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  • 平成25年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
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  • 第12 国土交通省 |
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

(12)空港における制限区域の作業環境等について事業者の理解の促進を図るよう業務説明及び現地見学を実施したり、空港等を管轄する各空港事務所等を含め広く入札説明書等を交付したりすることなどにより、空港管理業務等に係る契約の競争性の確保に向けた取組をより効果的に実施するよう改善の処置を要求したもの


会計名及び科目
社会資本整備事業特別会計(空港整備勘定) (項)空港等維持運営費 等
部局等
2航空局
地方航空局が締結する空港管理業務等に係る契約の概要
空港の管理運営等のために、灯火、土木、無線等の各種施設の点検、保守等の維持工事、航空機の運航等のために必要な各種業務等を行うもの
地方航空局が締結した空港管理業務等に係る契約の件数及び金額
607件 478億6084万余円(平成23年度~25年度)
制限区域業務に係る契約の件数及び金額
72件 155億7905万余円(平成23年度~25年度)
上記のうち作業環境等の理解促進を図る取組が十分に行われておらず1者応札となっている契約の件数及び金額
51件 75億7065万円(背景金額)
地方航空局の管轄区域内に競争参加資格要件を満たす事業者が多数存在すると思料される契約の件数及び金額
97件 83億8468万余円(平成25年度)
上記のうち入札公告において入札説明書等の交付場所を地方航空局に限定していて1者応札となっている契約の件数及び金額
28件 17億3876万円(背景金額)

【改善の処置を要求したものの全文】

地方航空局が締結する空港管理業務等に係る契約の競争性の確保に向けた取組について

(平成26年10月30日付け 国土交通大臣宛て)

標記について、会計検査院法第36条の規定により、下記のとおり改善の処置を要求する。

1 地方航空局が締結する空港管理業務等に係る契約の概要等

(1)地方航空局が締結する契約の概要

貴省の地方航空局は、空港の管理運営等のために、灯火、土木、無線等の各種施設の点検、保守等の維持工事、航空機の運航等のために必要な各種業務等(以下、これらを合わせて「空港管理業務等」という。)に係る契約を毎年度多数締結している。そして、貴省は、契約の締結に当たり、会計法(昭和22年法律第35号)、予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)等により、公正性、競争性等を確保するために原則として一般競争入札によることとし、入札公告に業務等の概要、競争参加資格要件(以下「資格要件」という。)に加えて入札説明書、仕様書等(以下「入札説明書等」という。)の交付場所等を示している。

(2)貴省における空港管理業務等に係る契約の競争性の確保に向けた取組

貴省における空港管理業務等に係る契約の競争性の確保に向けた取組は次のとおりとなっている。

ア 制限区域業務に係る契約における取組

地方航空局が締結する契約の中には、空港管理規則(昭和27年運輸省令第44号)に基づき立入りが制限されている滑走路その他の離着陸区域等の区域(以下「制限区域」という。)において空港管理業務等を実施するものがある。そして、制限区域における空港管理業務等のうち、航空灯火施設維持工事、土木施設維持修繕工事及び有害鳥類防除業務に係る契約については、「競争の導入による公共サービスの改革に関する法律」(平成18年法律第51号)に基づく公共サービス改革基本方針(平成22年7月閣議決定)等において、平成22年以降、民間競争入札の対象となる公共サービス(以下、当該公共サービスを「市場化テスト事業」、上記3業務等を合わせたものを「市場化テスト事業に係る業務等」という。)として選定されている。市場化テスト事業は、より良質で低廉な公共サービスを実現するために、1者応札が続くなど競争性に問題がある契約等を対象事業として選定することとなっており、その入札実施要項の内容等については内閣府に設置された官民競争入札等監理委員会の審議を経ることを要することとなっている。

また、貴省は、空港管理業務等のうち、市場化テスト事業に係る業務等及び空港警備業務(以下、これらを合わせたものを「制限区域業務」という。)に係る契約について、同一内容の業務の受注実績を求めていた資格要件を緩和するなど競争性の確保に向けた取組を推進してきている。

イ 2航空局における入札説明書等の交付に係る取組

貴省は、全都道府県における空港及び航空保安施設の設置及び管理等に係る事務を、東京、大阪両航空局(以下「2航空局」という。)で実施しており、2航空局の管轄区域は極めて広範なものとなっている。このため、貴省は、契約の競争性の確保に向けた取組として、2航空局が締結する一部の空港管理業務等について、入札公告において、契約を発注する2航空局に加えて、空港管理業務等の実施場所となる空港等を管轄する各空港事務所等においても入札説明書等を交付するなどしている。

2 本院の検査結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

貴省は、前記のとおり、空港管理業務等に係る契約を毎年度多数締結しており、一部の空港管理業務等については市場化テスト事業として選定されていることなどから、資格要件を緩和したり、空港事務所等においても入札説明書等を交付したりするなどの取組を実施してきている。

そこで、本院は、経済性等の観点から、地方航空局が締結する契約について、このような競争性の確保に向けた取組が十分なものとなっているかなどに着眼して検査した。

検査に当たっては、2航空局において、23年度及び24年度に契約を締結した市場化テスト事業に係る業務等45件(契約金額119億3701万余円)、25年度に契約を締結した空港管理業務等562件(同359億2382万余円)、計607件(契約金額計478億6084万余円)を対象として、貴省本省において競争性の確保を図るための取組を確認するとともに、2航空局において、入札公告、入札説明書等、入札経過調書等の関係資料を確認するなどして会計実地検査を行った。

(検査の結果)

検査したところ、次のような事態が見受けられた。

(1)制限区域業務の内容、作業環境等に関する理解の促進を図る取組が十分に行われていない事態

貴省は、前記のとおり、制限区域業務に係る契約については、同一内容の業務の受注実績を求めていた資格要件を緩和するなどの取組を行ってきており、これに伴い資格要件を満たす事業者数は増加してきている。

制限区域業務を実施する事業者に対しては、航空法(昭和27年法律第231号)等により、制限区域という特殊な作業環境において、航空機の安全運航を確保しながら安全、確実に業務を実施するために、様々な手続が課されている。また、作業員に対して一定の教育を行ったり、作業上の過失等に伴って発生する補償等のリスクについてあらかじめ十分把握したりすることなどが必要となっている。このため、地方航空局においては、入札参加を促進するために、資格要件を満たすものの同一業務の受注実績がない事業者に対して、業務内容、作業環境等に関して十分な理解の促進を図る取組をより積極的に行うことが重要となっている。

そこで、前記の計607件の契約のうち制限区域業務に係る72件の契約(契約金額計155億7905万余円)について、地方航空局における事業者に対する業務内容、作業環境等の理解の促進を図る取組の実施状況をみると、航空灯火施設維持工事及び有害鳥類防除業務については、入札公告の実施前に担当職員が資料等に基づき業務内容等を説明し、その場で質疑応答を行うなどの業務説明を実施していたものの、作業内容の詳細や特殊な作業環境の実情を現地で確認できる現地見学を実施していなかった。また、土木施設維持修繕工事及び空港警備業務については、業務説明及び現地見学のいずれも実施していなかった。

そして、上記契約の応札状況をみると、当該72件のうち51件(契約金額計75億7065万余円)が1者応札となっており、1者応札の件数割合は70.8%となっていた。

<事例1>

東京航空局は、平成25年度に、東京国際、新潟両空港の制限区域において有害鳥類の防除を行うために、東京国際空港他1空港有害鳥類防除業務請負の一般競争入札を実施しており、唯一応札した一般財団法人航空保安協会と151,200,000円で契約を締結していた。同局は、入札に当たって、資格要件として制限区域における役務の提供実績を有すること、また、仕様書等において銃器使用の免許を有する作業員を配置することを求めていた。

同局は、23年度以降毎年度、事業者に対して、業務内容や資格要件等を説明する業務説明を実施していたが、現地見学を実施していなかった。このため、制限区域で他の空港管理業務等の実績を有する事業者が新たに入札に参加しようとする場合であっても、航空機の安全運航に配慮しつつ銃器を使用するという特殊な作業環境の実情を確認することが困難な状況となっていた。

(2)入札公告において入札説明書等の交付場所を地方航空局に限定している事態

貴省は、前記のとおり、一般競争入札の実施に当たり、契約の内容、入札説明書等の交付場所等を公告している。そして、事業者が入札に参加するためには、入札説明書等における業務の詳細を十分に理解しておく必要があることから、地方航空局が入札公告を行うに当たっては、当該事業者が入札説明書等を容易に入手したり閲覧したりできるように、入札説明書等の交付方法等について一定の配慮を払うことが必要となっている。そして、貴省は、前記のとおり、一部の空港管理業務等については、各空港事務所等においても入札説明書等の交付場所としており、空港等の近隣の事業者は容易にこれを入手することが可能となっていた。

そこで、前記の計607件の契約のうち、地方航空局の広範な管轄区域内において資格要件を満たす事業者が多数存在すると思料される庁舎の改修工事、移転補償跡地の草刈等97件の契約(契約金額計83億8468万余円)について、入札公告における入札説明書等の交付場所をみると、45件の契約(契約金額計41億2127万余円)については、交付場所を2航空局に限定しており、このうち28件(契約金額計17億3876万余円。件数割合62.2%)については1者応札となっていた。一方、上記45件以外の52件の契約については、2航空局に加えて空港事務所等が入札説明書等を交付しており、52件のうち1者応札となっていたのは17件(件数割合32.7%)となっていて、入札説明書等の交付場所を2航空局に限定している契約と比べて1者応札の割合は低くなっていた。

このように入札公告において入札説明書等の交付場所を2航空局に限定することは、空港管理業務等の実施場所となる空港等の所在地によっては、近隣の事業者が入札説明書等を入手するのに大きな負担となることなどから、契約の競争性の確保に対する配慮が十分でないものとなっていた。

<事例2>

大阪航空局は、平成25年度に、沖縄県宮古島市に所在する遠隔対空通信施設の雷害対策を行うために、宮古島RCAG施設雷害対策工事の契約内容等を公告して一般競争入札を実施し、唯一応札したサンワコムシスエンジニアリング株式会社と14,490,000円で契約を締結していた。しかし、入札公告において、入札説明書等の交付場所を同局の担当部署に限定していたため、同県内の事業者は入札説明書等を入手等するために同局が所在する大阪市内まで赴く必要がある状況となっていた。

(改善を必要とする事態)

事業者に対して、制限区域業務の内容、作業環境等に関する理解の促進を図る取組が十分に行われていなかったり、入札公告において入札説明書等の交付場所を2航空局に限定していたりしている中で、1者応札の割合が高くなっている事態は適切ではなく、改善を図る要があると認められる。

(発生原因)

このような事態が生じているのは、2航空局において次のことなどによると認められる。

  • ア 業務説明及び現地見学の実施を通じて、事業者に対して制限区域業務の内容、作業環境等に関する理解を促進させることについての検討が十分でないこと
  • イ 入札の実施に当たり、事業者に入札説明書等をより広く交付することなどについての検討が十分でないこと

3 本院が要求する改善の処置

貴省は、地方航空局において多数の空港管理業務等を実施しており、今後とも1者応札の解消を図るなど競争性の確保に向けた取組を実施していくことが重要である。

ついては、貴省において、現在一部の契約において実施している取組を、他の空港管理業務等においても実施することにより、空港管理業務等に係る契約の競争性の確保に向けた取組がより効果的に実施されるよう、次のとおり改善の処置を要求する。

  • ア 地方航空局に対して、制限区域業務の内容、作業環境等について、事業者の理解の促進を図るために、事業者ごとに業務説明及び現地見学を実施することなどを検討するよう指導すること
  • イ 地方航空局に対して、事業者が入札に参加するために大きな負担とならないよう、空港管理業務等の実施場所である空港等を管轄する各空港事務所等を含め広く入札説明書等を交付することなどを検討するよう指導すること