(1件 不当と認める国庫補助金 5,125,950円)
部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 (国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(358) | 長崎県 | 大村市 | 地域住宅交付金 (公営住宅等整備) |
22 | 12,356 (12,356) |
5,560 | 11,391 (11,391) |
5,125 |
この交付金事業は、大村市が、同市水主町(かこまち)地内において、新駅前団地集会所(木造平屋建て1棟)の建築、給排水工事等を実施したものである。
同市は、この集会所について、柱、土台、筋交いなどの部材で骨組みを構成する木造軸組工法により建設することとし、建築基準法(昭和25年法律第201号)等に基づき、地震や風により生ずる水平力に抵抗するために、柱と柱との間にたすき掛け筋交いを設置した耐力壁を張り間方向(注1)に4か所及び桁行方向(注1)に6か所それぞれ配置することとしていた。
同市は、上記のように耐力壁を配置すれば、設計計算上の耐力壁の長さが、張り間方向及び桁行方向とも水平力に対して必要な長さをそれぞれ上回ることなどから安全であるとして設計し、これにより施工していた。
一方、耐力壁を構成する柱については、水平力により生ずる引抜き力に抵抗するために、同法等に基づく告示「木造の継手及び仕口の構造方法を定める件」(平成12年建設省告示第1460号。以下「告示」という。)等に基づき、必要な引抜き耐力を有する金物等を選定して土台、基礎コンクリート等と接合することとなっている。告示等によれば、この集会所に必要となる引抜き耐力を有する金物等については、4か所の出隅の柱(注2)にたすき掛け筋交いを取り付ける場合には、引抜き耐力が15kNの金物、アンカーボルト等を用いて柱と基礎コンクリート等とを接合し、また、出隅以外の12か所の柱にたすき掛け筋交いを取り付ける場合には、引抜き耐力が7.5kNの金物を用いて柱と土台等とを接合する必要があるとされている。
しかし、同市は、柱と土台、基礎コンクリート等とを接合する金物を使用する箇所やその種類を設計図書に示していなかったことから、16か所全ての柱において、上記の必要となる引抜き耐力を大幅に下回る5.1kNの金物により柱と土台等とが接合されていた。また、出隅の柱の接合に必要とされるアンカーボルト等により柱と基礎コンクリート等とが接合されていなかった(参考図参照)。
このように、柱と土台、基礎コンクリート等との接合方法が適切でない柱で構成された壁は設計計算上耐力壁とは認められないことから、張り間方向及び桁行方向とも必要とされる耐力壁が皆無の状態となっていた。
したがって、本件集会所(工事費相当額11,391,668円、交付対象工事費11,391,000円)は、設計が適切でなかったため、所要の安全度が確保されていない状態になっており、これに係る交付金相当額5,125,950円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同市において、委託した設計業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことなどによると認められる。
耐力壁概念図