国土交通省は、都道府県に対して土砂災害の前兆現象及び災害発生状況等の土砂災害関連情報を都道府県と住民とが相互に通報できる土砂災害情報相互通報システム(以下「相互通報システム」という。)の整備等に係る費用の一部を補助する土砂災害情報相互通報システム整備事業(以下「システム整備事業」という。)を実施している。しかし、相互通報システムにおいて、住民からの情報提供に係る機能が具備されていないことなどにより、住民からの情報提供が行われていなかったり、住民への情報提供が十分行われていなかったりしていて、相互通報システムが十分有効に活用されておらず、システム整備事業の事業効果が十分発現されていない事態が見受けられた。
したがって、国土交通省において、システム整備事業の事業採択を行うに当たって、相互通報システムに住民への情報提供に係る機能及び住民からの情報提供に係る機能(以下、これらの機能を合わせて「双方向機能」という。)を具備させることとするよう採択基準の取扱いの見直しに向けた検討を行うとともに、都道府県に対して、相互通報システムに双方向機能を具備させることとする河川等情報基盤総合整備全体計画を作成して、これに沿って相互通報システムを計画的に整備すること、及び住民が電話応答装置等の相互通報システムを構成する機器(以下「システム機器」という。)を直ちに使用できるような体制を整備したり、システム機器の使用状況等を把握したり、システム機器に対する管理を適切に行ったりして、相互通報システムの活用を促進するための方策を適時適切に検討することを内容とする技術的助言を行うよう、国土交通大臣に対して平成25年10月に、会計検査院法第36条の規定により改善の処置を要求した。
本院は、国土交通本省において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、国土交通省は、本院指摘の趣旨に沿い、次のような処置を講じていた。