっていた。

(注4)
14事業主体  福岡県北九州、福岡、大牟田、久留米、直方、飯塚、中間、宗像、嘉麻、糸島各市、遠賀郡芦屋、嘉穂郡桂川、田川郡川崎、福智各町

(是正及び是正改善を必要とする事態)

自立支援医療費の支給対象とならない医療保険の特定疾病制度による給付対象額が含まれるなどしていたため、自立支援医療費が過大に支給されている事態及び事業主体において特定疾病併用者に係る自立支援医療費の額の審査を全く実施していないため、その額が適正かどうか検証できない状況となっている事態は適切ではなく、是正及び是正改善を図る要があると認められる。

(発生原因)

このような事態が生じているのは、指定医療機関において、制度の理解が十分でなく、自立支援医療費の額を誤って請求していることにもよるが、次のことなどによると認められる。

  • ア 事業主体において、特定疾病併用者に係る自立支援医療費の支給の制度、審査方法についての理解が十分でなく、特定疾病併用者に係る情報を的確に把握していなかったり、把握していてもその情報を活用した特定疾病併用者に係る自立支援医療費の審査を実施する必要性についての認識が欠けていたりすること
  • イ 道府県において
    • (ア)特定疾病併用者に係る自立支援医療費の支給の制度、審査方法についての理解が十分でなかったり、特定疾病併用者に係る情報を活用するなどした特定疾病併用者に係る自立支援医療費の審査の必要性についての認識が欠けていたりしているため、事業主体に対する上記の制度、審査方法についての周知、助言、情報提供等の援助が十分でないこと
    • (イ)指定医療機関に対する自立支援医療費の支給の制度等の周知及び指導が十分でないこと
  • ウ 貴省において、特定疾病併用者に係る自立支援医療費の支給の取扱いについて、特定疾病療養受療証の写しを提出させる目的を明確にしていなかったり、その審査の内容や方法等を都道府県及び事業主体に対して明確に示していなかったりしていること

3 本院が要求する是正の処置及び求める是正改善の処置

自立支援医療費のうち、更生医療に係る額は制度開始当初に比べて大きく増加しており、さらに、このうち人工透析療法に係る医療費の割合が大部分を占めていること、また、人工透析患者のうち、特定疾病併用者の割合が大部分を占めていることなどから、特定疾病併用者に係る自立支援医療費の支給に係る適正な審査の重要性は高まっている。

ついては、貴省において、特定疾病併用者に係る自立支援医療費の額の算定が適正に行われるよう、アのとおり是正の処置を要求し、イ及びウのとおり是正改善の処置を求める。

  • ア 自立支援医療費が過大に支給されていた235事業主体に対して、過大に支給されていた自立支援医療費について過誤調整を行わせるなどした上で、過大に支給されていた自立支援医療費に係る負担金について返還等の措置を講じさせること及び特定疾病併用者に係る自立支援医療費の額が適正かどうか検証できない状況となっていた14事業主体に対して、特定疾病併用者に該当する者の情報の把握及び特定疾病併用者に係る自立支援医療費が適正かどうかの検証を行わせ、過大に支給されていた自立支援医療費について過誤調整を行わせるなどした上で、過大に支給されていた自立支援医療費に係る負担金について返還等の措置を講じさせること
  • イ 事業主体に対して、都道府県を通じて、特定疾病併用者に係る自立支援医療費の支給の制度、特定疾病療養受療証の写しを提出させる目的、審査の必要性、審査方法等を周知し、適正に審査を行うよう徹底を図ること、特に、特定疾病併用者に該当する者の情報を把握していない事業主体において、特定疾病併用者の情報を的確に把握し、その情報を有効に活用して連名簿等の審査を実施できるような体制を整備するよう指導すること
  • ウ 都道府県において
    • (ア)事業主体に対して、研修会の開催やマニュアルの配布等により特定疾病併用者に係る自立支援医療費の支給に係る制度、特定疾病療養受療証の写しを提出させる目的、審査の必要性、審査方法等について周知し、適切に助言等の援助を行うこと
    • (イ)指定医療機関に対して、適正な請求が行われるよう自立支援医療費の支給に係る制度等について明確に周知し、指導すること