独立行政法人国立環境研究所(以下「研究所」という。)は、環境問題に関する研究成果を国民に普及・還元することを目的として、毎年6月の環境月間に、東京等の2都市で公開シンポジウムを開催している。そして、平成25年の公開シンポジウムの開催に伴い必要となる進行管理、実施マニュアルの作成、ホームページの作成・更新等の業務について、24年12月に一般競争契約により株式会社ステージと業務請負契約を締結しており、業務完了後の25年10月に契約額9,840,600円を支払っている。
研究所は、本件業務請負契約の予定価格の積算に当たり、業務に係る費用について、所要の人日数に研究所が職種ごとに定めた1日当たりの人件費単価を乗ずるなどして算定している。一方、所要の人日数を把握していないホームページの作成・更新等の業務に係る費用については、業者から徴した参考見積書の価格(以下「見積価格」という。)をそのまま用いることにしている。
本院は、経済性等の観点から、予定価格の積算が適切に行われているかなどに着眼して、本件業務請負契約を対象として、研究所において、契約関係書類等により会計実地検査を行った。
検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
研究所は、予定価格の積算に当たり、ホームページの作成・更新に係る費用を、見積価格を用いたとして3,000,000円としていた。
しかし、実際は上記の業務に係る見積価格は300,000円となっており、研究所は、これを誤って3,000,000円として予定価格を積算していた。
したがって、ホームページの作成・更新に係る費用について、見積価格である300,000円を用いて予定価格を修正計算すると6,657,748円となり、本件契約額9,840,600円はこれに比べて約310万円割高となっていて不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、研究所において、予定価格の積算に当たっての審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。