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  • 平成25年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
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  • (5)工事の施工が適切でなかったもの

キュービクル式高圧受変電設備の設置に係る施工が適切でなかったもの[九州農政局](295)


(1件 不当と認める国庫補助金 28,138,158円)

  部局等 補助事業者等 間接補助事業者等 補助事業等 年度 事業費 左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費 不当と認める国庫補助金等相当額
            千円 千円 千円 千円
(295) 九州農政局 大分県農業協同組合
(事業主体)
葉たばこ作付転換緊急対策 24 173,565 82,650 59,090 28,138

この補助事業は、大分県農業協同組合が、臼杵市において、日本たばこ産業株式会社が平成23年に実施した葉たばこの廃作募集等により減少する葉たばこの作付面積に相当する農地において他作物への円滑な転換を推進するために、集出荷施設、冷蔵設備等の整備を実施したものである。

同組合は、本件施設整備の実施に当たり、変圧器等の機器を配線し金属製の箱に収めたキュービクル式高圧受変電設備(以下「キュービクル」という。)等の製作及び据付けを行っており、設計図書等によればキュービクルの据付けは、地盤に対して水平に打設した基礎コンクリートに固定された埋込アンカーボルト(注1)(径14㎜以上、必要な埋込長さ120㎜以上)6本以上を、それぞれキュービクルの底面に開けられた据付け用の穴に通して、上から座金付ナットで固定することとされている。

しかし、現地の状況を確認したところ、キュービクルの据付けには、金属拡張アンカーボルト(注2)(径12㎜、必要な埋込長さ60㎜)が6本用いられており、座金付ナットが据付け用の穴よりも小さいため、座金が穴を自由に通過できるようになっていて、キュービクルが全く固定されていない状態になっていた(参考図参照)。また、打設した基礎コンクリートが地盤に対して1.9%程度傾斜していたことから、地盤に対してキュービクルが水平になるようにモルタル等でかさ上げを行った上で金属拡張アンカーボルトを打設していたが、かさ上げ部分については埋込長さに含まれないため、打設した全ての金属拡張アンカーボルトにおいて、必要な埋込長さが不足している状態となっていた。

したがって、本件キュービクルは、施工が適切でなかったため、地震時に転倒するなどして破損するおそれがあり、キュービクル及びキュービクルを通じた電源により稼働する冷蔵設備等(工事費相当額59,090,131円)は、地震時における機能の維持が確保されていない状態となっていて、これに係る国庫補助金相当額28,138,158円が不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同組合において請負人が粗雑な施工を行っていたのに、これに対する監督及び検査が十分でなかったこと、九州農政局において同組合に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。

(注1)
埋込アンカーボルト  基礎コンクリートの打設前にアンカーボルトの位置を正しく決めて設置し、コンクリートの打設と同時にアンカーボルトの設定が完了する方式
(注2)
金属拡張アンカーボルト  打設した基礎コンクリート面にドリル等で所定の穴を開けアンカーを設置した上で下部を機械的に拡張させてコンクリートに固着させる方式

(参考図)

本件アンカーボルトの概念図

本件アンカーボルトの概念図 画像