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  • 平成25年度 |
  • 第3章 個別の検査結果|第1節 省庁別の検査結果|第9 厚生労働省|平成24年度決算検査報告掲記の意見を表示し又は処置を要求した事項の結果

(2)単身世帯の被保護者の死亡により保護を廃止する場合や葬祭扶助を行う場合に係る取扱いについて


平成24年度決算検査報告参照

1 本院が要求した適宜の処置及び求めた是正改善の処置

厚生労働省は、生活保護法(昭和25年法律第144号)等に基づき、都道府県又は市町村(特別区を含む。以下「事業主体」という。)が支弁した保護費について生活保護費等負担金を交付している。しかし、事業主体において、単身の被保護者が死亡した場合に、過払いとなった死亡月の翌月以降の分の保護費の返還の処理を行っていなかったり、葬祭費用が葬祭扶助の基準額を超える葬祭に対して葬祭扶助を行っていたり、死亡した被保護者が遺留した金品(以下「遺留金品」という。)を把握して葬祭扶助費に充当できるか検討しないまま葬祭扶助を行っていたりしている事態が見受けられた。

したがって、厚生労働省において、過払いとなった保護費について事業主体に速やかに返還の処理を行わせるとともに、事業主体に対して、過払いとなった保護費については返還の処理を行う必要があること、葬祭費用が葬祭扶助の基準額を超える葬祭に対して葬祭扶助を行うことはできないこと及び死亡した被保護者の遺留金品を適切に把握して葬祭扶助費に充当できるか検討する必要があることを明確に示し、厚生労働省、都道府県等が事業主体に対して実施する生活保護法施行事務監査の際に、過払いとなった保護費に係る返還の処理や葬祭扶助費の支給等の状況について確認を行い、適切な取扱いが行われていない事業主体に対する指導を徹底するよう、厚生労働大臣に対して平成25年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正の処置を要求し及び是正改善の処置を求めた。

2 当局が講じた処置

本院は、厚生労働本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。

検査の結果、厚生労働省は、本院指摘の趣旨に沿い、過払いとなった保護費について、事業主体に返還の処理を行わせるとともに、26年3月に都道府県等に対して通知を発するなどして、次のような処置を講じていた。

ア 事業主体に対して、過払いとなった死亡月の翌月以降の分の保護費については返還の免除をすることはできず、返還の処理を行う必要があることを明確に示した。

イ 事業主体に対して、葬祭費用が葬祭扶助の基準額を超える葬祭に対して葬祭扶助を行うことはできないことを明確に示した。

ウ 事業主体に対して、死亡した被保護者の扶養義務者ではない者に葬祭扶助を行う場合には、死亡した被保護者の遺留金品について適切に把握して、葬祭扶助費に充当できるか検討する必要があることを明確に示した。

エ 生活保護法施行事務監査において、ア、イ及びウの処置について確認を行い、適切な取扱いが行われていない場合には、事業主体に対する指導を行うこととした。