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  • 平成25年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
  • 第1節 省庁別の検査結果 |
  • 第12 国土交通省 |
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

(1)車両管理業務委託契約について、非運行日に係る委託費の取扱いを明確に定めることにより、委託費の支払が業務の実態に即して適切に行われるよう是正改善の処置を求めたもの


会計名及び科目
一般会計 (組織)国土交通本省 (項)国土交通本省共通費 等
部局等
49地方事務所等
車両管理業務委託契約の概要
職員が外部との打合せや工事施工管理を行う際の移動等の用に供するために、受託者が業務に必要な車両管理員を手配して委託車両の運行等を行うもの
契約の相手方
9会社
契約
平成23年4月、24年4月 一般競争契約
非運行日が生じている契約件数
98件(平成23、24両年度)
上記の契約に係る委託費の支払額
20億1889万余円
節減できた委託費の支払額
8129万円(平成23、24両年度)

【是正改善の処置を求めたものの全文】

車両管理業務委託契約における委託費の支払等について

(平成26年10月17日付け 国土交通大臣宛て)

標記について、会計検査院法第34条の規定により、下記のとおり是正改善の処置を求める。

1 車両管理業務委託契約の概要等

(1)貴省が保有する公用車の概要

貴省は、地方整備局、北海道開発局、これらの管内の河川事務所、国道事務所等(以下、これらを総称して「地方事務所等」という。)において、職員が外部との打合せや工事施工管理を行う際の移動等の用に供するために、公用車(以下「車両」という。)を多数保有している。

地方事務所等においては、運転を主たる業務とする職員が車両を運行しているほか、車両管理業務委託契約に基づき車両管理業務として受託者が手配した運転手(以下「車両管理員」という。)が車両を運行している(以下、車両管理員が運行する車両を「委託車両」という。)。

(2)車両管理業務委託契約の概要

貴省は、車両管理業務委託契約の透明性、競争性等の確保のために、地方事務所等が締結する業務委託契約書(以下「契約書」という。)及び車両管理業務委託仕様書(以下「仕様書」という。)を統一的な内容としている。

契約書、仕様書等によれば、当該契約の受託者は、全ての委託車両を同時に運行できるよう委託業務全体を管理して業務に支障を来さないように運行できる体制を整備しておくこと、委託業務に必要な車両管理員を手配して、委託車両の運行等を行うこと、委託車両を運行する車両管理員を統率する者(以下「車両管理責任者」という。)を1名以上配置すること、災害等の緊急事態において地域の実情に応じた所定の時間内に委託車両が運行できる体制を整備しておくことなどとされている。

また、委託車両の使用に当たっては、職員から申請を受けた地方事務所等が運行日前日までに車両管理責任者に委託車両の運行を指示し、車両管理責任者は、この指示に基づき、運行計画書を作成して地方事務所等に提出するとともに、車両管理員に委託車両の運行を指示することとされている。指示を受けた車両管理員は、運行計画書に基づき、委託車両の運行を行ったり、委託車両の運行前点検や燃料及び油脂類の補給等の管理業務を行ったりするとともに、1日の業務を終了した都度、運転日報を作成して車両管理責任者に提出することとされている。

さらに、車両管理責任者は、運転日報等の報告書を地方事務所等に提出し、これらに基づいて受託者は、月ごとに車両管理委託費(以下「委託費」という。)を地方事務所等に請求することとされている。

(3)地方事務所等における委託費の算定等

貴省は、車両管理業務委託契約の実施に当たり、車両管理業務委託積算基準を定めて地方事務所等にその内容を通知するなどしている。上記の積算基準によれば、委託車両の運行等の業務を実施する日(以下「業務実施予定日」という。)については、貴省の職員就業規則等に定める年間勤務日数等に準ずること、委託費の月額基本料金については、直接人件費等の直接業務費、諸経費等の間接業務費を基に算定することとされている。そして、直接人件費のうち、車両管理員に係る経費については、委託車両1台に対して1名の車両管理員を充てることとして積算し、年間の業務実施予定日数(平成23年度244日、24年度245日)に一般運転手の労務単価を乗じて、更に月数12で除した金額を、委託車両1台当たりの月額単価とすることとされている。

一方、契約書、仕様書等によれば、委託車両ごとに月間の基本走行距離が定められており、これに必要な経費は月額基本料金に含まれていることから、委託車両の走行距離に応じて委託費の月額基本料金を増減させるとともに、受託者の都合で業務実施予定日に業務を履行しなかった場合は、月額基本料金を減額することとされている。

2 本院の検査結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

本院は、経済性等の観点から、車両管理業務委託契約に係る委託費の支払が業務の実態に即したものとなっているかなどに着眼して検査した。

検査に当たっては、平成23、24両年度のいずれの年度も5台以上の車両を保有し、このうち1台以上を委託車両として運行していた49地方事務所等(注)において、23、24両年度に9会社と一般競争契約により締結した車両管理業務委託契約98件、支払額23年度9億6757万余円、24年度10億5131万余円、計20億1889万余円を対象として、契約書、仕様書、運転日報等を確認するなどして会計実地検査を行った。

(注)
49地方事務所等  関東、北陸、中部、近畿、中国、四国、九州各地方整備局本局、函館、室蘭、帯広、網走、留萌、稚内各開発建設部、常陸、高田、福井、甲府、浜松、沼津、福知山、姫路、紀南、山口、徳島、香川、高知、中村、長崎、八代、大分、佐伯、宮崎各河川国道事務所、千歳川、霞ヶ浦、庄内川、川内川各河川事務所、相武、岐阜、高山、鹿児島各国道事務所、札幌、帯広、岩見沢、苫小牧、千歳、滝川、深川、浦河、足寄各道路事務所

(検査の結果)

検査したところ、次のような事態が見受けられた。

49地方事務所等における委託車両は、23年度195台、24年度199台となっていたが、これらの委託車両の運行状況をみると、車両管理責任者による運行計画書が作成されておらず、かつ、車両の修理、給油等を含む仕様書等に示されている委託業務が全く実施されていない日(以下「非運行日」という。)が、23年度4,247日、24年度4,141日生じていた。そして、23、24両年度の業務実施予定日数に占める非運行日の割合は23年度8.9%、24年度8.4%となっていたほか、委託車両1台当たりの年間平均非運行日が30日以上生じていた車両管理業務委託契約は23年度9契約、24年度10契約、計19契約あり、このうち3契約は90日を超えていた。

そして、49地方事務所等は、受託者の都合で業務実施予定日に業務を履行しなかった場合、委託費の月額基本料金を減額することとされているが、非運行日は、契約書、仕様書等に定めがないことから、月額基本料金を減額することなく委託費を支払っていた。

しかし、委託車両の運行等の委託業務は、前記のように、運行日の前日までに提出される運行計画書に基づき実施されることから、非運行日は車両管理員による業務を要しない日となるにもかかわらず、車両を運行した日と同様に月額基本料金を減額することなく委託費を支払っていることは適切とは認められない。

(節減できた車両管理業務委託契約の委託費)

49地方事務所等が23、24両年度に締結した車両管理業務委託契約98件について、非運行日に係る人件費相当額を月額基本料金から減額するなどして委託費の支払額を算定すると、23、24両年度にそれぞれ3995万円、4134万円、計8129万円が節減できたと認められる。

(是正改善を必要とする事態)

車両管理業務において、非運行日は車両管理員による業務を要しない日となるのに、非運行日に係る月額基本料金を減額することなく委託費を支払っている事態は適切ではなく、是正改善を図る要があると認められる。

(発生原因)

このような事態が生じているのは、地方事務所等において、車両管理業務について業務実態に即した委託費を支払うことに対する理解が十分でないことにもよるが、貴省において、委託業務の内容を定めた契約書、仕様書等に非運行日に係る委託費の取扱いを明確に定めていないことなどによると認められる。

3 本院が求める是正改善の処置

貴省は、今後も引き続き地方事務所等において委託車両を運行することとしているが、車両管理業務委託契約に係る委託費については、業務の実態に即した支払とすることが重要である。

ついては、貴省において、車両管理業務委託契約の実施に関して、災害等の緊急事態における車両の運行体制について配慮しつつ、契約書、仕様書等に非運行日に係る委託費の取扱いを明確に定めるよう是正改善の処置を求める。