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  • 平成25年度 |
  • 第3章 個別の検査結果 |
  • 第2節 団体別の検査結果 |
  • 第28 独立行政法人産業技術総合研究所 |
  • 意見を表示し又は処置を要求した事項

研究用備品等について、定期的な実査を適切に実施するなどして、その管理の一層の適正化を図るよう是正改善の処置を求め、及び研究所内で使用する見込みがなく不用決定されたものの外部への譲渡を積極的に検討する仕組みを整備することにより利活用を図るよう意見を表示したもの


科目
工具器具備品、固定資産除却損
部局等
独立行政法人産業技術総合研究所東京、つくば両本部、9センター
研究用備品等の概要
研究業務を実施するために必要となる試験及び測定装置等各種の備品
固定資産管理台帳に記録されていた研究用備品等の数量及び台帳価額
有形固定資産 48,693件 329億7840万余円(平成25年度)
準資産 98,222件 43億4750万余円(平成25年度)
計 146,915件 373億2590万余円
上記のうち管理が適正を欠いていた研究用備品等の数量及び台帳価額(1)
有形固定資産 2,398件 5億4407万円
準資産 16,862件 4億6924万円
計 19,260件 10億1332万円
不用決定の手続を経て廃棄等を行った研究用備品等の数量及び処分時台帳価額
有形固定資産 4,975件 16億5122万余円
(平成23年度~25年度)
準資産 15,070件 4億3328万余円
(平成23年度~25年度)
計 20,045件 20億8451万余円
上記のうち研究所外への譲渡を検討する仕組みがないため廃棄していた研究用備品等の数量及び処分時台帳価額(2)
有形固定資産 4,648件 14億6147万円
準資産 14,718件 4億2309万円
計 19,366件 18億8456万円
(1)及び(2)の純計
34,752件 24億9757万円

【是正改善の処置を求め及び意見を表示したものの全文】

研究用備品等の管理及び利活用について

(平成26年10月30日付け 独立行政法人産業技術総合研究所理事長宛て)

標記について、下記のとおり、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求め、及び同法第36条の規定により意見を表示する。

1 有形固定資産等の管理等の概要

(1)貴研究所の概要

貴研究所は、独立行政法人産業技術総合研究所法(平成11年法律第203号)に基づき、鉱工業の科学技術に関する研究及び開発等の業務を総合的に行うことにより、産業技術の向上及びその成果の普及を図り、もって経済及び産業の発展並びに鉱物資源及びエネルギーの安定的かつ効率的な供給の確保に資することを目的として、東京、つくば両本部のほか、国内9か所に研究拠点(注1)を設置するなどして研究を実施している。そして、研究を推進するための組織として、研究分野ごとに研究ユニット(注2)を設置しており、研究ユニットは、研究業務を実施するために必要となる試験及び測定装置等各種の備品類(以下「研究用備品等」という。)を多数保有している。

(注1)
研究拠点  北海道、東北、つくば、臨海副都心、中部、関西、中国、四国、九州各センター(平成25年度末現在)
(注2)
研究ユニット  同種の分野に係る研究を実施する研究者等の集合体で、一定の継続性を持って研究を進める「研究部門」、時限的に設置され設置年限が3年から7年の「研究センター」及び設置年限が3年以内の「研究ラボ」を総称したもの

(2)貴研究所における有形固定資産等の管理

貴研究所は、有形固定資産等管理要領(平成20年4月1日20要領第3号。以下「管理要領」という。)等により、耐用年数が1年以上の資産のうち、取得価格が50万円以上のものについては有形固定資産として貸借対照表に計上して管理し、取得価格が10万円以上50万円未満のものについては、貸借対照表には計上しない資産(準資産)として管理している。なお、準資産は、有形固定資産と同様に減価償却計算が行われ、各事業年度末に固定資産管理台帳(以下「台帳」という。)上の価格(以下「台帳価額」という。)が改定されている。そして、有形固定資産及び準資産(以下、これらを合わせて「有形固定資産等」という。)は、取得した際に、貴研究所の台帳に記録され、取得後の管理状態として、「使用中」(使用している状態)、「保管中」(使用者において使用目的が消滅してから処分するまでの状態)、「処分」(廃棄等を行い処分済みの状態)等の区分で管理されていて、このような管理区分を台帳へ記録する実際の作業については、変更等も含めて、経理室及び各研究拠点の財産管理の実務担当者である財産管理担当者が行っている。

管理要領等によれば、有形固定資産等の管理は、管理部門等ごとに管理責任者が行うものとされ、各研究拠点の長、研究ユニットの長等の管理責任者は、有形固定資産等を善良なる管理者の注意をもって管理すること、有形固定資産等の有効的な利用及び効率的な運用に努めること、有形固定資産等を定期的に実査し、その管理状況を確認することなどとされている。そして、使用者において有形固定資産等の使用目的が消滅(「保管中」の管理区分となったもの)したときは、経理室長等が当該有形固定資産等の管理を行うこととされている。

(3)貴研究所における研究用備品等の利活用

管理要領等によれば、貴研究所は、有形固定資産等について、以後使用する見込みがないと判断し、かつ、破損度が著しく修繕不能と認められるとき、使用効率が極めて低く保管及び維持に多額の経費を要するときなどは、不用決定することができるとされている。さらに、不用決定された有形固定資産等については、廃棄処分による不経済性に鑑み、積極的な譲渡を検討することとされている。

一方、貴研究所は、貴研究所内において有形固定資産等を有効に利活用するために、取得価格が10万円以上の研究用備品等について、当該研究用備品等を使用していた研究ユニット等において今後使用する見込みがなくなった場合、不用決定を行う前に全国の研究拠点で閲覧可能なシステムに登録して、他の研究ユニット等で使用する希望の有無を確認することとしている。そして、使用希望者が見つかった場合には他の研究ユニット等に使用者を変更することにより利活用を図り、使用希望者が見つからない場合には不用決定の手続を経て廃棄等を行うこととしている。

2 本院の検査結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

本院は、正確性、合規性、有効性等の観点から、有形固定資産等のうち研究用備品等の管理が管理要領等に基づき適正に行われているか、不用決定された研究用備品等を有効に利活用するための措置が十分に執られているかなどに着眼して検査した。検査に当たっては、平成25年度に台帳に記録されていた研究用備品等計146,915件(台帳価額373億2590万余円(有形固定資産48,693件(同329億7840万余円)、準資産98,222件(同43億4750万余円))を対象として、台帳等の関係書類、本院の検査を契機として貴研究所が行った調査の結果等を確認するとともに、つくば本部及び東北、つくば、臨海副都心、中部、九州各センターにおいて、台帳等の記録内容と現物とを照合するなどの方法により会計実地検査を行った。また、23年度から25年度までの間に不用決定の手続を経て廃棄等を行った研究用備品等計20,045件(処分時台帳価額20億8451万余円(有形固定資産4,975件(同16億5122万余円)、準資産15,070件(同4億3328万余円)))を対象として、上記のつくば本部等6か所において、廃棄等に係る関係書類を確認するなどの方法により会計実地検査を行った。

(検査の結果)

検査したところ、次のような事態が見受けられた。

(1)研究用備品等の管理が適正を欠いていた事態

25年度末において台帳に「使用中」又は「保管中」として記録されていた研究用備品等計19,260件(台帳価額10億1332万余円(有形固定資産2,398件(同5億4407万余円)、準資産16,862件(同4億6924万余円))について、次のとおり、管理が適正を欠いていた。

ア 台帳に「使用中」として記録されているが現物の所在が確認できないもの

有形固定資産 1,479件、台帳価額 2億0900万余円

準資産 13,830件、台帳価額 3億9411万余円

これらは、「使用中」の研究用備品等として台帳に記録されているが、実際には現物の所在が確認できなかったものである。そして、「使用中」の有形固定資産等については、管理要領等において管理責任者が行う実査の対象となっているにもかかわらず、実際には、有形固定資産については十分な実査が行われていなかったり、準資産については実査が全く行われていなかったりしており、台帳の記録内容と現物の照合が行われていなかった。

イ 台帳に「保管中」として記録されているが現物の所在が確認できないもの

有形固定資産 40件、台帳価額 866万余円

準資産 37件、台帳価額 122万余円

これらは、「保管中」の研究用備品等として台帳に記録されているが、実際には現物の所在が確認できなかったものである。そして、「保管中」の有形固定資産等については、管理要領等において実査を実施することが定められていないことなどから、これまで台帳の記録内容と現物の照合が行われていなかった。

貴研究所によると、ア及びイの事態について所在が確認できない原因や所在が確認できなくなった時期は、不明とのことであった。

ウ 既に廃棄されていたが台帳に「使用中」又は「保管中」として記録されていたもの

有形固定資産 879件、台帳価額 3億2640万余円

準資産 2,995件、台帳価額 7390万余円

これらは、財産管理担当者が研究用備品等について、実際に搬出され廃棄されたことを確認していたが、台帳上の記録を「処分」に変更していなかったものである。

<事例>

臨海副都心センターは、身体機能計測装置(転倒転落事故のメカニズムの解明に必要な子供の行動データを収集するための装置)を取得し、平成20年10月に台帳に記録(台帳価額1140万円)していた。しかし、同装置は、23年8月に搬出され廃棄されており、財産管理担当者はこれを確認していたが、台帳上の記録を「処分」に変更しておらず、「保管中」のままとしていた。このため、25年12月の会計実地検査時点で既に廃棄された同装置の台帳価額(23年度末242万余円、24年度末57万円)が台帳に記録されていた。

また、これらの研究用備品等のうち有形固定資産2,398件(台帳価額5億4407万余円)の中には、24年度以前に所在が確認できなくなっていたり、廃棄されていたりしているのに、貸借対照表において工具器具備品として資産の部に計上されているものがあった。

(2)不用決定された研究用備品等の利活用を行う仕組みが整備されていない事態

前記のとおり、管理要領等によれば、不用決定された有形固定資産等については、廃棄処分による不経済性に鑑み、積極的な譲渡を検討することとされている。しかし、不用決定された前記の研究用備品等計20,045件(処分時台帳価額20億8451万余円)のその後の処理状況についてみると、廃棄19,366件(同18億8456万余円(有形固定資産4,648件(同14億6147万余円)、準資産14,718件(同4億2309万余円))、有償譲渡106件(同896万余円)、無償譲渡573件(同1億9097万余円)となっており、廃棄された研究用備品等の件数割合は、全体件数の96.6%に上っていて、ほとんどの研究用備品等が不用決定の手続を経て廃棄される結果となっていた。

一方、貴研究所では、不用決定された研究用備品等について、外部に対する譲渡を検討する仕組みが整備されていないものの、現に外部に対して一部を譲渡しているものがあることから、その状況等について確認したところ、有償譲渡については貴研究所の技術移転先企業、共同研究先企業等に、無償譲渡については公設試験場等の公的研究機関、大学、高等専門学校等の教育研究機関等に譲渡するなど、貴研究所と技術移転、共同研究等を通じて交流のある企業等(以下「交流企業等」という。)からの申出に応じて譲渡を行っているなどの状況となっていた。

したがって、貴研究所において、不用決定された研究用備品等については、廃棄を行う前に、譲渡を申し出る可能性が高いと思料される交流企業等に対して譲渡の希望の有無を確認することとしたり、交流企業等以外からも譲渡を申し出る可能性があると判断される研究用備品等については、ホームページ等を用いて広く需要調査を行ったりするなど、外部に対する譲渡を積極的に検討する仕組みを整備することが、不用決定された研究用備品等の利活用の可能性を高めるために重要であると認められる。

なお、(1)及び(2)の事態には重複しているものがあり、その重複を除くと、計34,752件、24億9757万余円となる。また、貴研究所は、(1)の事態について、26年7月までに台帳における修正処理を完了するなどしており、決算整理が間に合ったものは、貴研究所の25年度財務諸表にこの修正が反映されている。

(是正改善及び改善を必要とする事態)

上記のとおり、貴研究所において、台帳に「使用中」又は「保管中」として記録されている研究用備品等について、その所在が確認できなかったり、既に廃棄されていたりなどして研究用備品等の管理が適正を欠いている事態は適切ではなく、是正改善を図る要があると認められる。また、貴研究所内で使用する見込みがなく不用決定された研究用備品等について、その利活用のための外部への譲渡が積極的に行われておらず、その大部分がそのまま廃棄される結果となっている事態は適切ではなく、改善の要があると認められる。

(発生原因)

このような事態が生じているのは、貴研究所において、次のことなどによると認められる。

  • ア 管理要領等に基づき有形固定資産等を適正に管理することなどの重要性に対する認識が欠けていること、「使用中」の有形固定資産等に対する実査が適切に行われていないこと、「保管中」の有形固定資産等に対して実査を実施することが管理要領等に定められていないこと。また、財産管理担当者において、台帳の記録を適切に変更することについての理解が十分でないこと
  • イ 貴研究所内で使用する見込みがなく不用決定された研究用備品等について、外部に対する譲渡を積極的に検討する仕組みが整備されていないこと

3 本院が求める是正改善の処置及び表示する意見

前記のとおり、貴研究所は、鉱工業の科学技術に関する研究及び開発等の業務を総合的に行うことにより、経済及び産業の発展等に資することを目的としている。そして、この目的を達成していくために、今後も多額の公的資金を原資として多数の研究用備品等を取得、管理することが見込まれる。

ついては、貴研究所において、研究用備品等の管理の一層の適正化を図るとともに、研究所内で使用する見込みがなく不用決定された研究用備品等についてより積極的な利活用が図られることとなるよう、アのとおり是正改善の処置を求め及びイのとおり意見を表示する。

  • ア 「使用中」の全ての有形固定資産等について管理要領等に基づき定期的な実査を適切に実施するなどするとともに、研究等の使用目的が消滅した「保管中」の有形固定資産等の管理について管理要領等の内容を見直すなどして台帳の記録内容と現物の照合を行うよう、研究用備品等の管理の適正化を図るための体制を整備すること。また、経理室長等、管理責任者、財産管理担当者等の職員に対し、研究用備品等の適正な管理の重要性や台帳の記録を現況を反映した正確なものとするための具体的手続等について研修を実施するなどしてその周知徹底を図ること
  • イ 貴研究所内で使用する見込みがなく不用決定された研究用備品等について、譲渡を申し出る可能性が高いと思料される交流企業等に対して譲渡の希望の有無を確認することとしたり、交流企業等以外にも譲渡を申し出る可能性があると判断される研究用備品等については、ホームページ等を用いて広く需要調査を行ったりするなど、外部に対する譲渡を積極的に検討する仕組みを整備すること