この工事は、北陸地方整備局(以下「整備局」という。)が、平成25年度に、官公庁施設の建設等に関する法律(昭和26年法律第181号)の規定に基づき農林水産省から委任を受け、新潟県燕市において、旧新潟農政事務所地域第三課庁舎、駐車場等(敷地面積2,100㎡)の解体、撤去等を工事費88,588,500円で実施したものである。
このうち、庁舎等のく体基礎等の解体、撤去に伴って生ずるくぼみの埋戻しについては、本件工事の特記仕様書等において、請負人は、工事で発生した土砂等(以下「発生土」という。)を用いて施工することとなっており、発生土の土質は、砂、砂れき、粘性土等となっている。その後、本件工事の進捗に伴い、基礎杭を撤去した際に地下水が湧出したため、整備局及び請負人は契約変更を行って、発生土にセメント系の固化剤を混合させる地盤改良を実施した上で、発生土を用いて埋戻し及び盛土を行い整地している(以下、これらを合わせて「埋戻し等」という。)。
本院は、合規性等の観点から、本件工事の施工が適切に行われているかなどに着眼して、整備局において、特記仕様書、設計図書等の書類及び本件工事の現地を確認するなどして会計実地検査を行った。
検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
すなわち、請負人が埋戻し等を行った範囲からコンクリート片や鉄筋が露出していたため、当該箇所を掘削したところ、発生土の中に庁舎等の解体、撤去に伴って発生した多数のコンクリート片や鉄筋のほか、コンクリート杭やマンホールの蓋等が混入していた(以下、これらの発生土に混入していたものを合わせて「コンクリート片等」という。)。
したがって、埋戻し等は、発生土の中にコンクリート片等が混入したまま行われており、その施工が特記仕様書等と相違して粗雑なものとなっていて、工事の目的を達しておらず、これに係る工事費4,075,084円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、請負人において、特記仕様書等に対する理解が十分でなく埋戻し等の施工が粗雑であったのに、これに対する整備局の監督が十分でなかったことなどによると認められる。