東京、大阪両航空局及び仙台、大阪、那覇各空港事務所(以下「5航空局等」という。)は、空港における制限区域内への不法侵入等を未然に防止するなどのために、平成23、24両年度に、新潟空港等8空港の警備業務を、一般競争契約により、新潟綜合警備保障株式会社等8会社(注)に、契約件数計11件、契約額計444,896,579円で請け負わせて実施している。
5航空局等は、本件各契約の仕様書において、空港内の指定した範囲の巡回等を行う警備員の配置箇所(以下「警備ポスト」という。)と警備ポストごとに必要な警備時間を定めている。
そして、5航空局等は、本件各契約に係る予定価格を、建築保全業務積算基準(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修)等に基づいて積算しており、直接人件費については、警備ポストごとに年間260日(5日×52週)勤務する警備員の必要人数を算出して、これに警備員の日額の労務単価(以下「日割基礎単価」という。)に年間勤務日数365日を乗じて算出した警備員1人当たりの年間人件費を乗ずるなどして算定している。
本院は、経済性等の観点から、予定価格の積算が適切に行われているかなどに着眼して、本件各契約を対象として、5航空局等において、契約書、仕様書、積算書等の書類を確認するなどして会計実地検査を行った。
検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
すなわち、5航空局等は、本件各契約の直接人件費の算定に当たり、警備員の必要人数に乗ずる警備員1人当たりの年間人件費を日割基礎単価に年間勤務日数365日を乗じて算出していた。
しかし、警備ポストごとに算出された警備員の必要人数は、警備員が年間260日勤務することとしていることから、日割基礎単価に乗ずる年間勤務日数365日は誤りであって、正しくは260日とすべきであった。
したがって、本件各契約について、年間勤務日数に260日を用いて直接人件費を算定するなどして予定価格を修正計算すると計376,162,689円となり、本件契約額計444,896,579円はこれに比べて約6810万円割高となっていて不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、5航空局等において、予定価格の積算に当たり、直接人件費の算定方法についての理解及び審査が十分でなかったことなどによると認められる。