(4件 不当と認める国庫補助金 13,465,430円)
地域グリーンニューディール基金(以下「基金」という。)は、平成21年度地域環境保全対策費等補助金(地域グリーンニューディール基金)交付要綱(平成21年7月環境事務次官通知)に基づき、都道府県及び政令指定都市(以下「事業主体」という。)が、国から地域環境保全対策費補助金及び二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金の交付を受けて平成21年度に造成したものである。そして、事業主体は、地域グリーンニューディール基金事業実施要領(平成21年7月環境省総合環境政策局長通知。以下「実施要領」という。)等に基づき、21年度から23年度までの間に、基金を財源として、当面の雇用創出と中長期的に持続可能な地域経済社会の構築につなげるために、地域の実情に応じて、地球温暖化問題等の喫緊の環境問題を解決するために必要な事業(以下「基金事業」という。)を実施している。
事業主体は、自ら基金事業を実施する場合は、原則として事業費相当額を基金から取り崩して使用し、管内の市区町村等が基金事業を実施する場合は、原則として事業費相当額を基金から取り崩して補助金(以下「県等補助金」という。)を当該市区町村等に交付することとなっている。
そして、実施要領等によれば、基金事業は、太陽光発電設備、コミュニティサイクル(注1)の導入等を実施することとされている。また、基金事業の対象となる経費(以下「基金事業対象経費」という。)は、事業を実施するために必要な設計費、本工事費、附帯工事費等とされており、このうち附帯工事費については、本工事費に付随する直接必要な工事に要する必要最小限度の範囲の経費とされている。
本院が事業主体である21都府県及び7政令指定都市並びに県等補助金の交付を受けた123市区町村において会計実地検査を行ったところ、4都県管内の4市町(注2)において、基金事業の対象とは認められない経費を基金事業対象経費に含めていたため、取り崩された基金計13,465,430円(国庫補助金相当額同額)の使用が適切でなく、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、県等補助金の交付を受けた4市町において基金事業対象経費の算定に対する理解が十分でなかったこと、4事業主体において県等補助金に係る実績報告書の審査及び市町に対する助言が十分でなかったことなどによると認められる。
前記の事態について、事例を示すと次のとおりである。
<事例>
東京都は青梅市に対して県等補助金を交付しており、同市は新町市民センターに太陽光発電設備を設置するなどの事業を事業費28,980,000円(県等補助金同額、国庫補助金相当額同額)で実施して、これに附帯工事費として同センターの屋上全面(497.0m2)の防水工事等に係る工事費(直接工事費3,080,958円)を含めていた。
しかし、上記の防水工事等のうち、太陽光発電設備の支柱の基礎部分の面積(47.5m2)以外に係る部分の面積(449.5m2)は、単に建物の維持修繕工事であり、太陽光発電設備の設置に付随する直接必要な工事ではなかった。
したがって、防水工事等に係る工事費のうち、太陽光発電設備の支柱の基礎部分の面積以外に係る部分の工事費3,826,900円は基金事業の対象とならず、これに係る国庫補助金相当額3,826,900円が不当と認められる。
これを事業主体別に示すと次のとおりである。
部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
実施年度 | 基金使用額 | 左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める基金使用額 | 不当と認める国庫補助金等相当額 | 摘要 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(367) | 環境本省 | 青森県 | 22 | 28,908 | 28,908 | 2,870 | 2,870 | 基金事業の対象とならない工事費を含めていたもの |
(368) | 同 | 東京都 | 23 | 28,980 | 28,980 | 3,826 | 3,826 | 同 |
(369) | 同 | 富山県 | 22 | 4,515 | 4,515 | 3,069 | 3,069 | 同 |
(370) | 同 | 静岡県 | 22 | 3,829 | 3,829 | 3,699 | 3,699 | 同 |
(367)―(370)の計 | 66,232 | 66,232 | 13,465 | 13,465 |