(1件 不当と認める国庫補助金 1,264,460円)
部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 (国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(365) | 関東地方整備局 | 千葉県 | 地域自主戦略交付金 | 24 | 20,265 (20,265) |
7,320 | 3,500 (3,500) |
1,264 |
この交付金事業は、千葉県が、木更津港で不要となった直立消波ブロック(以下「ブロック」という。)計272個を千葉港で護岸として再利用するために、ブロックを運搬する際に必要となる吊金具を取り付ける工事(以下「吊金具設置工」という。)等のブロック補修工事を実施したものである。
吊金具設置工は、設計図面等によれば、ブロックを削孔し、その孔の中に円筒状の固着剤を入れ、その上から直径25㎜のアンカー鉄筋を差し込み固着剤によりブロックに固定し、アンカー鉄筋と一般構造用圧延鋼材のプレート(以下「プレート」という。)を溶接することにより、ブロック1個当たり4か所に吊金具を取り付けることとしていた。
同県は、吊金具設置工に係る費用(以下「吊金具設置工費」という。)の積算に当たり、同県制定の積算基準に基づくなどしている。このうち、溶接工費については、アンカー鉄筋の形状に合わせて切欠きを設けたプレートをアンカー鉄筋にかぶせて、プレートの両面を吊金具1か所当たり溶接長0.28m、脚長6㎜で溶接を行うこととし、ブロック1個当たり溶接長1.12m(0.28m×4か所)に脚長6㎜の突き合わせ溶接(注1)の施工単価を乗じて算定していた。また、アンカー鉄筋を固定する固着剤については、直径35㎜の材料単価を適用していた。そして、これらを積み上げるなどして、ブロック1個当たりの吊金具設置工の施工単価を32,400円と算定し、これにブロックの総数272個を乗じて、吊金具設置工費を8,812,800円と積算していた。
その後、施工の際に、請負人から、施工性の向上を理由に切欠きを設けないプレートをアンカー鉄筋に添えて、プレートの片面を溶接する方法に変更する旨の申出があり、同県は、請負人が作成した構造計算書に基づき、吊金具1か所当たりの溶接長を0.062m、脚長を12㎜としてブロック1個当たり溶接長0.25m(0.062m×4か所)ですみ肉溶接(注2)を行えば必要な強度を十分確保できるとしていた。そして、申出のあった溶接方法による施工を指示していた。
しかし、同県は、上記のような溶接方法による施工を指示していたのに、吊金具設置工費の積算の見直しを行っておらず、設計変更の措置を執っていなかった。また、同県は、設計図面によれば、固着剤については、直径28.5㎜のものを使用することとしていて、施工においてもこれを使用しているのに、積算に当たり、誤って前記のとおり直径35㎜の材料単価を適用していた。
したがって、変更後の溶接方法に基づく溶接長、使用することとしていた固着剤の材料単価等を用いるなどして、ブロック1個当たりの適正な施工単価を算定すると、積算過小となっていたアンカー鉄筋挿入工費等を考慮しても22,165円となって吊金具設置工費は6,028,880円となり、前記の積算額は2,783,920円過大となることから、工事費総額は16,747,500円と算定され、本件工事費20,265,000円はこれに比べて約350万円割高となっていて、これに係る交付金相当額1,264,460円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同県において、設計変更等に対する発注者としての認識が欠けていたこと及び積算内容に対する審査が十分でなかったことなどによると認められる。