(1件 不当と認める国庫補助金 69,740,000円)
部局等 | 補助事業者等 | 間接補助事業者等 | 補助事業等 | 年度 | 事業費 | 左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(297) | 関東農政局 | 有限会社JBS (事業主体) |
― | 農商工等連携促進施設整備支援 | 22 | 148,651 | 69,740 | 148,651 | 69,740 |
この補助事業は、有限会社JBS(東京都中央区所在。以下「会社」という。)が、利島村漁業協同組合と連携して、同組合から調達した規格外魚を主とした鮮魚を活用した加工食品を製造するための施設等(以下「加工施設等」という。)の整備を実施したものである。
補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律(昭和30年法律第179号)第11条の規定によれば、補助事業者等は、補助金等の他の用途への使用をしてはならないこととされている。また、同法第22条の規定等によれば、補助事業者等は、補助事業等により取得した財産を当該補助事業を所掌する各省各庁の長の承認を受けないで、補助金等の交付の目的に反して使用してはならないこととされている。
会社は、本件補助事業を事業費148,651,125円(国庫補助対象事業費141,572,500円)で実施したとして、平成23年5月に関東農政局へ実績報告書を提出していた。そして、同局は、現地に赴いて補助金の実績報告に係る審査を実施した。その際、会社から請負業者に対する事業費の支払が完了していなかったが、事業費の精算額を契約書、請求書等により確認したとして、同年7月に国庫補助金69,740,000円を交付していた。これを受けて、会社は、同月に補助金と同額の69,740,000円を請負業者に対して支払ったが、事業費の残金78,911,125円については、25年12月の会計実地検査時点においても支払が完了していないとしていた。
しかし、実際の契約書等における契約額及び会社から請負業者への本件補助事業に係る支払額は54,600,000円となっており、上記の事業費148,651,125円は事実と異なる過大なものとなっていた。そして、会社は、本件補助事業のために請負業者に支払ったとしていた69,740,000円と上記の支払額54,600,000円との差額15,140,000円を、請負業者に依頼して別の業者へ振り込ませるなどして、本件補助事業とは関係のない取引先への支払等に使用していた。
また、会社は、加工施設等の運用を開始した23年4月から、連携する同組合から鮮魚等を調達しておらず、加工施設等を農林水産大臣の承認を受けずに、補助金の交付の目的とは関係のない業務用の食品等を製造するために使用していた。
したがって、本件補助事業は、事実と異なる実績報告書等に基づいて国庫補助対象事業費が過大に精算されるなどしており、かつ、加工施設等が補助の目的外に使用されていて、その実施及び経理が著しく適正を欠いており、これに係る国庫補助金69,740,000円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、会社において補助事業の適正な実施及び経理に対する基本的な認識が欠けていたこと、同局において本件補助事業の審査及び確認並びに会社に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。