(2件 不当と認める国庫補助金 4,595,628円)
部局等 | 補助事業者等 | 間接補助事業者等 | 補助事業等 | 年度 | 事業費 | 左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(264) | 農林水産本省 | 新潟県 | 阿賀野市 (事業主体) |
地域自主戦略交付金 | 24 | 10,833 | 5,250 | 3,139 | 1,521 |
この交付金事業は、阿賀野市が、同市大室地内において、既設橋りょうの橋台補修工、護岸工等を実施したものである。このうち、護岸工(高さ2.2m及び2.3m、左右両岸の工事区間延長は38.2m)は、左右両岸の橋台設置箇所の河岸が洗掘されていることから、橋台を保護するために、橋台の前面及びその上下流側の河岸にブロック積護岸等を築造したものである。
本件護岸工の設計は、建設省河川砂防技術基準(案)同解説(社団法人日本河川協会編)(以下「技術基準」という。)における河川の基準(以下「河川技術基準」という。)等に基づき行われている。河川技術基準によれば、河床から護岸本体底面までの深さ(以下「根入れ深さ」という。)については、流水による河床の洗掘に対応するために、計画河床高又は現況最深河床高のうち低い方から0.5mから1.5m程度までとしているものが多いとされている。
同市は、本件護岸工のうち右岸側護岸(高さ2.2m、延長18.6m)については、右岸側橋台の底面の高さを現況最深河床高として、根入れ深さを河川技術基準に示されている最小値の0.5mとするなどして設計し、これにより施工していた。
しかし、本件工事の施工箇所は、昭和41年に砂防地域に指定され、131m下流には砂防えん堤が設置されており、当該砂防えん堤の堆砂域に位置することから、本件護岸工は河川技術基準ではなく、技術基準における砂防の基準に準拠して新潟県が制定した「砂防地すべり(計画と設計)」(以下「砂防技術基準」という。)に基づいて設計すべきであり、護岸の根入れ深さは、砂防技術基準において、基礎部の位置する層の土質が岩盤以外の場合は計画河床高から1.0m以上と示されていることなどからこれによるべきであった。そして、本件護岸工の施工箇所は、基礎部の位置する層の土質が岩盤以外であり、設計時に現況最深河床高としていた右岸側橋台の底面の高さよりも低い位置に計画河床高が設定されていることから、根入れ深さを計画河床高から1.0m以上確保する必要があった。このため、右岸側護岸は全延長において必要とされる根入れ深さが確保されておらず、河床の洗掘が進行すると護岸等に損傷を生ずるおそれがある状況となっていた(参考図参照)。
したがって、本件護岸工のうち右岸側護岸(工事費相当額3,139,000円)は、設計が適切でなかったため、河床の洗掘に対応できない構造となっていて、工事の目的を達しておらず、これに係る交付金相当額1,521,128円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同市において委託した設計業務の成果品の内容に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったこと、同県において同市に対する指導等が十分でなかったことなどによると認められる。
護岸工の概念図
(265) | 林野庁 | 三重県 (事業主体) |
― | 地域再生基盤強化交付金 | 22~24 | 74,337 | 37,168 | 6,149 | 3,074 |
この交付金事業は、三重県が、度会郡度会町鮠川(はいかわ)地内において、既存の3橋りょうを新橋(1号橋橋長9.6m、幅員4.8m、2号橋橋長8.2m、幅員4.2m、3号橋橋長9.6m、幅員5.5m)に架け替えるために、橋りょう下部工(橋台6基)、護岸工等を実施したものである。このうち、護岸工(高さ2.0m~3.1m、左右両岸の工事区間延長は合計113.3m)は、河岸を保護するために、橋台の前面及びその上下流側にブロック積護岸等を築造したものである。
本件護岸工の設計は、建設省河川砂防技術基準(案)同解説(社団法人日本河川協会編)等に準拠して同県が制定した「砂防技術指針(案)」(以下「指針」という。)等に基づき行われている。指針によれば、河床から護岸本体底面までの深さ(以下「根入れ深さ」という。)については、流水による河床の洗掘に対応するために、護岸の基礎部の位置する層の土質が軟岩の場合は現況最深河床高から0.7m、砂れきの場合は1.0mを確保することなどとされている。
同県は、橋台の施工位置等において実施したボーリング調査の結果等に基づき、護岸の基礎部の位置する層の土質を軟岩であると判定して根入れ深さを0.7mとするなどして設計し、これにより施工していた。
しかし、現地において護岸の基礎部の位置する層の土質を確認したところ、本件護岸工のうち延長合計111.2mについては、当初設計時に判定した軟岩ではなく、砂れきに分類されるれき質土であった。
そして、同県は、本件護岸工の施工時に上記の土質が当初設計とは異なるれき質土であることを確認することができたのに、当初設計どおりに施工していて、適切な設計変更の措置を執っていなかった。このため、本件護岸工は指針により必要とされる砂れきの場合の根入れ深さ1.0mが確保されておらず、河床の洗掘が進行すると護岸等に損傷を生ずるおそれがある状況となっていた。現に、護岸の前面において河床の洗掘が生じており、その深さは設計時の現況最深河床高から最大で91㎝となっていた(参考図参照)。
したがって、本件護岸工のうち延長合計111.2m(工事費相当額計6,149,000円)は、設計が適切でなかったため、護岸等が河床の洗掘に対応できない構造となっていて、工事の目的を達しておらず、これに係る交付金相当額3,074,500円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において、護岸の基礎部の土質が設計図書と異なっていた際に根入れ深さを再検討し、設計変更を行うなどの適切な処置を行うことに対する理解が十分でなかったことなどによると認められる。
護岸工の概念図
(264)(265)の計 | 85,171 | 42,418 | 9,288 | 4,595 |