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  • 平成25年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
  • 第1節 省庁別の検査結果 |
  • 第12 国土交通省 |
  • 不当事項 |
  • 補助金 |
  • (1)工事が低額で実施されていたもの及び補助の対象とならないもの

虚偽の内容の交付申請や実績報告を行うなどして、実績報告書の工事費より低額で改修工事を実施したり、補助要件を満たさない賃貸住宅を補助の対象としたりなどしていたもの[国土交通本省]](314)―(346)


(33件 不当と認める国庫補助金 262,274,000円)

ストック活用型住宅セーフティネット整備推進事業(平成23年度繰越分を含む。以下「22年度事業」という。)及び民間住宅活用型住宅セーフティネット整備推進事業(以下「24年度事業」という。)は、既存の民間賃貸住宅(以下「賃貸住宅」という。)の質の向上と空き家の有効活用により、高齢者世帯、子育て世帯、低額所得者等の住宅確保要配慮者(以下「要配慮者」という。)の居住の安定確保を図るなどのために、空き家を有する賃貸住宅の改修工事を行う事業主体(注)に対して、要配慮者の入居等を条件として、当該改修工事に要する費用の一部(補助率3分の1、空き家1戸当たりの限度額100万円)について、国土交通大臣が公募により選定した者(以下「事務事業者」という。)を通じて補助するものである。そして、22年度事業については株式会社市浦ハウジング&プランニングが、24年度事業については株式会社URリンケージが事務事業者に選定されており、国土交通省から国庫補助金の交付を受けて、国庫補助金に係る事業主体からの交付申請書の受理、交付決定、実績報告書等の審査、額の確定、交付等の事務を行っている。

(注)
事業主体  22年度事業については、賃貸住宅の所有者又は所有者から賃貸住宅の管理を委託された者、請負業者等で事業を的確に執行できる者、また、24年度事業については、賃貸住宅の所有者又は所有者の同意を得て改修工事を発注する者

22年度事業の「高齢者等居住安定化推進事業補助金交付要綱」(平成22年国住整第141号)、24年度事業の「民間住宅活用型住宅セーフティネット整備推進事業補助金交付要綱」(平成24年国住備第722号、国住心第134号)(以下、これらを合わせて「交付要綱」という。)等によれば、事業主体が国庫補助金の交付を受けるための主な要件(以下「補助要件」という。)は、次のとおりとされている。

  • 〔1〕 1戸以上の空き家を有する賃貸住宅であって、22年度事業については改修工事着工予定日の時点で空き家であること、24年度事業については交付申請日又は改修工事着工予定日(以下、22年度事業における改修工事着工予定日、24年度事業における交付申請日又は改修工事着工予定日を「基準日」という。)の時点で3か月以上空き家であること
  • 〔2〕 22年度事業及び24年度事業について、入居募集を開始してから3か月以上の間入居者を確保できない場合を除き、改修工事後の最初の入居者を要配慮者とすること

本院が63事業主体において会計実地検査を行ったところ、30事業主体(22年度事業11事業主体、24年度事業22事業主体。3事業主体は重複している。)が実施した計367戸の空き家(22年度事業130戸、24年度事業254戸。17戸は重複している。)に係る各補助事業(国庫補助金交付額計379,755,000円)において、虚偽の内容の交付申請や実績報告を行うことなどにより、実績報告書の工事費より低額で改修工事を実施したり、補助要件を満たさない賃貸住宅を補助の対象としたりなどしていたため、国庫補助金計262,274,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、上記の30事業主体において補助事業の適切な実施及び適正な経理に対する認識が著しく欠けていたこと、事務事業者において実績報告書等の審査及び確認が十分でなかったこと、国土交通省において事務事業者に対する指導監督が十分でなかったことなどによると認められる。

前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。

<事例1>実績報告書の工事費より低額で改修工事を実施していた事態

アズマホーム株式会社は、改修工事の請負業者として、大阪市所在の賃貸住宅において計13戸が空き家になっていることから、耐震改修工事、内装工事、設備更新工事等の改修工事を、工事費40,950,000円(国庫補助対象事業費39,000,000円)で賃貸住宅の所有者と請負契約を締結し、同額の40,950,000円で別会社に下請けさせて実施したとして実績報告書を提出し、国庫補助金計13,000,000円の交付を受けていた。

しかし、同会社は、当該所有者との請負契約及び別会社との下請契約をいずれも締結していなかった。そして、改修工事のうち、実施したのは耐震改修工事のみで、内装工事、設備更新工事等は実施しておらず、実際に改修工事に要した費用は1,295,415円と実績報告書の工事費よりも低額となっていた。

したがって、本件事業は、交付を受けた国庫補助金額よりも低額で実施されていて、その実施が著しく適切を欠いており、適正な工事費を算定すると1,295,415円(国庫補助対象事業費相当額1,233,000円)となり、これを基に国庫補助金相当額を算定すると411,000円となることから、本件国庫補助金13,000,000円はこれに比べて12,589,000円が過大に交付されていた。

<事例2>補助要件を満たさない賃貸住宅を補助の対象としていた事態

有限会社恒志堂は、賃貸住宅の所有者として、札幌市所在の賃貸住宅において計13戸が基準日時点で3か月以上空き家となっているとして手すりを設置するバリアフリー改修工事等を工事費計42,441,000円(国庫補助対象事業費計40,414,000円)で請負業者に請け負わせて実施したとする実績報告書を提出し、国庫補助金計13,000,000円の交付を受けていた。

しかし、上記13戸の空き家のうち、4戸については基準日時点で既に入居済みであったり、5戸については改修工事前の入居者の退去日から基準日時点までの期間が3か月を経過していなかったりなどしていて、計9戸が補助要件を満たしていなかった。

したがって、適切な空き家戸数4戸に基づき適正な国庫補助金相当額を算定すると計4,000,000円となることから、本件国庫補助金計13,000,000円は、これに比べて計9,000,000円が過大に交付されていた。

以上を態様別に示すと次のとおりである。

  部局等 補助事業者等 間接補助事業者等
(事業主体)
補助事業等 年度 事業費
(国庫補助対象事業費)
左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める事業費
(国庫補助対象事業費)
不当と認める国庫補助金等相当額
  千円 千円 千円 千円
ア 実績報告書の工事費より低額で改修工事を実施していたもの        
(314) 国土交通本省 株式会社市浦ハウジング&プランニング アズマホーム株式会社 ストック活用型住宅セーフティネット整備推進 22、23 40,950
(39,000)
13,000 39,654
(37,767)
12,589
(315) 株式会社島津ホーム 22、23 122,325
(116,500)
36,000 82,825
(78,881)
23,461
(316) A 22、23 13,097
(12,473)
4,000 5,016
(4,777)
1,435
(317) B 22、23 19,950
(19,000)
6,000 10,500
(10,000)
3,000
(318) 有限会社伸和設備工業 22、23 9,557
(9,102)
3,000 4,107
(3,912)
1,270
(319) 有限会社ドリーム・エー・エム 22、23 49,530
(47,172)
12,000 24,731
(23,555)
4,129
(320) 株式会社URリンケージ C 民間住宅活用型住宅セーフティネット整備推進 24 30,041
(28,610)
9,000 21,041
(20,039)
6,143
(321) D 24 15,750
(12,448)
4,000 11,632
(8,526)
2,693
(322) starehe有限会社 24 70,333
(51,943)
15,302 27,141
(22,079)
5,349
(323) E 24 44,793
(42,660)
14,000 36,057
(34,340)
11,227
(324) F 24 31,027
(29,550)
8,950 23,484
(22,367)
6,556
アの計 447,356
(408,458)
125,252 286,191
(266,243)
77,852
イ 補助要件を満たさない賃貸住宅を補助の対象としていたもの        
(325) 国土交通本省 株式会社市浦ハウジング&プランニング 株式会社橋爪建設 ストック活用型住宅セーフティネット整備推進 22、23 33,600
(32,000)
10,000 3,150
(3,000)
1,000
(326) 株式会社URリンケージ 有限会社恒志堂 民間住宅活用型住宅セーフティネット整備推進 24 42,441
(40,414)
13,000 29,421
(28,017)
9,000
(327) G 24 6,799
(5,545)
1,848 6,799
(5,545)
1,848
(328) H 24 38,280
(36,458)
12,000 3,150
(3,000)
1,000
(329) 有限会社レインボー 24 28,366
(27,016)
9,000 18,913
(18,013)
6,000
(330) 豊津住宅株式会社 24 3,150
(3,000)
1,000 3,150
(3,000)
1,000
(331) リライアンス株式会社 24 13,125
(9,791)
3,000 13,125
(9,791)
3,000
(332) 株式会社大藪組 24 19,666
(18,730)
6,000 3,150
(3,000)
1,000
(333) B 24 4,465
(3,347)
1,000 4,465
(3,347)
1,000
(334) I 24 11,970
(11,400)
3,000 11,970
(11,400)
3,000
イの計 201,865
(187,701)
59,848 97,294
(88,113)
27,848
ウ ア及びイの態様が重複しているもの        
(335) 国土交通本省 株式会社市浦ハウジング&プランニング 有限会社J・O企画 ストック活用型住宅セーフティネット整備推進 22、23 81,900
(78,000)
22,000 74,482
(70,938)
19,647
(336) 株式会社ヤマヒデ 22、23 16,485
(15,700)
5,000 16,298
(15,523)
4,941
(337) I 22、23 38,745
(36,900)
10,000 36,870
(35,115)
9,405
(338) 有限会社グリーンエージ 22、23 30,030
(28,600)
9,000 29,242
(27,850)
8,750
(339) 株式会社URリンケージ J 民間住宅活用型住宅セーフティネット整備推進 24 83,896
(79,899)
25,000 57,363
(54,629)
16,577
(340) ヤハタホールディング株式会社 24 36,244
(34,517)
10,151 13,417
(12,777)
2,905
(341) 有限会社polepole 24 51,677
(38,797)
12,000 29,838
(22,097)
6,435
(342) 株式会社safari 24 86,205
(65,823)
18,930 57,304
(43,501)
11,491
(343) 有限会社アサンテ 24 38,774
(33,967)
10,574 25,042
(22,588)
7,440
(344) 株式会社nyunba 24 24,473
(22,359)
7,000 19,900
(18,253)
5,632
(345) 九州宅地開発株式会社 24 131,835
(125,557)
41,000 131,835
(125,557)
41,000
(346) 株式会社URリンケージ 有限会社グリーンエージ 民間住宅活用型住宅セーフティネット整備推進 24 93,069
(78,640)
24,000 87,874
(73,692)
22,351
ウの計 713,336
(638,759)
194,655 579,469
(522,520)
156,574
ア、イ、ウの合計 1,362,558
(1,234,918)
379,755 962,955
(876,876)
262,274
(注)
事業主体名のアルファベットは、個人事業者を示しており、同一の個人事業者については同一のアルファベットで表示している。