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  • 平成25年度 |
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私立大学等経常費補助金の経理が不当と認められるもの[日本私立学校振興・共済事業団](383)


科目
(助成勘定)補助金経理 (項)交付補助金
部局等
日本私立学校振興・共済事業団
補助の根拠
私立学校振興助成法(昭和50年法律第61号)
事業主体
学校法人金蘭会学園
補助の対象
私立大学等における専任教職員の給与等教育又は研究に要する経常的経費
上記に対する事業団の補助金交付額
235,777,000円(平成23年度)
不当と認める事業団の補助金交付額
8,060,000円(平成23年度)

1 補助金の概要

(1)補助金交付の目的

日本私立学校振興・共済事業団(以下「事業団」という。)は、私立学校振興助成法(昭和50年法律第61号)に基づき、国の補助金を財源として、私立大学等(注)を設置する学校法人に私立大学等経常費補助金(以下「補助金」という。)を交付している。補助金は、私立大学等の教育条件の維持及び向上並びに学生の修学上の経済的負担の軽減を図るとともに私立大学等の経営の健全性を高めることを目的として、私立大学等における専任教職員の給与等教育又は研究に要する経常的経費に充てるために交付されるものである。

(注)
私立大学等  私立の大学、短期大学及び高等専門学校

(2)補助金の額の算定資料

事業団は、私立大学等経常費補助金交付要綱(昭和52年文部大臣裁定)等に基づき、補助金の額を算定する資料(以下「算定資料」という。)として、各学校法人に補助金交付申請書とともに次の資料を提出させている。

  • ア 申請年度の5月1日現在の専任教員等の数、専任職員数及び学生数に関する資料
  • イ 学校法人会計基準(昭和46年文部省令第18号)に基づき作成した前年度決算の学生納付金収入、教育研究経費支出、設備関係支出等に関する資料

(3)補助金の額の算定方法

事業団は、私立大学等経常費補助金配分基準(平成10年日本私立学校振興・共済事業団理事長裁定)に定める方法により、私立大学等における経常的経費を補助する一般補助の額を算定するほか、私立大学における学術の振興及び私立大学等における特定の分野、課程等に係る教育の振興のために補助金を増額すること(以下「特別補助」という。)ができ、これらの合計が各学校法人に交付される補助金の額となる。

(4)特別補助

特別補助の対象となる項目には次の項目等があり、これらについては、算定資料を各学校法人から提出させて、次のようにその額を算定することとなっている。

  • ア 「授業料減免及び学生の経済的支援体制の充実」については、経済的に修学困難な学生(外国人留学生は除く。)を対象に「入学料・授業料減免等の給付事業」等(以下「授業料減免事業等」という。)を実施するなどしている私立大学等に対して、授業料減免事業等に係る所要経費の2分の1以内の額等を増額する。そして、授業料減免事業等が特別補助の対象となるには、経済的に修学困難な学生の入学料・授業料減免等に係る選考基準が私立大学等が定める授業料減免事業等に係る規程等に明記されていることなどが必要とされている。
  • イ 「大学等の国際交流の基盤整備への支援」については、海外からの学生や教員の受入れなどを行っている私立大学等に対して、海外から受け入れた学生や海外から招へいした教員等の人数に所定の単価を乗ずるなどした額を増額する。そして、補助金の算定対象となる人数が見込みに比べて減少した場合は、訂正報告をさせた上で、補助金の額を確定することとなっている。

2 検査の結果

(1)検査の観点、着眼点、対象及び方法

本院は、合規性等の観点から、特別補助の額の算定が適切に行われているかなどに着眼して、事業団が平成23、24両年度に補助金を交付している632学校法人のうち20学校法人において、算定資料等の書類により会計実地検査を行った。

(2)検査の結果

検査したところ、次のとおり適正とは認められない事態が見受けられた。

学校法人金蘭会学園(23年度補助金交付額235,777,000円)は、23年度の「授業料減免及び学生の経済的支援体制の充実」に係る特別補助の申請に当たり、事業団に提出した算定資料に千里金蘭大学が実施している奨学金事業の各規程を記入していたが、このうち一部の奨学金事業に係る規程には、経済的に修学困難な学生の入学料・授業料減免等に係る選考基準が明記されておらず、特別補助の対象とならないものであった。

また、同学校法人は、同大学における23年度の「大学等の国際交流の基盤整備への支援」に係る特別補助の対象となる学生数及び教員数について、事業団に提出した算定資料に、交付申請時の見込みの人数を計上していたが、見込みに比べて実績が減少した後も、訂正報告を行っていなかった。

したがって、特別補助の対象とならない授業料減免事業等を除外するなどするとともに、実績による正しい人数に基づいて算定すると、適正な補助金の額は227,717,000円となり、8,060,000円が過大に交付されていて不当と認められる。

このような事態が生じていたのは、同学校法人が、補助金の制度を十分に理解していなかったり、算定資料の作成に当たりその内容の確認を十分に行っていなかったりしているのに、事業団において、同学校法人に対する指導及び調査が十分でなかったことによると認められる。