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  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

(7)防災のための集団移転促進事業で整備する住宅団地の宅地について、移転者の意向の変化等を適時適切に把握するとともに、その状況に応じて事業規模を縮小するなどの措置を講ずるよう市町村に周知するよう意見を表示したもの


会計名及び科目
一般会計 (組織)国土交通本省 (項)東日本大震災復旧・復興推進費
東日本大震災復興特別会計 (組織)国土交通本省
(項)東日本大震災復興推進費
部局等
3県
交付の根拠
東日本大震災復興特別区域法(平成23年法律第122号)
交付金事業者
(事業主体)
市14、町10、村1、計25事業主体
防災のための集団移転促進事業の概要
災害が発生した地域等のうち、住民の居住に適当でないと認められる区域内にある住居を集団的に移転することを促進するもの
防災のための集団移転促進事業に係る東日本大震災復興交付金の交付決定額
4410億0819万円(背景金額)(平成23年度~25年度)

【意見を表示したものの全文】

東日本大震災の被災地における防災のための集団移転促進事業の実施について

(平成26年10月30日付け 国土交通大臣宛て)

標記について、会計検査院法第36条の規定により、下記のとおり意見を表示する。

1 東日本大震災における防災のための集団移転促進事業の概要

(1)防災のための集団移転促進事業の概要

貴省は、「防災のための集団移転促進事業に係る国の財政上の特別措置等に関する法律」(昭和47年法律第132号。以下「防集法」という。)に基づき、豪雨、洪水、高潮その他の異常な自然現象による災害が発生した地域等のうち、住民の居住に適当でないと認められる区域(以下「移転促進区域」という。)内にある住居を集団的に移転することを促進する防災のための集団移転促進事業(以下「防集事業」という。)を実施する市町村に対して、その費用の一部を補助している。

防集事業は、移転促進区域から移転しようとする者(以下「移転者」という。)が一定規模以上の土地(以下「住宅団地」という。)内の宅地又は災害公営住宅(注1)へ集団的に移転することを促進するために、市町村が住宅団地の用地の取得及び造成(災害公営住宅事業に係る分を除く。)、住宅団地に係る道路等公共施設の整備、移転促進区域内の宅地及び農地の買取りなどを行うものである。

防集事業の実施については、防集法等によれば、市町村は、移転者の意向を尊重するとともに、移転促進区域内にある全ての住居が移転されるように配慮して、〔1〕 移転促進区域の面積、所在する住宅の戸数等、〔2〕 整備を行う住宅団地の面積、区画数、整備費用等、〔3〕 住宅団地の用地の取得、造成等を行う年度等を定めた集団移転促進事業計画(以下「事業計画」という。)を策定し、あらかじめ国土交通大臣に協議し、その同意を得なければならないなどとされている。

(注1)
災害公営住宅  災害により滅失した住宅に居住していた者に賃貸するために地方公共団体が建設する公営住宅

貴省が作成した「東日本大震災の被災地における市街地整備事業の運用について(ガイダンス)」(平成24年1月国土交通省都市局策定)によれば、防集事業は、移転者の合意の下で住宅団地への移転等を進めるいわゆる任意事業であるため、移転者の経済状況や移転に関する意向を十分に把握した上で事業計画を策定することが重要であるとされている。このため、移転促進区域の宅地等の買取価格や住宅団地の賃料等についての情報を移転者に提示しながら、住宅団地の土地を取得するか又は借りるかなどの住み方に対する意向を把握するなど、合意形成に向けた緻密な取組を行うことが重要であるとされている。

また、防集事業は、住宅団地の整備後、移転者が住宅を建設して移転することなどをもってその目的を達成することから、事業完了までには相当期間を要することになる。

(2)復興交付金の交付等

貴省は、東日本大震災復興特別区域法(平成23年法律第122号)に基づき、被災地の円滑かつ迅速な復興のために実施する必要がある事業(以下「復興交付金事業」という。)について、市町村に対して東日本大震災復興交付金(以下「復興交付金」という。)を交付しており、防集事業は、復興交付金事業の一つに位置付けられ、防集事業の実施に要する経費の一部に復興交付金が充てられている。

そして、東日本大震災の被災地における防集事業は、移転者の住居の移転に関連して必要と認められる施設で、居住者の共同の福祉又は利便のために必要な施設(以下「公益的施設」という。)の用地の取得や造成、関係被災者の意向調査等に要する費用についても補助の対象とすることとなった。

また、復興交付金は、被災地の一刻も早い復旧・復興を目指す観点から、復興需要が高まる平成23年度から27年度までの5年間に交付されることとなっており、市町村は、交付を受けた年度ごとに事業を実施するか、基金を造成して、復興交付金事業の計画期間内にこれを取り崩して事業を実施するかを選択できることとなっている。

2 本院の検査結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

防集事業は、被災者の早期の生活再建を図るために、多くの被災市町村において、国から多額の復興交付金の交付を受けて基金を造成するなどして実施されている。

そこで、本院は、有効性等の観点から、移転促進区域から住宅団地へ移転を希望する者(以下「団地希望者」という。)等の意向の変化等により、住宅団地の宅地に空き区画が生じていないかなどに着眼して、岩手、宮城、福島各県(以下「東北3県」という。)管内の25市町村(注2)が25年度末時点で策定している180の事業計画に基づき実施された防集事業を対象に、東北3県及び3市町(注3)において事業計画書等の関係書類を確認するなどして会計実地検査を行った。

(注2)
25市町村  宮古、大船渡、陸前高田、釜石、仙台、石巻、塩竈、気仙沼、名取、岩沼、東松島、いわき、相馬、南相馬各市、大槌、山田、亘理、山元、七ヶ浜、女川、南三陸、楢葉、浪江、新地各町、野田村
(注3)
3市町  仙台、岩沼両市、亘理町

(検査の結果)

検査したところ、次のような事態が見受けられた。

(1)25市町村における防集事業の状況

上記の25市町村は基金を造成して復興交付金事業を実施しており、23年度から25年度までの間の防集事業に係る復興交付金の交付決定額は、表1のとおり、計4410億0819万余円となっている。

表1 25市町村における防集事業に係る復興交付金の交付決定額

(単位:千円)
県名 造成年度 事業実施予定年度
平成23年度 24年度 25年度 26年度 27年度
岩手県
(7市町村)
23年度 293,380 4,270,588 744,075 5,308,043
24年度 22,060,493 58,047,278 25,804,674 105,912,445
25年度 5,502,992 8,532,704 14,035,696
293,380 26,331,081 64,294,345 34,337,378 125,256,184
宮城県
(12市町)
23年度 1,152,722 11,561,641 12,714,363
24年度 59,090,395 111,857,946 65,215,182 5,212 236,168,735
25年度 7,054,517 13,084,658 20,139,175
1,152,722 70,652,036 118,912,463 78,299,840 5,212 269,022,273
福島県
(6市町)
23年度 233,727 15,429,272 9,408,353 25,071,352
24年度 7,137,555 7,287,260 3,734,243 47,325 18,206,383
25年度 94,561 3,357,444 3,452,005
233,727 22,566,827 16,790,174 7,091,687 47,325 46,729,740
合計
(25市町村)
23年度 1,679,829 31,261,501 10,152,428 43,093,758
24年度 88,288,443 177,192,484 94,754,099 52,537 360,287,563
25年度 12,652,070 24,974,806 37,626,876
1,679,829 119,549,944 199,996,982 119,728,905 52,537 441,008,197

そして、25市町村は、表2のとおり、前記180の事業計画等において、移転促進区域を計2855万余m2と設定しており、同区域に所在していた住宅33,668戸のうち16,991戸を住宅団地へ移転するなどのために、342団地、817万余m2の住宅団地を整備することとしている。また、上記の16,991戸に係る住宅団地の区画の内訳は、貸付けにより供給する宅地が10,512区画(292万余m2)、分譲により供給する宅地が2,173区画(79万余m2)、災害公営住宅の用地が4,306区画(76万余m2)となっている。

表2 事業計画の策定状況等

(単位:千m2
県名 移転促進区域 住宅団地
団地数 住宅用地 公共施設等用地 公益的施設用地
貸付け      
戸数 面積 区画数 面積 区画数 面積 区画数 面積 区画数 面積 面積 面積 面積
岩手県 7,751 4,330 88 1,734 471 1,091 351 565 102 3,390 925 1,073 37 2,035
宮城県 22,785 14,186 194 8,511 2,362 466 158 3,219 556 12,196 3,077 2,099 130 5,307
福島県 3,132 10,040 60 267 87 616 287 522 102 1,405 477 357 834
33,668 28,557 342 10,512 2,920 2,173 797 4,306 761 16,991 4,479 3,530 167 8,177
注(1)
「災害公営住宅」の「区画数」及び「面積」については、移転者に係る分のみを集計している。
注(2)
表示単位未満を切り捨てているため、各欄の数値を合計しても計欄と一致しないものがある。

(2)住宅団地の整備等の状況

上記342団地の住宅団地の用地の取得状況についてみたところ、表3のとおり、取得が完了しているものが212団地、取得中が61団地、全く取得していないものが69団地となっており、住宅団地の用地は全体の約8割が取得(取得中を含む。)されている。

表3 住宅団地の用地の取得状況

(単位:千m2、団地数)
県名 取得面積 住宅団地の整備に必要な面積 取得面積の割合 住宅団地の用地の取得状況
(a) (b) (a/b) 全く取得していない 取得中 取得完了
岩手県 1,552 2,067 75.1% 3 32 53 88
宮城県 4,440 5,613 79.1% 47 28 119 194
福島県 766 943 81.1% 19 1 40 60
6,759 8,624 78.3% 69
(20.1%)
61
(17.8%)
212
(61.9%)
342
注(1)
岩手、福島両県については平成26年6月末時点、宮城県については26年3月末時点の状況
注(2)
表示単位未満を切り捨てているため、各欄の数値を合計しても計欄と一致しないものがある。

そして、住宅団地の整備は、市町村が直接住宅団地の造成工事を実施したり、造成工事を実施せずに既存の宅地等を購入したりすることなどにより行われており、前記342団地のうち337団地において、造成工事が実施されることになっている。そこで、上記337団地の造成工事の着工・完了の状況についてみたところ、表4のとおり、26年6月末現在で約7割の242団地が着工されており、このうち66団地が完了していた。

また、前記180の事業計画のうち、55の事業計画に係る造成工事が25年度末までに完了するとしていたが、実際に完了していたのは13の事業計画に係る造成工事となっていて、造成工事の完了までには時間を要する傾向にある。

さらに、宅地の供給状況についてみたところ、表4のとおり、団地希望者に貸付け又は分譲により宅地を供給できる状況となっていたのは、26年6月末現在、造成工事を伴わない住宅団地や造成工事が完了した部分から供給を開始している住宅団地等を含めて、72団地、1,344区画となっていた。

表4 住宅団地の整備状況

(単位:団地数)
県名 区分 年度 26年6月末現在の進捗率
平成23 24 25 26年6月末 26 27 28 29 30 31
岩手県 造成工事 着工 0 10 55 70 88 88 88 88 88 88 79.5%
完了 0 0 13 20 50 81 85 86 88 88 22.7%
供給 開始 0 0 6 19(157) 44 73 84 86 86 88 21.5%
宮城県 造成工事 着工 0 31 119 136 186 188 188 188 188 188 72.3%
完了 0 2 15 22 100 165 181 183 183 183 12.0%
供給 開始 0 1 13 30(832) 75 153 193 194 194 194 15.4%
福島県 造成工事 着工 0 18 35 36 39 56 57 57 57 57 63.1%
完了 0 1 20 24 38 54 55 56 57 57 42.1%
供給 開始 9 23(355) 38.3%
造成工事 着工 0 59 209 242 313 332 333 333 333 333 72.6%
完了 0 3 48 66 188 300 321 325 328 328 20.1%
供給 開始 0 1 28 72(1,344) 142 249 300 303 303 305 21.0%
注(1)
各年度末時点での進捗を累計で表示している。また、平成26年6月末までは実績、それ以降は計画値である。
注(2)
福島県の「―」は、県において市町村の団地の供給開始時期を把握していないものである。
注(3)
26年度以降の供給開始の計欄において、福島県は26年6月末に供給が開始している23団地を計上している。
注(4)
供給団地数の括弧書きは区画数を表す。
注(5)
防集事業に伴い造成工事が不要な団地が、福島県で3団地、宮城県で2団地ある。
注(6)
宮城県において、造成工事の着工時期が不明な団地が4団地、完了時期が不明な団地が9団地ある。
注(7)
26年6月末現在の進捗率において、造成工事については造成工事を予定している団地から着工・完了時期が不明な団地を除いた団地数を、供給については整備を計画している団地数を、それぞれ母数として算出している。

(3)住宅団地の宅地の空き区画等

防集事業は任意事業であることから、住宅団地を整備する上で移転者の意向を十分に把握した上で事業を実施することが重要であるが、前記のように住宅団地の整備に時間を要していることなどから、団地希望者が当該住宅団地への移転を希望しなくなるなど、その意向が変化することなどにより、住宅団地に空き区画が生ずることが考えられる。そこで、団地希望者の希望する区画数(以下「希望区画数」という。)について、住宅団地ごとに当初の事業計画において記載された希望区画数と26年7月の検査時点で確認できた直近の希望区画数を比較した。

直近の希望区画数は、東北3県において把握方法が異なっていたことから、岩手県については県が市町村に対して定期的に実施している直近の調査資料により、宮城県については市町が行っている直近の意向調査により、福島県については市町の希望区画数を県において確認できなかったことから直近の事業計画により確認した。

その結果、東北3県における希望区画数は、表5のとおり、18,243区画から15,423区画へ減少しており、団地希望者のうち貸付け又は分譲により宅地を希望する者(以下「宅地希望者」という。)の希望区画数は東北3県で計14,638区画から10,868区画へ減少していた。また、住宅団地ごとの希望区画数の増減についてみると、342団地のうち55団地で希望区画数が増加していたものの、過半の192団地は希望区画数が減少していた。

また、東北3県は、希望区画数が減少してきている理由について、住宅団地の整備に時間を要しているため、団地希望者の意向が変化して、住宅団地以外への移転を希望したことなどとしている。

表5 希望区画数の状況

(単位:区画数、団地数)
県名 供給方法 希望区画数 住宅団地ごとの希望区画数の増減
当初事業計画 直近の意向調査等 増加 減少 増減なし
岩手県 貸付け又は分譲 3,506 2,676 ▲830 24 42 22 88
災害公営住宅 325 587 262
3,831 3,263 ▲568
宮城県 貸付け又は分譲 9,964 7,309 ▲2,655 23 132 39 194
災害公営住宅 2,917 3,446 529
12,881 10,755 ▲2,126
福島県 貸付け又は分譲 1,168 883 ▲285 8 18 34 60
災害公営住宅 363 522 159
1,531 1,405 ▲126
合計 貸付け又は分譲 14,638 10,868 ▲3,770 55 192 95 342
災害公営住宅 3,605 4,555 950
18,243 15,423 ▲2,820

東北3県において、前記のとおり、住宅団地の用地は全体の約8割が取得され(取得中を含む。)、造成工事は約7割が着工されているが、上記のとおり、希望区画数は減少傾向となっていることから、宅地の供給が開始されている前記の72団地、1,344区画について、東北3県が各市町村を調査し取りまとめた資料等により、市町村と宅地希望者との間の契約状況を確認したところ、表6のとおり、222区画が未契約となっていた。そして、この未契約の区画のうち、26年7月の検査時点で確認できた岩手、宮城両県の149区画についてみると、契約予定の者が決まっておらず空き区画となっていたものが15団地において66区画見受けられた。

表6 供給が開始されている住宅団地の契約状況

県名 市町村 団地数 供給区画数 契約済区画数 未契約区画数 左のうち空き区画数 左に係る団地数
岩手県 宮古市 3 28 22 6 3 2
大船渡市 4 46 43 3 0 0
陸前高田市 7 53 36 17 0 0
釜石市 1 4 4 0 0 0
大槌町 3 8 4 4 0 0
野田村 1 18 18 0 0 0
小計 19 157 127 30 3 2
宮城県 仙台市 6 189 167 22 22 3
石巻市 1 6 6 0 0 0
気仙沼市 1 6 6 0 0 0
岩沼市 2 171 156 15 14 1
東松島市 5 166 109 57 6 3
亘理町 5 200 181 19 19 4
七ヶ浜町 3 52 47 5 1 1
女川町 1 1 0 1 1 1
南三陸町 6 41 41 0 0 0
小計 30 832 713 119 63 13
49 989 840 149 66 15
福島県 いわき市 1 19 18 1
相馬市 4 93 80 13
南相馬市 11 86 78 8
新地町 7 157 106 51
小計 23 355 282 73
合計 72 1,344 1,122 222
注(1)
岩手県及び宮城県における未契約区画数と空き区画数の差は、契約予定の者が決まっているものの、契約予定の者の事情により未契約となっているものである。
注(2)
福島県の空き区画数は、同県において、契約予定の者が決まっているかどうかを把握していないため、特定できない。

<事例>

宮城県亘理郡亘理町は、平成24年7月に移転促進区域の576戸が移転するため、移転者の意向を確認し、5団地において貸付け又は分譲により196区画を整備し、供給するなどとした事業計画を策定していた。そして、同町は、移転者の意向の確認を重ね、事業計画を変更するなどして、24年7月に用地の取得を開始し、25年5月に200区画を整備するとして造成工事に着手した。

しかし、造成工事の着手から造成工事が完了した26年6月までの間に、宅地希望者の意向が変化したことにより、26区画に係る宅地希望者が減少した。同町は、宅地希望者が減少した際に、事業計画の見直しを検討したり、住宅団地への移転を希望していなかった移転者に再募集を2回行うことにより7区画について新たな宅地希望者に供給したりしたが、26年6月末時点で19区画に空き区画が生じていた。

また、造成工事等を実施中の住宅団地においても、用地の取得後又は造成工事の着工後に団地希望者が減少している団地が見受けられた。これらの住宅団地については、今後、市町村において事業規模の縮小や公共施設又は公益的施設の用地への転用等の事業計画の見直しなどを行わなかった場合、取得した住宅団地の一部の用地に不要が生じたり、整備した宅地に空き区画が生じたりするおそれがある。

(改善を必要とする事態)

住宅団地の整備に時間を要する中、移転者の意向が変化するなどして宅地希望者が減少して、住宅団地の宅地に空き区画が生じている事態は適切ではなく、改善の要があると認められる。

(発生原因)

このような事態が生じているのは、貴省において、防集事業は住宅団地の整備に時間を要する中で、移転者の意向が変化するなどして宅地希望者が減少して住宅団地の宅地に空き区画が生ずるおそれがあることから、適時適切な移転者の意向の把握が重要であることなどについて、市町村への周知が十分でないことなどによると認められる。

3 本院が表示する意見

東日本大震災の被災地において実施されている防集事業は、多数の津波被災地区等を対象として高台等の安全な地区への集団移転を実施するもので、被災者の居住の安定の確保、ひいてはその暮らしの再生につながり、被災地のまちづくりに寄与するために、引き続き実施されていくものである。そして、防集事業は任意事業であることから、移転者の意向を十分に把握した上で事業を実施する必要があるが、住宅団地の整備に時間を要する中で、移転者の意向が変化するなどにより宅地希望者が減少して住宅団地の宅地に空き区画が生ずることがある。

ついては、貴省において、防集事業で整備した住宅団地の宅地に空き区画が生じないよう、次のとおり意見を表示する。

  • ア 移転者の意向の変化等を把握するために、適時適切な意向調査等を行うよう市町村に対して助言等を行うこと
  • イ 宅地希望者の意向が変化するなどにより住宅団地の宅地に空き区画が生ずるおそれがある場合には、事業規模を縮小したり、移転後の生活に必要となる公共施設や公益的施設の用地へ当該空き区画を転用したりするなど事業計画の適切な見直し及び移転者の中から再募集を行うなどの措置を講ずるよう市町村に対して周知を図るとともに、必要に応じて助言等を行うこと