(2件 不当と認める国庫補助金 267,701,804円)
部局等 | 補助事業者等 (事業主体) |
補助事業等 | 年度 | 事業費 (国庫補助対象事業費) |
左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める事業費 (国庫補助対象事業費) |
不当と認める国庫補助金等相当額 | |
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千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(372) | 原子力規制委員会 | 福井県 | 放射線監視設備整備臨時特別交付金 | 23、24 | 708,446 (708,446) |
708,446 | 132,251 (132,251) |
132,251 |
(373) | 同 | 山口県 | 同 | 23、24 | 135,450 (135,450) |
135,450 | 135,450 (135,450) |
135,450 |
(372)(373)の計 | 843,896 (843,896) |
843,896 | 267,701 (267,701) |
267,701 |
これらの交付金事業は、2県が、原子力施設の周辺における放射線量等の状況を常時監視する放射線監視設備として、空間放射線量率等を測定するためのモニタリングポストやこれにより測定された情報を収集するなどのためのサーバ等を整備するなどしたものである。
2県は、サーバ等の設置を「電気通信設備工事共通仕様書」(国土交通省大臣官房技術調査課電気通信室編集。以下「共通仕様書」という。)等により行うこととしていた。そして、共通仕様書によれば、電気通信設備の据付けについては、共通仕様書に規定する耐震据付設計基準を満たすとともに、設備の機能等に応じた適切な耐震施工を行うことにより、地震時の水平移動、転倒等の事故を防止し、耐震性を確保することとされている。
しかし、2県は、サーバ等を格納するラックの据付けに当たり、上記の設計基準を満たすかどうかの検討を行っていなかった。そして、福井県は、2系統整備した放射線監視設備のうち1系統について、既存の二つのラックの底部に取り付けられていた耐震金具(いずれも板厚3.0㎜)を取り外し、新設した二つのラックの据付けに再利用していたが、当該耐震金具は、上記の設計基準を満たす板厚(それぞれ9.2㎜、9.6㎜)とはなっていなかった。また、山口県は、2系統整備した放射線監視設備の双方について、ラックをコンクリート床等の上に据え置いただけで、コンクリート床にアンカーボルトで固定するなどの耐震施工を行っていなかった。
このため、各ラックが地震時に移動又は転倒して、サーバ等に接続されているケーブルが断線したり、ラック内に格納されているサーバ等が破損したりなどした場合には、必要な情報が送受信されないこととなる。
したがって、2県がそれぞれ2系統整備した放射線監視設備のうち、福井県の1系統及び山口県の2系統は、サーバ等の設置に係る設計が適切でなかったため、地震時においてモニタリングポストで測定された空間放射線量率等の情報を常時収集するなどの監視機能の維持が確保されていない状態になっており、これらに係る交付金相当額計267,701,804円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、2県において、放射線監視設備が共通仕様書等に記載された耐震性を確保する必要があることについての理解が十分でなかったことなどによると認められる。