(1件 不当と認める国庫補助金 91,269,100円)
部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 (国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(356) | 大分県 | 大分県 | 活力創出基盤整備総合交付金、社会資本整備総合交付金 | 22~25 | 390,318 (362,347) |
235,525 | 140,414 (140,414) |
91,269 |
この交付金事業は、大分県が、主要地方道三重弥生線道路改良事業の一環として、佐伯市本匠大字堂ノ間地内において、バイパス整備に伴い橋りょう(橋長78.0m、幅員9.5m~10.0m)を新設するために、下部工として橋台2基(以下、右岸側の橋台を「A1橋台」、左岸側の橋台を「A2橋台」という。)の築造等、上部工として2径間鋼連続非合成鈑桁(ばんげた)(以下「鋼桁」という。)の製作、架設等を実施したものである(参考図参照)。
この橋りょうについては、地震発生時における鋼桁の落下を防止するために、橋台の胸壁と鋼桁をPC鋼材で連結する落橋防止構造をA1橋台及びA2橋台の胸壁にそれぞれ4か所、計8か所に設置していた。
同県は、本件橋台の胸壁の設計に当たり、地震発生時に、落橋防止構造を通じて橋台の胸壁に作用する水平力をA1橋台は1,160kN、A2橋台は1,590kNとし、この水平力により橋台の胸壁に作用する曲げモーメント(注)が胸壁の終局曲げモーメント(注)をそれぞれ下回ることから応力計算上安全であるとして、これにより施工していた。
しかし、上記の水平力は、落橋防止構造1か所を通じて橋台の胸壁に作用する水平力(A1橋台580kN、A2橋台795kN)に2を乗じたものであったが、それぞれの橋台に落橋防止構造を4か所設置していることから、4を乗じて算出すべきであった。
そこで、橋台の胸壁に作用する適正な水平力を算出すると、A1橋台で2,320kN、A2橋台で3,180kNとなる。そして、これに基づき改めて応力計算を行うと、橋台の胸壁に作用する曲げモーメントはA1橋台で297.3kN・m、A2橋台で389.9kN・mとなり、胸壁の終局曲げモーメントであるA1橋台の231.1kN・m、A2橋台の232.7kN・mをそれぞれ大幅に上回っていて、応力計算上安全とされる範囲に収まっていなかった。
したがって、本件胸壁は設計が適切でなかったため、同胸壁及びこれと落橋防止構造で連結されている鋼桁等(これらの工事費相当額140,414,000円)は、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る交付金相当額91,269,100円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことなどによると認められる。
橋りょう概念図